説の検証確認日 2026.09.29

小麦粉を食べすぎると大腸がんになる? 小麦とがんの関係を、論文と国のデータで確かめる

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「パンや麺を食べすぎると大腸がんになる」「日本人が小麦を食べるようになって、がんが増えた」。こんな話を聞いたことがあるかもしれません。

大腸がんは、日本でいちばん多いがんです。2023年に新たに大腸がんと診断された人は約15万4千人、2024年に大腸がんで亡くなった人は約5万4千人で、亡くなった人の数は肺がんに次いで2番目です(国立がん研究センター がん統計)。

この記事では、

  • 小麦粉(精製した白い粉)と、ふすまごと挽いた全粒粉で、大腸がんとの関係は違うのか
  • 大腸がん以外のがん(胃・食道・膵臓・肝臓・乳房・子宮体部など)ではどうか
  • グルテンそのもの、パンの焦げ(アクリルアミド)、超加工食品はどうか
  • 小麦をたくさん食べるほど、がんも比例して増えているのか

を、論文と国の資料で確かめます。

結論

  • 「小麦」とひとくくりにすると、答えを間違えます。研究では、全粒穀物(全粒粉など)と精製穀物(白い小麦粉・白米など)を分けて調べています
  • 全粒穀物は、多く食べる人ほど大腸がんが少ないという結果が一貫しています。1日90gふえるごとに約17%低く、世界がん研究基金(WCRF)は「おそらくリスクを下げる」と判定しています
  • 精製穀物(白い小麦粉)と大腸がんの関係は、はっきりしていません。WCRF の判定は「限定的で結論なし」。白パンが多い人で大腸がんが多いという報告はありますが、研究の数が少なく、結果もそろっていません
  • 大腸がん以外では、精製穀物と胃がんで「多い人ほど多い」という報告があります(主に症例対照研究)。国立がん研究センターの評価でも、穀類と胃がんは「可能性あり(リスクを上げる)」です。一方、全粒穀物は胃・食道・膵臓・肝臓のがんで「少ない」側の結果が多く、血糖を上げやすい食事(高グリセミック負荷)は子宮体がんのリスクを「おそらく上げる」とされています
  • セリアック病ではない人では、グルテンの摂取量と消化器のがんに関係は見られませんでした(米国の3つの大規模追跡研究、約20万人)
  • 小麦をたくさん食べるほどがんが比例して増えている、という証拠はありません。日本人1人あたりの小麦の量は1975年度から50年間ほぼ一定(31〜33kg)ですが、その間に大腸がんの死亡率は上がってから下がり、胃がんの死亡率は5分の1以下になりました
  • 小麦を食べるなら、白い粉の一部を全粒粉にするのが、研究の結果と合う選び方です

言葉の整理:小麦・小麦粉・全粒粉

小麦の粒は、外側の皮(ふすま)、芽になる部分(胚芽)、中身(胚乳)でできています。

何が残っているか 例
全粒穀物 ふすま・胚芽・胚乳のすべて 全粒粉、全粒粉パン、玄米、オートミール
精製穀物 ふすまと胚芽を取り、胚乳だけ 白い小麦粉(薄力粉・強力粉)、白いパン、うどん、白米

ふすまと胚芽には、食物繊維・ビタミン・ミネラルが多く含まれます。精製すると、それが大きく減ります。

もうひとつ注意したいのは、研究の「精製穀物」には、ケーキ・ドーナツ・クッキー・ピザなどのお菓子や加工食品が含まれていることが多い点です(Gaesser 2020)。「白い小麦粉が悪いのか、甘いお菓子や加工食品をよく食べる食生活が悪いのか」を、研究で切り分けるのは難しくなっています。

