べにふうき緑茶は花粉症にいい? メチル化カテキンの試験の規模と資金、機能性表示の中身、カフェインと飲み方を、論文と国の資料で確かめる

PR この記事には、楽天市場のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」)と、A8.net の広告リンクを含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。
春が近づくと、「べにふうき緑茶は花粉症にいい」「メチル化カテキンがむずむずを抑える」という話をよく見かけます。スーパーや通販でも、べにふうきのティーバッグや粉末茶がたくさん並びます。
一方で、どんな人が、どれくらいの量を、どれくらいの期間飲んだ試験なのかは、あまり紹介されません。
この記事では、
- べにふうきとはどんな品種で、メチル化カテキンはどうやって見つかったのか
- 人の試験は何人で、どんな方法で、誰の資金で行われたのか
- 機能性表示食品の届出には、実際に何と書かれているのか
- ふつうの緑茶(やぶきた)と何がちがうのか
- カフェインはどれくらい入っていて、どこまでなら目安の範囲なのか
- 粉末かどうか、お湯の温度など、飲み方で量がどう変わるのか
を、論文と国の資料(消費者庁・文部科学省・食品安全委員会・農林水産省の品種登録データベース)、海外の評価機関(EFSA)の資料で確かめます。
この記事で言えないこと べにふうき緑茶は食品です。この記事は、花粉症が治る・予防できると言うものではありません。症状がつらいときの治療は、医師に相談してください。試験をした研究者自身も、べにふうきは診療ガイドラインにある薬の代わりではない、と論文に書いています。
結論
- べにふうきは、紅茶・半発酵茶のために育てられた品種(1995年に品種登録)です。紅茶にすると消えてしまうメチル化カテキン(EGCG3”Me)が、緑茶にすると多く残ることが、1999年ごろの研究で分かりました。ふつうの緑茶の代表「やぶきた」には含まれません
- 人の試験は、スギ花粉症などの人を対象にした数十人規模のものです。いちばん人数の多い二重盲検試験(51人)では、やぶきたと比べて目のかゆみ・涙・鼻水などのスコアが1〜2割低くなりましたが、くしゃみ・鼻づまり・のどの痛みには差がありませんでした
- 試験の多くは同じ研究グループ(農研機構など)で、飲料メーカー(アサヒ飲料)が資金や共同研究で関わっています。届出の研究レビュー自身も「すべて同じ研究グループの報告」と書いています。日本以外で行われた人の試験は、今回の検索では見つかりませんでした
- 機能性表示食品の届出は42件(撤回されていないもの30件、2026年9月30日時点)。表示は「ハウスダストやほこり(2021年以降は花粉も)などによる目や鼻の不快感を軽減することが報告されています」で、「花粉症」という病名は使われていません。1日の目安はメチル化カテキン30〜49.5mg(多くは34mg)です
- カフェインはふつうの緑茶と同じくらい入っています。試験で飲んだべにふうき飲料700mlは約147mgで、やぶきた(約111mg)より多い結果でした。日本にカフェインの数字の目安はなく、EFSA は妊娠中・授乳中は1日200mgまで、大人は400mgまでとしています
- メチル化カテキンの量は、摘む時期・お湯の温度・加工(紅茶かどうか)で変わります。機能性表示食品でない商品は、メチル化カテキンの量がわかりません
この記事で紹介しているもの
記事の中で、論点に合わせて次のものを紹介しています。
| こんな人に | 紹介しているもの | 場所 |
|---|---|---|
| 茶葉ごと飲める、原材料が緑茶だけの粉末茶がほしい | 国産べにふうき粉末緑茶(京一屋)※機能性表示食品ではありません | 京一屋の粉末緑茶は機能性表示食品ではない |
| べにふうきを茶葉からいれてみたい | べにふうき緑茶 茶葉 70g(鹿児島県知覧町産) | お湯の温度といれ方 |
| 比べるために、ふつうの緑茶(やぶきた)も飲みたい | 有機煎茶 やぶきた 70g(静岡県掛川市産) | ふつうの緑茶(やぶきた)とのちがい |
| ふだんの緑茶を専門店で選びたい | 山本山オンラインショップ(お茶と海苔) | ふつうの緑茶(やぶきた)とのちがい |
| 京都の老舗の抹茶・緑茶を選びたい | お茶専門店 祇園辻利 | ふつうの緑茶(やぶきた)とのちがい |
| 妊娠中・夜など、カフェインを減らしたい | カフェインレス緑茶 ティーバッグ(国太楼) | 妊娠中・授乳中・子ども |
べにふうきはどんなお茶か
紅茶のために生まれた品種
べにふうきは、国の研究機関が育てた茶の品種です。農林水産省の品種登録データベースには、次のように登録されています。
- 「べにほまれ」に「枕Cd86」を交配して育成した品種
- 1993年3月24日に出願、1995年8月17日に品種登録(登録番号4591)。品種登録者は今の農研機構
- 「良品質の紅茶及び半発酵茶用品種」で、炭そ病・輪斑病(茶の病気)への抵抗性が強い。発酵性は大
- 育成者権の存続期間(18年)は満了しています
Masuda 2014 の論文も、べにふうきを「もともと紅茶を作るために育てられた品種」と紹介しています。
