説の検証確認日 2026.09.30

お酒の種類でがんのリスクは変わる? 増えるがん・低い数字が出るがん、お酒のメリットを国際評価と論文で確かめる

PR この記事には、楽天市場のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、国際機関の評価・国のガイドライン・論文をもとにしています。

「ビールより焼酎のほうが体にいい」「赤ワインはポリフェノールがあるから大丈夫」「少し飲む人のほうが長生きする」。お酒については、いろいろな説があります。

この記事では、次の4つを、国際機関の評価と、世界・日本の研究で確かめます。

  • お酒の種類(ビール・ワイン・日本酒・焼酎・ウイスキーなど)で、がんのなりやすさは変わるのか
  • お酒を飲むと増えるがんはどれか。反対に、低い数字が出ているがんはあるのか
  • 日本人に多い「顔が赤くなる体質」との関係
  • お酒にメリットはあるのか(心臓病・寿命など)

膵臓がんについては、お酒と膵臓がんの記事で詳しく調べています。

結論

  • がんのなりやすさを決めるのは、お酒の種類ではなく、飲んだアルコールの量です。世界がん研究基金(WCRF)も米国の公衆衛生局長官の勧告(2025年)も、ビール・ワイン・蒸留酒で差はないとしています
  • お酒で確実に増えるとされているのは、口・のど・喉頭、食道、肝臓、大腸、乳房のがんです。多く飲む人では、口・のどと食道のがんが約5倍になります。胃がんも「おそらく増える」とされています
  • 腎臓・甲状腺・悪性リンパ腫では、飲む人のほうが低い数字が出ています。WCRF は腎臓がんについて「1日30gまでなら、おそらくリスクを下げる」と判定しています。ただし、理由ははっきりせず、研究のゆがみの可能性も指摘されています。がん全体では、飲む量が増えるほどリスクは上がります
  • 顔が赤くなる体質の人(日本人の約41%)は、飲み続けると食道がん・口の中のがんのリスクが非常に高くなります
  • 「少し飲む人は長生き」という説は、研究のゆがみを補正するとはっきりしなくなります。心筋梗塞・胆石・女性の2型糖尿病などで低い数字が出る研究はありますが、脳卒中や高血圧は少しの量から増えます。WCRF は「がんの予防には、飲まないのが一番」としています

国や国際機関の評価

評価する機関 お酒とがんについての判定
IARC(国際がん研究機関、WHO の専門機関) お酒は「ヒトに発がん性がある(グループ1)」。お酒が分解されてできるアセトアルデヒドもグループ1。お酒をやめる・減らすと、口の中と食道のがんのリスクが下がる(2023年の評価)
WCRF / AICR(世界がん研究基金) 確実に増やす:口・のど・喉頭、食道(扁平上皮がん)、肝臓、大腸、乳房(閉経後)。おそらく増やす:胃、乳房(閉経前)。おそらく減らす:腎臓(1日30gまで)。種類に関係なく、原因はエタノールそのもの
米国 公衆衛生局長官の勧告(2025年1月) 少なくとも7つのがん(乳房・大腸・食道・肝臓・口・のど・喉頭)の原因。米国では年に約10万人のがんと約2万人のがんによる死亡にかかわる。ビール・ワイン・蒸留酒の種類を問わず関係がある
国立がん研究センター(日本人の研究の評価、2026年5月版) 確実:がん全体、肝臓、大腸、食道、頭頸部(口・のどなど)。ほぼ確実:胃(男性)、乳房(閉経前)。肺・膵臓・前立腺・膀胱などは「データ不十分」
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年) 病気ごとに「これ以上飲むとリスクが上がる量」を示した(下の表)。1日の純アルコールが男性40g以上、女性20g以上を「生活習慣病のリスクを高める量」としている

どのがんが増える? 部位ごとのリスク

世界の572の研究(がんになった人48万6538人)をまとめた研究(Bagnardi 2015)では、飲まない人と比べたリスクが、がんの部位ごとに次のようになりました。

