食品の重金属データベース魚確認日 2026.10.03
サバの水銀・ヒ素
サバ(マサバ)は、国内の集計で総水銀の平均が 0.151 ppm(212点)と低めの魚です。厚労省は、サバを「注意が必要ないもの」の例に挙げています。ヒ素は、福岡市で買ったサバの総ヒ素が 1.5〜2.7 ppm ですが、魚の筋肉の無機ヒ素は総ヒ素の0〜4%と整理されています。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水銀 | マサバ・総水銀 | 0.151 | 最大0.600 | 212点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | マサバ・メチル水銀 | 0.232 | 0.100〜0.320 | 13点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ゴマサバ・総水銀 | 0.153 | 最大0.540 | 96点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ゴマサバ・メチル水銀 | 0.102 | 最大0.240 | 9点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| ヒ素 | サバ・総ヒ素(可食部) | (平均の記載なし) | 1.5〜2.7 | 5点 | 食品衛生学雑誌 2020(福岡市で購入) |
| ヒ素 | マサバ・総ヒ素(筋肉・乾燥重量) | 5.4 | — | 不明 | Shinagawaら 1983年(食安委資料) |
| ヒ素 | マサバ・無機ヒ素(筋肉・乾燥重量) | 0.00(検出されず) | — | 不明 | Shinagawaら 1983年(食安委資料) |
単位は mg/kg(=ppm)。水銀は湿重量とみられる値(資料に明記なし)。ヒ素は、福岡市で買った可食部の値(湿重量か乾燥重量かは資料に明記なし)と、1983年の報告の乾燥重量の値を含み、形態の欄に書き分けています。乾燥重量の値は、湿重量の値と並べて比べられません。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。マグロ類、河川産の魚介類(湖沼産を除く)、深海性魚介類などは適用除外で、それ以外の魚介類が対象です。 |
| Codex(水銀) | メチル水銀 0.5 mg/kg(魚類のガイドライン値)。サメ・メカジキ・マグロ類などの捕食魚は 1 mg/kg | 1991年の Codex 委員会のガイドラインです。 |
| EU(水銀) | 0.30 mg/kg(サバ属 Scomber の筋肉) | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。 |
| 日本(ヒ素) | 魚介類のヒ素の基準値なし | 食品安全委員会の評価書にある「現行の規制」の表に、魚介類の規格基準は載っていません。法令の個別の条文までは確認していません。 |
| 米国 FDA/EPA の助言(2021年) | Best Choices(週2〜3回):サバ(Pacific chub)ほか | 妊娠中・授乳中の人と1〜11歳の子ども向けの助言です。1回量は約113g(4オンス)です。米国で避けたい魚とされる king mackerel は、別の魚です。 |
知っておきたいこと
- 総ヒ素は多くても、無機ヒ素はわずかです。食品安全委員会は、マガレイ・ブリ・マアジ・マサバ・サンマ・マイワシの総ヒ素に対する無機ヒ素の割合を0〜4%と整理しています。1983年の報告では、マサバの筋肉は総ヒ素 5.4、無機ヒ素 0.00(乾燥重量)でした。
- 福岡市で買ったサバ5点の総ヒ素は 1.5〜2.7 ppm で、アルセノベタイン(魚に多い有機ヒ素)は As 換算で総ヒ素の26〜33% でした。日本人のヒ素の摂取は、総ヒ素の約6割が魚介由来ですが、無機ヒ素では約2%です(農水省)。→ ヒ素のページ
- 「有機ヒ素は無害」と断定した公的な文書はありません。農水省は、影響の程度は一般に小さいと言われているが、体内での影響は分かっていないとも書き、食品安全委員会も、有機ヒ素の毒性の知見は乏しく、さらなるデータの蓄積が必要としています。
- 水銀は低めで、厚労省の献立例でも、サバは注意が必要ないものに入っています。マサバのメチル水銀(0.232 ppm、13点)が総水銀(0.151 ppm、212点)より高いのは、別々の検体を測っているためです。1食(約80g)では、メチル水銀の平均で約17%、総水銀の平均で約11%です(ウラヨミの試算)。
- 米国の助言(Best Choices)や EU の最大基準値(0.30 ppm)と並べても、日本の集計の平均はそれより低い値でした。ただし、国によって基準の物差しが違います。→ 日本と海外の基準の違い
- カドミウムは筋肉では低く、農水省の調査でマサバ <0.01(最大0.01、18点)でした。国内14地域のアンケートで、サバを「よく食べる」人は50.7%です。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」Q&A
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 農林水産省「国内農畜水産物に含まれるカドミウムの実態調査データ・魚介類」(平成9〜14年度)
- Towatari ほか. 食品衛生学雑誌 2020;61(3):86-(福岡市で購入した魚10種のヒ素の化学形態)
- 食品安全委員会 資料3「日本人の無機ヒ素曝露に関する知見」(Shinagawaら 1983年の報告を収録)
- 食品安全委員会「食品中のヒ素」評価書(2013年12月)
- 農林水産省「食品中のヒ素の摂取量」
- 欧州委員会 規則(EU)2022/617(食品中の水銀の最大基準値)
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。