もともとは紅茶用だった品種が、緑茶として注目されるようになったのは、次のメチル化カテキンが見つかったからです。
メチル化カテキンが見つかった経緯
緑茶の渋みのもとであるカテキンのうち、いちばん多いのがEGCG(エピガロカテキンガレート)です。その一部に「メチル基」という小さな部分がついたものを、メチル化カテキンと呼びます。正式な名前は「エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート」、略して EGCG3”Me です。
| 年 | 分かったこと | 研究の種類 |
|---|---|---|
| 1998年 | いろいろな品種のお茶を比べると、「べにほまれ」と台湾系の品種の浸出液が、マウスのマスト細胞からのヒスタミンの放出を強く抑えた | 細胞(試験管) |
| 1999年 | 台湾のウーロン茶から、アレルギー反応を抑える力が強い2つのカテキンを取り出し、構造を決めた。その1つが EGCG3”Me。緑茶15品種のうち13品種で見つかり、アッサム系の品種に多かった(乾燥重量の0.50〜0.82%)。発酵の工程でできるものではなかった | 成分分析・マウス |
| 2000年 | 「べにほまれ」のウーロン茶から取り出した EGCG3”Me が、人の細胞(好塩基球)からの物質の放出を、EGCG より強く抑えた | 細胞(試験管) |
| 2000年 | 「べにほまれ」の抽出物は、EGCG3”Me を含まない「やぶきた」より、マウスの遅れて出るアレルギー反応(IV型)を強く抑えた | マウス |
| 2015年 | 機能性表示食品の制度が始まり、べにふうき緑茶の届出が受理された | ― |
(Maeda-Yamamoto 1998、Sano 1999、Tachibana 2000、Suzuki 2000、消費者庁の届出データベースから)
紅茶は、茶葉を強く酸化させて作ります。その工程でメチル化カテキンは壊れ、緑茶に加工したときに多く残ります(Masuda 2014)。紅茶のための品種なのに、緑茶にしたときに注目される、という少し変わった立ち位置です。
試験管と動物でわかっていること
アレルギーの症状は、鼻や目の粘膜にあるマスト細胞が花粉などに反応し、ヒスタミンなどの物質を出すことで起こります。
- EGCG3”Me は、人の好塩基球の細胞で、花粉などをとらえる受け口(高親和性IgE受容体)を減らし、ヒスタミンの放出を抑えました(Fujimura 2002)
- マウスのマスト細胞では、細胞の中で信号を伝える複数の酵素の働きを抑えました(Maeda-Yamamoto 2004)
- マウスに口から与えると、I型アレルギー(すぐに出るアレルギー反応)を抑え、その力は EGCG より強い結果でした(Sano 1999、体重1kgあたり5〜50mg)
これらは細胞と動物の試験です。人の体で同じことが起きているかは、これだけでは分かりません。
体への取りこまれ方
| 試験 | 分かったこと |
|---|---|
| 人(健康な人、Maeda-Yamamoto 2007) | EGCG 43.5mg と EGCG3”Me 8.5mg を含むべにふうき緑茶を飲むと、量は EGCG のほうが5.1倍多いのに、血液中の量の合計(AUC)は EGCG3”Me のほうが多かった |
| ラット(Oritani 2013) | 口から与えたときに血液に入る割合は、EGCG3”Me 0.38%、EGCG 0.14% |
| ミニブタ(Wakamatsu 2019) | べにふうきの茶葉を混ぜたえさを与えても、血液から EGCG3”Me は見つからず、メチル基の位置がちがう別の形(EGCG4”Me)が見つかった |
人の試験では、メチル化カテキンは EGCG より血液に入りやすい結果でした。ただし、取りこまれる割合はどちらも数%以下と小さく、動物の種類によって結果もちがいます。
人の試験でわかったこと
試験の一覧
べにふうき(メチル化カテキン)を人が飲んだ試験で、論文や国の資料で中身を確かめられたものです。
| 試験 | 対象 | 方法 | 飲んだもの | 結果 | 企業の関わり |
|---|---|---|---|---|---|
| 予備的な試験(日本語の論文。Masuda 2014 の本文での紹介) | 通年性アレルギー性鼻炎の人 | ― | メチル化カテキン1日34mg と 17mg | 34mg では鼻の症状が改善し、17mg では改善しなかった | 記載なし |
| Maeda-Yamamoto 2007(Cytotechnology) | スギ花粉症の人(少人数。Masuda 2014 の本文の紹介。人数は抄録に記載なし) | 二重盲検 | べにふうき緑茶、べにふうき+ショウガエキス、プラセボ | 花粉が最も多い11週目に、鼻をかむ回数と目のかゆみがプラセボより軽い | 著者3人のうち1人がアサヒ飲料の研究所の所属(論文の所属欄) |
| Maeda-Yamamoto 2009(Allergol Int) | スギ花粉症の38人 | ランダム化・オープン(誰が何を飲むか分かっている) | べにふうき飲料(34mg/日)を、花粉の1.5か月前から飲む群と、飛び始めてから飲む群 | 早く始めた群のほうが、ピーク時の鼻の症状薬物スコア・のどの痛み・鼻をかむ回数などが低い | 研究担当者にアサヒ飲料の社員2人(アサヒ飲料の研究成果ページ) |