お酒の量とがんの部位別のリスク(飲まない人を1とした倍率)572の研究(がん患者48万6538人)をまとめた Bagnardi 2015 の結果。飲まない人と比べた相対リスクは、多量の飲酒(1日50g超)で口・のど5.13倍、食道(扁平上皮がん)4.95倍、喉頭2.65倍、胆のう2.64倍、肝臓2.07倍、乳房1.61倍、大腸1.44倍、胃1.21倍、膵臓1.19倍、肺1.15倍。少量(1日12.5g以下)でも口・のど1.13倍、食道1.26倍、乳房1.04倍。腎臓(中程度0.79倍)、甲状腺(0.81倍)、悪性リンパ腫(非ホジキン0.75〜0.88倍、ホジキン0.63〜0.73倍)は飲む人のほうが低い数字だった。少量(1日12.5g以下)中程度(50g以下)多量(50g超)白抜き=統計的にははっきりしない(偶然の範囲)0.5倍1倍2倍4倍← 低い高い →飲まない人を1とした倍率(目盛りは対数)リスクが高くなる口・のど口・のど 少量(1日12.5g以下):1.13倍口・のど 中程度(50g以下):1.83倍口・のど 多量(50g超):5.13倍5.13食道(扁平上皮がん)食道(扁平上皮がん) 少量(1日12.5g以下):1.26倍食道(扁平上皮がん) 中程度(50g以下):2.23倍食道(扁平上皮がん) 多量(50g超):4.95倍4.95喉頭(のどの奥)喉頭(のどの奥) 少量(1日12.5g以下):0.87倍(はっきりしない)喉頭(のどの奥) 中程度(50g以下):1.44倍喉頭(のどの奥) 多量(50g超):2.65倍2.65胆のう胆のう 少量(1日12.5g以下):1.23倍(はっきりしない)胆のう 中程度(50g以下):0.88倍(はっきりしない)胆のう 多量(50g超):2.64倍2.64肝臓肝臓 少量(1日12.5g以下):1.00倍(はっきりしない)肝臓 中程度(50g以下):1.08倍(はっきりしない)肝臓 多量(50g超):2.07倍2.07乳房(女性)乳房(女性) 少量(1日12.5g以下):1.04倍乳房(女性) 中程度(50g以下):1.23倍乳房(女性) 多量(50g超):1.61倍1.61大腸大腸 少量(1日12.5g以下):0.99倍(はっきりしない)大腸 中程度(50g以下):1.17倍大腸 多量(50g超):1.44倍1.44胃胃 少量(1日12.5g以下):0.99倍(はっきりしない)胃 中程度(50g以下):0.97倍(はっきりしない)胃 多量(50g超):1.21倍膵臓膵臓 少量(1日12.5g以下):0.95倍(はっきりしない)膵臓 中程度(50g以下):1.03倍(はっきりしない)膵臓 多量(50g超):1.19倍肺肺 少量(1日12.5g以下):0.84倍肺 中程度(50g以下):0.98倍(はっきりしない)肺 多量(50g超):1.15倍低い数字が出ている(理由ははっきりしない)腎臓腎臓 少量(1日12.5g以下):0.92倍腎臓 中程度(50g以下):0.79倍腎臓 多量(50g超):0.80倍(はっきりしない)甲状腺甲状腺 少量(1日12.5g以下):0.81倍甲状腺 中程度(50g以下):0.81倍リンパ腫(非ホジキン)リンパ腫(非ホジキン) 少量(1日12.5g以下):0.88倍リンパ腫(非ホジキン) 中程度(50g以下):0.87倍リンパ腫(非ホジキン) 多量(50g超):0.75倍ホジキンリンパ腫ホジキンリンパ腫 少量(1日12.5g以下):0.73倍ホジキンリンパ腫 中程度(50g以下):0.73倍ホジキンリンパ腫 多量(50g超):0.63倍
Bagnardi V ら(2015)Br J Cancer の Figure 2 から作成。少量=1日の純アルコール12.5g以下、中程度=50g以下、多量=50g超。比べる相手は「飲まない人・ときどき飲む人」。白抜きは、95%信頼区間が1をまたぐもの(偶然の範囲を超えない)。研究の数が少ない部位(小腸・子宮頸部・脳など)と、関係が見られなかった部位(子宮体部・卵巣・膀胱など)は省いた。
  • 口・のど、食道(扁平上皮がん)は、少量から増え始め、多量では約5倍になります。一番影響を受けやすい部位です
  • 乳房も、少量(1.04倍)から少しずつ増えます。女性で1日0.5杯(5g)でも1.05倍という、新しい研究のまとめもあります(Sohi 2024)
  • 大腸・喉頭は中程度から、肝臓・胃・膵臓・胆のうは多量で増えます
  • 肺は、多量で1.15倍、少量では低い数字(0.84倍)でした。ただし著者は、お酒をよく飲む人はたばこも吸うことが多いため、たばこの影響を取り切れていない可能性を挙げています。たばこを吸わない人だけを調べた研究では、飲酒と肺がんの関係は見られませんでした

