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日本と海外の違い説の検証確認日 2026.10.08

小麦は体に悪い?「小麦断ち」「グルテンフリー」の効果を論文で検証。やめるとどうなる?

PR この記事には、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・A8.net のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」など)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

「小麦は体に悪い」「パンをやめたら痩せた」「小麦には依存性がある」「小麦をやめると肌荒れや花粉症が治る」「グルテンが腸にへばりつく」「外国人はもう小麦をやめている」。本やネットで、こうした話をよく見かけます。

一方で、パンもうどんもラーメンも、毎日のように食べている人が大半です。小麦は本当に体に悪いのでしょうか。

この記事では、

  • 「小麦は体に悪い」という話は、どこから広まったのか
  • 「現代の小麦は品種改良で昔と別物になった」は本当か
  • 小麦に依存性はあるのか
  • 健康な人が小麦(グルテン)をやめると、体はどう変わるのか。痩せるのか
  • グルテンフリーにデメリットはあるのか
  • 小麦と糖尿病・心臓病・認知症・うつ・自閉症・アトピー・リウマチ・花粉症の関係
  • 日本人の小麦の食べ方は、この50年でどう変わったのか
  • 「外国人は小麦をやめている」は本当か

を、論文と国の統計で一つずつ確かめます。

ご注意 この記事は、小麦アレルギー・セリアック病などの病気がない人の話です。小麦で起きる病気や、その人が食べられるもの・食べられないものは 小麦で起きる病気の記事 にまとめています。体の不調が続くときは、自分で小麦を抜く前に、医師(消化器内科・アレルギー科など)に相談してください。

結論

  • 「小麦は体に悪い」の多くは、米国の3冊の本から広まりました。『Wheat Belly』(2011年、日本語版『小麦は食べるな!』2013年)、『Grain Brain』(2013年、日本語版『「いつものパン」があなたを殺す』2015年)、ジョコビッチ選手の本(2013年、日本語版2015年)です。日本で「小麦断ち」の本が相次いだのは2013〜2016年でした
  • 「現代の小麦はグルテンが増えた別物」は、データで支持されません。ドイツで1891〜2010年に登録された60品種を同じ畑で育てた比較では、グルテンの量は変わっていませんでした。背の低い現代の小麦の元になった遺伝子は、1935年に岩手県で生まれた日本の「小麦農林10号」から来ています。遺伝子組換えの小麦は、日本では1品種も安全性審査を通っていません
  • 小麦に依存性があるという人での証拠はありません。「エクソルフィン」というオピオイドに似た物質は実在しますが、見つかったのは試験管とラットの実験です
  • 健康な人がグルテンを減らした試験では、グルテンを多くした期間より体重が8週間で平均0.8kg少なく、おなかの張りは軽くなりましたが、炎症の値は変わりませんでした。著者は、効果の多くは「食物繊維の種類が変わったため」と考えています。一方で、腸内の善玉菌とされる菌が減ったという試験もあります
  • グルテンを多く食べる人ほど、2型糖尿病は少なく(約20万人で20%少ない)、心臓病とは関係がありませんでした。全粒穀物は、糖尿病・心臓病・死亡が少ない側の結果が一貫しています。日本人で「多いほど糖尿病が多い」という結果が出ているのは、小麦ではなく白米(女性で1.65倍)です
  • 認知症・うつ・自閉症・アトピー・リウマチ・肌荒れ・花粉症が「小麦をやめると治る」という、病気のない一般の人での確かな証拠は見つかりませんでした。小麦アレルギーやセリアック病の人は別で、医師の診断が必要です
  • 日本人の小麦の量は、50年間ほぼ同じです(1975年 90.2g → 2024年 102.4g/日)。しかも約半分はパンではなく麺です。国の統計から試算すると、日本人のグルテンは1日4〜6g程度で、米国やデンマークの研究の人たちより少なめです
  • 「外国人は小麦をやめている」は一部だけ本当です。米国でグルテンを避けている人は増えましたが、それでも人口の2%未満。米国人は今も、日本人の2倍近くの小麦粉を食べています

この記事で紹介しているもの

紹介しているもの どんなときに 記事の中の場所
国産小麦の全粒粉 白い小麦粉の一部を全粒粉にしたいとき 全粒粉を選ぶなら
有機の全粒粉スパゲッティ 麺の一部を全粒のものにしたいとき 全粒粉を選ぶなら

「小麦は体に悪い」説の一覧:研究で分かっていること

よく聞く説と、研究で分かっていることを先に一覧にしました。くわしい根拠は、それぞれの見出しで説明します。「判定」は、病気のない一般の人についての、この記事のまとめです。

説 出どころ 研究で分かっていること 判定
現代の小麦は品種改良でグルテンが増えた別物 『Wheat Belly』 米国の統計でもドイツの60品種の比較でも、グルテンは増えていない 支持する研究は見つからない
現代の小麦は遺伝子組換え 日本語版『小麦は食べるな!』の副題 遺伝子組換えの小麦は日本で安全性審査を通ったものがない 誤り(日本で流通していない)
小麦には依存性がある 『Wheat Belly』 オピオイドに似た物質は試験管・ラットの話。人で依存を示した研究はない 人での証拠なし
全粒粉パンは砂糖より血糖を上げる 『Wheat Belly』 GI はパン75・全粒粉パン74・砂糖65。ただし白米も73 数字は一部本当。小麦だけの話ではない
小麦をやめると痩せる 本・ブログ 健康な人の試験で、低グルテンの8週間は高グルテンの8週間より体重が0.8kg 少なかった。グルテンだけ抜いた試験では差なし 長期の試験なし
グルテンフリーは体に良い 本・ブログ・スポーツ選手 食物繊維・ビタミンB群が減りやすい。腸内の善玉菌が減った試験も 病気のない人に勧める根拠は乏しい
小麦は糖尿病・心臓病の原因 『Wheat Belly』 グルテンが多い人ほど糖尿病が少なく、心臓病とは関係なし 支持する研究は少ない
小麦は体に炎症を起こす 本・ブログ 健康な人の試験で、炎症の値(CRP など)は変わらず 支持する研究は少ない
小麦が認知症の原因 『Grain Brain』 根拠とされた研究は「炭水化物の割合」の研究。グルテンの量と認知機能は関係なし 支持する研究は見つからない
小麦をやめるとうつが良くなる 本・ブログ 小さな試験が1つ(22人・3日間)。セリアック病などの患者以外では証拠なし 結論なし
自閉症はグルテン除去で良くなる 海外の療法 メタ解析は結論が割れ、質の高い試験は「差なし」 一般に勧める根拠なし
アトピー・肌荒れが治る 本・ブログ アトピーの除去食は「わずかに良くなるかもしれない」程度。除去で食物アレルギーを起こすおそれ 自己判断の除去は勧められない
花粉症が治る ブログ 研究が見つからない 裏づける研究なし
リウマチが良くなる 本・ブログ 肉や乳製品も抜いた食事の小さな試験だけ。グルテン単独の試験はない 結論なし
グルテンが腸にへばりつく 日本のネット 確かめた研究が見つからない 裏づける研究なし
外国人は小麦をやめている ネット 米国でグルテンを避ける人は1.69%(2013〜14年) 一部だけ本当

グルテンとは? 何が悪いと言われている?