| Masuda 2014(Allergol Int) | スギ花粉症の成人51人 | ランダム化二重盲検 | べにふうき飲料700ml/日(メチル化カテキン約41mg)か、やぶきた飲料700ml/日 | 目のかゆみ・涙・鼻水などのスコアが低い。くしゃみ・鼻づまり・のどの痛みは差なし(下の図) | 「アサヒ飲料が支援」と論文に明記 |
| アサヒ飲料の届出資料(届出番号A69、2015年) | ほこり・ハウスダストで目や鼻に不快感がある成人90人(解析75人) | ランダム化・対照群比較 | べにふうき飲料700ml/日(34mg)か、やぶきた飲料を12週間 | 目の症状は3週目以降、鼻の症状は6週目以降に差 | アサヒ飲料が自社の届出に使った試験。届出の抄録では利益相反は「特になし」 |
「ランダム化」は、くじ引きのような方法でグループを分けること、「二重盲検」は、参加した人も医師も、どちらのお茶を飲んでいるか分からないようにすることです。どちらも、思い込みや分け方のかたよりで結果がゆがむのを防ぐための方法です。
いちばん人数の多い二重盲検試験
論文として公表された試験で、いちばん人数が多い二重盲検試験は、国立病院機構三重病院で行われた Masuda 2014 です。
- スギ花粉症の20〜65歳の51人を、べにふうき(26人)とやぶきた(25人)に分け、2007年12月から2008年3月まで、350mlのお茶を1日2本ずつ飲んでもらいました
- べにふうきの飲料は、メチル化カテキンが100mlあたり5.83mg(1日約41mg)。やぶきたの飲料は色と味をそろえたもので、メチル化カテキンは0でした
- 主な目的の項目は、花粉が最も多かった3月6〜26日の症状スコアの合計です
- 差があった項目:鼻水、目のかゆみ、涙、鼻と目の症状の合計、薬を使った量を加えたスコア、日常生活の支障。ピーク時の生活の質の点数もべにふうきのほうがよい結果でした
- 差がなかった項目:くしゃみ、鼻づまり、のどの痛み、本人がつけた鼻の症状の点数(VAS)
- 花粉の時期に血液中の好酸球(アレルギーで増える白血球)が増えるのを、べにふうきのグループでは抑えていました
- どちらのグループでも、副作用(有害事象)は報告されていません
論文の考察では、著者自身が次のように書いています。
- 効果は統計的には意味があったが、花粉症をコントロールする新しい薬になるほど強いものではない
- この年は花粉の飛ぶ量が比較的少なく、花粉が大量に飛ぶ年での効果は確かめていない
- べにふうきが、診療ガイドラインにある抗ヒスタミン薬や点鼻ステロイドなどの代わりになるとは言わない
この試験は、論文に「アサヒ飲料(Asahi Soft Drinks)が支援した」と書かれています。
量と飲み始めの時期
- 量:Masuda 2014 の論文は、通年性アレルギー性鼻炎の人の予備的な試験(日本語で発表)で、メチル化カテキン1日34mgでは鼻の症状が改善し、17mgでは改善しなかったことをもとに量を決めた、と書いています。機能性表示食品の多くが「1日34mg」なのは、この数字がもとになっています
- 飲み始め:花粉が飛ぶ1.5か月前から飲んだ群は、飛び始めてから飲んだ群より、ピーク時のスコアが低い結果でした(Maeda-Yamamoto 2009)。ただしこの試験はオープン試験で、参加者は自分がいつから飲んでいるか分かっています。また、両方の群がべにふうきを飲んでいて、やぶきたや何も飲まない群との比較ではありません
試験の多くは同じ研究グループと飲料メーカーの関与
上の表のうち論文で確かめられる3本(2007・2009・2014年)は、どれも農研機構の同じ研究者が著者に入っている同じ研究グループのもので(論文の所属欄)、アサヒ飲料の社員が著者・研究担当者に入っているか、アサヒ飲料が支援しています。もう1本(A69)はアサヒ飲料自身の届出です。
機能性表示食品の届出に使われた研究レビュー(文献を集めて評価したもの)も、自分たちで次のように書いています。
- 採用した論文は4報と少なく、すべて同じ研究グループの報告(JAかごしま茶業の届出 A67)
- 論文が少ないので、効果があった研究だけが発表されている可能性(出版バイアス)は否定できない。ランダム化や割り付けの方法の記載が足りない論文がある(小谷穀粉の届出 D396)
資金の出どころが結果を決めるわけではありません。ただ、ちがう研究グループが同じ結果を確かめた(再現した)研究がないことは、読むときに知っておきたい点です。
日本以外の研究
2026年10月1日に PubMed(米国の医学論文データベース)で「benifuuki」「methylated catechin」とアレルギー・鼻炎・花粉症を組み合わせて検索したところ、該当は15件で、人の試験はすべて上の日本の研究グループのものでした。日本以外で行われた人の試験は見つかりませんでした。
べにふうきは日本で育てられた品種で、ヨーロッパや米国の評価機関が、べにふうきやメチル化カテキンについて花粉症などへの効果を評価した資料も、今回の調査では見つかりませんでした。
機能性表示食品の届出の中身
機能性表示食品は、事業者が自分の責任で、科学的な根拠を消費者庁に届け出て、体の機能を表示する制度です(2015年開始)。特定保健用食品(トクホ)とちがい、国が個別に審査して許可したものではありません。
