食品の重金属データベース貝・イカ・カニ確認日 2026.10.03
カニ・カニみそのカドミウム・水銀
カニの身(筋肉)のカドミウムは、ケガニで平均 0.08 ppm、ベニズワイガニで 0.16 ppm と低めです。一方、カニみそ(内臓)は、ケガニで平均 1.99 ppm、ベニズワイガニの内臓で平均 11.74 ppm と、身より高い値でした。ズワイガニ・タラバガニのカドミウムの調査値は、見つかりませんでした。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| カドミウム | ケガニ・筋肉 | 0.08 | 0.02〜0.17 | 30点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ケガニ・みそ | 1.99 | 0.79〜3.50 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ベニズワイガニ・筋肉 | 0.16 | 0.04〜0.48 | 30点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ベニズワイガニ・内臓 | 11.74 | 2.30〜23.0 | 15点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ガザミ(ワタリガニ)・筋肉 | 0.07 | <0.01〜0.29 | 30点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| カドミウム | ガザミ(ワタリガニ)・みそ | 0.69 | 0.09〜1.90 | 30点 | 農水省 平成9〜14年度 |
| 水銀 | ズワイガニ・総水銀 | 0.070 | 0.010〜0.180 | 15点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ベニズワイガニ・総水銀 | 0.302 | 0.130〜0.500 | 10点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ベニズワイガニ・メチル水銀 | 0.194 | 0.080〜0.300 | 10点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
単位は mg/kg(=ppm)。カドミウムは総カドミウムで、湿重量とみられます(資料に明記なし)。水銀は総水銀とメチル水銀で、検体数が10〜15点と少ない調査です。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(カドミウム) | 魚介類の基準値なし | 食品衛生法のカドミウムの基準は、米(玄米・精米 0.4 mg/kg 以下)と、ミネラルウォーター類(0.003 mg/L)だけです。米以外は、基準を作っても摂取を減らす効果が小さいとして設けず、生産段階の対策と実態調査で対応する方針です(消費者庁)。 |
| Codex(カドミウム) | 甲殻類の値は確認できませんでした | — |
| EU(カドミウム) | 甲殻類 0.50 mg/kg(脚と腹の筋肉。カニは脚の筋肉) | 規則(EU)2023/915 の値です。頭胸部(カニみそ)は対象の部位に含まれません。 |
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。ベニズワイガニは、深海性魚介類として適用除外とされています。 |
| EU(水銀) | 甲殻類 0.50 mg/kg(脚と腹の筋肉。カニは脚の筋肉) | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。 |
知っておきたいこと
- 身と内臓で、カドミウムの濃さが違います。ケガニはみそが筋肉の約25倍(1.99 と 0.08)、ベニズワイガニは内臓が筋肉の約70倍(11.74 と 0.16)、ガザミ(ワタリガニ)はみそが筋肉の約10倍(0.69 と 0.07)でした(平均、農水省 平成9〜14年度)。
- 消費者庁は、貝類・イカ・タコなどの軟体動物と、エビ・カニなどの甲殻類の内臓にカドミウムの高いものがあるとしつつ、古くから食べられてきた食品で、通常の食生活で悪影響の可能性は低い、同じ食品を毎日たくさん食べ続ける偏食に注意、と説明しています。
- EU の甲殻類の上限(0.50)は、脚と腹の筋肉が対象で、カニは脚の筋肉です。カニみそ(内臓)は対象の部位ではありません。ベニズワイガニの内臓は最大 23 ppm、ガザミのみそは最大 1.90 ppm と、種類で幅があります。→ 日本と海外の基準の違い
- 水銀は、ズワイガニの総水銀の平均が 0.070 ppm(15点)、ベニズワイガニが 0.302 ppm(10点、メチル水銀 0.194)でした。ベニズワイガニは暫定的規制値(総水銀 0.4)の適用除外とされる深海性魚介類にあたり、検体数も少ないため、傾向は言い切れません。
- 日本人のカドミウム摂取量(2022年)は週 2.03 μg/kg 体重で、食品安全委員会の耐容量(週7)の約29%、EFSA の耐容量(週2.5)の約81%です。国内14地域のアンケートで、カニを「よく食べる」人は15.4%でした。→ カドミウムのページ
- カニみそ以外の加工品の日本の公的な調査値は見つかりませんでした。魚介類の調査は平成9〜14年度のもので、今の流通品とは違うかもしれません。
家庭で減らす方法(試験で示されたこと)
- ケガニの筋肉とみそでは、平均で約25倍違います(0.08 と 1.99 ppm)。濃度の面では、みそなど内臓を食べない・量を控えることがもっとも効きます。ただし、公的機関が「食べるな」と言っているわけではありません。
- 調理でカドミウムが減る割合を示した公的な試験は、見つかりませんでした。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 農林水産省「国内農畜水産物に含まれるカドミウムの実態調査データ・魚介類」(平成9〜14年度)
- 消費者庁「米に含まれるカドミウム」に関する Q&A
- 食品安全委員会 カドミウム 食品健康影響評価の概要
- 欧州委員会 規則(EU)2023/915(食品中の汚染物質の最大基準値)
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 欧州委員会 規則(EU)2022/617(食品中の水銀の最大基準値)
- 農林水産省「魚介類の水銀の暫定的規制値」
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。