食品の重金属データベースそのほか確認日 2026.10.03
チョコレート・ココアのカドミウム・鉛
国立医薬品食品衛生研究所が、インターネット通販または東京近郊のスーパーで買ったチョコレート180点とココア粉末140点のカドミウムを調べました(2015年4月〜2016年8月に購入)。チョコレートは平均0.20・最大2.3 mg/kg、ココア粉末は平均0.32・最大1.8 mg/kg です。EU の上限を当てはめると、超えるのはチョコレート4.4%、ココア粉末18.6%でした。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| カドミウム | 総カドミウム・チョコレート全体(ミルク・ダーク・ホワイト) | 0.20(中央値0.12) | 0.00021〜2.3 | 180点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・ダークチョコレート | 0.25(中央値0.15) | 0.025〜2.3 | 140点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・ミルクチョコレート | 0.043(中央値0.023) | 0.012〜0.31 | 35点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・ホワイトチョコレート | 0.00059(中央値0.00028) | 最大0.0016(全点が定量下限未満) | 5点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・ココア粉末 | 0.32(中央値0.16) | 0.015〜1.8 | 140点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・チョコレート(表示のカカオ固形分 50%未満) | 0.040(中央値0.023) | 最大0.18 | 23点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・チョコレート(カカオ固形分 50〜70%未満) | 0.17(中央値0.12) | 最大0.74 | 41点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・チョコレート(カカオ固形分 70〜80%未満) | 0.32(中央値0.19) | 最大2.3 | 55点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
| カドミウム | 総カドミウム・チョコレート(カカオ固形分 80%以上) | 0.28(中央値0.25) | 最大0.71 | 21点 | 国立医薬品食品衛生研究所 2015〜16年購入 |
単位は mg/kg(=ppm)。インターネット通販または東京近郊のスーパーで買った市販品(2015年4月〜2016年8月)の調査で、ランダム抽出の全国調査ではありません(ブランド名・産地は不明)。カカオ固形分の区分は表示にもとづき、合計は140点(ミルク・ダークの一部)です。鉛の日本の調査は見つかりませんでした。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(食品衛生法) | カドミウム・鉛とも基準なし | — |
| Codex(国際基準) | カドミウム チョコレート:カカオ固形分30%未満 0.3、30〜50%未満 0.7、50〜70%未満 0.8、70%以上 0.9/ココア粉末 2.0 | Codex のページは「チョコレート製品の基準値は検討中」とも書き、表には値があります。採択年は確認できていません |
| EU(規則 2023/915) | カドミウム チョコレート:カカオ固形分30%未満のミルクチョコレート 0.10、50%未満(またはミルクチョコレート30%以上)0.30、50%以上 0.80/ココア粉末 0.60(消費者向け) | — |
知っておきたいこと
- 同じカカオ分でも製品によって桁が違います。チョコレート全体の最小0.00021と最大2.3は約1万倍、ココア粉末の最小0.015と最大1.8は約100倍の開きがあります。最大の2.3は、カカオ分70%台のダークチョコレートでした。
- 表示のカカオ固形分が高いほど中央値は上がります(50%未満0.023→50〜70%0.12→70〜80%0.19→80%以上0.25)が、相関は弱いと報告されています。「カカオ分が高い=カドミウムが高い」とは言い切れません。
- EU の上限を当てはめると超えるのは、チョコレート8点(4.4%)、ココア粉末26点(18.6%)でした。日本に基準はないので、法的な違反という意味ではありません。
- 摂取への寄与は小さいという評価もあります。JECFA(2021年)は、ココア製品が全体の摂取量に占める平均の寄与を0.1〜9.4%としています(日本の値ではありません)。
- 計算例です(体重55.1 kg、吸収率は考えない)。調査の平均0.32でチョコレート25 gなら8 μg で、食品安全委員会の耐容週間摂取量(7 μg/kg体重/週=週386 μg)の約2%です。調査の最大2.3なら57.5 μg で約15%、EFSA の2.5 μg/kg体重/週を物差しにすると約42%です。耐容量は長期の平均の目安で、1回の食事でこの割合を超えても直ちに問題になるわけではありません(消費者庁)。
- 鉛は、日本のチョコレート・ココアの調査値が見つかりませんでした。米国の民間団体 Consumer Reports(2022年12月)は、ダークチョコレート28製品のうち23製品が「1オンスで」カリフォルニア州の1日摂取量の目安(鉛0.5 μg、カドミウム4.1 μg)のいずれかを超えたと報告しています。民間の試験で、物差しは食品の規制値ではありません。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- Kataoka Y ほか. 食品衛生学雑誌 2018;59(6):269-274(国内市販のチョコレート・ココアのカドミウム)
- WHO JECFA データベース「カドミウム」
- 農水省「食品中のカドミウムの国際基準」(Codex)
- EU 規則 2023/915(食品中の汚染物質の最大基準値)
- 食品安全委員会「カドミウムの食品健康影響評価(概要)」
- 消費者庁「食品中のカドミウムに関する Q&A」
- Consumer Reports「ダークチョコレートの検査」(2022年12月。民間の試験、二次報道で確認)
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。