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データベース32品・4種類・解説9本確認日 2026.10.03

食品の重金属データベース

食品に含まれる水銀・ヒ素・カドミウム・鉛が、どの食品にどれだけあり、国や国際機関がどう評価しているかを、公的機関・法令・論文の数字だけで並べたデータベースです。食品ごとの濃度、日本・Codex・EU の基準、耐容摂取量、日本人の摂取量の50年を載せています。「危険」「安全」とは断定せず、数字と、その限界を並べます。

いまわかっていること

  • 日本人の食事からの摂取量は、1977年からの調査で下がっています。鉛は約96%減(約100→約4 μg/人/日)、カドミウムは半分以下、総水銀は約3分の1(15.0→5.04 μg/人/日)です。総ヒ素は2007年以降増え、無機ヒ素はほぼ一定です(日本人の重金属摂取の50年)。
  • 金属ごとに、主な入り口が違います。水銀は魚介類(摂取の90.0%)、無機ヒ素は米(約7割)とひじき、カドミウムは米(約3割)と魚介類の内臓です。鉛は食品のほとんどが定量下限未満で、水道・器・缶・スパイスなど食べ物以外の入り口があります。
  • 2024年の摂取量を耐容量と並べると、比が1を超えるのは無機ヒ素だけ(1.28〜1.80)です。ただし日本の食品安全委員会は、無機ヒ素と鉛の耐容量を設定しておらず、物差しの選び方で結論が変わります。

数字を読むときに

  • 形態と状態を確かめてください。総ヒ素と無機ヒ素、総水銀とメチル水銀、乾燥ひじきと水戻し後では、数字が桁で違います。濃度は mg/kg(=ppm)の湿重量にそろえ、そうでないものは注記しています。
  • 基準値は、安全と危険の線ではありません。日本に基準がない食品は「基準を超えた」とは言えず、耐容量も機関ごとに根拠が違います(水銀は週3.4〜1.3 μg/kg)。同じ摂取量が、物差しによって29%にも81%にも見えます(日本と海外の基準の違い)。
  • 調査年と検体数に限りがあります。魚介類の水銀は平成20年度までの集計、魚介類のカドミウムは平成9〜14年度の調査で、検体が数件の食品は平均が不安定です。日本の公的データが見つからなかった食品は、数字を載せず、見つからなかったと書いています。
食品からの水銀・ヒ素・カドミウム・鉛の主な入り口を比べた図。水銀は魚介類から入り、摂取量の90.0%(2024年)。心配されているのはメチル水銀で、魚介類の水銀の74.4%がこの形。総水銀の摂取量は1977〜78年の15.0から2024年の5.04μg/人/日へ。日本には耐容量があり、週2.0μg/kg体重(食品安全委員会、2005年、妊娠している人・妊娠の可能性のある人)。ヒ素は、無機ヒ素の約7割が米で、次いで野菜・海藻(ひじきなど)。心配されているのは無機ヒ素で、魚介類・海藻のヒ素の多くは有機ヒ素。無機ヒ素は2014年以降14〜23μg/人/日でほぼ一定。食品安全委員会は耐容量を設定していない。カドミウムは米が摂取の約3割で、魚介類は内臓に多い。摂取量は1970年代後半の約46から2024年の13.4μg/人/日へ。耐容量は週7μg/kg体重。鉛は食品のほとんどが定量下限未満で、水道・器・缶・スパイスなど食べ物以外の入り口もある。摂取量は約100から3.96μg/人/日へ約96%減。食品安全委員会は耐容量を設定していない。2024年に比が1を超えるのは無機ヒ素だけ(1.28〜1.80)。
図:4つの金属の主な入り口(国立医薬品食品衛生研究所ほか トータルダイエットスタディ 令和6年度報告、食品安全委員会、農林水産省をもとに作成)

