English
日本と海外の違い確認日 2026.10.02

ビールの発祥はどこ? 1万年の歴史と、世界のビール消費量ランキング(総量1位は中国、1人あたり1位はチェコ)・日本の立ち位置を、論文と国の統計で読み解く

PR この記事には、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・A8.net・もしもアフィリエイトのアフィリエイト広告のリンクを含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、論文・博物館・国の統計・企業の公式資料をもとにしています。お酒は20歳になってから。

「ビールはどこで生まれたのか」「世界でいちばんビールを飲んでいる国はどこか」「日本は世界の中で何番目なのか」。

どれもよく聞かれる質問ですが、ネットで見かける答えには、古い数字や、出どころのはっきりしない話がまざっています。たとえば「ドイツ人がいちばんビールを飲む」「日本はビール消費量世界7位」「ハンムラビ法典では、ビールを水で薄めた者は川に投げ込まれた」は、どれも今の資料とは合いません。

この記事では、次のことを、論文・博物館の資料・国の統計・企業の公式資料で確かめます。

  • ビールの発祥はどこか。なぜ「ここが発祥」と一つに決められないのか
  • 古代メソポタミア・エジプトから、中世の修道院、近代のラガーとピルスナーまで、ビールはどう広がったのか
  • 日本のビールは、いつ、どこから始まったのか
  • 消費量世界一の国はどこか。日本は世界で何番目か
  • 日本のビールの市場は、どのくらい小さくなったのか
  • よく聞くビールの歴史の話は、どこまで本当か

ビールの種類(ラガー・エール・IPA など)と造り方はビールの種類の記事、体への影響・グルテン・プリン体はビールと健康の記事で書いています。日本酒・焼酎の歴史は日本酒の歴史と文化の記事・焼酎の歴史と九州の記事をどうぞ。

結論

  • ビールの「発祥の地」は一つに決められません。最古の証拠は、イスラエルの洞窟の石臼(約1万3000年前、異論あり)、エジプトの醸造槽、イランの壺の残りかす、中国の醸造道具、メソポタミアの粘土板などに分かれていて、証拠の種類(残りかす・道具・文字)がそれぞれ違うためです
  • 文字で残る最古のビールは、紀元前3100〜3000年ごろのメソポタミアの粘土板で、労働者への「配給」として出てきます。ハンムラビ法典がビールの酒場について決めたのは、「薄めたら罰」ではなく「値段のごまかし」への罰です
  • 今のビールの形は、ホップ(中世)、ラガー酵母(15世紀のバイエルンで始まったとされる)、1842年のピルスナー、そして19世紀の酵母の純粋培養と冷凍機で、ほぼできあがりました
  • 日本では、1869〜1870年に横浜でビール醸造所ができ、1876年に札幌で官営の開拓使麦酒醸造所ができました。2026年10月1日には、ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が一本化されました
  • 国別の総消費量の1位は中国(2024年、世界の20.9%、22年連続)。1人あたりの1位はチェコ(148.8L、32年連続)。ドイツは1人あたり10位です
  • 日本は総消費量11位・1人あたり56位(33.7L)。総消費量は2020年まで14年間7位でしたが、順位を下げています
  • 国内のビール類の課税数量のピークは1994年度。業界団体の推定では、2025年度の市場はピークの約半分です

この記事で紹介しているもの

記事の中で、論点に合わせて次のものを紹介しています(楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピングなどのリンクです)。

こんな人に 紹介しているもの 場所
歴史に出てくるヨーロッパの醸造所のビールを飲んでみたい 歴史に出てくる醸造所のビール(ピルスナー ウルケル・ギネス・ヴァイエンシュテファン・ウエストマール) 歴史に出てくる醸造所のビール
日本のビールの歴史に出てくる名前のビールを飲んでみたい 日本のビール史に出てくる名前のビール(スプリングバレー・ヱビス・サッポロ ラガー・オリオン) 歴史に出てくる名前の日本のビール
ビールの歴史をもっと知りたい ビールの歴史を通して読む本(『ビールの歴史』) もっと知りたい人へ

ビールの歴史を年表で

ビールの約1万3000年の歴史を、世界と日本の出来事16件で並べた縦長の年表。最古の候補は約1万3000年前のイスラエルの洞窟の石臼で、パンを作る臼だという反論があり決着していない。紀元前3762〜3537年にエジプトの醸造槽、紀元前3100〜3000年にメソポタミアの粘土板に「配給」と「ビール」の文字があり、これが文字で残る最古のビール。ハンムラビ法典は酒場の値段のごまかしを罰した。15世紀にバイエルンでラガーが始まったとされ、1516年に純粋令、1842年にチェコで最初のピルスナー、1883年に酵母の純粋培養が生まれた。日本では1613年に平戸の英国船の積荷にビールがあり、1869〜1870年に横浜、1876年に札幌に醸造所ができた。1949年の2社分割、1994年の地ビール解禁、2026年10月1日の酒税一本化までを示す。最古の証拠は残りかす・道具・文字と種類がちがうため、発祥の地は一つに決まらない。
図:ビールの1万年の年表。最古の証拠は場所も種類(残りかす・道具・文字)もちがい、「発祥の地」は一つに決まらない(押すと拡大)
年代 出来事
約1万3700〜1万1700年前 イスラエルのラケフェト洞窟の石臼に、麦芽にした小麦・大麦の痕跡(醸造用とする論文と、パン用とする反論がある)
紀元前3762〜3537年 エジプトのヒエラコンポリスに醸造槽
紀元前4千年紀後半 イランのゴディン・テペの壺に、ビールの残りかす(ビアストーン)
紀元前3400〜2900年 中国の米家崖(べいかがい)に醸造の道具
紀元前3100〜3000年 メソポタミアのウルクの粘土板に「配給」と「ビール」の文字
紀元前1792〜1750年 ハンムラビ王の時代。法典が酒場の女主人について定める
1516年4月 バイエルンで、ビールの材料を大麦・ホップ・水に限る規則(純粋令)
1553年 バイエルンで、ビールを造ってよい期間を9月29日〜4月23日に限る
1759年 アーサー・ギネスが、ダブリンの醸造所を9,000年のリースで借りる
1842年 チェコのプルゼニで、最初のピルスナーが仕込まれる
1876年 パスツールが『ビールの研究』を出版。日本では札幌に開拓使麦酒醸造所
1883年 デンマークのカールスベア研究所で、酵母の純粋培養に成功
1892年 米国で王冠(びんの金属のふた)の特許
1920〜1933年 米国の禁酒法
1935年 米国で世界初の缶ビール
1994年 日本で地ビールが造れるようになる。日本のビール類の課税数量がピーク
2003年 中国が米国を抜き、ビールの総消費量で世界1位に(以後22年連続)
2026年10月1日 日本でビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が一本化

ビールの発祥はどこ?