消費者庁の届出データベースの全件データ(2026年9月30日取得)から、機能性関与成分にメチル化カテキンを含む届出を数えました。
何と表示しているか
| 内容 | |
|---|---|
| 最初の届出 | 2015年6月24日、JAかごしま茶業「べにふうき緑茶ティーバッグ」(A67) |
| 表示の文 | 「本品にはメチル化カテキン(エピガロカテキン-3-O-(3-O-メチル)ガレート)が含まれます。メチル化カテキンは、ハウスダストやほこりなどによる目や鼻の不快感を軽減することが報告されています。」(A67) |
| 「花粉」が入った表示 | 2021年5月24日のやまと興業の届出(G138)から、「花粉、ホコリ、ハウスダストなどによる目鼻の不快感」という表示が出てきた。撤回されていない30件のうち20件が「花粉」を含む |
| 「花粉症」という言葉 | 42件のどの表示にも使われていない |
| 想定する対象者 | 「目や鼻に不快感を有している成人男女」など。制度上、病気の人・未成年・妊娠中や授乳中の人は対象外 |
| 摂取上の注意 | ほぼすべてに、カフェインについての注意(「通常の緑茶と同様に含んでいます」など)。「空腹時に摂取すると胃が痛くなることがあります」と書いた届出も多い |
機能性表示食品は、病気の治療や予防を目的にしたものではないので、「花粉症」という病名ではなく、「目や鼻の不快感」という書き方になっています。
届出の数と根拠
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| メチル化カテキンの届出 | 42件 |
| 撤回されていないもの | 30件(撤回12件。理由は「販売終了」「販売予定がない」など) |
| 食品の区分 | すべて「加工食品(その他)」。生鮮食品やサプリメントの形の届出はない |
| 根拠の種類(撤回されていない30件) | すべて「機能性関与成分に関する研究レビュー」。商品そのものを使った臨床試験で届け出たのは、撤回されたアサヒ飲料「アサヒ めめはな茶」(A69)だけ |
| 関与成分を含む原材料 | ほとんどが「緑茶(べにふうき)」 |
つまり、いま届出がある商品の多くは、自分の商品で試験をしたのではなく、上で紹介した同じ研究グループの論文を集めた研究レビューを根拠にしています。
1日の量
| 形 | 1日の摂取目安量の例 | メチル化カテキンの量 |
|---|---|---|
| ティーバッグ | 1包(5g)〜3包(9g) | 30〜49.5mg(抽出後) |
| 茶葉 | 5.5g | 34mg(抽出後) |
| 粉末・スティック | 2〜4.5g | 32〜40mg |
(消費者庁の届出データベースから。撤回されていない30件では、1日のメチル化カテキンは30〜49.5mg、もっとも多いのは34mg前後。粉末の行は、抹茶ラテ(1日22.5g)の届出1件を除いています)
同じくらいの量でも、ティーバッグなら茶葉5〜9gを熱湯で抽出、粉末なら2〜4.5gを溶かして飲む、というように、商品ごとに分析して量を決めています。
京一屋の粉末緑茶は機能性表示食品ではない
この記事で紹介している国産べにふうき粉末緑茶(京一屋)は、熊本県産のべにふうきを粉にしたもので、原材料は「緑茶」だけです。
- 機能性表示食品ではありません。ラベルにメチル化カテキンの量は書かれていません
- そのため、上の届出食品と同じ量のメチル化カテキンが入っているか、同じ結果になるかは分かりません
- 1包は1gです。届出の粉末茶の1日量(2〜4.5g)と比べると、1包だけでは少なめです。ただし、メチル化カテキンの割合は収穫の時期や加工で変わるので(後の章)、重さだけで比べることはできません
ふつうの緑茶(やぶきた)とのちがい
「やぶきた」は、日本でいちばん多く飲まれている緑茶の品種です(Masuda 2014、Kurita 2010)。試験では、べにふうきと比べる「プラセボ(偽物)」の役として使われてきました。
| べにふうき | やぶきた | |
|---|---|---|
| もともとの用途 | 紅茶・半発酵茶兼用の品種 | 緑茶の品種 |
| メチル化カテキン(EGCG3”Me) | 含む | 含まない |
| 試験の飲料100mlのカテキン合計 | 89.27mg | 94mg |
| 試験の飲料100mlの EGCG | 14.37mg | 13.21mg |
| 試験の飲料100mlのカフェイン | 20.99mg | 15.85mg |
| 味 | においと苦みに特徴があり、ほかの品種を好む人もいる(Wakamatsu 2019) | ― |
(カテキン・カフェインは Masuda 2014 の Table 1。試験のために作った飲料の値で、市販のお茶の値ではありません)
- 試験の飲料では、カテキンの合計はほぼ同じで、ちがいはメチル化カテキンがあるかないかでした
- やぶきたにも、緑茶のカテキンの中心である EGCG は同じくらい入っています。EGCG にも試験管や動物で抗アレルギーの作用が報告されています(Sano 1999 では、メチル化カテキンより弱い結果)
- 試験は「べにふうき」と「やぶきた」を比べたもので、緑茶を飲まない場合との比較ではありません