よくある疑問の解説

公的機関の資料と論文からわかることだけを整理

ひじきは食べないほうがいい?乾燥ひじきの無機ヒ素、農水省の調理の試験(水戻し・ゆでこぼし)、英国など各国の「避ける」という勧告と日本の見解を、公的資料の数字で並べます。妊娠中の魚はどれだけ?厚労省の「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」の16種の目安量と、その計算のしかた、マグロとツナ缶の分け方、魚を食べる利点との比較を、公的資料の数字で整理します。玄米・白米のヒ素とカドミウム農水省が測った国産米のヒ素とカドミウム、玄米と白米の差、洗米・炊き方で減る割合、日本と海外の基準の違いを、公的資料と研究の数字で整理します。離乳食・ベビーフード・粉ミルク農水省が2023年度に測った乳幼児用食品180点の鉛・カドミウム・ヒ素・水銀と、EU・Codex・米国の基準、米を原料にした食品の注意を、公的資料の数字で整理します。家庭で減らす調理減少率が試験で示されているのはひじきと米です。示されていないもの・減らないものも含めて、公的資料と研究の数字だけを並べます。日本と海外の基準の違い日本にある基準、Codex(国際食品規格)とEUの基準、耐容摂取量の物差しを、一つの表に並べます。「基準なし」は、調べた範囲で見つかっていないという意味です。日本人の重金属摂取の50年厚労科研のトータルダイエットスタディ(1977年〜)で、日本人の平均的な食事からの鉛・カドミウム・水銀・ヒ素の摂取量がどう変わったかを、耐容量との比とあわせて見ます。鉛:水道・器・缶・スパイス日本人の食事からの鉛は約96%減り、食品の多くは定量下限未満です。一方で、水道の鉛管・陶磁器・缶詰・スパイスなど、食べ物以外の入り口があります。公的資料の数字で整理します。デトックス・キレーションは効く?「重金属を排出する食べ物・サプリ・療法」について、FDA・厚労省・臨床試験が示していることと、見つからなかったことを、公的機関と研究だけで整理します。

金属ごと

形のちがい、体への影響、耐容摂取量、日本人の摂取量、歴史

食品ごとの値

名前を押すと、測った値・基準値・家庭で減らす方法のページへ

魚11品

マグロ・カジキ・キンメダイなど、食物連鎖の上のほうにいる大きな魚ほどメチル水銀が多い

貝・イカ・カニ3品

身(筋肉)は低く、内臓(ホタテのうろ・イカの肝・カニみそ)にカドミウムが集まる

海藻4品

ひじきは無機ヒ素が多い。昆布・わかめ・のりのヒ素は大半が有機ヒ素

米・穀物・豆4品

日本人の無機ヒ素とカドミウムの最大の入り口は米

野菜・いも・茶3品

大半は定量下限に近い低い値。皮や茶葉など部位で違う

乳幼児の食品2品

ベビーフードと粉ミルク。体重あたりの摂取量が大人より多くなりやすい

そのほか5品

チョコレート・スパイス・缶詰・水道水・肉

主な食品×金属の基準値(日本・Codex・EU)

mg/kg。「なし」は、調べた範囲で見つかっていないという意味です。Codex は農水省のページの抜粋、EU は規則2023/915の初版(その後改正あり)で確認しました。解説は日本と海外の基準の違い。

食品金属日本CodexEU(規則2023/915)
精米カドミウム0.4(玄米・精米)0.40.15
精米無機ヒ素なし0.20.15(パーボイル米を除く)
玄米無機ヒ素なし0.350.25(パーボイル米も)
米菓無機ヒ素なし—0.30
乳幼児用の米無機ヒ素なし—0.10
魚介類水銀総水銀0.4・メチル水銀0.3(暫定的規制値。マグロ類・河川産・深海性魚介類等は適用しない)メチル水銀0.5(高次捕食魚は1)0.50(マグロ・サメ・メカジキなど1.0、イカ・サバ・サケなど0.30)
魚(筋肉)鉛なし0.30.30
魚(筋肉)カドミウムなし—0.050(サバ・マグロ類0.10、メカジキ・イワシ0.25)
葉菜類鉛なし0.3(ホウレンソウを除く)0.30
ほうれんそうカドミウムなし0.2(葉菜類)0.20
小麦カドミウムなし0.20.10(穀類一般)
ココア粉末カドミウムなし2.00.60(消費者向け)
チョコ(カカオ固形分50%以上)カドミウムなし0.8(50〜70%)・0.9(70%以上)0.80
乳児用調製乳鉛なし0.010.020(粉末)/0.010(液状)
乾燥スパイス(樹皮)鉛なし2024年から順次採択(数値は CXS 193 で確認中)2.0(根・根茎1.50)
果実ジュース鉛検出されてはならない(清涼飲料水)0.030.030
水道水鉛0.01 mg/L(水道法の水質基準)——
ミネラルウォーター類鉛0.05 mg/L(食品衛生法)0.01 mg/L(ナチュラルミネラルウォーター)—