最古の証拠を年代順に

「いちばん古いビール」として名前が挙がる遺跡は、世界にいくつもあります。見つかったものの種類で分けると、次のようになります。

年代 場所 見つかったもの 証拠の種類
約1万3700〜1万1700年前 ラケフェト洞窟(イスラエル) ナトゥーフ文化の埋葬地の石臼3基に、麦芽にした小麦・大麦など少なくとも7種の植物の痕跡 道具の使った跡と、でんぷん粒・植物の細胞の形(アルコールを化学的に検出したわけではない)
約9000年前 橋頭(中国南部) 発酵酒の可能性を報告(2021年の論文) ―
紀元前7千年紀 賈湖(かこ、中国) 米・蜂蜜・果実(サンザシかブドウ)をまぜた発酵酒 土器の残りかすの化学分析(大麦の麦芽は使っていない)
紀元前3762〜3537年 ヒエラコンポリス(エジプト) 醸造槽。中の残りかすから小麦・大麦の麦芽と、ナツメヤシなどの香りづけ 施設と、残りかすの化学分析
紀元前4千年紀後半 ゴディン・テペ(イラン) 壺の内側の溝にたまったシュウ酸カルシウム(ビアストーン) 残りかすの化学分析
紀元前3400〜2900年 米家崖(中国) 漏斗・壺・かまど。キビ・大麦・ハトムギ・いもなどをまぜたビール 道具と、残りかす
紀元前3100〜3000年 ウルク(メソポタミア) 粘土板に「配給」と「ビール」の絵文字と数字 文字
  • ラケフェト洞窟:2018年の論文(米スタンフォード大学など)は「穀物からビールを造った最古の証拠」とし、大学の発表は「人が造ったアルコールの、世界で最も古い記録」と書きました。一方、2019年には「ビールではなく、大麦を脱穀・製粉してパンを作る臼だ」という反論が同じ学術誌に載り、元の著者たちが再反論しています。いまも決着していません
  • 賈湖の発酵酒は、米・蜂蜜・果実をまぜたもので、大麦の麦芽は使っていません。これを「ビール」と呼ぶかは定義しだいで、「穀物を含む、最古級の発酵酒」と言うのが正確です
  • ヒエラコンポリスの発掘隊は、ここを「世界最古の醸造所かもしれない」と書いています。2019年の分析では、残りかすに保存料の役目をした可能性のあるリン酸が多く含まれていました
  • 米家崖の論文は、大麦が中国に入ってきた理由がビール造りだった可能性も指摘しています
  • ギョベクリ・テペの遺跡も「最古のビール」として紹介されることがあります。2012年の論文の要旨は「ほぼ確実にビールを飲んでいた」と書きましたが、2019年の道具の分析では、化学的に確かめられませんでした。まだ確かではない扱いです

「発祥の地」が一つに決まらないわけ

表のとおり、証拠には3つの種類があります。

証拠の種類 わかること 弱いところ
残りかす(化学分析) 器の中に、何が入っていたか 穀物の発酵酒でも、今の「ビール」と同じものと呼べるかは定義しだい(賈湖の例)
道具・施設 麦芽づくりや醸造をしていたらしいこと 同じ道具が、パンやおかゆにも使える(ラケフェト洞窟の反論はこれ)
文字 人がそれを「ビール」と呼んでいたこと 文字の記録が残るより前のことはわからない

そのため、「ビールの発祥はメソポタミア」「エジプト」と一つに決めることはできません。言えるのは次のことです。

  • 麦を発酵させた飲み物は、西アジア・エジプト・中国など、いくつもの場所で古くから造られていた
  • 「ビール」という飲み物を文字で確かめられる最古の記録は、メソポタミアの粘土板
  • 「醸造していた可能性」まで含めれば、最古の候補は約1万3000年前のイスラエルの洞窟(ただし異論あり)

古代のビール

メソポタミア:配給の粘土板・ニンカシ讃歌・ハンムラビ法典

配給の粘土板:大英博物館が持つ紀元前3100〜3000年ごろのウルクの粘土板(収蔵番号 1989,0130.4)には、「配給」と「ビール」を表す絵文字と数字が刻まれています。博物館は、神殿が労働者に毎日大麦のビールを配っていた記録だと説明しています。報道では「世界最古の給料明細」と呼ばれることがあります。

ニンカシ讃歌:ビールの女神ニンカシをたたえる歌で、古バビロニア時代(紀元前18世紀ごろ)の写本が残っています。オックスフォード大学のシュメール文学のデータベース(ETCSL)の英訳によると、大きなかまどでビール用のパンを焼く、麦芽を壺に浸す、葦のむしろに広げる、甘い麦汁を発酵の槽に入れる、といった造り方の手順が歌われています。

ハンムラビ法典:ハンムラビ王(在位 紀元前1792〜1750年)の法典は、玄武岩の碑に刻まれ、スーサ(いまのイラン)で見つかり、ルーヴル美術館にあります。酒場について定めたのは第108〜111条です(英訳はイェール大学のアバロン・プロジェクトに載る L.W.キングの訳)。

条 中身
第108条 酒場の女主人が、穀物で払おうとする客を断って銀を受け取り、穀物の値に比べて酒(ビール)の量を少なくしたら、水に投げ込む
第109条 謀反を企てる者が酒場に集まったのに、女主人がその者を捕らえて差し出さなければ、死刑
第110条 神に仕える女性が酒場を開いたり、酒場に入って飲んだりしたら、火あぶり
第111条 酒(ビール)を60カ(ka、量の単位)掛けで渡したら、収穫のときに穀物50カを受け取る

「ビールを水で薄めた酒場の主人は、水に投げ込まれた」という話がよく紹介されますが、条文にあるのは値段(量)のごまかしです。「薄めた」とは書かれていません。

古代エジプト:ピラミッドの労働者とビール

「ピラミッドを造った労働者の給料はビールだった」という話は、半分だけ当たっています。

  • ギザのピラミッドの労働者の町(ヘイト・エル=グラブ)を発掘している研究団体 AERA(マーク・レーナーら)は、1991年にパン焼き場を見つけ、パンとビールの配給があったことは古代の文書が裏付けているとしています
  • 一方で AERA は、自分たちの報告誌で、この町ではビールを醸造した決定的な証拠はまだ見つかっていないと書いています(醸造に使われた可能性のある建物は報告しています)
  • クフ王の治世の終わりごろの、現存最古のパピルス(ワディ・アル=ジャルフで見つかった、メレルという人の日誌)には、約40人の班へのパンの支給などが記されています。公開されている抜粋には、ビールの配給の記録は見当たりません
  • ギザより千年以上あとの、新王国時代の村デール・エル=メディナでは、月の支給は小麦4カールと大麦1.5カールの穀物だったと紹介されています
  • よく言われる「1日4〜5Lのビール」は、もとになった資料を確かめられません

言えるのは、「賃金は、穀物・パン・ビールなどの現物で支給されていた」というところまでです。

ローマの書き手が見たビール(タキトゥス・プリニウス)

ローマの書き手は、ビールを、よその土地の人たちの飲み物として書き残しています。

  • ローマの歴史家タキトゥスは『ゲルマニア』23章で、ゲルマン人が大麦などから、ワインに似せて発酵させた飲み物を造ると書いています
  • プリニウスは『博物誌』(14巻149節)で、ガリアやヒスパニア、エジプトにも穀物の酒があると書き、「人は水でさえ酔う手段を見つけた」と皮肉っています

中世:修道院・グルート・ホップ

修道院とビール

  • ザンクト・ガレン修道院には、754年にビールを納めた年貢の記録があります
  • ザンクト・ガレンに伝わる「ザンクト・ガレン修道院平面図」(819年または827〜830年ごろ)は、52の建物を描いた修道院の設計図です。「醸造所が3つ描かれている」とよく紹介されますが、所蔵館の解説には醸造所の話はなく、ここでは確かめられませんでした
  • ドイツのヴァイエンシュテファンは「1040年に醸造と販売の許可を得た」として、世界最古の醸造所を名乗っています。ただし、この年の根拠には疑問があります(通説の判定)
  • ミュンヘンのパウラーナーは、1634年2月24日、町の醸造業者たちが「修道院のビールを売っている」と市に苦情を出した記録を、創業の根拠にしています

グルートからホップへ

ホップが広まる前、ヨーロッパの一部では「グルート」と呼ばれるハーブのまぜものでビールに香りと苦みをつけていました。

  • 中身はヤチヤナギ(英語で bog myrtle)などのハーブで、配合は秘密、地域ごとに違ったとされます
  • 植物の考古学の研究では、ヤチヤナギは紀元前後から、ライン川の河口(いまのオランダ北部)で醸造に使われた跡があります
  • グルートを売る権利は、領主や教会の財源になりました
  • グルートが使われたのは、低地地方・ライン川下流・ヴェストファーレンが中心です。「ヨーロッパ全域で使われた」という説明は、ヤチヤナギが生えている地域を書いた1908年の文献を読み違えたものだ、とビール史の研究者ロエル・ミュルダーが指摘しています