大腸がん:研究で分かっていること

全粒穀物は、多いほどリスクが低い

研究 対象 結果
Aune ら(2011年、BMJ) 追跡研究6つ、約77万人(大腸がん7,941人) 全粒穀物が1日90g(3食分)ふえるごとに、大腸がんが17%少ない(相対リスク0.83)
WCRF の評価(2017年更新) 追跡研究6つ(8,320人) 同じく1日90gごとに17%少ない。判定は「おそらくリスクを下げる」
UK Biobank(Bradbury ら、2020年) 英国の約47万6千人を平均5.7年追跡 パンやシリアル由来の食物繊維がもっとも多い人たちは、もっとも少ない人たちより大腸がんが14%少ない

食物繊維が腸内細菌に分解されてできる短鎖脂肪酸(酪酸など)や、便が腸を通る時間が短くなることなどが、理由として考えられています。

精製穀物(白い小麦粉)は、はっきりしない

研究 結果
WCRF の評価 「穀物とその製品」「グリセミック負荷」と大腸がんは、「限定的で結論なし」
Gaesser(2020年、メタ解析のまとめ) 精製穀物をいちばん多く食べる人たちは、結腸がんが27%多い(相対リスク1.27)が、大腸がん全体では差がない。もとになった追跡研究は3つだけ
Gaesser ら(2024年、パンのメタ解析) パンの量と大腸がんに関係なし(ハザード比1.03)。白パン・食物繊維の少ないパンに限ると、がんが21%多いが、研究は3つだけで、著者も「慎重に見るべき」としている

白パンについては、UK Biobank で「いちばん多く食べる人たちは大腸がんが22%多い」、ヨーロッパの EPIC 研究でも「多いほどやや多い」という報告があります(Gaesser 2024 による紹介)。ただし、白パンをよく食べる人は、全粒粉のパンを食べない人でもあります。「白パンが増やした」のか「全粒粉が足りなかった」のかは、区別できていません。

ご注意 Gaesser 氏らのパンのメタ解析(2024年)は、米国の穀物食品財団(Grain Foods Foundation)の資金を受けています。2020年の論文でも、著者は同財団・小麦の業界団体・製粉会社の科学顧問を務めていると書いています。

血糖の上がりやすさ(グリセミック指数)

白い小麦粉は、全粒粉より血糖を上げやすい食品です。高い血糖やインスリンが、がんの増殖を助けるという説があります。

研究 結果
Aune ら(2012年) 追跡研究14。炭水化物の量、グリセミック指数(GI)、グリセミック負荷(GL)のどれも、大腸がんとの関係は見られない
Turati ら(2019年) 研究19。GI がいちばん高い人たちは大腸がんが20%多い。GL(量もかけ合わせた値)では差がない

結果がそろっておらず、WCRF も大腸がんについては「結論なし」としています。

日本人の研究

研究 対象 結果
JPHC 研究(Abe ら、2014年) 日本の約7万4千人を平均11年追跡 米・パン・麺・シリアルのどれも、大腸がんとはっきりした関係はなかった
JPHC 研究(Cai ら、2022年) 約9万人を17年追跡 炭水化物を減らして肉などの動物性食品を多くとる食事の人ほど、がん全体・大腸がん・直腸がんが多い傾向

国の評価

国立がん研究センターの「がんのリスク・予防要因 評価一覧」(2026年5月版)では、大腸がんについて

  • 穀類:データ不十分
  • 食物繊維:可能性あり(リスクを下げる)
  • 加工肉・赤肉:女性で可能性あり(リスクを上げる)
  • 喫煙・飲酒:確実(リスクを上げる)、肥満:ほぼ確実(リスクを上げる)、運動:ほぼ確実(結腸がんのリスクを下げる)