「どのくらいから」増えるのか

WCRF は、がんの部位によって、リスクが上がり始める量が違うとしています。

がん リスクが上がり始める量(WCRF)
乳房・食道(扁平上皮がん) 「これ以下なら安全」という量は見つかっていない
大腸 1日約30g(ビールのロング缶1本半)を超えると
肝臓・胃 1日約45g(ロング缶2本強)を超えると

日本人の研究をもとにした国のガイドラインの表は、次のとおりです(1日あたりの量は、1週間の量を7で割った参考値)。

病気 男性 女性
食道がん 少しでも飲むと上がる データなし
胃がん 少しでも飲むと上がる 週150g(1日20g)
大腸がん 週150g(1日20g) 週150g(1日20g)
肝がん 週450g(1日60g) 週150g(1日20g)
乳がん ― 週100g(1日14g)
前立腺がん(進行がん) 週150g(1日20g) データなし
肺がん(喫煙者) 週300g(1日40g) データなし
高血圧 少しでも飲むと上がる 少しでも飲むと上がる
脳卒中(出血性) 週150g(1日20g) 少しでも飲むと上がる

(厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」表1から抜粋。虚血性心疾患は「研究中」)

お酒の種類で違う?

国際機関の答え:違わない

WCRF は報告書で「お酒は、種類にかかわらずさまざまながんの原因になる。原因はエタノールそのもので、どれだけがんの原因になるかは、飲む量と回数で決まる」と書いています。米国の勧告も「ビール・ワイン・蒸留酒などの種類を問わず」関係がある、としています。

研究で確かめると

ビールだけ・蒸留酒だけ・ワインだけを飲む人を分けて、口・のど・喉頭のがん(頭頸部がん)を調べた研究のまとめがあります(Purdue 2009、15の研究、患者9,107人)。

お酒の種類別に見た、口・のど・喉頭のがんのなりやすさ15の研究(頭頸部がん9,107人)をまとめた Purdue 2009 の結果。一度も飲まない人を1としたオッズ比は、ビールだけの人で1.6・1.9・2.2・5.4、蒸留酒だけの人で1.6・1.5・2.3・3.6、ワインだけの人で1.1・1.2・1.9・6.3(週5杯以下、6〜15杯、16〜30杯、31杯以上)。どの種類も量が増えるほど高くなり、最も多く飲む人ではワインも同じように高い。0倍1倍2倍3倍4倍5倍6倍7倍飲まない人週5杯以下6〜15杯16〜30杯31杯以上1週間に飲む杯数(種類ごとのアルコール量の差をそろえて比較)ビールだけ飲む人 週5杯以下:1.6倍ビールだけ飲む人 6〜15杯:1.9倍ビールだけ飲む人 16〜30杯:2.2倍ビールだけ飲む人 31杯以上:5.4倍蒸留酒だけ飲む人 週5杯以下:1.6倍蒸留酒だけ飲む人 6〜15杯:1.5倍蒸留酒だけ飲む人 16〜30杯:2.3倍蒸留酒だけ飲む人 31杯以上:3.6倍ワインだけ飲む人 週5杯以下:1.1倍ワインだけ飲む人 6〜15杯:1.2倍ワインだけ飲む人 16〜30杯:1.9倍ワインだけ飲む人 31杯以上:6.3倍5.43.66.3ビールだけ飲む人蒸留酒だけ飲む人ワインだけ飲む人
Purdue MP ら(2009)Am J Epidemiol の抄録から作成。一度も飲んだことがない人を1としたオッズ比。お酒の種類ごとのアルコール量の違いをそろえた「杯数」で比べている。
  • ビールと蒸留酒は、同じ杯数ならほぼ同じように増えました
  • ワインだけの人は、少ない杯数では増え方が小さく出ました。ただし著者は、ワインを飲む人は食生活や暮らしぶりが違うことの影響を否定できないとしています。最も多く飲む人では、ワインも6.3倍でした