ホップについては、修道女ヒルデガルトが『自然学』で「苦みがビールを腐りにくくする」と書いています。13世紀からは、ハンブルク・ブレーメンなどのハンザ都市がホップ入りのビールを大量に輸出し、北ヨーロッパに広まりました。税金も、グルート税からホップ税へ、のちにビールそのものへの課税へと変わっていきました。

英国では、15世紀に低地地方から入ってきたホップ入りのものを「beer」、ホップなしのものを「ale」と呼び分けていました。18世紀にはどちらもホップ入りになり、いまは酵母の種類(上面発酵か下面発酵か)で分けるのが一般的です(くわしくはビールの種類の記事)。

1516年の純粋令と1553年の夏の醸造禁止

1516年4月、バイエルンのヴィルヘルム4世とルートヴィヒ10世が、インゴルシュタットで出した領邦令の中に、ビールについての決まりがあります。これがのちに「ビール純粋令(ライン・ハイツ・ゲボート)」と呼ばれるものです。

  • まず冬と夏のビールの値段の上限を決め、そのあとに「大麦・ホップ・水のほかは使ってはならない」と続きます(バイエルン歴史事典)
  • 酵母は書かれていません。ドイツ醸造者連盟は、酵母を入れないとビールができないことは知られていたが、働きがまだわかっていなかったと説明しています
  • 小麦は、パン用に確保するため外されました。ただし、のちに貴族が特権で小麦の白ビールを造り、1602年からはバイエルン公マクシミリアン1世が白ビールを独占して、国の事業にしました
  • 日付は、ドイツ醸造者連盟は4月23日(1994年からこの日を「ドイツビールの日」にしている)、バイエルン歴史事典は「4月24日付」としていて、資料によって違います
  • 「純粋令(Reinheitsgebot)」という言葉が最初に使われたのは、バイエルン歴史事典では1909年の帝国議会、ドイツ醸造者連盟では1918年のバイエルン州議会とされていて、資料によって違います
  • いまのドイツの根拠の法律は1993年の「暫定ビール法」で、材料に酵母が入り、上面発酵のビールには小麦などほかの麦芽や糖も認められています
  • 1987年、欧州司法裁判所は、ほかの加盟国で合法に造られたビールをドイツが純粋令を理由に売らせないのは、ヨーロッパの条約に反すると判断しました

さらに1553年、バイエルンの領邦令は、ビールを造ってよい期間を9月29日(聖ミカエルの日)から4月23日(聖ゲオルクの日)までに限りました。夏にはビールを造れなくなり、醸造は寒い時期に行うものになりました。

近代:ラガー・ピルスナー・科学

ラガー酵母はどこから来たか

「ラガー」は、15世紀のバイエルンで初めて造られたとされます。そのラガー酵母については、21世紀に入って意外なことがわかりました。

  • ラガー酵母は、エール酵母と、寒さに強い別の種類の酵母がまざってできた雑種です
  • その「もう片方の親」にあたる野生の酵母(サッカロマイセス・ユーバヤヌス)が、2011年に南米パタゴニアのナンキョクブナの森で見つかりました。ラガー酵母の、エール酵母でない側の遺伝子と99.5%一致しました
  • 2014年には、チベット高原で見つかった集団のほうが、さらに近いと報告されました

ヨーロッパのビールの酵母の片方の親が、南米とアジアで見つかったことになります。

1842年、ピルスナーの誕生

チェコの町プルゼニ(ドイツ語でピルゼン)の醸造所で、1842年10月5日、醸造家ヨーゼフ・グロルが最初のピルスナーを仕込みました。1843年4月にはプラハの「ウ・ピンカスー」で出され、1898年に「ピルスナー・ウルケル(元祖ピルスナー)」の商標が登録されています(醸造所の公式の歴史)。

ビール酒造組合の解説は、ピルスナーを「世界中に最も普及」したタイプとし、日本の淡色ビールもこのタイプだとしています。

ネットでは「最初に出されたのは11月11日」「1838年に町の人が36樽のビールを捨てたのがきっかけ」という話も見かけますが、醸造所の公式の歴史には書かれていません。

ポーターとIPA

  • ポーター:1720年ごろのロンドンで、ブラウンビールを改良して生まれたビールです。名前は荷運び人(ポーター)が好んだことから、というのはおおむね正しいとされますが、「1722年にハーウッドという人が発明した」という話は誇張とされています
  • IPA(インディア・ペールエール):「インドへの長い航海に耐えるよう、強く、ホップを多くして新しく造られた」とよく言われます。ビール史家マーティン・コーネルの論文(2003年)によると、ロンドンのボウにあったホジソンの醸造所が、東インド会社の船長たちにふだん造っていた強めで淡い色の「オクトーバー・ビール」を売り、それが航海中に熟成して評判になったのが始まりです。インド向けに特別に強くした証拠はない、というのがコーネルの結論です。1823年には、バートンのオールソップもインドへの出荷を始めました

科学と冷凍機:パスツール・ハンセン・リンデ

19世紀後半には、ビール造りに科学の研究が入ってきました。

年 人 したこと
1873・1877年 カール・フォン・リンデ(ドイツ) 圧縮式の冷凍機で特許(1877年にアンモニアを使う方式)。ミュンヘンのシュパーテン醸造所のゼードルマイアーが資金を出した。1879年に会社を設立
1875年 J.C.ヤコブセン(デンマーク) ビール会社カールスベアの創業者が、カールスベア研究所をつくる
1876年 ルイ・パスツール(フランス) 『ビールの研究』を出版
1883年 ハンセン(デンマーク) カールスベア研究所で、1つの酵母の細胞から増やす「純粋培養」の方法を確立。同じ年の11月に実際の醸造に使う
1909年 セーレンセン(デンマーク) 同じ研究所で、酸性・アルカリ性の度合いを表す pH の目盛りを考える
  • カールスベアの公式サイトによると、ヤコブセンは純粋培養の方法で特許を取らず、世界の醸造家に無償で分けました
  • 世界で初めて純粋培養されたラガー酵母は「サッカロマイセス・カールスベルゲンシス」と呼ばれ、2014年にその遺伝子の全体が読まれています

王冠・缶・禁酒法

  • 王冠:1892年2月2日、米国ボルティモアのウィリアム・ペインターが、金属のふたと薄いコルクを組み合わせたびんのふたで特許を取りました(米国特許468,226号)。同じ年に、いまの Crown Holdings のもとになる会社をつくっています。日本で初めて王冠を使ったビールは、1900年7月の東京麦酒です
  • 缶ビール:1935年1月24日、米国のクルーガー醸造所が、アメリカン・カン社と組んで、バージニア州リッチモンドで缶ビールを売り出したのが世界初とされます。日本では1958年9月15日、朝日麦酒が初めて缶ビールを出しました
  • 米国の禁酒法:1920年1月17日に全国で酒の製造・販売などが禁じられ、1933年12月5日に憲法修正第21条で廃止されました。ビールは、それより前の1933年4月7日から、アルコール3.2%(重さの割合。体積では約4%)までのものが売れるようになっています