メチル化カテキンにこだわらず、ふだん飲む緑茶や抹茶を専門店で選ぶなら、次の通販もあります。
カフェインの量と目安
緑茶にはカフェインが入っています。べにふうきも同じです。
- 食品成分表では、いれたせん茶は100mlあたり20mg、ほうじ茶・ウーロン茶も20mg、紅茶30mg、コーヒー60mg、玉露160mgです
- 成分表は品種を分けておらず、べにふうきだけのカフェインの値は成分表にありません
- Masuda 2014 の試験の飲料では、べにふうき(100mlあたり20.99mg)のほうが、やぶきた(15.85mg)より多い結果でした。一方、鹿児島の茶葉を調べた研究では、やぶきたのほうがカフェインが多いという結果でした(Wakamatsu 2019)。品種だけで「べにふうきはカフェインが少ない」とは言えません。収穫の時期でも変わり、秋の遅い時期に摘んだべにふうきは少なめでした(同)
茶葉ごと飲む粉末茶
粉末茶は、お湯に溶かして茶葉ごと飲むので、カフェインもほぼすべて体に入ります。
- 成分表では、せん茶の茶葉は100gあたりカフェイン2.3g、抹茶は3.2gです。茶葉1gあたりに直すと、せん茶23mg、抹茶32mgです
- 食品安全委員会は、抹茶1杯(1.5g)のカフェインを48mgとしています
- べにふうきの粉末茶のカフェインは、成分表にも、多くの商品のラベルにも書かれていません
1日の量と海外の目安
| 機関 | 目安 |
|---|---|
| 日本(食品安全委員会・厚生労働省) | 個人差が大きいため、1日に何mgまでという数字は決めていない |
| EFSA(欧州食品安全機関、2015年) | 健康な大人は1日400mgまで、1回200mgまで。妊娠中は1日200mgまで。授乳中は1回200mg・1日200mgまで。子ども・10代は体重1kgあたり1日3mgまで |
| カナダ保健省 | 大人1日400mgまで。妊娠中・授乳中・妊娠を考えている人は300mgまで。4〜6歳45mg、7〜9歳62.5mg、10〜12歳85mgまで |
| 英国食品基準庁(FSA、2008年) | 妊娠中は1日200mgまで |
| WHO(2016年) | 1日300mgを超える妊娠中の人に、カフェインを減らすよう呼びかけ |
(食品安全委員会ファクトシート「食品中のカフェイン」、厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」、EFSA の資料から)
試験で飲んだべにふうき飲料700ml(約147mg)は、EFSA の大人の目安(400mg)の範囲です。ただ、コーヒーなどほかの飲みものの分も合わせて考える必要があります。
妊娠中・授乳中・子ども
- 機能性表示食品は、制度上、妊娠中・授乳中の人と未成年は対象外です
- 試験も、妊娠中・授乳中の人を対象から外していました(Masuda 2014)
- EFSA の目安で考えると、妊娠中の1日200mgは、試験のべにふうき飲料なら約950ml分です。体重20kgの子どもなら、1日60mg(体重1kgあたり3mg)です
- 食品安全委員会のファクトシートは、寝る直前にカフェインを100mgほどとると、一部の大人で眠りが妨げられることがある、というオーストリアの評価を紹介しています
カフェインを減らしたいときは、カフェインを取り除いた緑茶もあります。ただし、カフェインレスの緑茶に、べにふうきのメチル化カテキンが入っているわけではありません。
飲み方で量が変わる

同じべにふうきでも、メチル化カテキンの量は、いれ方・摘む時期・加工で変わります。
お湯の温度といれ方
- メチル化カテキンは高い温度で溶け出しやすい成分です。鹿児島のべにふうきを60℃・70℃・80℃でいれた研究でも、温度が高いほど多く出ました(Wakamatsu 2019)
- ティーバッグの届出食品も、「熱湯150〜180mlで2分間、上下によく振って抽出」(A67)のように、いれ方まで決めて量を測っています。急須でさっといれると、届出の量より少なくなることがあります
- お茶の浸出液を90℃で温めると、メチル化カテキンの一部が、形の少しちがう「エピマー」(GCG3”Me)に変わりました(Suzuki 2003)。細胞の試験では、GCG3”Me もヒスタミンの放出を抑え、その力は EGCG3”Me より強い結果でした(Maeda-Yamamoto 2012)
粉末茶
- 粉末茶は茶葉ごと飲むので、抽出されずに茶がらに残る分がありません
- ラットの試験では、粉の粒を細かく(平均2.86µm)すると、EGCG などは血液に入る量が増えましたが、メチル化カテキンは、いれたお茶(抽出液)と同じくらいでした(Maeda-Yamamoto 2011)
摘む時期
- 鹿児島のべにふうきを摘む時期ごとに調べた研究では、メチル化カテキンの量は摘む時期で変わり、9〜10月に最後に摘んだ茶葉は、メチル化カテキンが多くカフェインが少なめでした(Wakamatsu 2019)
- メチル化カテキンの仲間(ECG3”Me)は、べにふうきの三番茶でいちばん多い結果でした(Maeda-Yamamoto 2012)
- 商品のラベルには、ふつう摘んだ時期は書かれていません。届出食品は、商品ごとに量を測って届け出ています
紅茶やほうじ茶にすると