ほかの部位でも、種類による差ははっきりしませんでした。

研究 分かったこと
大腸がん(Cho 2004、8つの追跡研究、約49万人) リスクが上がるのは1日30g以上から。お酒の種類によるはっきりした違いはなし
赤ワインと白ワイン(Lim 2025、42の研究) がん全体で、赤も白も関係なし(赤0.98倍、白1.00倍)。「赤ワインのほうが体にいい」という説を支持しない。女性では白ワインで1.26倍という結果も
腎臓がん(Lee 2007、12の追跡研究、約76万人) ビール・ワイン・蒸留酒で違いなし
膵臓がん(Naudin 2025) ビール・蒸留酒で少し上がり、ワインでは関係なし。ただし食事や生活の違いの影響を分けるのは難しい(お酒と膵臓がんの記事)

研究によっては「ワインのほうが低い」と出ることがありますが、ワインをよく飲む人は、食事・収入・たばこなどの点でほかのお酒の人と違うことが多く、お酒そのものの違いとは言い切れません。赤ワインのポリフェノールも、がんを防ぐ効果は研究で確かめられていません。

比べるなら「純アルコールのグラム数」

種類よりも大事なのは、飲んだ純アルコールの量です。国のガイドラインでは、次の式で計算します。

純アルコール量(g)= お酒の量(ml)× アルコール度数(%)÷ 100 × 0.8

純アルコール約20gになるお酒の量ビール5%は500ml、缶チューハイ7%は350ml、日本酒15%は180ml(1合)、ワイン12%は200ml、焼酎25%は100ml、ウイスキー43%は60mlで、どれも純アルコールは約20g。純アルコール量(g)=量(ml)×度数÷100×0.8。どれも純アルコール 約20gビール(5%)500ml=純アルコール約20g500mlビール5%ロング缶1本缶チューハイ(7%)350ml=純アルコール約20g350ml缶チューハイ7%350ml缶1本日本酒(15%)180ml=純アルコール約22g180ml日本酒15%1合ワイン(12%)200ml=純アルコール約19g200mlワイン12%グラス約1杯半焼酎(25%)100ml=純アルコール約20g100ml焼酎25%グラス半分ウイスキー(43%)60ml=純アルコール約21g60mlウイスキー43%ダブル1杯
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の計算式で作成。度数は一般的な例で、商品によって違う。

「焼酎はビールより体にいい」と言われることがありますが、焼酎100ml とビール500ml は、どちらも純アルコール約20gです。度数の低いお酒でも、量が多ければ同じです。

日本人に多い「顔が赤くなる体質」

アルコールが体の中で分解される流れと、顔が赤くなる体質お酒のエタノールは、ADH1B などの酵素でアセトアルデヒドに、ALDH2 という酵素で酢酸になり、最後は水と炭酸ガスになる。アセトアルデヒドは国際がん研究機関がグループ1(ヒトに発がん性がある)に分類している。ALDH2 のはたらきが弱い人は、アセトアルデヒドがたまりやすく、顔が赤くなる(フラッシング反応)。日本では約41%とされる。エタノールお酒のアルコールアセトアルデヒド発がん性(グループ1)酢酸→ 水と炭酸ガスADH1B などALDH2主に肝臓でALDH2 のはたらきが弱い人(日本人の約41%)・少し飲んだだけで顔が赤くなる、動悸がする(フラッシング反応)・アセトアルデヒドが体に長く残る・飲み続けると、食道がん・口の中のがんのリスクが非常に高くなる・「飲めば強くなる」わけではない(体質は遺伝子で決まる)
厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」、国際がん研究機関(IARC)の分類から作成。