ギネスとトラピスト

ギネス(アイルランド):ギネスの公式サイトによると、次のような歴史です。

  • 1759年12月31日、アーサー・ギネス(当時34歳)が、ダブリンのセント・ジェームズ・ゲートの使われていない醸造所を、年45ポンド、9,000年のリースで借りました
  • 1770年代にポーターを造り始め、1799年にエールの最後の仕込みをして、ポーターに専念しました
  • 1801年に「ウェスト・インディア・ポーター」を造り、1849年に「フォーリン・エクストラ・スタウト」の名になりました。ギネスは、長い航海に耐えるようホップとアルコールを多くしたと説明しています(IPA と同じく、航海と結びつけた説明です)
  • ラベルのハープは1862年から使い、1876年に商標登録。1922年にアイルランド自由国が同じハープを国の紋章にしたとき、商標とぶつからないよう向きを逆にしました
  • 1959年、窒素ガスを使ったビールを出し、1988年には缶入りのドラフトも出しました
  • 最初の輸出の年は、公式サイトは「確認できる最初の輸出は1796年、イングランド向け」としています。一方、「1769年」と書く資料も多く、資料によって違います

トラピスト(ベルギーなど):トラピスト会の修道院で造るビールです。「トラピスト」のラベルを使えるのは、国際トラピスト協会の条件(修道院のすぐ近くで、修道士・修道女の監督のもとで造り、利益は共同体の暮らしや慈善に使う)を満たすものだけで、ライセンスは5年ごとです。協会のラベルのページで、ラベルつきのトラピスト・ビールを造るとされているのは8か所(シメイ、ラ・トラップ、オルヴァル、ロシュフォール、トレ・フォンターネ、ティント・メドウ、ウェストマール、ウェストフレテレン)です。一方、同じサイトの製品のページは「10の修道院」、ビールのページは「11の修道院」がビールを造っていると書いていて、数が合いません。

歴史に出てくる醸造所のビール

ここまでに出てきた醸造所の多くは、いまもビールを造っています。1842年のピルスナー・ウルケル、1759年のギネス、1040年の許可を名乗るヴァイエンシュテファン、トラピストのウェストマールのビールを紹介します。

日本のビールの歴史

年表

年 出来事
1613年 英国船クローブ号が平戸に入港。積荷にビール(キリン歴史ミュージアムは「最古の記録か」と疑問形で紹介)
1724年 オランダ通詞が『和蘭問答』で、ビールを「殊の外悪敷物にて何のあぢはひも無御座候」(とてもまずくて何の味もない)と書く
1812年 長崎・出島のオランダ商館長ドゥーフが、日本で初めてビールを造ろうとする
1853年ごろ 蘭学者の川本幸民がビールを試しに造ったといわれる(下で説明)
1860年 遣米使節の玉虫左太夫が、ビールを「苦味ナレドモ口ヲ湿スニ足ル」と書く
1869年 横浜山手46番地に「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」。日本で初めてのビール醸造所
1870年 ノルウェー生まれの米国人ウィリアム・コープランドが、横浜山手123番地に「スプリング・バレー・ブルワリー」
1875年 スプリング・バレーで、日本初のビアガーデン
1876年9月23日 北海道の開拓使が、札幌に「開拓使麦酒醸造所」を開く。翌1877年9月に「札幌ビール」を売り出す
1885年 スプリング・バレーの土地を引き継いで「ジャパン・ブルワリー・カンパニー」設立。1888年5月に「キリンビール」発売
1889年 大阪麦酒会社が設立され、1892年5月に「アサヒビール」発売
1890年2月25日 「恵比寿ビール」発売。1899年8月4日に恵比寿ビヤホール開店
1900年 パリ万博で、アサヒと恵比寿がそれぞれ受賞。7月に東京麦酒が日本初の王冠のビール
1901年 麦酒税ができる
1906年 大阪麦酒・日本麦酒・札幌麦酒が合同し「大日本麦酒」
1907年 麒麟麦酒株式会社
1949年 大日本麦酒が、過度経済力集中排除法で「日本麦酒」と「朝日麦酒」に分かれる
1957年・1959年 沖縄で沖縄ビール(のちのオリオンビール)が創立、1959年に発売
1958年 朝日麦酒が日本初の缶ビール
1963年 サントリーがビールを発売(1930年には寿屋が「オラガビール」を出している)
1987年 「アサヒスーパードライ」発売。翌1988年にはドライビールが全ビールの3分の1に
1994年 酒税法の改正で、ビールを造る免許の最低製造量が年2,000kLから60kLに下がり、地ビールが造れるようになる。10月にサントリー「ホップス〈生〉」が出て、発泡酒の市場ができる
2003年・2004年 サッポロ「ドラフトワン」(麦芽も麦も使わない「新ジャンル」の始まり)。キリンの年表は2003年、サッポロの年表は2004年としている
2018年4月 ビールの定義が変わり、麦芽の割合が67%以上から50%以上に。果実やハーブなども、麦芽の重さの5%までなら使えるようになる
2026年10月1日 ビール・発泡酒・新ジャンルの酒税が一本化

江戸時代:オランダ船と蘭学者

江戸時代のビールの記録は、英国やオランダの船・商館にまつわるものです。1724年のオランダ通詞の感想は「とてもまずくて何の味もない」というものでした。

蘭学者の川本幸民が1853年ごろ、江戸の自宅でビールを試しに造ったという話がよく紹介されます。ビール酒造組合は「試醸したといわれています」と書いていますが、キリン歴史ミュージアムは「川本幸民がビール醸造を行ったことを記した資料は残っていない」としています。また「『化学新書』を見て試醸した」と言われることもありますが、『化学新書』ができたのは1861年で、年が合いません。

明治:横浜・札幌から始まった

最初のビール醸造所は、横浜にできました。

  • 1869年の「ジャパン・ヨコハマ・ブルワリー」が、日本で初めてのビール醸造所です
  • 1870年、ノルウェー生まれの米国人ウィリアム・コープランドが「スプリング・バレー・ブルワリー」を開きました。この土地を引き継いだジャパン・ブルワリー・カンパニーが、1888年に「キリンビール」を出し、のちの麒麟麦酒(1907年)になります
  • 1876年には、北海道の開拓使が札幌に官営の「開拓使麦酒醸造所」を開きました。開業に力を尽くしたのは村橋久成、醸造の中心は中川清兵衛とされます。サッポロビールは、この年を始まりとしています
  • 大阪では1889年に大阪麦酒会社ができ、1892年に「アサヒビール」を出しました
  • 1890年には「恵比寿ビール」が発売され、1899年には恵比寿のビヤホールが開きました

大合同と分割(1906〜1949年)

1906年、大阪麦酒・日本麦酒・札幌麦酒の3社が合同して「大日本麦酒」になりました。

戦後の1949年9月1日、大日本麦酒は過度経済力集中排除法で「日本麦酒」と「朝日麦酒」に分かれました(日本麦酒は1964年にサッポロビールに社名を変えています)。同じ年にビアホールが復活し、東京の500mlのジョッキ1杯は130円だった、とビール酒造組合は紹介しています。

戦後:缶・ドライ・地ビール・発泡酒

  • オリオン:1957年5月18日、沖縄で「沖縄ビール」が創立され、1959年5月17日に発売、同年6月に「オリオンビール」に社名を変えました
  • 缶ビール:1958年9月15日、朝日麦酒が日本で初めての缶ビールを出しました
  • サントリー:1963年4月27日に「サントリービール」を出し、本格的にビールに参入しました
  • スーパードライ:1987年3月17日発売。アサヒは「世界初の辛口ビール」としています。キリンの年表によると、翌1988年にはドライビールが全ビールの3分の1になりました
  • 地ビール:1994年4月の酒税法改正で、ビールの製造免許の最低製造量が年2,000kLから60kLへ大きく下がり、小さな醸造所でもビールを造れるようになりました。1995年の上原酒造「エチゴビール」は、キリンの年表では「全国初の地ビール」とされますが、ほかにも「第1号」とされる醸造所があります
  • 発泡酒・新ジャンル:1994年10月20日、サントリーが麦芽の少ない発泡酒「ホップス〈生〉」を出し、発泡酒の市場ができました。2003年5月に発泡酒が増税されたあと、麦芽も麦も使わない「新ジャンル」のサッポロ「ドラフトワン」が出ます(キリンの年表は2003年9月17日、サッポロの年表は2004年と書いています)
  • ビールの定義の改正:2018年4月、ビールと名乗れる麦芽の割合が67%以上から50%以上に下がり、果実やコリアンダーなどの香りの原料を、麦芽の重さの5%まで使えるようになりました(くわしくはビールの種類の記事)