となっています。同センターは、日本人の食生活にばらつきが少ないことなどから、食品や栄養素の多くで「データ不十分」が並ぶと説明しています。

大腸がん以外のがん

部位ごとのまとめ

がん 全粒穀物 精製穀物・白パン・血糖の上がりやすさ
胃 多い人で13〜39%少ない(主に症例対照研究。追跡研究だけでは差がはっきりしない) 精製穀物が多い人で36%多い(症例対照研究18)。国立がん研究センターの評価も、穀類と胃がんは「可能性あり(リスクを上げる)」
食道 多い人で約46%少ない(研究6) 目立った報告なし
膵臓 多い人で24〜30%少ない(主に症例対照研究) GI・GL との関係なし(Turati 2019)
肝臓 1日16gごとに8%少ない(追跡研究5) 結論が出ていない
乳房 多い人で16%少ないが、追跡研究だけでは差なし 白パンで「わずかに多い」報告が1つ(週2食ごとに2%)。穀物全体では関係なし
子宮体部 ― WCRF は、血糖を上げやすい食事(高GL)は「おそらくリスクを上げる」と判定。ただし最近のメタ解析では有意な差にならないものもある
前立腺 ― 白パンとの関係なし(米国の研究)

(全粒穀物:Zhang 2020、Gaesser 2020、Watling 2024、Xiao 2018。精製穀物・白パン:Gaesser 2020、Kim 2025、Gaesser 2024、Kazemi 2021。GI・GL:Turati 2019、Choi 2012)

胃がんの「穀類で可能性あり」は、国立がん研究センターが1975〜2007年の国内の研究をもとに評価したものです。胃がんのいちばん大きな原因はピロリ菌(確実)で、食塩・塩蔵食品も「ほぼ確実」とされています。穀類の評価が、米と小麦のどちらによるものか、食事の塩分と切り分けられているかは、評価一覧からは分かりません。

グルテンそのものは?

小麦のたんぱく質グルテンで、がんが増えるのでしょうか。

研究 対象 結果
Wang ら(2022年) セリアック病ではない米国の約20万6千人(3つの追跡研究、延べ約480万人年) グルテンの摂取量といちばん多い人たちと少ない人たちで、消化器のがんに差なし(ハザード比0.94)。口・食道・胃・小腸・大腸・膵臓・胆のう・肝臓のどのがんでも関係なし

著者は「一般の人がグルテンを控えても、消化器のがんの予防にはならないだろう」としています。

一方、グルテンで小腸に炎症が起きるセリアック病の人では、話が違います。

研究 対象 結果
Lebwohl ら(2022年) スウェーデンのセリアック病の人 47,241人 がん全体は診断後1年以内に多いが、その後は差がない。血液のがん・リンパのがん・肝胆道・膵臓のがんは多いまま
Ludvigsson ら(2026年) 米国のセリアック病の人 約20万人 血液のがん(非ホジキンリンパ腫など)が多い。固形がん全体では差がない
Lasa ら(2018年) セリアック病の人の大腸内視鏡の研究3つ 大腸の腺腫(ポリープ)は増えていない

セリアック病と診断された人は、医師の指示でグルテンを除いた食事を続けます。

パンの焦げ:アクリルアミド

パンやクッキーを焼くと、アクリルアミドという物質ができます。国際がん研究機関(IARC)は「おそらく人に発がん性がある(グループ2A)」に分類しています。

ただ、食事からのアクリルアミドと、人のがんとの関係を調べた研究をまとめると、

  • Filippini ら(2022年):追跡研究16、約115万人。調べたどの部位のがんとも関係なし(婦人科のがんを除く)
  • Pelucchi ら(2015年):研究32。腎臓がんで「多い側」に境界線上の差があったほかは、関係なし

という結果です。パンのメタ解析(Gaesser 2024)の著者も、ふつうに食べる量のパンの焦げは、がんにほとんど影響しないと考察しています。

超加工食品

菓子パン・インスタント食品・加工肉・清涼飲料などの「超加工食品」は、小麦粉を多く使います。

  • Wang ら(2022年、BMJ):米国の約20万人。超加工食品がいちばん多い男性で大腸がんが29%多い。女性では全体として差なし。男性で強く関係したのは、肉・魚の加工品と甘い飲み物
  • Jiang ら(2026年、メタ解析):追跡研究9つで、消化器のがんが12%多い。とくに関係したのは、超加工の肉・たんぱく質製品