お酒のアルコールは、体の中でアセトアルデヒドに分解されます。アセトアルデヒドは、IARC がグループ1(ヒトに発がん性がある)に分類している物質です。

アセトアルデヒドを分解する ALDH2 という酵素のはたらきが弱い人は、少し飲んだだけで顔が赤くなります(フラッシング反応)。国のガイドラインによると、日本では約41%の人がこの体質です。

日本人の研究 分かったこと
JPHC 研究(Ono 2020、約7万9千人を平均17年追跡) 男性の半分、女性の36%が「顔が赤くなる」と回答。顔が赤くなる男性では、お酒に関係するがんのリスクが、週150〜299g(1日約21〜43g)で1.63倍、週300〜449gで2.02倍。顔が赤くならない人でも、多く飲む人はリスクが高い
JPHC 研究(Ishiguro 2009、男性約4万5千人) 多く飲み、たばこも多く吸う、顔が赤くなる体質の人で、食道がんのリスクの上がり方が特に大きい
JPHC 研究(Inoue 2005、約7万3千人) 男性で、飲む量に比例してがん全体のリスクが上がる(週1〜149gで1.18倍、450g以上で1.61倍)。男性のがんの約13%は、週300g以上の飲酒によるものと推定
全国の病院の調査(Zaitsu 2020、がん患者6万3232人) がんのリスクが最も低いのは「一生飲まない人」。1日2杯以下の少ない量でも、がん全体のリスクが上がっていた

国立がん研究センターのグループは、2015年に日本で新たにがんと診断された人のうち5万9838人(6.2%)が、お酒によるものと推定しています(Hirabayashi 2021)。

国のガイドラインは、顔が赤くなる体質の人が「長年飲んで、不快にならずに飲めるようになった場合でも」、口の中のがんや食道がんのリスクが非常に高くなると注意しています。飲んで強くなったように感じても、体質は変わりません。

低い数字が出ているがんは、お酒で減るのか

図1のとおり、腎臓・甲状腺・悪性リンパ腫では、飲む人のほうが低い数字が出ています。

がん 研究の結果 注意点
腎臓 WCRF は「1日30gまでなら、おそらくリスクを下げる」と判定。12の追跡研究のまとめでは、1日15g以上で0.72倍(Lee 2007) 30gを超える量については、判断できる研究がない。理由として、インスリンのはたらきへの影響などの仮説があるが、はっきりしていない
甲状腺 33の研究のまとめで0.74倍(Hong 2017) Bagnardi 2015 は「研究の数が少なく、結論は出せない」としている
悪性リンパ腫 ホジキン・非ホジキンとも0.6〜0.9倍(Bagnardi 2015) 病気の初期症状でお酒をやめた人が「飲まない人」に入り、見かけ上低くなった可能性がある。ヨーロッパの約12万人の研究では、関係は見られなかった

どのがんも、お酒を飲む理由になるほどの結論ではありません。WCRF も、腎臓がんの判定をしたうえで、がん予防の推奨は「飲まないのが一番。飲むなら国のガイドラインを守る」としています。

お酒にメリットはある?

「少し飲む人は長生き」は本当か

これまで、少し飲む人のほうが、まったく飲まない人より亡くなるリスクが低いという研究(Jカーブ)が多くありました。ところが、「飲まない人」の中に、病気でお酒をやめた人が混ざっていると、飲まない人のリスクが高く見えてしまいます。