2026年10月1日、ビール類の酒税が一本化

2026年10月1日に、ビール・発泡酒・新ジャンル(発泡酒②)の酒税が1kLあたり155,000円(350mlで54.25円)にそろいました。2020年10月から3段階で進めてきた見直しの最後の段階です(財務省)。

350mlあたりの酒税 2020年9月まで 2026年10月から
ビール 77円 54.25円
発泡酒(麦芽の割合25%未満) 46.99円 54.25円
新ジャンル 28円 54.25円
  • 直前の2023年10月の税率と比べると、ビールは350mlで9.1円下がり、発泡酒・発泡酒②は約7.26円上がりました(国税庁のリーフレット)
  • これに合わせて、サントリーは「金麦」を、キリンは「本麒麟」(11月4日発売分から)をビールの造り方に変えると発表しています

税率の段階の詳しい表はビールの種類の記事で書いています。

日本のビール会社と海外

日本のビール会社は、1990年代の終わりから、海外のビール会社に出資したり、買収したりしてきました。1842年のピルスナー・ウルケルも、2017年にアサヒが買った中東欧のビール事業に含まれています。

会社 時期 買ったもの 金額
アサヒ 2016年10月 ペローニ・グロールシュ・ミーンタイムなど 25.5億ユーロ(約2,945億円)
アサヒ 2017年3月 中東欧5か国のビール事業(ピルスナー・ウルケルなど) 73億ユーロ(約8,737億円)
アサヒ 2020年6月 オーストラリアのCUB 160億豪ドル(約1兆1,416億円)
キリン 2009年10月 ライオン・ネイサンを完全子会社に(1998年に資本参加) 33億豪ドル
キリン 2011年 ブラジルのスキンカリオール(2017年にハイネケンへ864億円で譲渡) 計約3,038億円
サッポロ 2006年・2022年 カナダのスリーマン、米国のストーン・ブリューイング ―

(アサヒは東京証券取引所の適時開示。キリンはほかに、2002・2009年にサンミゲル、2015年にミャンマー・ブルワリーに出資しています)

歴史に出てくる名前の日本のビール

日本のビールの歴史に出てくる名前は、いまも商品名として残っています。1870年のスプリング・バレー、1890年のヱビス、1876年の開拓使にさかのぼるサッポロ、1959年のオリオンです。

世界のビール消費量ランキング

ここからは、世界の国別の数字です。主な資料は、キリンホールディングスが毎年まとめている「世界主要国のビール消費量」の最新版(2024年の数字、2025年12月22日発表)です。各国のビール協会へのアンケート、ドイツのホップ商社 BarthHaas の年報、調査会社 GlobalData のデータをもとに、170の国・地域を集計しています。2025年の数字は、2026年12月ごろの発表の見込みです(2026年10月2日確認)。

消費量世界一は中国(22年連続)

国別のビール消費量 上位15か国(2024年)キリンホールディングス「2024年 世界主要国のビール消費量」(2025年12月22日発表) 表1。2024年の国別ビール消費量(万kL)。1位 中国 4,053.4万kL、2位 アメリカ 2,234.0万kL、3位 ブラジル 1,530.4万kL、4位 メキシコ 1,078.7万kL、5位 ロシア 951.2万kL、6位 ドイツ 723.6万kL、7位 南アフリカ 458.6万kL、8位 ベトナム 457.7万kL、9位 イギリス 450.9万kL、10位 スペイン 436.2万kL、11位 日本 413.5万kL、12位 インド 344.4万kL、13位 ポーランド 334.4万kL、14位 コロンビア 263.4万kL、15位 韓国 230.7万kL。世界の合計は1億9,411.7万kL。中国は2003年から22年連続で1位。日本の数字はビール・発泡酒・発泡酒②(旧・新ジャンル)の合計。国別のビール消費量(2024年、万kL)中国1位・世界の20.9%中国:4,053.4万kL4,053.4万kLアメリカ2位・世界の11.5%アメリカ:2,234.0万kL2,234.0万kLブラジル3位・世界の7.9%ブラジル:1,530.4万kL1,530.4万kLメキシコ4位・世界の5.6%メキシコ:1,078.7万kL1,078.7万kLロシア5位・世界の4.9%ロシア:951.2万kL951.2万kLドイツ6位・世界の3.7%ドイツ:723.6万kL723.6万kL南アフリカ7位・世界の2.4%南アフリカ:458.6万kL458.6万kLベトナム8位・世界の2.4%ベトナム:457.7万kL457.7万kLイギリス9位・世界の2.3%イギリス:450.9万kL450.9万kLスペイン10位・世界の2.2%スペイン:436.2万kL436.2万kL日本11位・世界の2.1%日本:413.5万kL413.5万kLインド12位・世界の1.8%インド:344.4万kL344.4万kLポーランド13位・世界の1.7%ポーランド:334.4万kL334.4万kLコロンビア14位・世界の1.4%コロンビア:263.4万kL263.4万kL韓国15位・世界の1.2%韓国:230.7万kL230.7万kL日本はビール・発泡酒・発泡酒②(旧・新ジャンル)の合計出典:キリンホールディングス(2025年12月発表)
キリンホールディングス「2024年 世界主要国のビール消費量」(2025年12月22日発表)表1。日本はビール・発泡酒・発泡酒②(旧・新ジャンル)の合計
  • 2024年の世界のビール消費量は約1億9,412万kL(前年より0.5%増)。大びん(633ml)にすると約3,067億本です
  • 国別の1位は中国で4,053.4万kL、世界の20.9%。2003年に米国を抜いてから22年連続の1位です。ただし前年よりは3.7%減りました
  • 2位は米国(2,234.0万kL)、3位ブラジル、4位メキシコ、5位ロシア、6位ドイツ
  • 日本は11位(413.5万kL、世界の2.1%)
  • 上位25か国で最も伸びたのはインド(前年より14.6%増)。ロシア(9.0%増)、タイ(5.8%増)も増えています

1人あたり世界一はチェコ(32年連続)

1人あたりのビール消費量(2024年)キリンホールディングス「2024年 世界主要国のビール消費量」(2025年12月22日発表) 表3。2024年の国別1人あたりビール消費量(L)と大びん(633ml)換算の本数。1位 チェコ 148.8L、2位 リトアニア 110.6L、3位 オーストリア 104.6L、4位 アイルランド 99.0L、5位 クロアチア 95.1L、6位 エストニア 93.2L、7位 スペイン 91.8L、8位 スロベニア 88.4L、9位 ルーマニア 87.4L、10位 ドイツ 86.9L、11位 パナマ 86.1L、12位 メキシコ 83.4L、48位 韓国 44.6L、56位 日本 33.7L。チェコは1993年から32年連続で1位で、日本の約4.4倍。日本は総人口で割った値。1人あたりのビール消費量(2024年、L)チェコ1位・大びん235本チェコ:148.8L148.8Lリトアニア2位・大びん175本リトアニア:110.6L110.6Lオーストリア3位・大びん165本オーストリア:104.6L104.6Lアイルランド4位・大びん156本アイルランド:99.0L99.0Lクロアチア5位・大びん150本クロアチア:95.1L95.1Lエストニア6位・大びん147本エストニア:93.2L93.2Lスペイン7位・大びん145本スペイン:91.8L91.8Lスロベニア8位・大びん140本スロベニア:88.4L88.4Lルーマニア9位・大びん138本ルーマニア:87.4L87.4Lドイツ10位・大びん137本ドイツ:86.9L86.9Lパナマ11位・大びん136本パナマ:86.1L86.1Lメキシコ12位・大びん132本メキシコ:83.4L83.4L韓国48位・大びん70本韓国:44.6L44.6L日本56位・大びん53本日本:33.7L33.7L日本は総人口で割った値(国税庁の「成人1人あたり」とは別)出典:キリンホールディングス(2025年12月発表)
キリンホールディングス「2024年 世界主要国のビール消費量」(2025年12月22日発表)表3。国の消費量を総人口で割った値
順位 国 1人あたり(L) 大びん換算
1 チェコ 148.8 235本
2 リトアニア 110.6 175本
3 オーストリア 104.6 165本
4 アイルランド 99.0 156本
5 クロアチア 95.1 150本
7 スペイン 91.8 145本
10 ドイツ 86.9 137本
48 韓国 44.6 ―
56 日本 33.7 53本
  • 1人あたりの1位はチェコで148.8L。1993年から32年連続の1位で、日本の約4.4倍です
  • ドイツは10位で、前年の8位から下がりました。「ドイツ人がいちばんビールを飲む」は、今の数字とは合いません
  • 上位20か国のうち、パナマ・メキシコ(中南米)、ガボン・南アフリカ(アフリカ)以外は、すべてヨーロッパ(とくに中欧・東欧)の国です
  • 英国は24位(66.3L)、米国は29位(65.4L)、ベルギーは33位(57.4L)です