ここでも、小麦粉そのものより、加工肉や甘い飲み物との関係が目立っています。

検証:小麦を多く食べるほど、がんは比例して増えるのか

「比例して増える」かどうかは、2つの方向から確かめられます。

① 同じ人たちを追跡した研究:量が多いほど増えるか

何を調べたか 量との関係
グルテンの量(Wang 2022) 5段階に分けても、多いほど増える傾向はない(消化器のがん)
精製穀物の量(Gaesser 2020 が紹介したメタ解析) 1日90gごとに、がん全体の死亡は6%少ない(研究2つだけ)
白パンの量(UK Biobank) 多いほど大腸がんがやや多い(1標準偏差ごとに10%)。研究はこの1つが中心
全粒穀物の量(Aune 2011) 多いほど大腸がんが少ない(1日90gごとに17%)

「小麦」全体で見ると、量に比例してがんが増える、という結果は見当たりません。増える方向の結果が出ているのは「白パン」「精製穀物と胃がん」などに限られ、研究の数も少ない状態です。

② 日本全体の推移:小麦がふえた時期に、がんもふえたか

日本人1人あたりの小麦の量(農林水産省「食料需給表」)と、大腸がんの年齢調整罹患率・死亡率(国立がん研究センター)を並べました。年齢調整率は、高齢化の影響を取り除いて、年ごとに比べられるようにした値です。