グルテンは、小麦のたんぱく質のうち、グリアジンとグルテニンが、水を加えてこねることで網の目のようにつながったものです。パンがふくらみ、うどんにこしが出るのはグルテンのおかげです。小麦のたんぱく質の7〜8割ほどがグルテンのもとになります(Kasarda 2013 は70〜75%、Brouns 2013 は最大80%。食品安全委員会のファクトシートは約85%としています)。大麦・ライ麦にも、似たたんぱく質があります(Brouns 2013)。

「グルテンが悪い」と言われる理由は、主に次の3つです。

  1. 品種改良でグルテンが増え、昔の小麦と別物になった
  2. グルテンから、脳に作用して食欲を高める物質ができる(依存性)
  3. グルテンが腸を傷つけ、炎症を起こす

この記事では、この3つを順に確かめます。なお、グルテンが体に害になることがはっきりしているのは、セリアック病(グルテンで小腸に炎症が起きる自己免疫の病気)や小麦アレルギーなどの人です。病気のない人にも同じことが起きるかどうかが、この記事の問いです。

「小麦は体に悪い」はどこから? 本の出版年と主張

「小麦は体に悪い」という話は、2010年代前半に米国で出た本がきっかけで広まりました。日本語版が出た時期と、国内で「小麦断ち」「グルテンフリー」の本が相次いだ時期は重なっています(国立国会図書館の書誌で確認)。

本(原著) 著者 原著の年 日本語版
Wheat Belly ウィリアム・デイビス(米国の循環器内科医) 2011年 『小麦は食べるな!』日本文芸社、2013年
Grain Brain デイビッド・パールマター(米国の医師)ほか 2013年 『「いつものパン」があなたを殺す』三笠書房、2015年(2021年に新版)
Serve to Win ノバク・ジョコビッチ(テニス選手) 2013年 『ジョコビッチの生まれ変わる食事』三五館、2015年(2018年に扶桑社から再刊)

このあと、日本の著者による本も続きました。2016年には『2週間で体が変わるグルテンフリー健康法』(青春出版社)や『2週間、小麦をやめてみませんか?』(三五館)、2020年には『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム)が出ています。発行部数は、出版社の公式の資料で確かめられなかったので書きません。

『小麦は食べるな!』(Wheat Belly)の主張

デイビス氏の主な主張は次のとおりです(Brouns ら 2013年の論文が、本とインタビューから引用して検証しています)。

  • 現代の小麦は、1960〜70年代の品種改良で作られた「別物」で、不自然なたんぱく質を含む
  • 小麦のたんぱく質(グリアジン)が脳のオピオイド受容体に結びつき、食欲を高める。1日440kcal 多く食べさせる。やめると禁断症状が出る
  • 小麦のでんぷん(アミロペクチンA)は血糖を上げやすく、全粒粉パンの GI は砂糖より高い
  • 小麦を食べる量が増えたぶん、おなか回りが太くなった

日本語版の副題は「遺伝子組み換えの恐怖!」です。この点は、次の節で確かめます。

『「いつものパン」があなたを殺す』(Grain Brain)の主張

パールマター氏は、炭水化物とグルテンが、認知症・ADHD・不安・頭痛などの原因になると主張しました。根拠の一つとして紹介されたのが、米国メイヨー・クリニックの高齢者の研究です。この研究の中身は、後の「小麦で認知症になる?」の節で確かめます。

ジョコビッチ選手の本と「パンを腹に当てるテスト」

ジョコビッチ選手の本には、2010年に栄養の専門家から、パンを腹に当てた状態で腕を押し下げる筋力テストを受け、「グルテンに耐性がない」と言われた、という話が出てきます(海外の新聞の紹介記事による)。

  • このテストは「アプライド・キネシオロジー」と呼ばれる方法で、食物アレルギーの診断法としては証明されていない検査に分類されています(Hammond & Lieberman 2018 の総説)。不要な食事制限につながるおそれがあると指摘されています
  • ジョコビッチ選手本人がセリアック病と診断されたという情報は、確かめられませんでした
  • 本人の体験を否定するものではありません。ただ、同じような持久系の選手で確かめた試験では、グルテンの有無で成績は変わりませんでした(後の「小麦をやめるとどうなる?」の節で紹介します)

スポーツ選手の間では、グルテンフリーが広がっています。910人の選手の調査では、セリアック病ではない選手の41%が「半分以上の時間」グルテンフリーにしていて、その57%は自分で判断していました(Lis 2015)。

現代の小麦は昔と別物? グルテンは増えた?

「現代の小麦」のルーツを示す年表。1935年に岩手県農事試験場で稲塚権次郎らが「小麦農林10号」を育てた。戦後に米国に渡り、ボーローグ博士が育てた多収品種の親になった。1960年代の「緑の革命」で、背が低く倒れにくい多収の品種が世界に広がった。1970年にボーローグ博士はノーベル平和賞を受け、20世紀後半に世界の小麦の生産は約3倍になった。遺伝子を直接操作して作られたものではない。下の2つの囲みでは、ドイツの60品種の比較でグルテンの総量は変わらなかったこと(Pronin 2020)と、日本で安全性審査を経た遺伝子組換え作物9つに小麦は入っていないこと(消費者庁、2026年7月8日現在)を示す。
図:「現代の小麦」のルーツは日本の小麦農林10号(農研機構「NORIN TEN」、富山県、ノーベル財団、Pronin 2020、消費者庁の一覧をもとに作成)(押すと拡大)

結論から言うと、「品種改良で小麦のグルテンが増えた」というデータは見つかりません。

品種改良でグルテンは増えていない

研究 調べたこと 結果
Kasarda 2013(米国農務省の研究者) 20〜21世紀の米国の小麦のたんぱく質の統計 品種改良でたんぱく質(≒グルテン)が増えた証拠はない。年ごとの差は主に天候など栽培環境によるもの
Pronin ら 2020(ドイツ) 1891〜2010年に登録された60品種を、3年間同じ条件で栽培 収量は増えたが、たんぱく質とグリアジンはむしろ減る傾向。グルテンの総量は変わらない
Pronin ら 2021 同じ60品種の、セリアック病の引き金になるペプチド 古い品種と新しい品種で同じくらい
Geisslitz ら 2023 同じ60品種の ATI(グルテン以外のたんぱく質) 古い品種と新しい品種で総量は変わらない
Shewry 2020(英国) 18世紀から現代までの品種 ミネラル(微量栄養素)が薄まった以外に、健康に悪い方向の変化の明確な証拠はない。最近の英国の品種では食物繊維が増え、白い粉のアスパラギン(焼くとアクリルアミドのもとになる)は減っていた

品種よりも、その年の天気や畑の条件のほうが、グルテンの量を大きく左右します(Pronin 2020)。また、スペルト小麦などの「古代小麦」は、普通の小麦よりグルテンが少ないわけではありません(グルテンとスペルト小麦の記事)。

「背の低い現代の小麦」は日本の小麦農林10号から

デイビス氏が「不自然な現代の小麦」と呼ぶのは、1960年代の「緑の革命」で世界に広がった、背が低く倒れにくい多収の品種です。その背を低くする遺伝子は、日本の「小麦農林10号」から来ています(農研機構)。

  • 小麦農林10号は、1935年に岩手県農事試験場で、稲塚権次郎らが育てた品種です(富山県)
  • 戦後、米国に渡り、ボーローグ博士が育てた世界の多収品種の親になりました
  • ボーローグ博士は1970年にノーベル平和賞を受け(ノーベル財団)、「私の研究は NORIN TEN なしでは完成しなかった」と語ったと、農研機構は紹介しています
  • 20世紀後半に、世界の小麦の生産は約3倍になりました