数字を読むときの注意

キリンの表を読むときに、知っておきたい点があります。

  • 発表の当日に訂正があった:2024年版は、発表と同じ日に、世界の合計の前年比を「2.9%」から「0.5%」に訂正しています
  • 原典に誤植らしい数字がある:表3のチェコの「前年からの増減(大びん本数)」が94.8本と印字されていますが、前年の152.1Lから148.8Lに減っているので、実際は約5本の減少のはずです
  • 前の年の数字は毎年見直される:たとえば2023年の世界の合計は、発表時の1億8,793万kLが、翌年の版で1億9,323万kLに改められました。違う年の版の数字をつないで「何%増えた」と言うのは避けたほうが安全です
  • 古い数字が出回っている:「チェコ人は1年に190L飲む」は、2018年(191.8L)や2022年(188.5L)の版の数字です。チェコの数字は、データの参照先の変更で、2022年の188.5Lから2023年の152.1Lへと大きく変わりました
  • 日本の数字の中身:日本の413.5万kLは、ビールだけでなく発泡酒と発泡酒②(旧・新ジャンル)を合わせた量で、2020年以降は業界紙(醸造産業新聞社)の推計です。1人あたりの33.7Lは総人口で割った値で、国税庁の「成人1人あたり」とは分母が違います

地域別:アジアが3分の1

地域 世界に占める割合(2024年)
アジア 32.6%
ヨーロッパ 25.4%
中南米 19.4%
北米 12.4%
アフリカ 8.3%
オセアニア 1.1%
中東 0.8%

アジアは17年連続で、地域別の1位です。いちばん少ないのは中東(0.8%)です。イスラム教では、酒(ハムル)が禁じられています(クルアーン5章90節)。

世界の大手ビール会社

ドイツのホップ商社 BarthHaas の年報(会員向けで、原本は取得できなかったため、業界誌に転載された表で確認)によると、2024年の生産量の上位は次のとおりです。

順位 会社(本拠) 生産量(2024年)
1 AB InBev(ベルギー) 4億9,549万hL
2 ハイネケン(オランダ) 2億4,070万hL
3 華潤雪花(中国) 1億880万hL
4 カールスベア(デンマーク) 1億120万hL
5 モルソン・クアーズ(米国・カナダ) 7,962万hL
6 青島(中国) 7,538万hL
7 アサヒグループ(日本) 6,500万hL
  • 日本の会社は、アサヒ7位、キリン14位(2,290万hL)、サントリー26位(841万hL)、サッポロ27位(816万hL)です(1hL=100L)
  • 2025年の年報でも、AB InBev は世界の生産量の約4分の1(25.5%)を占め、1位です

世界の生産量

BarthHaas の年報の報道によると、世界のビールの生産量は2025年に約18億9,600万hLで、前年より0.7%減りました。米国(5.2%減)やドイツ(5.6%減)が減り、地域別で増えたのはアフリカ(2.6%増)だけでした。この年報も、毎年前の年の数字を改めているため、違う年の版の数字をつないで比べるのは避けます。

日本の立ち位置

世界の中の日本:総量11位・1人あたり56位

日本の1人あたりビール消費量の推移(2009〜2024年)キリンホールディングス「世界主要国のビール消費量」各年版。日本の1人あたりビール消費量(L、総人口で割った値)。2009年 46.9L、2012年 43.5L(40位)、2013年 43.1L(50位)、2014年 42.6L(51位)、2015年 42.3L(55位)、2016年 41.4L(48位)、2017年 40.1L(50位)、2018年 40.2L(52位)、2019年 38.4L(53位)、2020年 34.9L(52位)、2021年 33.2L(53位)、2022年 34.2L(56位)、2023年 34.5L(56位)、2024年 33.7L(56位)。2010・2011年は値を集めていない。順位は対象国やデータ源の変更で動くため、量の推移を示した。日本の1人あたりビール消費量(L)30354045502009201220152018202120242009年:46.9L2012年:43.5L2013年:43.1L2014年:42.6L2015年:42.3L2016年:41.4L2017年:40.1L2018年:40.2L2019年:38.4L2020年:34.9L2021年:33.2L2022年:34.2L2023年:34.5L2024年:33.7L46.9L43.5L(40位)34.9L(52位)33.7L(56位)2010・2011年は未収録。ビール・発泡酒・新ジャンルの合計を総人口で割った値出典:キリンホールディングス 各年版
キリンホールディングス「世界主要国のビール消費量」各年版の発表値。総人口で割った値。2010・2011年は集めていない
  • 日本の総消費量の順位は、2020年まで14年間7位でしたが、2021年8位、2022年10位、2023年・2024年は11位です
  • 1人あたりは、2009年の46.9Lから2024年の33.7Lへ、15年で約3割減りました
  • 2012年の版では「日本の1人あたりはアジアで最も多い」とされましたが、2013年以降は韓国のほうが多くなっています(2024年は韓国44.6L、日本33.7L)
  • 1人あたりの順位は、対象の国やデータ会社が変わると大きく動きます(2012年40位→2013年50位)。順位より、量の変化を見るほうが確かです

国内のビール類は1994年度がピーク

国税庁の資料によると、ビール・発泡酒・新ジャンルを合わせた課税数量(税金がかかった量)のピークは1994年度の744万kLで、ビールだけでも同じ年度の741万kLがピークでした。

