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食品の重金属データベース解説確認日 2026.10.03

玄米・白米のヒ素とカドミウム、毎日食べて大丈夫? 国産米の実測と減らし方

農水省が測った国産米のヒ素とカドミウム、玄米と白米の差、洗米・炊き方で減る割合、日本と海外の基準の違いを、公的資料と研究の数字で整理します。

結論

国産米(令和4〜6年産、899点)の無機ヒ素は、玄米が平均0.13・中央値0.12・最大0.37 mg/kg、精米が平均0.09・最大0.23でした。カドミウムは、玄米が平均0.04・最大0.24、精米が平均0.03・最大0.23で、基準の0.4を超えた試料はありませんでした。

ヒ素とカドミウムで、玄米と白米の差は違います。無機ヒ素は、精米で玄米の約6〜7割になります(ぬか層に多いため)。カドミウムは、精米で2〜5%しか減りません。洗米は白米の無機ヒ素を約2割減らしますが、玄米はほとんど減らず、カドミウムは洗米・炊飯でほとんど変わりません。

日本の食品衛生法の基準はカドミウムだけ(玄米・精米0.4 mg/kg)で、米の無機ヒ素の基準は見当たりません。Codex は精米0.2・玄米0.35、EU は精米0.15・玄米0.25です。農水省は、バランスのよい食生活なら、玄米やぬか漬けを食べても健康上の問題はないとしています。

国産米の実測:年を追って下がっている

農水省の全国調査です。玄米の無機ヒ素の平均は、2012年産の0.21から、2022〜24年産の0.12〜0.13まで下がりました。0.2を超える玄米の割合は、前回(平成29〜令和元年産)の19.7%から、今回(令和4〜6年産)の7.4%になりました。農水省は、低減対策が有効に機能していると考えられる、としています。

年産玄米の無機ヒ素 平均(最大)精米の無機ヒ素 平均(最大)点数(各)
2003〜050.15(0.37)—600
20120.21(0.59)0.12(0.26)600
20170.15(0.38)0.092(0.26)500
20180.15(0.37)0.098(0.25)500
20190.17(0.60)—500
20220.13(0.37)0.09(0.23)300
20230.12(0.35)0.09(0.20)300
20240.13(0.34)0.09(0.21)299

カドミウムの国産米は、次のとおりです。平成9〜10年産の調査(37,250点)では、平均0.06・最大1.2で、基準の0.4を超えたのは96点(0.3%)でした。

調査点数カドミウム 平均 mg/kg最大0.4超
平成9〜10年産・玄米37,2500.061.296点(0.3%)
平成21〜22年産・玄米2,0000.050.400
令和4〜6年産・玄米8990.040.240
令和4〜6年産・精米8990.030.230
  • 令和4〜6年産と平成21〜22年産は、定量下限が違います(0.01と0.04)。「平均0.05→0.04」は検出力の違う調査どうしの比較で、傾向は分布(0.1以下の割合が91.0%→96.0%)で見ます。
  • 水田土壌などの調査(2013〜16年、全国3,007点)では、玄米の無機ヒ素は平均0.15・最大0.64でした。出穂後の日平均気温が1℃高いと、玄米の無機ヒ素が約9.9%高い、という解析結果があります。
国産米の無機ヒ素(平均) 国産米の無機ヒ素の平均(mg/kg、産年ごと)。2012: 玄米 0.21 / 精米 0.12, 2017: 玄米 0.15 / 精米 0.092, 2018: 玄米 0.15 / 精米 0.098, 2019: 玄米 0.17, 2022: 玄米 0.13 / 精米 0.09, 2023: 玄米 0.12 / 精米 0.09, 2024: 玄米 0.13 / 精米 0.09 玄米 精米 0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 Codex の精米の基準 0.2 2012 0.21 0.21 2012 0.12 0.12 2012 2017 0.15 0.15 2017 0.092 0.092 2017 2018 0.15 0.15 2018 0.098 0.098 2018 2019 0.17 0.17 2019 2022 0.13 0.13 2022 0.09 0.09 2022 2023 0.12 0.12 2023 0.09 0.09 2023 2024 0.13 0.13 2024 0.09 0.09 2024
国産米の無機ヒ素の推移(玄米・精米の平均、mg/kg。農水省)。基準線は Codex(玄米0.35・精米0.2)と EU(玄米0.25・精米0.15)

玄米と白米:ヒ素は白米で下がり、カドミウムはほとんど変わらない

  • 無機ヒ素:ぬか層(玄米の外側の約9%)に偏っています。精米は玄米の約6〜7割です。精米/玄米の比は、2017〜18年産(1,000点)で平均63%(最小38・最大86)、2022〜24年産(893点)で中央値75%・平均73%と、調査で数字が違います。理由は農水省の資料に説明がありません。
  • 精米の程度:農水省の試験(10点)では、精米歩合91%で51%減(範囲38〜61%)、89%で53%減、80%で60%減でした。五分づき(精米歩合95%)は、通常の精米の約半分の減少(12〜25%減)です。
  • カドミウム:玄米を100としたときの精米は、平均95%(令和4〜6年産・755点)、2001年の試験では平均96.8%です。精米で減るのは2〜5%で、農水省は洗米・炊飯でもほぼ変化しないとまとめています。米ぬかのほうが玄米より高くなります。
  • 栄養:農水省は、玄米は白米よりビタミンB1・E、鉄分、食物繊維が豊富で、バランスのよい食生活なら、玄米やぬか漬けを食べても健康上の問題はないとしています。
  • 米ぬかの無機ヒ素は約1 mg/kg で、通常の穀粒の10〜20倍という分析があります(Sun 2008)。日本の米ぬか・ぬか漬けの公的な調査は見つかっていません。