つまり「現代の小麦」のルーツの一つは、日本の在来の育種です。遺伝子を直接操作して作られたものではありません。

遺伝子組換えの小麦は日本で売られていない

日本語版『小麦は食べるな!』の副題は「遺伝子組み換えの恐怖!」ですが、

  • 消費者庁の「安全性審査の手続を経た遺伝子組換え食品」の一覧(2026年7月8日現在)にあるのは、じゃがいも・大豆・てんさい・とうもろこし・なたね・わた・アルファルファ・パパイヤ・カラシナの9作物で、小麦はありません。審査を通っていない遺伝子組換えの食品は、日本では売ることができません
  • 本が出た2013年当時は、世界のどの国でも遺伝子組換えの小麦は商業栽培されていませんでした(Brouns 2013)
  • その後、アルゼンチンで乾燥に強い遺伝子組換えの小麦(HB4)が2020年に承認され、ほかの数か国でも認められたと報じられています。日本の一覧には入っていません

遺伝子組換え作物の表示のしくみは 遺伝子組み換えと異性化液糖の記事 にまとめています。

増えたのは「活性グルテン」の添加

米国で増えたものは、小麦の中身よりも、パンなどに加える「活性グルテン(バイタルグルテン)」でした。Kasarda 氏の推計では、1人あたり年に 1977年 136g → 2012年 408g と約3倍です。ただし、小麦粉そのものから食べるグルテン(年に約5kg)と比べると1割に満たず、著者は「セリアック病が増えたこととの関係は分からない」としています。

セリアック病は増えているが、理由は分かっていない

セリアック病(グルテンで小腸に炎症が起きる自己免疫の病気)は、実際に増えています。フィンランドの大人では、診断済みの人と血液検査で見つかった人を合わせて、1978〜80年 1.05% → 2000〜01年 1.99% でした(Lohi 2007。血液検査は同じ方法)。米国では、未診断のセリアック病が、1950年ごろの空軍兵の保存血清で 0.2% だったのが、最近の集団では 0.8〜0.9% でした(Rubio-Tapia 2009)。

ただ、増えた理由が「小麦の中身が変わったから」だという証拠はありません。原因はまだ分かっていません。セリアック病については 小麦で起きる病気の記事 でくわしく説明しています。

小麦に依存性はある?

「小麦には依存性がある」を、人で確かめた研究はありません。

「エクソルフィン」は試験管とラットの話

小麦のグルテンを消化酵素で分解すると、オピオイド(モルヒネの仲間)に似た働きをするペプチドができることは、実験で分かっています。

年 できごと 出典
1979年 米国国立衛生研究所(NIH)の研究者が、グルテンと牛乳のたんぱく質の分解物にオピオイドに似た働きを見つけ、「エクソルフィン」と名づけた(細胞・動物の組織での実験) Zioudrou 1979
1992〜1993年 日本の製粉会社(日清製粉)の研究部門の福留氏らが、グルテンの分解物から1992年に4種類、1993年にもう1種類のエクソルフィンを取り出した Fukudome & Yoshikawa 1992・1993
1995年 ラットに口から与えると、食後のインスリンが上がった Fukudome 1995

「小麦の依存性」のもとになった物質を取り出したのは、日本の研究者でした。ただし、その研究も試験管とラットの実験で、人が依存することを示したものではありません。

人では、次のように考えられています(Brouns & Shewry 2022 の総説)。

  • 食べもの由来のペプチドが血液に入っても、ごく微量で、血液中の酵素ですぐ分解される
  • グルテンのペプチドがどれだけ吸収され、どれだけ血液中に残り、脳に届いて作用するかのデータがない
  • 食欲・体重を変えるという証拠はない。観察研究では、グルテンを食べる量は、食べるエネルギーの量とも BMI とも関係していない

「小麦断ちで禁断症状が出る」という話も、確かめた研究は見つかりませんでした。

「小麦と心の病気」という古い説

小麦と心の病気を結びつける話には、古い出どころがあります。1966年にドーハン(Dohan)が、第二次世界大戦中に小麦の消費が減った国で統合失調症の入院が減った、という国単位のデータを報告しました(Dohan 1966)。その後のメタ解析では、精神病の患者で小麦のグリアジンへの抗体がやや多い(オッズ比で2.3〜2.6)という結果がありますが、原因と結果の関係は分かっていません(Lachance 2014)。国単位のデータは、同じ時期に変わったほかの多くのことと区別できないため、これだけで小麦が原因とは言えません。

「やめられない食べ物」の研究で目立つのは

米国の大学生120人と一般の384人に聞いた研究では、「やめられない」食べ方と結びついていたのは、加工度が高く、脂質が多く、血糖を上げやすい食品でした(Schulte 2015)。小麦そのものではなく、油・砂糖・塩と組み合わせた加工食品の特徴です。

小麦は血糖を上げやすい?「全粒粉パンは砂糖よりGIが高い」は本当?

GI(血糖の上がりやすさ)の比較:パンと白米はほぼ同じブドウ糖=100。国際 GI 表 2008年版の「62の一般的な食品」の平均値小麦の食品米その他025507510070以上=高GI55以下=低GIコーンフレークコーンフレーク:GI 8181じゃがいも(ゆで)じゃがいも(ゆで):GI 7878白い小麦パン白い小麦パン:GI 7575全粒粉パン全粒粉パン:GI 7474白米(ゆで)白米(ゆで):GI 7373玄米(ゆで)玄米(ゆで):GI 6868砂糖(ショ糖)砂糖(ショ糖):GI 6565うどんうどん:GI 5555スパゲッティ(白)スパゲッティ(白):GI 4949砂糖が低めなのは、半分が果糖(GI 15前後)だから。GI が低い=体に良い、ではない。同じ食品でも品種・作り方で値が変わる(表には低GIのパンや米も載っている)。日本の公的な GI の表は見つからなかった(食品成分表に GI の項目は無い)。出典:Atkinson FS, et al. Diabetes Care 2008(国際 GI 表 2008年版)Table 1。
GI はブドウ糖を100とした血糖の上がりやすさ。多くの研究の平均値。出典:Atkinson FS ほか「International Tables of Glycemic Index and Glycemic Load Values: 2008」Diabetes Care 2008 の表1。

GI(グリセミック・インデックス)は、食べたあとの血糖の上がりやすさを、ブドウ糖を100として表した数字です。国際 GI 表(2008年版)の平均値では、

  • 白い小麦パン 75、全粒粉パン 74、砂糖(ショ糖)65
  • 白米(ゆで)73、玄米 68
  • うどん 55、スパゲッティ 49

です。「パンは砂糖より GI が高い」は、数字の上では本当です。ただし、

  • 白米もパンとほぼ同じです。「小麦だから」上がりやすいわけではありません
  • 砂糖の GI が低めなのは、半分が果糖(GI 15前後)だからです。GI が低い=体に良い、ではありません(果糖については 果物の果糖の記事)
  • デイビス氏が挙げた「全粒粉パン 72・砂糖 59」は、国際表の値と合いません(Brouns 2013)
  • 「アミロペクチンAが特別に血糖を上げる」という主張について、Brouns らは、でんぷんの組成(アミロース20〜25%・アミロペクチン70〜75%)はもち性の品種を除いて作物による差が小さいと反論しています。血糖の上がり方は、でんぷんの種類より、パン(ほぐれやすい)か麺(消化されにくい)かといった食品の形で大きく変わります

日本には、国が出している GI の表は見つかりませんでした(日本食品標準成分表に GI の項目はありません)。白米を基準に日本の食品を測った研究では、うどん・そば・スパゲッティの GI は低めでした(Sugiyama 2003)。

小麦をやめるとどうなる? 痩せる?(健康な人の試験)