- 紅茶にする工程でメチル化カテキンは壊れます(Masuda 2014)。べにふうきの紅茶(和紅茶)は、花粉の話とは別のものです
- 届出には「べにふうき粉末ほうじ茶」(I939)もあり、ほうじ茶の形でも、商品ごとに量を測って届け出ています
気をつけたいこと
- 空腹時の胃の不調:2009年の試験(15週間)では、胃の調子を悪くした人がいたとして、アサヒ飲料の研究成果のページで空腹時の飲用に注意が必要としています。機能性表示食品の届出にも、「空腹時に摂取すると胃が痛くなることがあります」という注意を書いたものが多くあります
- 薬との飲み合わせ:ラットの試験では、べにふうき茶は、薬を分解する酵素のうち CYP3A には影響しませんでしたが、CYP2D の働きを下げました。著者は、CYP2D を通して薬との相互作用が起きる可能性があるとしています(Hirai 2018)。人での確認はまだありません。薬を飲んでいる人は、医師・薬剤師に相談してください
- カテキンのとりすぎ:EFSA は2018年、サプリメントなどで EGCG を1日800mg以上とると肝臓の障害の初期のサインと関連する可能性がある一方、ふつうにいれた緑茶やペットボトルの緑茶では、多く飲む人でも肝臓の障害の兆候はおおむねない、としました。いれた緑茶からとる EGCG は1日90〜300mgが一般的です
- 花粉症の治療:Masuda 2014 の著者は、べにふうきは薬の代わりではないと書いています。症状がつらいときは、耳鼻科などで相談してください
まとめ
| 論点 | 分かっていること | 根拠の強さ・注意 |
|---|---|---|
| 品種 | 紅茶・半発酵茶のための品種。緑茶にするとメチル化カテキンが残る | 品種登録データベース、Masuda 2014 |
| しくみ | マスト細胞・好塩基球でヒスタミンの放出などを抑える | 細胞・動物の試験 |
| 人の試験 | 数十人規模。やぶきたと比べ、目のかゆみ・涙・鼻水などのスコアが低い。くしゃみ・鼻づまりは差なし | ランダム化試験はあるが、同じ研究グループ・飲料メーカーの関与。ほかのグループの再現なし |
| 量 | 1日34mgで差、17mgでは差なし | 1つの試験から |
| 機能性表示 | 42件(撤回されていないもの30件)。「目や鼻の不快感」の表示で、「花粉症」の言葉はない | 国の個別審査はなし。根拠は同じグループの論文の研究レビュー |
| カフェイン | ふつうの緑茶と同じくらい。粉末は茶葉ごと飲む | 日本に数字の目安なし。EFSA は妊娠中200mg・大人400mg |
| 飲み方 | 高い温度で多く溶け出す。紅茶では壊れる。摘む時期で変わる | 機能性表示食品でない商品は量が分からない |
この記事で紹介したもの:
| 国産べにふうき粉末緑茶(京一屋) | べにふうき緑茶 茶葉 70g | 有機煎茶 やぶきた 70g | カフェインレス緑茶 ティーバッグ(国太楼) | |
|---|---|---|---|---|
| こんな人に | 茶葉ごと飲む粉末がほしい | 茶葉からいれてみたい | やぶきたと飲み比べたい | カフェインを減らしたい |
| 原材料名など | 緑茶(熊本県産、べにふうき)だけ。機能性表示食品ではない | べにふうき(鹿児島県南九州市知覧町産)。機能性表示食品ではない | 有機緑茶(静岡県掛川市産、やぶきた・一番茶) | 茶。1袋の抽出液のカフェイン0.005g未満(販売ページの表示) |
| 価格(税込) | 1g×30包 1,260円(送料込) | 70g 1,382円(送料込) | 70g 1,026円(送料込) | 16袋×3 1,781円(送料無料) |
| 購入 | 楽天市場で見る(京一屋 楽天市場店) PR | 楽天市場で見る(こちら南国便) PR | 楽天市場で見る(お茶の山英) PR | 楽天市場で見る(Smile Spoon) PR |
(2026年10月1日に楽天市場の販売ページで確認。価格・送料は変わることがあります)
「べにふうき緑茶は花粉症にいい」は、やぶきたと比べて一部の症状のスコアが低かった、という数十人規模の試験があるところまでです。その試験は同じ研究グループと飲料メーカーが関わったもので、薬の代わりになるという結果ではありません。飲むなら、カフェインの量も含めて、ふつうの緑茶の一つとして考えるのが現実的です。
参考にした資料
- 農林水産省「品種登録データベース」べにふうき(登録番号4591) https://www.hinshu2.maff.go.jp/vips/cmm/apCMM112.aspx?TOUROKU_NO=4591&LANGUAGE=Japanese
- アサヒ飲料「研究成果 2009年 レポート」(『べにふうき』緑茶飲用開始時期がスギ花粉症の症状軽減効果に及ぼす影響)
- 消費者庁「機能性表示食品の届出情報検索」全項目出力データ(2026年9月30日取得)。届出番号 A67・A69・D396・G138・H1359 ほか https://www.fld.caa.go.jp/caaks/s/cssc01/
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」(し好飲料類) https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhinseibun/mext_00001.html