小麦の供給量と大腸がんの罹患率・死亡率の推移(1960〜2024年度)小麦の1人あたり供給量は1975年度以降31〜33kgでほぼ一定。大腸がんの死亡率は1996年まで上がり、その後下がった。罹患率は1985年から2016年まで上がり、その後やや下がった。小麦の供給量(1人1年あたり、kg)0102030401960年度 25.8kg1961年度 25.8kg1962年度 26.0kg1963年度 26.9kg1964年度 28.1kg1965年度 29.0kg1966年度 31.3kg1967年度 31.6kg1968年度 31.3kg1969年度 31.3kg1970年度 30.8kg1971年度 30.9kg1972年度 30.8kg1973年度 30.9kg1974年度 31.1kg1975年度 31.5kg1976年度 31.7kg1977年度 31.8kg1978年度 31.7kg1979年度 31.9kg1980年度 32.2kg1981年度 31.8kg1982年度 31.8kg1983年度 31.7kg1984年度 31.8kg1985年度 31.7kg1986年度 31.6kg1987年度 31.5kg1988年度 31.6kg1989年度 31.7kg1990年度 31.7kg1991年度 31.7kg1992年度 31.6kg1993年度 32.1kg1994年度 33.0kg1995年度 32.8kg1996年度 33.0kg1997年度 32.4kg1998年度 32.2kg1999年度 32.4kg2000年度 32.6kg2001年度 32.1kg2002年度 31.9kg2003年度 32.6kg2004年度 32.3kg2005年度 31.7kg2006年度 31.8kg2007年度 32.2kg2008年度 31.0kg2009年度 31.7kg2010年度 32.7kg2011年度 32.8kg2012年度 32.9kg2013年度 32.7kg2014年度 32.8kg2015年度 32.8kg2016年度 32.9kg2017年度 33.0kg2018年度 32.2kg2019年度 32.2kg2020年度 31.8kg2021年度 31.6kg2022年度 31.6kg2023年度 31.0kg2024年度 32.3kg1960年 25.8kg2024年 32.3kg1975年度以降はほぼ横ばい19601975199020052020大腸がんの罹患率(10万人あたり、3県)02040601985年度 34.01986年度 33.51987年度 37.71988年度 36.41989年度 39.31990年度 43.71991年度 43.21992年度 44.41993年度 47.81994年度 49.31995年度 51.81996年度 54.01997年度 51.31998年度 52.71999年度 49.52000年度 51.32001年度 52.02002年度 50.72003年度 50.72004年度 49.02005年度 49.82006年度 51.82007年度 52.72008年度 49.92009年度 53.62010年度 55.12011年度 53.42012年度 54.52013年度 54.62014年度 53.42015年度 56.02016年度 63.12017年度 61.42018年度 59.12019年度 59.22020年度 54.92021年度 60.22022年度 55.92023年度 55.72016年 63.11985年 34.02023年 55.719601975199020052020大腸がんの死亡率(10万人あたり、全国)051015201960年度 8.81961年度 9.31962年度 9.21963年度 9.51964年度 9.81965年度 10.21966年度 10.31967年度 10.71968年度 11.21969年度 11.51970年度 11.51971年度 12.01972年度 12.11973年度 12.91974年度 13.41975年度 13.21976年度 13.61977年度 13.81978年度 14.21979年度 14.41980年度 14.61981年度 15.21982年度 15.21983年度 15.51984年度 15.81985年度 16.01986年度 16.11987年度 16.31988年度 16.71989年度 17.21990年度 17.41991年度 17.51992年度 18.01993年度 17.81994年度 17.91995年度 18.51996年度 18.71997年度 18.41998年度 18.41999年度 18.32000年度 18.02001年度 17.92002年度 17.62003年度 17.62004年度 17.62005年度 17.22006年度 16.92007年度 16.72008年度 16.52009年度 15.92010年度 16.12011年度 16.32012年度 16.42013年度 16.22014年度 16.22015年度 16.12016年度 16.02017年度 15.82018年度 15.52019年度 15.42020年度 15.22021年度 15.22022年度 15.22023年度 15.12024年度 15.41960年 8.82024年 15.41996年 18.719601975199020052020
罹患率・死亡率は年齢調整率(昭和60年モデル人口)。罹患率は山形・福井・長崎の3県。点線は1975年度。小麦:農林水産省「食料需給表」、大腸がん:国立がん研究センター がん統計。点にカーソルを合わせると値が出ます。
年度 小麦(1人1年、kg) 大腸がん死亡率(全国) 大腸がん罹患率(3県) 胃がん死亡率(全国)
1960 25.8 8.8 ― 73.1
1975 31.5 13.2 ― 56.9
1985 31.7 16.0 34.0 40.8
1995 32.8 18.5 51.8 29.8
2005 31.7 17.2 49.8 21.2
2015 32.8 16.1 56.0 14.8
2024 32.3 15.4 55.7(2023年) 9.7

(人口10万あたり、昭和60年モデル人口で年齢調整。罹患率は、長い期間のデータがそろっている山形・福井・長崎の3県の値。2016年から全国がん登録が始まり、登録のしかたが変わっています)

ここから分かることは次のとおりです。

  • 小麦の量がふえたのは1960年代〜1970年代前半まで(25.8kg→31.5kg)。1975年度からの50年間は31〜33kgで、ほぼ一定です
  • その50年間に、大腸がんの死亡率は1996年の18.7まで上がり、その後は下がって2024年は15.4(ピークから約18%低い)。小麦の量が変わらないのに、上がって、下がりました
  • 胃がんの死亡率は、同じ期間に5分の1以下になりました。こちらも小麦の量とは無関係に動いています
  • 年ごとの「増えた・減った」で比べると、小麦の量の変化と大腸がんの死亡率の変化は、ほとんど連動していません(相関係数0.15。1961〜2024年)