病気のない人がグルテンを減らした試験の結果をまとめた図。どれも人数が少なく、期間は長くて4か月。変わったことは、低グルテンの8週間のあとは高グルテンの8週間のあとより体重が平均0.8kg少なかったこと、おなかの張りが軽くなったこと、腸内細菌が変わったこと(中年60人の試験)。変わらなかったことは、CRP などの炎症の値と血糖・コレステロール、グルテンだけを抜いたときの体重(女性23人)、自転車選手の競技成績(13人、二重盲検)。体重の差は、食物繊維の種類が変わったためと著者は考えている。報告されているデメリットとして、食物繊維・ビタミンB群の減少、ビフィズス菌などの減少、米国で水銀・ヒ素の値が高かったことを示す。長く続けた影響を確かめた試験は見つかっていない。
図:健康な人がグルテンを減らした試験で変わったこと・変わらなかったこと(Hansen 2018、Henriques 2022、Lis 2015、De Palma 2009、Bonder 2016、Delmas 2025、Raehsler 2018 をもとに作成)(押すと拡大)

いちばん知りたいのは、ここだと思います。病気のない人が、グルテンや小麦を減らしたときに何が起きるかを、実際に試した研究を集めました。

健康な人がグルテンを減らした試験

研究 誰が・どのくらい 結果
Hansen ら 2018(デンマーク) 持病のない中年60人。グルテン1日2g の食事と18g の食事を8週間ずつ入れかえて比べた(ふだんは12g) 低グルテンの8週間のあとは、高グルテンの8週間のあとより体重が平均0.8kg 少なく、おなかの張りが軽くなった。腸内細菌が中程度に変わった。CRP などの炎症の値、血糖・コレステロールは変わらず。著者は「効果の多くは食物繊維の種類が変わったため」と考えている
Henriques ら 2022(ブラジル) 健康な女性23人。グルテンフリーの食事中に、グルテン1日20g 入りか無しのマフィンを3週間ずつ 体重・体脂肪・安静時の代謝は、グルテンの有無で差なし。グルテンフリーの期間は、ふだんより食物繊維・ビタミンB群が減り、脂質と塩分が増えた
Lis ら 2015(オーストラリア) セリアック病ではない自転車の持久系選手13人。グルテン入りと無しのバーを7日ずつ、本人も研究者も分からない方法(二重盲検)で 競技成績・胃腸の症状・体調・炎症の値に差なし
De Palma ら 2009(スペイン) 健康な10人、1か月グルテンフリー ビフィズス菌・乳酸菌などが減り、大腸菌が増えた
Bonder ら 2016(オランダ) 健康な21人、4週間 腸内細菌の組成と働きが変わった
Delmas ら 2025(フランス) 健康な40人、低グルテンの食事を計16週 腸内細菌の多様性が下がり、ビフィズス菌などが減った

どの試験も人数が少なく、期間は長くて4か月です。グルテンフリーを何年も続けたときの影響を、健康な人で確かめた試験は見つかりませんでした。日本人を対象にした試験も見つかりませんでした。

痩せるのか

  • 低グルテンの8週間で、高グルテンの8週間より体重が0.8kg 少なかったのは、小麦の食物繊維を減らして、ほかの食物繊維(野菜・豆・穀物)に置きかえた食事での結果です(Hansen 2018)。食物繊維の総量は同じでした
  • グルテンだけを抜いて、ほかを同じにした試験では、体重は変わりませんでした(Henriques 2022)
  • 「小麦をやめたら痩せた」という体験の多くは、菓子パン・ケーキ・ピザ・揚げものといったエネルギーの多い加工食品が減ったためと考えられています。小麦を抜くと食べられる市販品が限られ、食事が単調になって食べる量が減る、ということも、どの流行のダイエットでも起きます(Brouns 2013)
  • 関節リウマチの食事療法の研究のまとめでも、食事を変えた人たちは体重が平均3.2kg 多く減っていました(Hagen 2009)。何を抜いても、体重は減りうるということです

健康な人で「グルテンフリーで痩せる」ことを、長い期間で確かめた試験は見つかりませんでした。「2週間で体が変わる」など、本の題名にある期間を確かめた研究も見つかりませんでした。

体調が良くなった気がするのはなぜ?

小麦を抜いて「おなかの調子が良くなった」と感じる人がいるのは事実です。研究からは、理由が少なくとも2つ考えられています。

  1. グルテンではなく、小麦に含まれる「フルクタン」という糖の仲間が、おなかの張りやガスに関係している人がいる(FODMAP と呼ばれるグループの一つ。玉ねぎ・にんにくにも多い)
  2. 「グルテンが入っている」と思って食べるだけで症状が強くなる(ノセボ効果)

2つ目について、オランダと英国の研究(de Graaf 2024)では、「自分はグルテンに弱い」と考えている84人を、「グルテン入りと伝える/伝えない」×「実際に入っている/いない」の4組に分け、パンを食べてもらいました。いちばん症状が強かったのは「入りと伝えて、実際に入っていた」組で、「伝えずに入っていた」組は「伝えずに入っていなかった」組と同じくらいでした。この研究は、オランダ政府の官民連携の枠組みで、製パン・製粉関連の企業や国際小麦グルテン協会なども資金を出しています。

盲検(本人に分からない方法)でグルテンを食べてもらった10の試験(1,312人)をまとめると、「グルテンに弱い」とされた231人のうち、グルテンで症状が出たと判定できたのは38人(16%)でした(Molina-Infante 2017)。

本当にグルテンや小麦で症状が出る人もいます。セリアック病、小麦アレルギー、非セリアック性グルテン過敏症(NCGS)、過敏性腸症候群(IBS)と FODMAP については、小麦で起きる病気の記事 で説明しています。セリアック病は、グルテンを食べている状態で血液検査を受けないと見つけられないので、自己判断で小麦を抜く前に医師に相談するのが順番です。

グルテンフリーのデメリット

病気のない人がグルテンフリーにすると、研究では次のようなことが報告されています。

デメリット 研究で分かっていること 出典
食物繊維・ビタミンB群が減りやすい 健康な女性のグルテンフリーの期間に、食物繊維・ビタミンB1・B6・B12・葉酸が減り、脂質と塩分が増えた Henriques 2022
自己判断の「小麦断ち」は栄養が偏る オーストラリアで、症状を理由に小麦を避けている34人は、食物繊維とカルシウムが不足ぎみで、脂質が多かった。「小麦を全部避けている」と答えた人でも、穀物料理の3分の1は小麦入りだった Golley 2019
腸内の善玉菌とされる菌が減る 健康な人の試験で、ビフィズス菌などが減った De Palma 2009、Delmas 2025
米が増えると、ヒ素や水銀が増える方向 米国の全国調査(2009〜2012年、11,354人)で、セリアック病でないのにグルテンを避けている人は、血液中の水銀(1.40 対 0.93μg/L)や鉛、尿中のヒ素が高かった。米や魚を多く食べるためと考えられている Raehsler 2018
グルテンフリー食品の栄養は通常品と違う スペインで、グルテンフリー食品206品と通常品289品を比べると、エネルギー・食物繊維・塩分などが違っていた Miranda 2014
全粒穀物が減る 次の節で説明します Lebwohl 2017

米国の結果を、そのまま日本に当てはめることはできません。ただ、小麦の代わりに米を増やすと、米に多い無機ヒ素をとる量は増える方向です。食品ごとのヒ素の量は 食品の重金属データベース にまとめています。