「少し飲む人は長生き」は本当か:飲まない人と比べた、亡くなるリスク飲まない人を1とした、亡くなるリスク(全死亡)。Stockwell 2016 では、少量飲む人は補正前0.86だったが、以前飲んでいてやめた人などを「飲まない人」に混ぜる偏りを補正すると0.97で差がなくなった。Zhao 2023 の補正後の結果は、ときどき0.96、1日1.3〜24gで0.93(いずれも差ははっきりしない)、25〜44gで1.05、45〜64gで1.19、65g以上で1.35。0.80.91.01.11.21.31.4一度も飲んだことがない人を1とした倍率Stockwell 2016(87の研究)少量の飲酒(1日1.3〜24.9g)補正する前補正する前:0.860.86見かけ上は14%低い補正した後補正した後:0.970.97差ははっきりしないZhao 2023(107の研究・約484万人)補正後ときどき(1.3g未満)ときどき(1.3g未満):0.960.96少量(1.3〜24g)少量(1.3〜24g):0.930.9325〜44g25〜44g:1.051.0545〜64g45〜64g:1.191.1965g以上65g以上:1.351.35
Stockwell T ら(2016)J Stud Alcohol Drugs、Zhao J ら(2023)JAMA Netw Open の抄録から作成。赤は統計的に高いもの、灰色は差がはっきりしないもの。
  • 87の研究をまとめた Stockwell 2016 では、補正しない場合は少し飲む人が0.86倍でしたが、補正すると0.97倍で、差がなくなりました。お酒をやめた人は1.22倍で、飲まない人のグループを押し上げていました
  • 107の研究(約484万人)をまとめた Zhao 2023 でも、補正後は1日24gまでの人にはっきりした差はなく、1日45g以上では1.19〜1.35倍に上がりました

心臓や脳の病気

研究 分かったこと
約60万人の飲酒者(Wood 2018) 亡くなるリスクが最も低いのは週100g以下。量が増えると、脳卒中(100gごとに1.14倍)・心不全(1.09倍)は上がる。心筋梗塞だけは下がる(0.94倍)
中国の約51万人(Millwood 2019) 自己申告の飲酒量では、週100g前後の人で脳卒中・心筋梗塞が低い「U字」になった。ところが、遺伝子で決まる飲酒量で分析すると U字は消え、脳卒中は飲むほど増え、心筋梗塞とは関係なし
ヨーロッパ系の約26万人(Holmes 2014) お酒を飲む量が少なくなる遺伝子を持つ人は、心臓病が少ない(0.90倍)。少量〜中程度の人でも、減らすほうが心臓によいと結論
国の飲酒ガイドライン(2024年) 高血圧は男女とも「少しでも飲むと上がる」。虚血性心疾患は「研究中」

遺伝子を使う分析(メンデル無作為化)は、生活習慣の違いに左右されにくい方法です。この方法では、少量の飲酒が心臓や脳を守るという結果は出ていません。

そのほか、低い数字が出ているもの

病気 研究の結果
胆石 18の研究のまとめで、最も多く飲む人は0.62倍。1日10gごとに0.88倍(Wang 2017)
2型糖尿病 女性では1日16g前後で0.69倍(J字)。男性では関係なし。女性でも、低く出たのは太りぎみの人だけ(Llamosas-Falcón 2023)

年齢で答えが変わる

世界の病気の負担をまとめた研究(GBD 2020)は、「健康へのリスクが最も小さくなる量」を年齢別に計算しました。

  • 15〜39歳:1日0〜0.6杯(純アルコール0〜6g)。若い人は、けがや事故などの害が大きく、飲まないのに近い量がよい
  • 40歳以上:地域によって1日0.1〜1.9杯(1〜19g)。心臓病などが増える年代では、少量でリスクが下がる J字になった

(GBD の1杯は純アルコール10g)

まとめると

  • 少量の飲酒で数字が低く出る病気(心筋梗塞・胆石・女性の2型糖尿病)はあります
  • しかし、がん・脳卒中・高血圧は少しの量から増え、「少し飲む人は長生き」は研究のゆがみを補正するとはっきりしなくなります
  • 気分転換や人との交流の楽しみは、研究の数字には表れにくいものです。ただ、「体にいいから飲む」根拠は弱いと言えます。飲まない人が、健康のために飲み始める理由はありません

