データベース確認日 2026.09.28

ポストハーベスト農薬と輸入食品

ポストハーベスト農薬は、収穫した後の農産物に、貯蔵や長い輸送のあいだのかびや害虫を防ぐために使われる農薬です。輸入に頼る食品ほど、使われやすくなります。

日本は多くを輸入に頼っている

  • 小麦:自給率 約14%。アメリカ・カナダ・オーストラリアで輸入の約9割
  • 大豆・とうもろこし:ほとんどを輸入(アメリカ・ブラジルなど)
  • バナナ:フィリピン・エクアドルなどから。かんきつ類:アメリカ・南アフリカ・トルコなどから

日本ならではのルール

  • 収穫後に使う防かび剤は、日本では「農薬」ではなく「食品添加物」として扱われる。
  • そのため、バラ売りのレモンやバナナでも、使った防かび剤を売り場で表示する決まりがある。

使われる主な農薬

イマザリル

防かび剤(かんきつ類・バナナ)

日本では

日本では食品添加物(防かび剤)として扱われる。輸入農産物での検出割合 12.9%(厚労省 令和4年度)。

EU では

EU では農薬として承認され、残留基準値で管理されている。

チアベンダゾール(TBZ)

防かび剤(かんきつ類・バナナ)

日本では

日本では食品添加物(防かび剤)。東京都の検査(令和5年度)で、輸入オレンジ5検体から0.27〜0.96ppm、レモン5検体から0.05〜0.41ppm(いずれも基準値10ppm以内)。

EU では

EU では農薬として承認されている。

オルトフェニルフェノール(OPP)

防かび剤(かんきつ類)

日本では

日本では食品添加物(防かび剤)。輸入農産物での検出割合 5.1%(厚労省 令和4年度)。

EU では

EU では食品添加物としては認められず、農薬として残留基準値で管理されている。

フルジオキソニル

防かび剤(かんきつ類など)

日本では

日本では収穫後に使うと食品添加物(防かび剤)、畑で使うと農薬の扱いになる。輸入農産物での検出割合 6.8%。

EU では

EU では農薬として承認されている(2027年9月まで)。

グリホサート(収穫前散布)

除草剤(小麦・大豆など)

日本では

北米などでは、収穫の1〜2週間前に散布して作物を枯らし、収穫をそろえる使い方(プレハーベスト)がある。小麦の残留基準値は30ppm(2017年に引き上げ)。

EU では

EU の小麦の残留基準値は10ppm。

マラチオン・ピリミホスメチル・クロルピリホスメチル

殺虫剤(貯蔵中の小麦・とうもろこしなど)

日本では

貯蔵や輸送中の害虫を防ぐために、収穫後の穀物に使われる。

EU では

クロルピリホスメチルは、EU では2020年に承認が失効した。

臭化メチル(くん蒸)

くん蒸剤(輸入時の検疫)

日本では

輸入農産物で検出割合がもっとも高いのは、くん蒸に由来する「臭素」(厚労省 令和4年度:20.4%)。乾燥デーツなどから検出されている。

EU では

EU では、オゾン層保護のため使用が認められていない。

パンや小麦粉のグリホサート

公的検査と民間の検査を分けて紹介します

公的検査

  • 厚労省の輸入農産物の検査で、グリホサートは検査122件中18件(14.8%)で検出(令和4年度)。
  • 検出された輸入小麦は、いずれも日本の基準値(30ppm)以内とされている。

民間団体の検査(参考)

  • 農民連食品分析センターは2019年、市販の食パン15製品中11製品から0.05〜0.18ppm を検出したと公表。全粒粉のパンで高めだった。
  • 同センターの調査では、国産小麦100%や有機小麦のパン、学校給食の国産小麦・米粉パンからは検出されなかった。

民間団体の検査は、検査方法や製品の選び方が公的検査と異なります。傾向をつかむための参考としてご覧ください。

家庭でできること

  • かんきつ類の防かび剤は、皮に多く残る。研究では残留の74〜90%が皮の表面に集まり、果肉まで移るのはわずか(イマザリルで約6%)とされている。
  • 輸入のレモンやオレンジの皮を料理に使う(マーマレード、レモンピール、皮ごとのスライス)ときは、国産や防かび剤不使用のものを選ぶと安心。
  • 小麦製品は、国産小麦や有機小麦を使ったものを選ぶと、グリホサートを避けやすい。
  • 売り場の表示(「防かび剤(イマザリル)使用」など)を確認する。
公的検査で検出されたものは、ほとんどが日本の基準値の範囲内です。ここでは、輸入食品で何が使われやすいか、日本と EU で扱いがどう違うかを、選ぶための判断材料として紹介しています。

出典

  • 厚生労働省『令和4年度 食品中の残留農薬等検査結果』
  • 東京都『令和4年度・5年度 輸入農産物等の残留農薬検査結果』
  • 消費者庁 食品表示基準(防かび剤の表示)、米農務省(USDA)日本の防かび剤表示ガイド
  • EU Pesticides Database、EUR-Lex(残留基準値)
  • 農民連食品分析センター(民間の検査・参考)
  • 食品の加工・調理と残留農薬に関するレビュー論文

最終確認日 2026.09.28(Gemini Notebook に資料を集めて照合)。