日本のビール・発泡酒・新ジャンルの市場(1994〜2025年度)ビール酒造組合「ビール・発泡酒・新ジャンル商品の市場推移」(各年度4〜3月の推定値。2026年の酒税に関する要望書 p.3)。単位は千kL。図に数字が書かれていないため、棒の長さから読み取った値(誤差は±10千kLほど)。1994年度 ビール7,414・発泡酒31・新ジャンル0(計7,445)、2000年度 ビール5,416・発泡酒1,747・新ジャンル0(計7,163)、2005年度 ビール3,610・発泡酒1,682・新ジャンル1,148(計6,440)、2010年度 ビール2,943・発泡酒967・新ジャンル1,920(計5,830)、2015年度 ビール2,715・発泡酒760・新ジャンル1,862(計5,337)、2020年度 ビール1,765・発泡酒600・新ジャンル2,019(計4,384)、2025年度 ビール2,242・発泡酒638・新ジャンル975(計3,855)。1994年度がピークで、2025年度はその約半分。2020年度は新ジャンルがビールを上回った。ビール類の市場(千kL、年度、推定)02,0004,0006,0008,0001994年度 ビール:約7,414千kL1994年度 発泡酒:約31千kL7,44519942000年度 ビール:約5,416千kL2000年度 発泡酒:約1,747千kL7,16320002005年度 ビール:約3,610千kL2005年度 発泡酒:約1,682千kL2005年度 新ジャンル:約1,148千kL6,44020052010年度 ビール:約2,943千kL2010年度 発泡酒:約967千kL2010年度 新ジャンル:約1,920千kL5,83020102015年度 ビール:約2,715千kL2015年度 発泡酒:約760千kL2015年度 新ジャンル:約1,862千kL5,33720152020年度 ビール:約1,765千kL2020年度 発泡酒:約600千kL2020年度 新ジャンル:約2,019千kL4,38420202025年度 ビール:約2,242千kL2025年度 発泡酒:約638千kL2025年度 新ジャンル:約975千kL3,8552025ビール発泡酒新ジャンルビール酒造組合の推定。図の棒から読み取った値(±10千kLほどの誤差)
ビール酒造組合「ビール・発泡酒・新ジャンル商品の市場推移」(2026年「ビール・発泡酒の酒税に関する要望書」p.3)。各年度4〜3月の推定値。図に数字がないため、棒の長さから読み取った値(±10千kLほど)
  • 発泡酒は2002年度の265万kLが最多、新ジャンルは2017年度までの国税庁の資料では2013年度の227万kLが最多でした
  • ビール酒造組合は、ビール類の市場が「直近10年間で3割近く減少し、1994年のピーク時の約半分」になったとしています
  • 酒類全体の課税数量のピークは1999年度の1,017万kLで、2024年度は812万kL(ピークの約8割)。酒税の税収のピークは1994年度の2.12兆円で、2024年度は1.18兆円です(国税庁)
年度 ビール類の課税数量 酒類全体 ビール類の割合
1994 744万kL 1,007万kL 約74%
2017 534万kL 875万kL 約61%
2024 約439万kL 812万kL 約54%

(国税庁の資料から計算。2024年度はビールと発泡酒の合計で、2023年10月から新ジャンルは発泡酒に入っています)

日本で飲まれるお酒のうち、ビール類はいまも半分強を占めています。ただ、その割合は1994年度の約74%から、2024年度は約54%に下がりました。2024年度の酒税の税収のうち、ビールは約4,456億円で、37.5%を占めます。

2020年度、新ジャンルがビールを上回った

ビール酒造組合の推定では、2020年度に新ジャンル(約202万kL)がビール(約177万kL)を上回りました。この年度には、新型コロナの流行と、2020年10月の酒税の見直しの1段階目(ビールの減税・新ジャンルの増税)が重なっています。

その後、組合の推定では、ビールは2024年度まで増え(2025年度は減少)、新ジャンルは毎年減っています。国税庁の課税数量でも、ビールは2020年度の182.8万kLから、2024年度の246.5万kLまで戻りました。財務省の資料では、2025年度のビールは231.5万kLで、酒類全体の30.4%です。

成人1人あたりで見ると

国税庁の「成人1人あたり」の数字(沖縄県を除く)は、次のとおりです。

年度 全部のお酒 ビール 発泡酒
1992 101.8L(ピーク) ― ―
2014 80.3L 25.0L 7.4L
2019 78.1L 21.6L 5.5L
2022 75.4L 20.2L 5.5L
2024 74.8L 22.5L 9.4L
  • 成人1人が1年に飲むお酒の量は、1992年度のピークから約27L減りました
  • 2024年度の発泡酒が増えているのは、2023年10月から新ジャンルが「発泡酒」に数えられるようになったためです

地ビール(クラフトビール)

地ビール(クラフトビール)の製造者数(1994〜2024年度)国税庁「酒のしおり」令和8年版 付表1「地ビール製造免許場(者)数の推移」(各年度末)。1994年4月以降にビールの製造免許を取った者から大手5社と試験製造免許を除いた数。1994年度6者、1997年度194者、1999年度242者(最初のピーク)、2013年度173者、2017年度176者、2018年度368者、2024年度394者。2018年度に倍増したのは、ビールの定義が広がり、発泡酒の免許を持っていた者がビールの免許を受けたとみなされたため(ブームで急に増えたわけではない)。地ビールの製造者数(者、年度末)01002003004001994200020062012201820241999年度 2422013年度 1733942018年度 定義の改正で発泡酒の免許者が加わる1994年4月以降に免許を取った者から大手5社などを除いた数出典:国税庁「酒のしおり」令和8年版
国税庁「酒のしおり」令和8年版「地ビール製造免許場(者)数の推移」。各年度末。1994年4月以降に免許を取った者から、大手5社と試験製造免許を除いた数
  • 地ビールの製造者は、1994年度の6者から、1999年度に242者まで増え、その後は減って2013年度に173者になりました
  • 2018年度に368者へ倍増していますが、これはブームではなく、ビールの定義の改正で、発泡酒の免許を持っていた醸造所がビールの免許を受けたとみなされたためです
  • 2024年度は394者(製造場は430か所)です
  • それでも量は小さく、2018年度の国税庁の調査では、大手5社(アサヒ・キリン・サッポロ・サントリー・オリオン)以外のビール類の製成数量は、全体の約1.0%でした。回答した303者のうち98.3%が中小企業で、83.2%は年100kL未満でした
  • 酒税法には「クラフト」という言葉は出てきません(国税庁の統計の表の名前は「地ビール」)

日本のクラフトビールのスタイルや選び方はビールの種類の記事で書いています。

飲む人はどう感じているか

ビール酒造組合が2025年9月1日に発表した調査(月に1回以上ビール類を飲む1,200人)では、次のような結果でした。

  • ビール類を家で飲む人は59.5%
  • 飲む理由の1位は「おいしいから」(81.8%)
  • 一本化のあとのビールの税負担(小売価格の約33%)を「高い」と答えた人は60.2%

会社ごとの数量は、公表されなくなった

「日本でいちばん売れているビール会社はどこか」は、いまは公式の数字で比べられません。

  • ビール酒造組合は、2019年1月に、5社の数量をまとめた「市場動向レポート」の発表をやめました(「ビール類市場全体の動向を正確にお伝えしきれない」ため)。最後は2018年分です
  • アサヒは2020年から、ビール類の数量の公表をやめ、金額の前年比だけを出しています
  • 2025年の実績も、キリンは金額の前年比、サッポロはビールの販売数量の前年比、サントリーはブランドごとの前年比と、出し方がばらばらです

5社のシェアを横に並べて比べられる公式の数字は、2026年10月2日時点でありません。

世界のビール文化

オクトーバーフェスト(ドイツ・ミュンヘン)

  • 始まりは1810年10月、バイエルンの皇太子ルートヴィヒ(のちのルートヴィヒ1世)とテレーゼ王女の結婚を祝う祭りでした。10月17日の競馬で締めくくられ、会場の「テレージエンヴィーゼ」は花嫁の名前にちなみます(ミュンヘン市)
  • 2025年は来場者約650万人、ビールは約650万マース(1マース=1L)でした。来場者の記録は2023年の約720万人です
  • 2026年は第191回で、ビールは1マース14.80〜15.90ユーロです

ベルギー:ビール文化がユネスコ無形文化遺産に

2016年、「ベルギーのビール文化」がユネスコの無形文化遺産に記載されました。ユネスコの説明では、ベルギーには約1,500種類のビールがあり、料理にも使われ、トラピスト会の修道院が醸造の知識に貢献し、利益を慈善に回してきたことが挙げられています。

アメリカのクラフトビール

米国のブルワーズ・アソシエーション(醸造業者の団体)によると、2025年の米国には9,578のクラフト醸造所(全醸造所は9,724)があり、クラフトビールは数量で13.4%、金額で24.8%を占めました。米国のビール市場全体は1,130億ドルで、数量は5.7%減っています。