- 食品安全委員会 ファクトシート「食品中のカフェイン」(2018年2月23日更新) https://www.fsc.go.jp/factsheets/index.data/factsheets_caffeine.pdf
- 厚生労働省「食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000170477.html
- EFSA「Caffeine」(2015年の科学的意見の解説) https://www.efsa.europa.eu/en/topics/topic/caffeine
- EFSA「EFSA assesses safety of green tea catechins」(2018年4月18日) https://www.efsa.europa.eu/en/press/news/180418
- Masuda S, Maeda-Yamamoto M, Usui S, Fujisawa T. ‘Benifuuki’ green tea containing O-methylated catechin reduces symptoms of Japanese cedar pollinosis: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial. Allergol Int. 2014;63:211-217. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24561771/
- Maeda-Yamamoto M ら. The efficacy of early treatment of seasonal allergic rhinitis with benifuuki green tea containing O-methylated catechin before pollen exposure: an open randomized study. Allergol Int. 2009;58:437-444. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19542766/
- Maeda-Yamamoto M, Ema K, Shibuichi I. In vitro and in vivo anti-allergic effects of ‘benifuuki’ green tea containing O-methylated catechin and ginger extract enhancement. Cytotechnology. 2007;55:135-142. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/19003003/
- Maeda-Yamamoto M ら. Effects of tea infusions of various varieties or different manufacturing types on inhibition of mouse mast cell activation. Biosci Biotechnol Biochem. 1998. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/9972253/
- Suzuki M ら. Epimerization of tea catechins and O-methylated derivatives of (-)-epigallocatechin-3-O-gallate: relationship between epimerization and chemical structure. J Agric Food Chem. 2003. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12517118/
- Maeda-Yamamoto M ら. Epicatechin-3-O-(3’’-O-methyl)-gallate content in various tea cultivars (Camellia sinensis L.) and its in vitro inhibitory effect on histamine release. J Agric Food Chem. 2012. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22339247/
- Maeda-Yamamoto M. Human clinical studies of tea polyphenols in allergy or life style-related diseases. Curr Pharm Des. 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/23448449/