1960〜2024年の全体で相関を計算すると、小麦と大腸がんの死亡率は「連動している」ように見えます(相関係数0.77)。これは、1960年代〜70年代前半に、どちらも同時に増えたためです。この時期には、肉の量が約2倍(1965年度 9.2kg→1975年度 17.9kg)、牛乳・乳製品も約1.4倍になり、米は減りました。1965年度から2025年度までで見ると、肉は約3.7倍、牛乳・乳製品は約2.4倍、米は半分以下です。同じ時期に、いろいろなものが一緒に変わっているので、国全体の数字を並べるだけでは、どれががんを増やしたのかは決められません。

ご注意 国全体の推移の比較は「生態学的研究」と呼ばれ、ひとりひとりが何を食べて、がんになったかを見ていません。ここでの比較は「小麦がふえるほどがんがふえた」という説に合うかどうかを確かめたもので、小麦ががんと無関係だと証明するものではありません。

検証のまとめ

  • 同じ人たちを追跡した研究でも、国全体の推移でも、小麦の量に比例してがんが増えている様子は見られません
  • ただし、全粒粉か白い粉かで結果は分かれます。全粒穀物が少ないことは、大腸がんのリスクと関係しています

小麦粉を食べるなら:国産の全粒粉

研究の結果と合う選び方は、「小麦をやめる」ではなく、白い粉の一部を全粒粉に置きかえることです。全粒粉だけで作ると、ふくらみや食感が変わります。はじめは、ふだんの強力粉や薄力粉に混ぜて使うのもひとつの方法です。

輸入小麦の全粒粉は、ふすまに残った農薬が白い粉より多く残りやすいことが分かっています(詳しくはグルテンとスペルト小麦の記事)。ここでは、国産の小麦だけを使った全粒粉を2つ紹介します。

全粒粉強力粉 スペルト小麦 全粒粉
名前 木下製粉「ブラウワー和の全粒粉」 久保さんの自然栽培スペルト小麦粉 全粒粉 1kg
原材料 小麦(香川県産) スペルト小麦(和歌山県産)
食物繊維(100gあたり) 8.7g(推定値) ―
育て方(販売店の表示) 表示なし 農薬・除草剤・化学肥料 不使用
容量・価格(税込) 1kg×3袋 2,354円/250g×3袋 820円(送料別) 1,944円+送料800円
届き方 通常の発送 受注生産。毎月の締切までの注文分を製粉して月1回発送
賞味期限 製造から8か月 製造後4か月
購入 楽天市場で見る(木下製粉) PR 楽天市場で見る(たまな商店) PR

(2026年9月29日に楽天市場の販売ページで確認。価格・送料は変わることがあります)

  • 木下製粉は香川県坂出市の製粉会社で、楽天市場のお店も同社の名前で出ています(販売はファリーナコーポレーション)
  • スペルト小麦は、普通の小麦よりグルテンが少ないわけではありません(グルテンとスペルト小麦の記事)
  • 開封後は、袋の表示に従って密閉して保存し、早めに使い切りましょう

ご注意 全粒粉に置きかえれば、がんを防げるわけではありません。ここで紹介した研究は、ほとんどが「どんな食事の人に、がんが多かったか」を調べた観察研究です。大腸がんの予防で「確実」とされているのは、たばこを吸わないこと、お酒を控えることなどです。40歳を過ぎたら、大腸がん検診(便潜血検査)を受けましょう。小麦は、セリアック病・小麦アレルギーの人は食べられません。

まとめ

  • 「小麦粉の食べすぎで大腸がんになる」は、研究からは言い切れません。白い小麦粉(精製穀物)と大腸がんの関係は「結論なし」です
  • はっきりしているのは逆の方向で、全粒穀物が多い人ほど大腸がんが少ないという結果です
  • 大腸がん以外では、精製穀物と胃がん、血糖を上げやすい食事と子宮体がんに「多い側」の報告があります
  • 日本人の小麦の量は50年間ほぼ一定で、がんの増減とは連動していません
  • 小麦を食べるなら、白い粉の一部を全粒粉にするのが、研究と合う選び方です

参考にした資料

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.09.29)。