米国では「クラフト」に団体の定義があり、年600万バレル以下の小さな醸造所で、クラフトでない酒類会社の持ち分が25%未満であることが条件です。

世界の小ネタ

  • beer の語源:6世紀ごろの修道院で、ラテン語の biber(飲み物)を借りたという説が有力ですが、ゲルマン語の「大麦」から来たという説もあり、決まっていません
  • ミダス王の葬儀の酒:トルコのゴルディオンの「ミダス塚」(紀元前700年ごろ)の器から、ワイン・大麦のビール・蜂蜜酒をまぜた飲み物の痕跡が見つかりました(1999年の論文)。米国のクラフト醸造所ドッグフィッシュ・ヘッドが再現しています
  • 170年前の沈没船のビール:バルト海のオーランド諸島沖の沈没船から見つかったビール2本を分析すると、ホップの量が違う2種類で、酵母がつくる香りの成分は今のビールと近いものでした(2015年の論文)
  • ワシントンのビールのレシピ:1757年、バージニアの民兵の大佐だったジョージ・ワシントンがノートに「スモール・ビール」の作り方を書き残しています。ふすま・ホップ・糖蜜・酵母を使うものです(スミソニアン誌などの紹介)

通説の判定

ビールの歴史には、よく聞くけれど資料と合わない話がたくさんあります。調べた結果をまとめます。

よく聞く話 判定 資料でわかること
ピラミッドを造った労働者の給料はビールだった 半分正しい 穀物・パン・ビールなどの現物支給だった。ギザの労働者の町で醸造の決定的な証拠はまだない。「1日4〜5L」は確かめられない
世界最古の給料明細はビールの支給記録 おおむね正しい 紀元前3100〜3000年ごろのウルクの粘土板に「配給」と「ビール」(大英博物館)。「給料明細」は報道の言い方
ハンムラビ法典では、ビールを水で薄めた酒場の主人は川に投げ込まれた 中身が違う 罰は「水に投げ込む」だが、罪は値段(量)のごまかし。「薄めた」とは書かれていない
ビール純粋令(1516年)は、今も有効な世界最古の食品法 誇張 もっと古い規則がある(アウクスブルク1156年、ニュルンベルク1302〜05年、ミュンヘン1487年)。今の根拠は1993年の法律で、酵母や小麦麦芽も入る
純粋令に酵母がないのは、酵母が知られていなかったから おおむね正しい 酵母がいることは知られていたが、働きがわかっていなかった
ヴァイエンシュテファンは1040年創業の世界最古の醸造所 根拠が弱い 1950年代までは1146年と名乗っていた。どちらの年も同じ文書が根拠で、その文書は17世紀に修道院長が作った偽文書だと、ドイツの歴史家が1979年に指摘している(論文の要約による)
ラガーはバイエルンで生まれた、ヨーロッパの酵母のビール 一部正しい 15世紀のバイエルンで始まったとされるが、ラガー酵母の片方の親は南米とアジアで見つかった
IPA はインドへの長い航海のために新しく造られた 誇張 ふだん造っていた強めの淡色ビールが、船旅で熟成して評判になった
ポーターは1722年にハーウッドが発明した 誇張 1720年ごろのロンドンで、ブラウンビールを改良して生まれた
中世の人は、水が汚くて飲めないのでビールを飲んだ 誤り 1000年ごろの英国の『アルフリックの対話』に「エールがあればエール、なければ水」という問答。英国の歴史書には、王が泉に旅人用の杯を置かせた話がある。ロンドンは1237〜45年に泉から飲み水を引いた。ビールは好まれたが、水を避けた証拠にはならない
ハネムーン(蜜月)は、新婚の1か月に蜂蜜酒を飲む習慣から 誤り 英語の最初の例は1546年。満ちたとたん欠け始める月に、新婚の愛情をたとえた言葉とされる
ヴァイキングは敵の頭蓋骨で酒を飲んだ 誤り 北欧の詩『クラークの歌』の「頭蓋骨の曲がった枝」は角の杯をたとえた言い回し。1651年に学者オーレ・ヴォルムが「殺した敵の頭蓋骨から飲む」と誤訳した
メイフラワー号の清教徒は、ビールが切れたのでプリマスに上陸した 一部正しい 1622年の記録に「食料、とくにビールが尽きかけていた」とある。ただし開けた土地・畑の跡・飲み水があったことも理由に挙げている
修道士は断食の期間、強いビールだけで過ごした 確かめられない パウラーナー修道院が強いビールを造っていた記録はあるが、「ビールだけで過ごした」と示す資料は見つからない
ギネスの9,000年のリースは今も続いている 誤り リースは1759年で公式どおり。その後、醸造所は土地を買い取ったとされ、公式サイトに「今も有効」という記述はない
ドイツ人がいちばんビールを飲む 誤り 1人あたりはドイツ10位、1位はチェコ(2024年)
日本はビール消費量世界7位 古い 7位は2020年まで。2023・2024年は11位

もっと知りたい人へ

ビールの歴史を、古代から現代まで通して読みたい人に。

この記事で紹介したもの(まとめ)

記事の中で紹介したものを、もう一度まとめました。理由や原材料は、それぞれの節に書いています。

紹介したもの 購入先
ピルスナー ウルケル 330ml 瓶×6本(チェコ) 楽天市場で見る(酒宝庫 MASHIMO) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
ドラフトギネス 330ml 缶×8本・専用パイントグラス付き(アイルランド) 楽天市場で見る(酒のビッグボス) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
ヴァイエンシュテファン ヘーフェヴァイス 330ml×6本(ドイツ) 楽天市場で見る(津田SAKE店) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
ウエストマール トリプル 330ml 瓶×6本(トラピスト) 楽天市場で見る(お酒の専門店 リカマン) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
キリン スプリングバレー 豊潤〈496〉500ml×24本 楽天市場で見る(楽天24) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
サッポロ ヱビス ビール 350ml×24本 楽天市場で見る(楽天24 ドリンク館) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
サッポロ ラガービール(赤星)350ml×24本 楽天市場で見る(楽天24 ドリンク館) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
オリオン ザ・ドラフト 350ml×24本 楽天市場で見る(楽天24 ドリンク館) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR
ギャビン・D・スミス『ビールの歴史』(「食」の図書館、原書房) 楽天市場で見る(楽天ブックス) PR
Amazonで見る PR
Yahoo!ショッピングで見る PR

ご注意 お酒は20歳になってから。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。妊娠中・授乳中の飲酒、飲酒運転はやめましょう。ここで紹介したものは、健康によいことを示すものではありません。価格・送料は変わることがあります(送料は地域で変わります)。

まとめ

  • ビールの発祥は一つに決められない。残りかす・道具・文字という証拠の種類ごとに「最古」が違い、最古の候補(約1万3000年前のイスラエルの洞窟)には異論もある
  • 文字で残る最古のビールは、メソポタミアの労働者への配給。ハンムラビ法典が罰したのは、薄めることではなく値段のごまかし
  • ホップ、15世紀のラガー、1842年のピルスナー、19世紀の純粋培養と冷凍機で、今のビールの形ができた。ラガー酵母の片方の親は南米とアジアで見つかった
  • 日本のビールは1869〜1870年の横浜と1876年の札幌から始まり、2026年10月1日に酒税が一本化された
  • 消費量の世界一は中国(22年連続)、1人あたりはチェコ(32年連続)。日本は総量11位・1人あたり56位
  • 国内のビール類のピークは1994年度で、いまはその約半分。2020年度には新ジャンルがビールを上回ったが、その後ビールは戻っている

参考にした資料

最古の証拠・古代

中世・近代

通説の判定

日本の歴史

世界と日本の数字

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.02)。