食品の重金属データベース貝・イカ・カニ確認日 2026.10.03
イカ・イカの塩辛のカドミウム・水銀
スルメイカは、身(筋肉)のカドミウムが平均 0.25 ppm(農水省、300点)と低い一方、内臓は平均 15 ppm(最大48)と、約60倍でした。内臓を使う加工品のイカの塩辛は、市販品で平均 2.63 ppm(最大9.9)です。消費者庁は、通常の食生活で悪影響の可能性は低いが、同じ食品を毎日たくさん食べ続ける偏食に注意、としています。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| カドミウム | スルメイカ・筋肉 | 0.25(中央値0.22) | 0.03〜1.0 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | スルメイカ・内臓 | 15(中央値14) | 1.7〜48 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | スルメイカ・可食部(内臓を除く) | 0.29 | 0.03〜1.30 | 56点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | スルメイカ・肝臓 | 33.90 | 6.60〜96.00 | 41点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | コウイカ・可食部(内臓を除く) | <0.01 | 最大0.01 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | イカ塩辛 | 2.63 | 0.09〜9.9 | 30点 | 農水省 2002年度(塩辛) |
| カドミウム | イカ塩辛(黒づくり) | 3.26 | 1.40〜6.5 | 5点 | 農水省 2002年度(塩辛) |
| 水銀 | スルメイカ・総水銀 | 0.054 | 最大0.170 | 141点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
単位は mg/kg(=ppm)。カドミウムは総カドミウムで、魚介の湿重量とみられます(資料に明記なし)。塩辛は市販品をペースト状にして測った値です。水銀は総水銀です。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(カドミウム) | 魚介類の基準値なし | 食品衛生法のカドミウムの基準は、米(玄米・精米 0.4 mg/kg 以下)と、ミネラルウォーター類(0.003 mg/L)だけです。米以外は、基準を作っても摂取を減らす効果が小さいとして設けず、生産段階の対策と実態調査で対応する方針です(消費者庁)。 |
| Codex(カドミウム) | 頭足類 2 mg/kg(内臓を除く) | 内臓や塩辛には当てはまりません。 |
| EU(カドミウム) | 頭足類 1.0 mg/kg(内臓を除く) | 規則(EU)2023/915 の値です。内臓や塩辛には当てはまりません。 |
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。マグロ類、河川産の魚介類(湖沼産を除く)、深海性魚介類などは適用除外で、それ以外の魚介類が対象です。 |
| EU(水銀) | 頭足類 0.30 mg/kg | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。 |
知っておきたいこと
- 身と内臓で、カドミウムの濃さがまったく違います。スルメイカは、農水省の平成22年度の調査(各300点)で、筋肉が平均 0.25 ppm(最大1.0)、内臓が平均 15 ppm(最大48)でした。平成9〜14年度の調査でも、可食部が平均 0.29、肝臓が平均 33.9(最大96)です。調べ方が違うので、2つの調査の内臓の値は並べられません。
- 消費者庁は、貝類・イカ・タコなどの軟体動物と、エビ・カニなどの甲殻類の内臓にカドミウムの高いものがあり、これらを原料にした塩辛類の一部も比較的高いと説明しています。古くから食べられてきた食品で、通常の食生活で悪影響の可能性は低い、同じ食品を毎日たくさん食べ続ける偏食に注意、としています。
- Codex の頭足類 2、EU の頭足類 1.0(いずれも内臓を除く)と比べると、スルメイカの筋肉の平均 0.25 は低く、最大 1.0 も EU の上限と同じ値です。ただし、この基準は内臓を除いた身が対象で、内臓や塩辛には当てはまりません。日本には基準がなく、国内の調査は基準に照らして判定したものではありません。
- 日本人のカドミウム摂取量(2022年)は週 2.03 μg/kg 体重で、食品安全委員会の耐容量(週7)の約29%、EFSA の耐容量(週2.5)の約81%にあたります。物差しの根拠が違うためです。コウイカの身は <0.01(15点)と、イカの種類でも差があります。→ カドミウムのページ
- 水銀は低めで、スルメイカの総水銀の平均は 0.054 ppm(141点)です。厚労省の献立例でも、イカは注意が必要ないものに入っています。国内14地域のアンケートで、イカを「よく食べる」人は47.0%でした。
- 古い単発の報告(1983年、乾燥重量)では、スルメイカの筋肉の総ヒ素は 17.2、無機ヒ素は 0.00 でした。調べた検体数は不明で、現在の流通品とは違うかもしれません。
- カドミウムの魚介類の調査は平成9〜14年度と平成22年度のもので、今の流通品とは違うかもしれません。魚介の個別の採取年は、資料に書かれていません。
家庭で減らす方法(試験で示されたこと)
- スルメイカの筋肉と内臓では、平均で約60倍違います(0.25 と 15 ppm、農水省 平成22年度)。濃度の面では、内臓を食べない・量を控えることがもっとも効きます。ただし、公的機関が「食べるな」と言っているわけではなく、消費者庁は「バランスの良い食生活」を求めています。
- 調理(ゆでこぼしなど)でカドミウムが減る割合を示した公的な試験は、見つかりませんでした。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 農林水産省「有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成15〜22年度)」
- 農林水産省「国内農畜水産物に含まれるカドミウムの実態調査データ・魚介類」(平成9〜14年度)
- 消費者庁「米に含まれるカドミウム」に関する Q&A
- 食品安全委員会 カドミウム 食品健康影響評価の概要
- 農林水産省「食品中のカドミウムに関する国際基準値」(Codex)
- 欧州委員会 規則(EU)2023/915(食品中の汚染物質の最大基準値)
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」Q&A
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。