食品の重金属データベース貝・イカ・カニ確認日 2026.10.03
ホタテ・カキ・アワビ・サザエのカドミウム・水銀
ホタテ・カキ・アワビ・サザエなどの貝は、身より内臓のカドミウムがずっと高い傾向があります。農水省の平成22年度の調査(各300点)では、ホタテの貝柱が平均 0.45 ppm、うろ(中腸腺)が平均 33 ppm で、カキの身は平均 0.43 ppm でした。水銀は、ホタテ 0.009 ppm、カキ類 0.007 ppm と低い値です。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| カドミウム | ホタテ・貝柱 | 0.45(中央値0.32) | <0.03〜1.6 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | ホタテ・うろ(中腸腺) | 33(中央値31) | 7.3〜68 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | ホタテ・生殖腺 | 2.2(中央値2.1) | 0.59〜6.0 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | マガキ・可食部 | 0.43(中央値0.29) | 0.15〜1.3 | 300点 | 農水省 平成22年度 |
| カドミウム | ホタテ・可食部 | 0.12 | 0.01〜0.51 | 57点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ホタテ・うろ | 5.80 | 1.30〜16.00 | 72点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | マガキ・可食部 | 0.30 | 0.10〜0.68 | 45点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | アワビ・筋肉 | 0.04 | 0.02〜0.07 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | アワビ・内臓 | 3.11 | 2.20〜5.60 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | サザエ・筋肉 | 0.05 | <0.01〜0.10 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | サザエ・内臓 | 4.65 | 1.20〜9.50 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| 水銀 | ホタテ・総水銀 | 0.009 | 最大0.110 | 234点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | カキ類・総水銀 | 0.007 | 最大0.280 | 388点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
単位は mg/kg(=ppm)。カドミウムは総カドミウムで、湿重量とみられます(資料に明記なし)。水銀は総水銀です。平成22年度の調査の「うろ」はホタテの中腸腺、平成9〜14年度のホタテの可食部は、殻とウロ(中腸腺)を除くすべて(貝柱以外の部位を含む)です。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(カドミウム) | 魚介類の基準値なし | 食品衛生法のカドミウムの基準は、米(玄米・精米 0.4 mg/kg 以下)と、ミネラルウォーター類(0.003 mg/L)だけです。米以外は、基準を作っても摂取を減らす効果が小さいとして設けず、生産段階の対策と実態調査で対応する方針です(消費者庁)。 |
| Codex(カドミウム) | 二枚貝 2 mg/kg(カキ・ホタテを除く) | カキとホタテは、この値の対象外です。 |
| EU(カドミウム) | 二枚貝 1.0 mg/kg | 規則(EU)2023/915 の値です。 |
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。マグロ類、河川産の魚介類(湖沼産を除く)、深海性魚介類などは適用除外で、それ以外の魚介類が対象です。 |
| EU(水銀) | 魚介類一般 0.50 mg/kg | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。貝類は1.0・0.30 のリストに載っておらず、魚介類一般に入ると読めます。 |
知っておきたいこと
- 身(貝柱・筋肉)は内臓より低い傾向があります。ホタテは、平成22年度の調査で貝柱が平均 0.45 ppm、うろが平均 33 ppm(約70倍)でした。アワビは筋肉 0.04 に対し内臓 3.11、サザエは筋肉 0.05 に対し内臓 4.65 です(平成9〜14年度)。
- 消費者庁は、貝類・イカ・タコなどの軟体動物と、エビ・カニなどの甲殻類の内臓にカドミウムの高いものがあるとしつつ、古くから食べられてきた食品で、通常の食生活で悪影響の可能性は低い、同じ食品を毎日たくさん食べ続ける偏食に注意、と説明しています。
- 同じホタテでも、調査によって値が違います。平成9〜14年度の可食部は平均 0.12(57点)、平成22年度の貝柱は平均 0.45(300点)で、うろも 5.80 と 33 でした。調査の年・産地・部位の定義が違いますが、資料に理由の説明はありません。
- カキの身(可食部)は、平成22年度の調査で平均 0.43、最大 1.3 でした。EU の二枚貝の上限(1.0)を上回る試料もありますが、日本にはこの基準がなく、国内の調査は EU の基準に照らして判定したものではありません。中央値は 0.29 です。
- Codex の二枚貝の値(2 mg/kg)は、カキ・ホタテを除いたものです。日本には貝類のカドミウムの基準がありません。→ 日本と海外の基準の違い
- 水銀は低く、ホタテ 0.009 ppm(234点)、カキ類 0.007 ppm(388点)、アサリ 0.008 ppm(254点)です。ヒ素は、古い単発の報告(1983年、乾燥重量)で、サザエの筋肉が総ヒ素 15.0、無機ヒ素 0.02、アサリが総ヒ素 17.5、無機ヒ素 0.05 でした。湿重量の値ではありません。
- 日本人のカドミウム摂取量(2022年)は週 2.03 μg/kg 体重で、食品安全委員会の耐容量(週7)の約29%、EFSA の耐容量(週2.5)の約81%です。国内14地域のアンケートで、貝類を「よく食べる」人は24.8%でした。→ カドミウムのページ
家庭で減らす方法(試験で示されたこと)
- ホタテの貝柱とうろでは、平均で約70倍違います(0.45 と 33 ppm、平成22年度)。濃度の面では、うろなど内臓を食べない・量を控えることがもっとも効きます。ただし、公的機関が「食べるな」と言っているわけではありません。
- 調理でカドミウムが減る割合を示した公的な試験は、見つかりませんでした。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 農林水産省「有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成15〜22年度)」
- 農林水産省「国内農畜水産物に含まれるカドミウムの実態調査データ・魚介類」(平成9〜14年度)
- 消費者庁「米に含まれるカドミウム」に関する Q&A
- 食品安全委員会 カドミウム 食品健康影響評価の概要
- 農林水産省「食品中のカドミウムに関する国際基準値」(Codex)
- 欧州委員会 規則(EU)2023/915(食品中の汚染物質の最大基準値)
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 食品安全委員会 資料3「日本人の無機ヒ素曝露に関する知見」(Shinagawaら 1983年の報告を収録)
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。