食品の重金属データベース魚確認日 2026.10.03
キンメダイの水銀
キンメダイは深海にすむ魚で、国内の集計では総水銀の平均が 0.654 ppm(145点)、メチル水銀の平均が 0.535 ppm(102点)でした。厚生労働省は妊婦向けに「週1回まで(約80g)」の目安を示しています。魚介類の暫定的規制値は、深海性の魚には適用されていません。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水銀 | 総水銀 | 0.654 | 最大2.180 | 145点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | メチル水銀 | 0.535 | 0.130〜1.240 | 102点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | 総水銀 | 0.77(中央値0.70) | 0.10〜2.8 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
| 水銀 | メチル水銀 | 0.65(中央値0.58) | 0.07〜2.2 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
単位は mg/kg(=ppm)。可食部の流通品で、湿重量とみられます(資料に明記なし)。総水銀とメチル水銀は、必ずしも同じ検体を測ったものではありません。農水省(平成19〜22年度)の行は、平均に中央値を併記しています。
食べる量の目安(国の注意事項)
- 対象は「妊娠している人、妊娠の可能性がある人」です(厚生労働省、2010年6月改訂)。子ども、授乳中の人、妊婦以外の大人は対象外です。
- キンメダイ:週1回まで(約80g/週)。
- 1回の量は約80g(刺身1人前・切り身1切れ)として計算されています。寿司・刺身1貫または1切れは約15gです。
- 同じ週に「週1回まで」の魚を2種類食べるなら、量をそれぞれ2分の1に。「週1回まで」と「週2回まで」の魚を同じ週に食べるなら、量をそれぞれ2分の1にします。
- 食べ過ぎた週があっても、1回や1週間の摂食で体内の水銀濃度が大きく変わるわけではなく、次の週に減らせばよいと説明されています。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。深海性魚介類(農水省の資料ではキンメダイ・メヌケ類・ギンダラ・ベニズワイガニ・エッチュウバイガイ・サメ類)、マグロ類、河川産の魚介類には適用されません。適用除外の理由を書いた公的な資料は見つかりませんでした。 |
| Codex(水銀) | メチル水銀 0.5 mg/kg(魚類のガイドライン値)。サメ・メカジキ・マグロ類などの捕食魚は 1 mg/kg | 1991年の Codex 委員会のガイドラインです。 |
| EU(水銀) | 魚介類一般 0.50 mg/kg | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。キンメダイは1.0の対象のリストに載っておらず、魚介類一般の 0.50 に入ると読めます。 |
知っておきたいこと
- 暫定的規制値(総水銀 0.4 ppm)は、深海性魚介類には適用されません。キンメダイの平均(0.654)は規制値を超えますが、規制値の対象外で、代わりに妊婦向けの目安量が付いています。適用除外の理由を書いた公的な資料は見つかりませんでした。
- 1食(約80g)に入るメチル水銀は、キンメダイ(平均0.535 ppm)で約43 μgです。食品安全委員会の耐容量(週 2.0 μg/kg、体重55.5 kg なら週111 μg)の約39%にあたります(ウラヨミの試算)。
- 農水省の調査(平成19〜22年度、120点)では、総水銀の平均が 0.77 ppm(中央値0.70)、メチル水銀が 0.65 ppm(中央値0.58)で、厚労省の集計(0.654、0.535)と近いか、少し高めでした。最大は総水銀 2.8 ppm で、個体差があります。
- 「どこまでなら大丈夫か」の物差しは機関で違い、耐容量は食品安全委員会が週 2.0、JECFA が 1.6、EFSA が 1.3 μg/kg 体重です。目安量は食品安全委員会の 2.0 をもとに作られています。→ 妊娠中の魚はどれだけ?
- 魚種別の濃度は平成20年度までの集計(2010年5月)で、国の目安の表も2010年6月以降は改訂されていません。厚労省は、水銀の多い魚を偏って多量に食べるのを避けて、魚を食べる良さを活かすよう呼びかけています。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」(2010年6月改訂)
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」Q&A
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 農林水産省「有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成15〜22年度)」
- 農林水産省「魚介類の水銀の暫定的規制値」
- 食品安全委員会 メチル水銀の耐容週間摂取量の評価(2005年8月)— 厚労省掲載資料
- 欧州委員会 規則(EU)2022/617(食品中の水銀の最大基準値)
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。