小麦と糖尿病・心臓病:全粒か精製かで分かれる

「小麦をやめる」と研究の結果は合う? 病気との関係の大きさ相対リスク(1=差なし。左ほど少ない、右ほど多い)。線は95%信頼区間。目盛りは対数全粒穀物・グルテン精製穀物白米0.50.71.01.52.02.5← 少ない多い →全粒穀物(1日90g=3食分ふえるごと)Aune 2016全死亡全死亡:0.83(0.77〜0.9)0.83冠動脈疾患冠動脈疾患:0.81(0.75〜0.87)0.81がんによる死亡がんによる死亡:0.85(0.8〜0.91)0.852型糖尿病(1日3食分ふえるごと)Aune 2013全粒穀物全粒穀物:0.68(0.58〜0.81)0.68精製穀物精製穀物:0.95(0.88〜1.04)0.95グルテンの量(最多 対 最少の5分の1)米国2型糖尿病 Zong 20182型糖尿病 Zong 2018:0.8(0.76〜0.84)0.80冠動脈疾患 Lebwohl 2017冠動脈疾患 Lebwohl 2017:0.95(0.88〜1.02)0.95白米(最多 対 最少の4分の1)日本 JPHC2型糖尿病・女性 Nanri 20102型糖尿病・女性 Nanri 2010:1.65(1.06〜2.57)1.65Lebwohl 2017 は、精製穀物の分を調整すると(全粒穀物由来のグルテン)0.85。グルテンは米国の医療職の追跡研究。白米は日本の45〜75歳を5年追った研究。どれも観察研究とそのメタ解析。食べた量は質問票からの推定で、因果は証明しない。出典:Aune 2016 BMJ/Aune 2013 Eur J Epidemiol/Zong 2018 Diabetologia/Lebwohl 2017 BMJ/Nanri 2010 Am J Clin Nutr。
相対リスク(1=差なし)と95%信頼区間。どれも観察研究とそのメタ解析で、原因と結果を証明するものではない。出典:Aune 2016(BMJ)、Aune 2013(Eur J Epidemiol)、Zong 2018(Diabetologia)、Lebwohl 2017(BMJ)、Nanri 2010(Am J Clin Nutr)。

研究では、「小麦」とひとくくりにせず、全粒穀物(全粒粉・玄米・オートミールなど、ふすまや胚芽を残したもの)と、精製穀物(白い小麦粉・白米など)を分けて調べています。

糖尿病:グルテンが多い人ほど少なかった

研究 対象 結果
Zong ら 2018 米国の医療職の3つの追跡研究、約20万人(延べ424万人年、糖尿病15,947人) グルテンをいちばん多く食べる5分の1の人たちは、2型糖尿病が20%少なかった。1日12g くらいまで、多いほど少ない。穀物の食物繊維の分を調整しても13%少ない
Aune ら 2013(メタ解析) 追跡研究16本 全粒穀物は1日3食分ふえるごとに2型糖尿病が32%少ない。精製穀物は関係なし(0.95)。白米は多い側、全粒パン・ふすま・玄米は少ない側
Hu ら 2020 米国の3つの追跡研究、約19.5万人 全粒穀物の多い人たちで糖尿病が29%少ない。黒パン(dark bread)を1日1食分以上食べる人は、月に1食分未満の人より21%少ない
JPHC 研究(Nanri ら 2010、日本) 45〜75歳の男性25,666人・女性33,622人を5年 白米をいちばん多く食べる女性で、2型糖尿病が1.65倍。男性ははっきりしない

糖尿病で「多いほど少ない」のは全粒穀物、「多い側」の報告があるのは白米です。小麦やグルテンが特に悪いという結果は見当たりません。「小麦をやめて白米を増やす」という置きかえは、日本の研究の結果とは逆向きになりえます。

心臓病:グルテンを避けると全粒穀物が減る

米国の医療職、約11万人を26年追った研究(Lebwohl 2017、BMJ)では、

  • グルテンをいちばん多く食べる人たちと少ない人たちで、心筋梗塞などの冠動脈疾患に差はありませんでした(ハザード比0.95)
  • 精製穀物の分を調整すると、つまり全粒穀物から来るグルテンに限ると、多い人たちのほうが15%少なかった(0.85)
  • 著者は「グルテンを避けると、体に良い全粒穀物が減るおそれがある。セリアック病でない人にグルテンフリーを勧めるべきではない」と結論しています

この研究は「グルテンを避けた人」を調べたものではなく、グルテンの量で分けた研究です。「グルテンを避けた人で心臓病が増えた」という紹介を見かけますが、正確ではありません。

死亡・がん:全粒穀物は少ない側

研究 対象 結果
Aune ら 2016(BMJ、メタ解析) 追跡研究45本 全粒穀物が1日90g(3食分)ふえるごとに、冠動脈疾患0.81、心血管疾患0.78、がんによる死亡0.85、全死亡0.83。全粒パンや、パン全体も少ない側。精製穀物・白米・穀物全体はほぼ関係なし
PURE 研究 2021(21か国) 約14万8千人を中央値9.5年 精製穀物が1日350g 以上(約7食分)の人たちは、50g 未満の人たちより死亡が1.27倍、心血管の病気が1.33倍。全粒穀物と白米は関係なし
高山スタディ(日本、Wada 2022) 岐阜県高山市の男女約2万9千人 パン・麺は、心血管の病気による死亡と関係なし。米は男性で多いほど少なかった(大豆・海藻と一緒に食べる傾向があった)

PURE 研究の「1日350g 以上」は、国ごとの質問票で量の数え方が違うので、日本人の摂取量とそのまま比べることはできません。小麦と大腸がん・胃がんの関係は 小麦粉とがんの記事 と 胃がんと食事の記事 にまとめています。

全粒粉を選ぶなら

研究の結果と合うのは、「小麦をやめる」ではなく、白い小麦粉や白いパン・麺の一部を、全粒のものに置きかえることです。ふだんの強力粉・薄力粉に全粒粉を混ぜる、パスタの一部を全粒粉のものにする、といった方法があります。ライ麦の全粒パン(メステマッハー ビオ フォルコンブロート)やオートミール(日食 プレミアム ピュアオートミール)も全粒穀物です。

全粒粉は、ふすまに残った農薬が白い粉より残りやすいことが分かっているので(グルテンとスペルト小麦の記事)、産地や栽培方法が分かるものを選ぶ手があります。ここでは、国産小麦の全粒粉と、有機栽培の全粒粉スパゲッティを紹介します。

ご注意 全粒穀物の研究のほとんどは、「どんな食事の人に病気が少なかったか」を調べた観察研究です。全粒粉に置きかえれば病気を防げる、と証明されたわけではありません。小麦アレルギー・セリアック病の人は、全粒粉も食べられません。

小麦は炎症を起こす? 腸に悪い?

炎症

「小麦は体に炎症を起こす」という話について、病気のない人での研究は次のとおりです。

  • 健康な人がグルテンを1日2g に減らした8週間の試験で、CRP・IL-6 などの炎症の値は変わりませんでした(Hansen 2018)
  • 持久系の選手の二重盲検の試験でも、炎症の値に差はありませんでした(Lis 2015)
  • 全粒穀物を増やした試験14本(1,238人)のまとめでは、CRP は少し下がる方向でしたが、はっきりした差ではありませんでした(Rahmani 2020)

健康な人で「小麦が炎症を起こす」を支持する試験は見つかりませんでした。

「腸に穴が開く」「腸にへばりつく」は?

  • 「グルテンで腸のすき間が広がる(リーキーガット)」という研究は、取り出した腸の組織や細胞での実験が中心で、健康な人の体の中で何が起きているかは分かっていません。くわしくは グルテンとスペルト小麦の記事 で説明しています
  • 「グルテンが腸にへばりつく」を確かめた研究や公的な資料は、見つかりませんでした。グルテンは胃・すい臓・小腸の酵素で分解されます。ただし一部のペプチドは分解されにくく、セリアック病の人では、それが免疫の反応の引き金になります(Shan 2002)
  • 小麦でおなかが張る・下痢をするときは、FODMAP や過敏性腸症候群の可能性もあります(小麦で起きる病気の記事)

小麦で認知症になる? うつは?