飲む人ができること

やること 理由
純アルコールの量を知る 種類ではなく量でリスクが決まる。男性1日40g・女性20gを超えないことが国の目安
あらかじめ量を決めて飲む 国のガイドラインが勧めている。家で注ぐお酒は量が分かりにくいので、計量カップが役に立つ
アルコールの入っていない飲みものを混ぜる 国のガイドラインが勧めている。1本置きかえれば、その分の純アルコールがゼロになる
一度にたくさん飲まない 1回に60g以上は「一時多量飲酒」で、避けるべきとされている
1週間に飲まない日をつくる 1週間の量を減らせる。毎日飲み続けると、依存症につながるおそれがある
顔が赤くなる人は少なめに 食道がん・口の中のがんのリスクが特に高い
たばこも吸う人は、両方を減らす 飲酒と喫煙が重なると、食道がんなどのリスクがさらに上がる
やめる・減らす 口の中と食道のがんは、やめたり減らしたりするとリスクが下がる(IARC 2023)

お酒を減らしたい人へ(楽天市場)

アルコールの入っていない飲みもの

アルプス ヴァン フリー 赤 サントリー のんある酒場 レモンサワー
種類 ワインテイスト飲料(ぶどう果汁90%) 炭酸飲料(レモンサワーテイスト)
アルコール分 0.00% ノンアルコール
内容量 720ml 350ml×24本
価格(税込) 1,091円+送料598円 3,059円(送料無料)
表示から 酸化防止剤無添加。長野県塩尻市のワイナリー(株式会社アルプス)製 原材料:レモン果汁、焼酎エキス(ノンアルコール)/酸味料、炭酸、香料、酸化防止剤(ビタミンC)、甘味料(アセスルファムK、スクラロース)
お店 酒類の総合専門店 フェリシティー 楽天24 ドリンク館
購入 楽天市場で見る(フェリシティー) PR 楽天市場で見る(楽天24) PR

ノンアルコールビールは、お酒と膵臓がんの記事で3品を比べています。

家で飲む量を計る

高桑金属 メジャーカップ M
量 45ml/30ml(両側)
材質・産地 18-8ステンレス、日本製
価格(税込) 1,780円(送料無料)
目安 ウイスキー(43%)45ml で純アルコール約15g、焼酎(25%)45ml で約9g
お店 リコメン堂生活館
購入 楽天市場で見る(リコメン堂生活館) PR

体質を知る

ビズジーン アルコール分解型判定キット(VGAL-01)
調べるもの アルコールを分解する酵素の遺伝子(ADH1B と ALDH2)。結果を5つの型で知らせる
方法 専用の綿棒で口の中をこすって送る。約15営業日後に WEB で結果
価格(税込) 3,980円
お店 ビズジーン(メーカーの楽天市場店)
購入 楽天市場で見る(ビズジーン) PR

(2026年9月30日に楽天市場の販売ページで確認。価格・送料は変わることがあります。ノンアルコール飲料は20歳未満の人は購入できません)

ご注意 ここで紹介した商品は、がんを防ぐものではありません。飲む量を減らす・量を知るための道具として紹介しています。遺伝子の検査は病気の診断ではありません。顔が赤くなるかどうかは、検査をしなくても、少量のお酒を飲んだときの自分の反応で目安が分かります。お酒をやめたいのにやめられない場合は、医療機関や保健所、精神保健福祉センターに相談できます。

まとめ

  • がんのなりやすさは、お酒の種類ではなく量で決まります。ビールでもワインでも焼酎でも、純アルコールのグラム数で考えます
  • 増えるがんは、口・のど・喉頭、食道、肝臓、大腸、乳房(確実)と胃(おそらく)。口・のど・食道は、多く飲むと約5倍です
  • 腎臓・甲状腺・悪性リンパ腫では低い数字が出ていますが、理由ははっきりせず、お酒を勧める根拠にはなりません
  • 顔が赤くなる体質の人(日本人の約41%)は、食道がん・口の中のがんのリスクが特に高くなります
  • 「少し飲む人は長生き」は、研究のゆがみを補正するとはっきりしません。心筋梗塞などで低い数字は出ますが、脳卒中・高血圧は少しの量から増えます
  • 飲むなら、男性1日40g・女性20gを超えない、一度に60g以上飲まない、飲まない日をつくる。やめる・減らすと、口と食道のがんのリスクは下がります

参考にした資料

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.09.30)。