水銀の Codex は、1991年のガイドライン(メチル水銀0.5、高次捕食魚1)です。Codex は2022年に捕食魚6種の最大基準値(マグロ1.2など)も採択していますが、原文を確認できていません。スパイスの鉛は、日本には基準がなく、EU が置いています。Codex は2024年から乾燥スパイスの鉛の基準を順次採択しています(樹皮・料理用ハーブは2025年の部会で承認、総会での最終採択は今後)。

2024年の4金属の摂取量と、耐容量との比

日本人の平均的な食事からの推定摂取量(トータルダイエットスタディ、体重55kg)を、機関ごとの耐容量と並べた表です。比は摂取量÷耐容量で、1を超えるとその物差しの耐容量を上回ります。解説は日本人の重金属摂取の50年。

日本人の4つの金属の摂取量の推移(1978〜2024年) 国立医薬品食品衛生研究所ほかのトータルダイエットスタディ(令和6年度報告)の図4から読み取った概算値。 総水銀 0 4 8 12 16 1980 1990 2000 2010 2020 2024: 5.06 1978: 15 μg/人/日 カドミウム 0 15 30 45 60 1980 1990 2000 2010 2020 2024: 13.4 1978: 46 μg/人/日 鉛 0 30 60 90 120 1980 1990 2000 2010 2020 2024: 4.03 1978: 100 μg/人/日 総ヒ素 0 100 200 300 400 1980 1990 2000 2010 2020 2024: 218 1978: 280 μg/人/日
日本人の総水銀・カドミウム・鉛・総ヒ素の摂取量の推移(μg/人/日)。国立医薬品食品衛生研究所ほかのトータルダイエットスタディ(令和6年度報告)の図4から読み取った概算値
金属推定摂取量比べた物差し比・余裕
無機ヒ素0.39 μg/kg/日(21.2 μg/人/日)米国 EPA の RfD 0.3 μg/kg/日、EFSA 2005 の暫定 TWI 1.5 μg/kg/週、JECFA の BMDL0.5 3.0 μg/kg/日比 1.28〜1.80(EPA・EFSA 2005 の物差し)。JECFA の BMDL0.5 に対する余裕(MOE)は7.8。日本の食品安全委員会は耐容量を設定していない
カドミウム0.24 μg/kg/日(13.4 μg/人/日)食品安全委員会の TWI 7、EFSA の TWI 2.5、JECFA の PTMI 25 μg/kg/月比 0.24〜0.68
メチル水銀0.067 μg/kg/日(魚介・肉卵・米の群のみ。総水銀は5.04 μg/人/日)食品安全委員会の TWI 2.0、JECFA の1.6、EFSA の1.3 μg/kg/週比 0.24〜0.36
鉛0.072 μg/kg/日(3.96 μg/人/日。1〜6歳は0.182 μg/kg/日)耐容量なし。EFSA 2010 の BMDL01 0.50(発達神経毒性)・1.50(血圧)、BMDL10 0.63(腎)参照点との余裕(MOE)は、全年齢の平均で約7〜21倍、1〜6歳で約2.7〜8倍(ウラヨミの計算。0.50 は子どもの発達神経毒性、1.50・0.63 は大人の血圧・腎の参照点)

出典は厚労科研 令和6年度報告書の Table 9(鉛の余裕は、同じ表の摂取量と EFSA 2010 の参照点からウラヨミが割り算した値)。物差しの選び方で比が変わります。無機ヒ素の耐容量を設定していない日本の食品安全委員会は、通常の食生活で健康影響を示すデータはなく現状に問題があるとは考えていない、としています。

重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。