認知症

『Grain Brain』で紹介されたメイヨー・クリニックの研究(Roberts 2012)は、米国の高齢者937人(年齢の中央値79.5歳)を約3.7年追ったものです。

  • 結果は、食事のエネルギーのうち炭水化物の割合が高い人たちで、軽度認知障害・認知症が1.89倍、脂質の割合が高い人たちで0.56倍というものでした
  • グルテンや小麦を調べた研究ではありません。紹介記事などで見かける「3.6倍」という数字は、論文の抄録にはありませんでした

グルテンそのものを調べた研究では、

  • 米国の女性看護師13,494人(平均60.6歳、グルテンは平均1日6.3g)で、グルテンを食べる量と認知機能に関係はありませんでした(Wang 2021)
  • セリアック病の人8,846人でも、認知症全体は増えていませんでした(Lebwohl 2016)

病気のない人で、グルテンと認知症の関係を示した研究は見つかりませんでした。食事の油と認知症については 油と認知症・うつ病の記事 にまとめています。

うつ

  • 「自分はグルテンに弱い」と考えて、グルテンフリーで症状が落ち着いている過敏性腸症候群の22人に、グルテン・乳清・偽物を3日ずつ食べてもらった試験では、グルテンのときに抑うつの点数が偽物よりわずかに高くなりました(Peters 2014)。乳清との差はなく、胃腸の症状は3つとも同じでした
  • 13研究(1,139人)のまとめでは、セリアック病などの患者でグルテンフリーにすると抑うつ症状が良くなりましたが、グルテンに弱いと考えている人に盲検でグルテンを食べてもらった試験では、はっきりした差はありませんでした(Busby 2018)

セリアック病などの患者以外で、「小麦をやめるとうつが良くなる」を示した研究は見つかりませんでした。気分の落ち込みが続くときは、食事を変える前に、医師に相談してください。

小麦と自閉症:グルテン・カゼイン除去食の研究

海外では、自閉スペクトラム症の子どもに、グルテン(小麦)とカゼイン(牛乳のたんぱく質)を抜いた食事が試されてきました。

研究 中身 結果
Keller ら 2021(メタ解析) ランダム化比較試験6本、143人 自閉症の中心の症状・日常の機能・行動に効果なし。胃腸の副作用のおそれ。証拠の質は「低い〜非常に低い」
Quan ら 2022(メタ解析) 8研究、297人 常同行動や認知が良くなったとするが、多くは本人や評価者に分かる方法(単盲検)の試験
Piwowarczyk ら 2020 66人を6か月、ランダム化比較試験 差なし
Hyman ら 2016 14人、二重盲検でグルテン・カゼインを食べてもらった 差なし
Pusponegoro ら 2015 74人、7日間グルテン・カゼインを食べてもらった 症状の悪化なし

まとめの研究で結論が割れていて、質の高い試験では「差なし」でした。一般に勧める根拠は見つかりませんでした。食事を制限すると栄養が偏るおそれもあるので、主治医と相談して決めることです。

小麦をやめるとアトピー・肌荒れ・花粉症は治る?

アトピー性皮膚炎

アトピー性皮膚炎で食物を除いた食事の試験10本(599人、中央の年齢1.5歳)をまとめた研究(Oykhman 2022)では、良くなった人は 50% 対 41% で、「わずかな、重要でない可能性のある改善」(確実性は低い)でした。そして、

  • 食べものを除くことで、かえって IgE 型の食物アレルギーを起こすおそれ
  • より効果のある治療が遅れるおそれ

が指摘されています。小麦アレルギーと診断された場合は話が別で、医師の指示に従います(小麦で起きる病気の記事)。

肌荒れ・ニキビ

皮膚の病気とグルテンの研究をまとめた総説(Chakraborty 2024)では、大多数の皮膚の病気でグルテン制限は不要で、ニキビやアトピーについての証拠は、いちばん低い等級でした。乾癬は、特定の抗体がある人でグルテンフリーが効く可能性があるとする報告があります。セリアック病で出る皮膚の病気(疱疹状皮膚炎)は別です。

花粉症

小麦をやめると花粉症が良くなる、という研究は見つかりませんでした。

逆向きの話はあります。イネ科の花粉症の子ども72人のうち60%は、小麦にも IgE 抗体を持っていました(72人は全員、小麦アレルギーの診断はなく、ふだん小麦を食べていた子どもたちです)(Nilsson 2018)。日本では、イネ科の花粉の抗体が小麦のたんぱく質にも反応して起きる「花粉と関係した小麦アレルギー」が6人報告されています(Ogino 2021)。花粉症の人が小麦で症状を感じるときは、医師の診断が必要です。

小麦とリウマチ・頭痛

関節リウマチ

  • 活動性の関節リウマチの66人を、「グルテンを抜いたビーガン食」と普通の食事に分けた1年の試験(Hafström 2001)では、9か月以上続けた人で症状が良くなった割合が高くなりました(40.5% 対 4%)。ただし肉・乳製品も抜いた食事で、グルテンだけの効果は分かりません
  • 食事療法の15試験(837人)をまとめたコクランのレビュー(Hagen 2009)では、効果ははっきりせず、続けられずにやめる人が多く、体重が減ったとされています

グルテンだけを抜いた試験は見つかりませんでした。

頭痛

セリアック病の大人の26%に頭痛があり、原因の分からない頭痛の子どもの2.4%がセリアック病だった、という報告があります。セリアック病の人では、グルテンフリーで頭痛が良くなる人が多いとされています(Zis 2018)。一方、セリアック病でない人で、小麦をやめて頭痛が減るかを確かめた試験は見つかりませんでした。頭痛が続くときは、セリアック病の検査が必要かどうかも含めて医師に相談するのが順番です。

日本人の小麦の食べ方は変わった?(国民健康・栄養調査)