- Maeda-Yamamoto M, Ohtani T. Development of functional agricultural products utilizing the new health claim labeling system in Japan. Biosci Biotechnol Biochem. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29334323/
- Sano M ら. Novel antiallergic catechin derivatives isolated from oolong tea. J Agric Food Chem. 1999. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10552469/
- Tachibana H ら. Identification of a methylated tea catechin as an inhibitor of degranulation in human basophilic KU812 cells. Biosci Biotechnol Biochem. 2000. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/10737211/
- Suzuki M ら. Inhibitory effects of tea catechins and O-methylated derivatives of (-)-epigallocatechin-3-O-gallate on mouse type IV allergy. J Agric Food Chem. 2000. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/11087533/
- Fujimura Y ら. Antiallergic tea catechin, (-)-epigallocatechin-3-O-(3-O-methyl)-gallate, suppresses FcepsilonRI expression in human basophilic KU812 cells. J Agric Food Chem. 2002. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/12236706/
- Maeda-Yamamoto M ら. O-methylated catechins from tea leaves inhibit multiple protein kinases in mast cells. J Immunol. 2004. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15034065/
- Oritani Y ら. Comparison of (-)-epigallocatechin-3-O-gallate (EGCG) and O-methyl EGCG bioavailability in rats. Biol Pharm Bull. 2013. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/24088254/
- Maeda-Yamamoto M ら. Effect of green tea powder (Camellia sinensis L. cv. Benifuuki) particle size on O-methylated EGCG absorption in rats; The Kakegawa Study. Cytotechnology. 2011. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21207145/
- Wakamatsu M ら. Catechin and caffeine contents in green tea at different harvest periods and their metabolism in miniature swine. Food Sci Nutr. 2019. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/31428365/
- Kurita I ら. Antihypertensive effect of Benifuuki tea containing O-methylated EGCG. J Agric Food Chem. 2010. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20078079/
- Hirai T ら. Effect of Benifuuki tea on cytochrome P450-mediated metabolic activity in rats. In Vivo. 2018. https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/29275296/
- 楽天市場 京一屋 楽天市場店、こちら南国便 楽天市場支店、お茶の山英 楽天市場店、Smile Spoon 楽天市場店 の販売ページ(2026年10月1日確認)