基準は国で違う

食品・物質日本CodexEU(規則2023/915)
精米・無機ヒ素基準なし0.2(2014年採択)0.15(パーボイル米を除く)
玄米・無機ヒ素基準なし0.35(2016年採択)0.25(パーボイル米も)
米菓・無機ヒ素基準なし—0.30
玄米・精米・カドミウム0.4(玄米・精米。2011年2月末施行)0.4(精米)0.15
  • 日本のカドミウム基準は、2010年4月の改正で、玄米1.0 ppm 未満から、玄米・精米0.4 ppm 以下になりました。
  • 日本には米の無機ヒ素の基準がないので、「基準を超えた」とは言えません。他国の物差しに当てると、国産精米の平均0.09は EU の精米の基準0.15の6割、最大0.23は超えます。玄米の最大0.37は、Codex の玄米の基準0.35をわずかに上回ります。0.35を超えた試料の点数は公表されていません(0.3超〜0.4以下は5点、0.6%)。
  • EU の玄米の基準0.25を超える割合は、0.2超〜0.3以下の区分(6.8%)の中にあり、正確な割合は公表されていません。カドミウムも、EU の0.15で切った割合は公表されていません(0.1超〜0.2以下の区分が3.9%)。

洗う・炊く:減る方法と、減らない方法

研究・資料方法無機ヒ素の変化
農水省の手引き白米を3回洗米(イオン交換水)約20%減(玄米はほとんど減らない)
同上無洗米加工(ぬか式)約10%減
Naito 2015(農研機構ほか。国産の白米3点+玄米)3回洗米/少水量炊飯(水:米 1.4〜2.0:1、水がなくなるまで)洗米で71〜83%に(17〜29%減)。少水量炊飯では除去されず
Raab 2009(英国)水:米 2.5:1/6:12.5:1は除去なし。6:1で45%減(総ヒ素35%減)
Carey 2015(英国)水:米 12:1、コーヒーパーコレーター12:1で57±5%、パーコレーター49±7%
Menon 2021(英国)パーボイル後に水を吸わせる方法玄米54%・白米73%減
Menon 2024(英国)ヒ素を含む水(10・50 μg/L)で炊く米のヒ素が増える
  • 日本の通常の炊き方(炊飯器で水を残さず炊く)では、ヒ素は減りません。減るのは「多めの湯で炊いて湯を捨てる」方式で、水溶性のミネラル・ビタミンなどの栄養も一緒に逃げます(Menon 2021は、玄米のほうが栄養素の損失が小さいと報告)。
  • 日本の水(ヒ素の少ない水)の条件で検証した研究や、日本の食べ方としてのこの方法の位置づけは、見つかりませんでした。
  • カドミウムは、洗米・炊飯でほとんど変わりません(農水省リスクプロファイルが引用した研究)。

水田での減らし方:ヒ素とカドミウムのトレードオフ

  • 水の管理で、ヒ素とカドミウムが逆に動きます。出穂期前後に水を張ると、土が還元状態になってカドミウムが吸われにくくなりますが、ヒ素は上がります。出穂後に水を落とすとヒ素は減りますが、カドミウムは増えます。農水省は2024年6月に、両方を減らす指針を策定しました。
  • 低吸収品種:「コシヒカリ環1号」(農研機構、2015年品種登録)は、マンガン輸送体 OsNramp5 の機能を失い、マンガンもカドミウムも吸いにくく、玄米のカドミウムは極めて低濃度です。農研機構は、水を落としてもカドミウムが極めて低いままヒ素も下げられる、としています。
  • 客土:汚染田に汚れていない土を入れる対策で、農用地土壌汚染防止法の対策地域は、2013年度末に6,428 haが指定され、6,103 haで対策事業などが完了しました。

食事全体の中での位置づけ

  • 無機ヒ素:日本人の摂取の約7割が米です(2014〜17年度の平均で66.7%)。総ヒ素では、米は6.1%で、魚介が59.0%を占めます。2024年の無機ヒ素のハザード比は1.28〜1.80(報告書が選んだ物差し)で、4つの金属のうち1を超えるのは無機ヒ素だけでした。日本の食品安全委員会は耐容量を設定していません。
  • カドミウム:2022年は、米及びその加工品が34.1%でした。2022年の摂取量2.03 μg/kg/週は、食品安全委員会の7の29%、JECFA(週換算約5.8)の35%、EFSA の2.5の81%です(ウラヨミの計算)。
  • 日本の研究:JPHC コホートでは、食事のヒ素とがん全体は関連しませんでした(男性で肺がんと関連する傾向があり、現在喫煙中の男性で強まりました。喫煙の影響が混ざるため、この結果だけでヒ素が原因とは言えません)。
  • 「玄米は危険」とも「ヒ素は問題ない」とも言い切れません。農水省・食品安全委員会は、特定の食品に偏らないことを助言し、EFSA 2024 や JECFA 2025 は、平均的な摂取でも懸念の可能性があるとしています。数字を並べて、判断は読み手に委ねます。

出典

最終確認日 2026.10.03(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。

重金属は自然の土や海にもともとある物質で、どの食品にも少しずつ含まれます。このページは、公的機関の調査・基準・評価と論文に書かれている事実を並べたもので、食品の良し悪しを判定するものではありません。妊娠中の方の魚の食べ方など、国の注意事項があるものはそれに従ってください。

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