50年ほぼ横ばい

日本人の米と小麦の摂取量(1人1日あたり)国民健康・栄養調査の「米・加工品」「小麦・加工品」(g/日)。小麦は50年ほぼ横ばい小麦・加工品米(2001年〜、ごはんの重量)米(〜2000年、生の重量)0g100g200g300g400g1975198519952005201520242001年から米は「ごはん」の重量で集計1975年 米・加工品:248.3g1980年 米・加工品:225.8g1985年 米・加工品:216.1g1990年 米・加工品:197.9g1995年 米・加工品:167.9g2000年 米・加工品:160.4g2001年 米・加工品:356.3g2002年 米・加工品:353.6g2003年 米・加工品:356.0g2004年 米・加工品:343.0g2005年 米・加工品:343.9g2006年 米・加工品:344.8g2007年 米・加工品:337.7g2008年 米・加工品:341.6g2009年 米・加工品:334.6g2010年 米・加工品:332.0g2011年 米・加工品:323.0g2012年 米・加工品:329.1g2013年 米・加工品:321.7g2014年 米・加工品:325.0g2015年 米・加工品:318.3g2016年 米・加工品:310.8g2017年 米・加工品:308.0g2018年 米・加工品:308.5g2019年 米・加工品:301.4g2022年 米・加工品:290.8g2023年 米・加工品:295.9g2024年 米・加工品:293.5g1975年 小麦・加工品:90.2g1980年 小麦・加工品:91.8g1985年 小麦・加工品:91.3g1990年 小麦・加工品:84.8g1995年 小麦・加工品:93.7g2000年 小麦・加工品:94.3g2001年 小麦・加工品:99.6g2002年 小麦・加工品:98.0g2003年 小麦・加工品:96.6g2004年 小麦・加工品:98.4g2005年 小麦・加工品:99.3g2006年 小麦・加工品:95.7g2007年 小麦・加工品:99.0g2008年 小麦・加工品:97.3g2009年 小麦・加工品:99.4g2010年 小麦・加工品:100.1g2011年 小麦・加工品:103.0g2012年 小麦・加工品:102.4g2013年 小麦・加工品:105.3g2014年 小麦・加工品:101.9g2015年 小麦・加工品:102.6g2016年 小麦・加工品:100.7g2017年 小麦・加工品:103.6g2018年 小麦・加工品:97.3g2019年 小麦・加工品:99.4g2022年 小麦・加工品:105.6g2023年 小麦・加工品:104.4g2024年 小麦・加工品:102.4g1975年 90.2g2024年 102.4g248.3g(生米)293.5g(ごはん)米は2000年まで生の重量、2001年から炊いたごはんの重量で集計。炊くと重さが2倍以上になるので、2000年以前と2001年以降は比べられない。2020・2021年は新型コロナで調査中止(点線)。2024年は全国補正値。総数(1歳以上)。出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(e-Stat)の年ごとの表からウラヨミが作成。
日本人1人1日あたりの「米・加工品」「小麦・加工品」(g)。米は2000年まで生の米、2001年から炊いたごはんの重量で集計。2020・2021年は調査中止。出典:厚生労働省「国民健康・栄養調査」(e-Stat)からウラヨミが作成。

厚生労働省の国民健康・栄養調査で、1人1日あたりの「小麦・加工品」は、1975年 90.2g → 2024年 102.4g です。50年でほとんど変わっていません。

年 小麦・加工品(g/日) 米・加工品(g/日)
1975 90.2 248.3(生の米)
1995 93.7 167.9(生の米)
2001 99.6 356.3(ごはん)
2010 100.1 332.0(ごはん)
2019 99.4 301.4(ごはん)
2024 102.4 293.5(ごはん)

米は2001年から「炊いたごはんの重さ」で集計するようになったので、2000年以前と比べられません。それでも、2001年からの23年間で米は約18%減り、小麦はほぼ同じです。農林水産省の食料需給表でも、1人あたりの小麦の供給量は1975年度から31〜33kg/年でほぼ一定です(小麦粉とがんの記事 で50年の推移をグラフにしています)。

「日本人が小麦を食べるようになって病気が増えた」という話がありますが、小麦が増えたのは1960年代〜1970年代前半までで、その後50年は横ばいです。

日本人の小麦は「パンより麺」

日本人の小麦は「パンより麺」:小麦・加工品 102.4g の内訳1人1日あたり(g)。2024年 国民健康・栄養調査(総数・1歳以上)麺類 計55.3g(約54%)パン 計38.0g(約37%)その他0g10g20g30g40gうどん・中華めんうどん・中華めん:39.1g39.1gパスタパスタ:11.4g11.4g即席中華めん即席中華めん:4.8g4.8gパン(菓子パンを除く)パン(菓子パンを除く):33.3g33.3g菓子パン菓子パン:4.7g4.7gその他の小麦加工品その他の小麦加工品:5.3g5.3g小麦粉類小麦粉類:3.8g3.8g麺類=うどん・中華めん、パスタ、即席中華めん。パン=パン(菓子パンを除く)と菓子パン。2018・2019・2022・2023年も同じ傾向(麺 約50〜56g、パン 約38〜40g)。ゆで麺などは調理後の重量で集計。パンをやめても、減るのは小麦の4割弱。出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」第5表の1。合計はウラヨミで計算。
2024年の「小麦・加工品」102.4g の内訳(1人1日あたり、総数・1歳以上)。出典:厚生労働省「令和6年 国民健康・栄養調査」第5表の1。麺類・パンの合計はウラヨミで計算。

2024年の小麦・加工品102.4g の内訳を見ると、

  • 麺類 約55g(54%):うどん・中華めん 39.1g、パスタ 11.4g、即席中華めん 4.8g
  • パン 約38g(37%):パン 33.3g、菓子パン 4.7g
  • その他 約9g:その他の小麦加工品 5.3g、小麦粉類 3.8g

です。2018・2019・2022・2023年も同じ傾向でした。「小麦断ち=パンをやめる」と考えがちですが、日本人の小麦の半分以上は麺です。GI で見ても、うどん(55)やスパゲッティ(49)は、パン(75)や白米(73)より低い値です。麺類の汁の塩分については 胃がんと食事の記事 で計算しています。

独自の試算:日本人のグルテンは1日4〜6g 程度

日本人は1日にどのくらいグルテンを食べているのでしょうか。国の数字は無いので、国民健康・栄養調査(2024年)の内訳と、日本食品標準成分表(八訂)のたんぱく質の値から試算しました。

品目 摂取量(g/日) たんぱく質の割合の仮定 たんぱく質(g)
パン(菓子パンを除く) 33.3 食パン・ロールパン 7.8〜10.1% 2.6〜3.4
菓子パン 4.7 あんパン・メロンパン 6.6〜8.0% 0.3〜0.4
うどん・中華めん 39.1 ゆでうどん〜ゆで中華めん 2.6〜4.9% 1.0〜1.9
パスタ 11.4 ゆで 5.8% 0.7
即席中華めん 4.8 ゆで〜乾 3.4〜10.1% 0.2〜0.5
その他の小麦加工品 5.3 6〜10% 0.3〜0.5
小麦粉類 3.8 薄力粉〜強力粉 8.3〜11.8% 0.3〜0.4
合計 102.4 約5.4〜7.8

小麦のたんぱく質のうちグルテンを7〜8割(Kasarda・Brouns)として計算すると、5.4g×70%=約3.8g 〜 7.8g×80%=約6.2g で、日本人のグルテンは1日約4〜6g になります(食品安全委員会の約85%で計算すると、上限は約6.6g)。

誰の数字か グルテン(g/日)
日本人の平均(この記事の試算) 約4〜6
米国の女性看護師の平均(Wang 2021) 6.3
デンマークの成人のふだんの量(Hansen 2018) 12
デンマークの試験の「低グルテン」の期間 2
米国の研究で「多いほど糖尿病が少ない」が続いた範囲(Zong 2018) 〜12

日本人は「グルテンをとりすぎ」とは言いにくい量です。ただし、成分表の値の選び方や、即席めんの重さの扱いで幅が出る粗い試算です。米国の数字は質問票からの推定で、方法も違います。

小麦の8割以上は輸入

  • 日本の小麦の自給率は16%です(農林水産省)
  • 2024年の小麦の輸入は521万トンで、米国211万トン、カナダ201万トン、オーストラリア109万トンと、ほぼこの3か国からです(粒の小麦だけ)
  • 国産小麦が使われている割合は、パン・中華めんでは1割以下、うどんなどの日本めんでは約6割です(農林水産省『麦の生産をめぐる事情』令和8年5月。令和5年度の実需者への聞き取り)

輸入小麦の残留農薬については グルテンとスペルト小麦の記事 と ポストハーベストの記事 にまとめています。

「外国人は小麦をやめている」は本当?

