食品の重金属データベース魚確認日 2026.10.03
キハダ・ビンナガ・メジマグロの水銀
キハダ・ビンナガ・メジマグロ(クロマグロの幼魚)は、同じマグロでも、厚生労働省が妊婦に「通常の摂食で差し支えない」としている魚です。国内の集計では、総水銀の平均がキハダ 0.270、ビンナガ 0.229、メジマグロ 0.165 ppm で、クロマグロより低めでした。ただしビンナガは、別の調査でもっと高い値が出ています。
日本の公的調査などで測った値
| 金属 | 形態・状態 | 平均 | 範囲・最大 | 検体数 | 調査 |
|---|---|---|---|---|---|
| 水銀 | キハダ・総水銀 | 0.270 | 0.030〜2.400 | 209点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | キハダ・メチル水銀 | 0.194 | 0.010〜1.236 | 52点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ビンナガ・総水銀 | 0.229 | 0.020〜0.350 | 21点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | ビンナガ・メチル水銀 | 0.164 | 0.120〜0.250 | 15点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | メジマグロ(クロマグロの幼魚)・総水銀 | 0.165 | 0.020〜0.430 | 36点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | メジマグロ(クロマグロの幼魚)・メチル水銀 | 0.206 | 0.160〜0.240 | 7点 | 厚労省 平成20年度まで集計 |
| 水銀 | キハダ・総水銀 | 0.26(中央値0.17) | 0.05〜1.4 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
| 水銀 | キハダ・メチル水銀 | 0.23(中央値0.13) | 0.04〜1.2 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
| 水銀 | ビンナガ・総水銀 | 0.52(中央値0.48) | 0.17〜1.4 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
| 水銀 | ビンナガ・メチル水銀 | 0.44(中央値0.40) | 0.15〜1.1 | 120点 | 農水省 平成19〜22年度 |
単位は mg/kg(=ppm)。可食部の流通品で、湿重量とみられます(資料に明記なし)。総水銀とメチル水銀は、必ずしも同じ検体を測ったものではありません。農水省(平成19〜22年度)の行は、平均に中央値を併記しています。
食べる量の目安(国の注意事項)
- キハダ・ビンナガ・メジマグロ(クロマグロの幼魚)・ツナ缶は、妊婦も通常の摂食で差し支えないとされています(厚生労働省、2010年6月改訂)。
- 同じ「マグロ」でも、目安量の対象になっているのはクロマグロ・ミナミマグロ・メバチです。
基準値(日本・国際・EU)
| 定めた機関 | 基準値 | 補足 |
|---|---|---|
| 日本(水銀) | 総水銀 0.4 ppm・メチル水銀 0.3 ppm(魚介類の暫定的規制値) | 1973年(昭和48年)に厚生省が通知した値です。マグロ類(マグロ・カジキ・カツオ)、河川産の魚介類(湖沼産を除く)、深海性魚介類などには適用されません。適用除外の理由を書いた公的な資料は見つかりませんでした。 |
| Codex(水銀) | メチル水銀 0.5 mg/kg(魚類のガイドライン値)。サメ・メカジキ・マグロ類などの捕食魚は 1 mg/kg | 1991年の Codex 委員会のガイドラインです。 |
| EU(水銀) | 1.0 mg/kg(マグロ類・カツオ・サメ・メカジキなどの筋肉) | 規則(EU)2023/915 に引き継がれた、規則 2022/617 の値です。湿重量です。 |
| 米国 FDA/EPA の助言(2021年) | Good Choices(週1回):キハダ、ビンナガ(アルバコア) | 妊娠中・授乳中の人と1〜11歳の子ども向けの助言です。1回量は約113g(4オンス)です。 |
知っておきたいこと
- 呼び名がまぎらわしい魚です。メジマグロはクロマグロの幼魚で、ビンナガはビンチョウとも呼ばれ、市場の呼び名が混ざります。クロマグロの成魚は目安量の対象で、幼魚のメジマグロは対象外と、同じ種でも扱いが分かれています。→ クロマグロ・ミナミマグロ
- 1食(約80g)に入るメチル水銀は、キハダ(平均0.194 ppm)が約15.5 μg、ビンナガ(0.164 ppm)が約13 μg、メジマグロ(0.206 ppm)が約16.5 μgです。食品安全委員会の耐容量(週 2.0 μg/kg、体重55.5 kg なら週111 μg)の約14%・約12%・約15%にあたります(ウラヨミの試算)。
- ビンナガは調査によって数字が違います。厚労省の集計(2010年5月)では総水銀の平均が 0.229 ppm(21点)、メチル水銀が 0.164 ppm(15点)。農水省の調査(平成19〜22年度、120点)では総水銀 0.52 ppm、メチル水銀 0.44 ppm でした。国の注意事項は2010年6月以降、改訂されていません。
- 米国では、キハダとビンナガ(アルバコア)は「週1回」の Good Choices で、日本の「制限なし」と線引きが違います。米国の測定では総水銀の平均がキハダ 0.354 ppm(231点)、ビンナガ 0.358 ppm(43点)で、日本の集計と大きくは違いません。→ 日本と海外の基準の違い
- 個体差があります。キハダの総水銀の最大は 2.4 ppm、メチル水銀の最大は 1.236 ppm でした。メジマグロ(メチル水銀 7点)やビンナガ(15点)のようにメチル水銀の検体数が少ない魚は、平均が安定しません。
- カドミウムは筋肉では低く、農水省の調査でキハダ <0.01(最大0.01)、ビンナガ 0.01(最大0.02)でした(各5点)。
関連する解説
金属ごとのページ
出典
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」(2010年6月改訂)
- 厚生労働省「妊婦への魚介類の摂食と水銀に関する注意事項」Q&A
- 厚生労働省 資料2-4「魚介類に含まれる水銀の調査結果(まとめ)」(2010年5月)
- 農林水産省「有害化学物質含有実態調査結果データ集(平成15〜22年度)」
- 米国 FDA/EPA「Advice about Eating Fish」(2021年10月)
- 米国 FDA「Mercury Levels in Commercial Fish and Shellfish(1990-2012)」
- 農林水産省「国内農畜水産物に含まれるカドミウムの実態調査データ・魚介類」(平成9〜14年度)
- 欧州委員会 規則(EU)2022/617(食品中の水銀の最大基準値)
最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。
重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。