一部だけ本当です。

国 分かっていること 出典
米国 セリアック病でないのにグルテンフリーにしている人:2009〜10年 0.52% → 2011〜12年 0.99% → 2013〜14年 1.69%。同じ時期のセリアック病は 0.70% → 0.77% → 0.58% で横ばい 米国の全国健康栄養調査(NHANES)の分析(Kim 2016。研究レターのため数字は報道で確認)
米国 2015年の世論調査で「グルテンフリーの食品を積極的に取り入れている」は約5人に1人(50歳未満は25%) ギャラップ社
オーストラリア 成人1,184人のうち、セリアック病を除いて7.3%が「小麦で体調が悪くなる」と小麦を避けていた。そのうち正式な診断を受けていたのは5.7%だけ Golley 2015
スポーツ選手 セリアック病でない選手の41%が、半分以上の時間グルテンフリー Lis 2015

米国では、グルテンを避ける人が3倍に増えました。それでも人口の2%未満です。そして、米国人の小麦粉は2023年に1人約58kg(37年ぶりの少なさ)と報じられていて(業界紙が報じた米国農務省の推計)、日本人の小麦(年に約31〜32kg)の約1.8〜1.9倍です(集計方法が違うので、おおよその比較です)。「外国人は小麦をやめた」というより、「一部の人が避けるようになったが、全体では今も日本より多く食べている」が実態に近い姿です。

パンは体に悪いって本当? 嘘?

「パンは体に悪い」も、よく検索される言葉です。研究で分かっていることを並べると、次のとおりです。

  • 血糖の上がりやすさ(GI)は、白いパン75・全粒粉パン74で、白米(73)とほぼ同じです
  • 追跡研究45本のまとめでは、全粒パンだけでなくパン全体でも、心血管の病気や死亡が少ない側でした(Aune 2016)
  • 日本の高山スタディでは、パン・麺は心血管の病気による死亡と関係がありませんでした(Wada 2022)
  • 一方、白いパンを多く食べる人で大腸がんがやや多いという報告はあります。ただし研究の数は少なく、白いパンが原因なのか、全粒のものが足りないのかは区別できていません(小麦粉とがんの記事)
  • 菓子パンは、パンの生地に砂糖・油脂・あんなどを加えたものです。研究の「精製穀物」には、ケーキ・ドーナツ・ピザなどのお菓子や加工食品が含まれていることが多く、小麦粉そのものの影響と切り分けるのは難しいとされています(小麦粉とがんの記事)

「パンは体に悪い」とひとくくりにできるデータは見つかりませんでした。違いが出るのは、全粒か白いものかと、何と一緒にどれだけ食べるかです。原材料の表示の読み方は、ウラヨミのパンの商品ページで確かめられます。

では小麦とどう付き合う?(研究で分かっている事実だけ)

研究で分かっていることを、事実だけ並べます。

  • 病気のない人がグルテンを避ける根拠は、研究では見つかりませんでした。避けると、食物繊維・ビタミンB群・全粒穀物が減りやすくなります
  • 全粒か精製かで結果は分かれます。全粒穀物は、糖尿病・心臓病・死亡が少ない側の結果が一貫しています。精製穀物は多くの研究で「関係なし」ですが、PURE 研究では1日350g 以上と非常に多い人たちで死亡が多くなっていました
  • 量:日本人の小麦は1日約100g、グルテンは4〜6g 程度の試算で、研究に出てくる国々より少なめです
  • 何と一緒に食べているか:やめられない食べ方と結びつくのは、脂質・砂糖・塩が多い加工食品でした。菓子パン・揚げもの・ピザと、うどんや全粒粉パンを、「小麦」でひとまとめにすると答えを間違えます
  • 小麦アレルギー・セリアック病の人は別です。医師の診断と指示に従います(小麦で起きる病気の記事)
  • 体の不調が続くときに、自分で小麦を抜く前に医師に相談するのは、セリアック病の検査が、グルテンを食べている状態でないと正しく出ないためです

この記事で紹介したもの(まとめ)

記事の中で紹介したものを、もう一度まとめました。理由や原材料は、それぞれの節に書いています。

紹介したもの 購入先
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まとめ

気になること 分かったこと
「小麦は体に悪い」はどこから? 米国の本『Wheat Belly』(2011年)・『Grain Brain』(2013年)・ジョコビッチ選手の本(2013年)。日本語版は2013〜2015年、国内の本は2016年ごろに相次いだ
現代の小麦は昔と別物? 品種改良でグルテンは増えていない(ドイツの60品種の比較など)。背の低い品種の元は日本の小麦農林10号。遺伝子組換えの小麦は日本で審査を通っていない
小麦に依存性はある? エクソルフィンは試験管とラットの話。人で依存を示した研究はない
小麦をやめるとどうなる? 痩せる? 健康な人の8週間ずつの試験で、低グルテンの期間は高グルテンの期間より体重が0.8kg 少なく、おなかの張りが軽くなったが、炎症の値は変わらず。グルテンだけ抜いた試験では体重に差なし。長期の試験はない
グルテンフリーのデメリットは? 食物繊維・ビタミンB群・全粒穀物が減りやすい。腸内の善玉菌とされる菌が減った試験も。米が増えるとヒ素が増える方向
糖尿病・心臓病は? グルテンが多い人ほど糖尿病が少なく、心臓病とは関係なし。全粒穀物は少ない側。日本で多い側の結果が出ているのは白米
認知症・うつ・自閉症・アトピー・花粉症は? 病気のない一般の人で「小麦をやめると治る」を示した確かな研究は見つからない
日本人の小麦は増えた? 50年ほぼ横ばい(90g → 102g/日)。半分以上は麺。グルテンは1日4〜6g 程度の試算
外国人は小麦をやめている? 米国でグルテンを避ける人は1.69%(2013〜14年)。米国人の小麦粉は今も日本人の2倍近く

参考にした資料

説の出どころ

  • 国立国会図書館サーチ(『小麦は食べるな!』日本文芸社 2013、『「いつものパン」があなたを殺す』三笠書房 2015・2021、『ジョコビッチの生まれ変わる食事』三五館 2015、ほか)
  • 原著:Perlmutter D, Loberg K. Grain Brain. Little, Brown and Company, 2013/Djokovic N. Serve to Win. Bantam Press(英国), 2013
  • Brouns FJ, et al. Does wheat make us fat and sick? J Cereal Sci 2013
  • Hammond C, Lieberman JA. Unproven diagnostic tests for food allergy. Immunol Allergy Clin North Am 2018(PMID 29132671)
  • Lis D, et al. Exploring the popularity, experiences, and beliefs surrounding gluten-free diets in nongluten athletes. Int J Sport Nutr Exerc Metab 2015(PMID 24901744)

現代の小麦・遺伝子組換え

依存性・GI

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  • Brouns F, Shewry PR. Do gluten peptides stimulate weight gain in humans? Nutr Bull 2022(PMID 35915782)
  • Schulte EM, et al. PLoS One 2015(PMID 25692302)
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グルテンを減らした試験・デメリット

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糖尿病・心臓病・死亡

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炎症・認知症・うつ・自閉症・皮膚・リウマチ・頭痛

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日本人と小麦・海外の動き

  • 厚生労働省「国民健康・栄養調査」(1975〜2024年、e-Stat)
  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」穀類
  • 農林水産省 東海農政局「小麦」、同「麦の需給に関する見通し」(令和8年3月)、同「食料需給表」
  • Kim HS, et al. JAMA Intern Med 2016(PMID 27598396)/Gallup「One in Five Americans Include Gluten-Free Foods in Diet」(2015年7月)/Golley S, et al. Public Health Nutr 2015(PMID 24739252)
  • 米国農務省 経済調査局の小麦粉の1人あたり供給量(2023年、業界紙の報道で確認)

(2026年10月8日確認)

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.08)。