ラベルの読み方日本と海外の違い説の検証確認日 2026.10.01

お酢は体にいい? 米酢・純米酢・穀物酢・黒酢・りんご酢のちがいと、「酢酸で血圧・内臓脂肪」の研究を確かめる

PR この記事には、楽天市場のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

「お酢は体にいい」「黒酢で血圧が下がる」「りんご酢でやせる」。よく見る言い方です。スーパーの棚には、米酢・純米酢・穀物酢・黒酢・りんご酢と、名前のちがうお酢が並んでいます。

この記事では、

  • 米酢・純米酢・穀物酢・黒酢・りんご酢は、法律でどう分けられているのか
  • 「醸造酢」と「合成酢」のちがい、「純」「黒酢」「静置発酵」と書ける条件
  • 酢の酸っぱさのもと「酢酸」は何%入っているのか、日本でどれくらい造られているのか
  • 「酢酸で内臓脂肪・血圧」という機能性表示食品とトクホのしくみ
  • 人の試験(ランダム化比較試験)と、それをまとめた研究で分かっていること
  • 飲みすぎたときの、歯・のど・胃への影響

を、法令・国の統計・論文で確かめます。

結論

  • お酢は、法律(食品表示基準)で「醸造酢」と「合成酢」に分かれます。醸造酢は穀物や果物などを発酵させて造る酢、合成酢は氷酢酸・酢酸を薄めて造る酢です。2024年度の生産量41万2300キロリットルのうち、合成酢は400キロリットル(0.1%)だけです
  • 米酢は「米を1リットルあたり40g以上」、米黒酢は「白米以外の米を180g以上使い、発酵と熟成で茶色〜黒っぽくなったもの」。「純米酢」と書けるのは、原材料が米だけの酢です。一般的な米酢には、原材料に「アルコール」が入っているものがあります
  • 酢酸の量は、食品成分表で100gあたり米酢4.4g、穀物酢4.2g、黒酢4.0g、りんご酢4.7g。黒酢だからといって酢酸が多いわけではありません
  • 酢酸の機能性表示食品は58件(撤回を除く、2026年9月30日時点)。この成分だけの届出で多い機能は「内臓脂肪」(48件)と「疲労感」(29件)、「血圧」(13件)です。どれも事業者が研究のまとめを出して届け出たもので、国が審査したものではありません。EU では、りんご酢の健康の表示は認められていません
  • お酢の試験38件をまとめた研究(2026年)では、体重が平均約1kg、上の血圧が約3mmHg低くなり、血糖の指標も下がりました。ただし、試験の多くは質が低いと評価され、半分以上がりんご酢の試験です。2024年に発表されたりんご酢の減量試験の1つは、2025年に撤回されています
  • 飲みすぎの注意:薄めずに飲み続けた人で、食道のただれの報告があります。お酢は歯のエナメル質を溶かす力があることも、試験管の実験と人の調査で示されています

この記事で紹介しているもの

紹介しているもの 選んだ理由(原材料など) 場所
河原酢造 老梅 有機純米酢 原材料は「有機栽培米(国産)」だけ。アルコールを加えていない純米酢 一般的な米酢と純米酢の原材料
内堀醸造 有機純玄米黒酢 360ml 名称は「有機米黒酢」、原材料は有機玄米(国産)だけ 黒酢とりんご酢をくらべるなら
内堀醸造 純りんご酢 500ml 原材料は「りんご果汁(国内製造)」だけ。酸度4.5% 黒酢とりんご酢をくらべるなら

お酢の種類:法律の決まり

醸造酢と合成酢

お酢の名前と中身は、消費者庁の「食品表示基準」で決まっています。まず大きく2つに分かれます。

醸造酢 合成酢
造り方 穀類・果実・野菜・はちみつなどのもろみ、またはアルコールを、酢酸発酵させる 氷酢酸または酢酸を水で薄めて、砂糖類・酸味料・調味料などを加える。醸造酢を混ぜたものも合成酢
氷酢酸・酢酸 使ってはいけない 使う
裏面の書き方 「醸造酢」の文字を商品名の近くに書く 「合成酢」の文字を商品名の近くに書く
2024年度の生産量 41万1900kL(99.9%) 400kL(0.1%)

(食品表示基準 別表第三・別表第十九・別表第二十。生産量は全国食酢協会中央会の推計)

酢酸発酵とは、酢酸菌という菌が、アルコールを酢酸に変える発酵です。穀物や果物から造るときは、まず糖をアルコールにして(お酒の段階)、それを酢酸菌で酢にします。

醸造酢でも、砂糖類・酸味料(氷酢酸・酢酸を除く)・調味料(アミノ酸等)・食塩を少し加えたものは、決められた量の範囲なら「醸造酢」と名乗れます。

穀物酢・米酢・黒酢・果実酢の分け方

醸造酢は、原料と量でさらに細かく名前が決まっています。

名前 条件(醸造酢1リットルあたり)
穀物酢 穀類を合計40g以上(穀類と果実以外の農産物・はちみつは使わない)
米酢 穀物酢のうち、米40g以上(米黒酢を除く)
米黒酢 穀物酢のうち、原料が白米以外の米(またはそれに小麦・大麦を加えたもの)だけで、米180g以上。発酵と熟成で茶色〜黒っぽい色になったもの
大麦黒酢 穀物酢のうち、原料が大麦だけで、180g以上。発酵と熟成で茶色〜黒っぽい色になったもの
果実酢 果実のしぼり汁を合計300g以上
りんご酢 果実酢のうち、りんごのしぼり汁300g以上
ぶどう酢 果実酢のうち、ぶどうのしぼり汁300g以上
醸造酢 上のどれにも当たらない醸造酢(たとえば、穀物が40g未満で、アルコールを主に使ったもの)
お酢の分け方を示す図。食品表示基準では、食酢を醸造酢と合成酢に分ける。醸造酢は、穀類・果実・野菜・はちみつ、またはアルコールを酢酸発酵させたもので、氷酢酸・酢酸は使わない。合成酢は、氷酢酸・酢酸を水で薄め砂糖類などを加えたもの(醸造酢を混ぜたものも)。醸造酢は1リットルあたりの原料の量で名前が決まる。穀物酢は穀類40g以上で、米酢は米40g以上、米黒酢は白米以外の米180g以上で茶色から黒っぽい色、大麦黒酢は大麦だけ180g以上。果実酢はしぼり汁300g以上で、りんご酢・ぶどう酢もそれぞれ300g以上。どちらにも当たらないものは醸造酢。ラベルの「純○○酢」は原料が1種類だけのとき、「黒酢」は米黒酢・大麦黒酢だけ、「静置発酵」は表面発酵で通気・かくはんをせずアルコールを加えないとき、「天然」「自然」は書けない。2024年度の生産量は41万2300kL、そのうち合成酢は400kL(0.1%)。
図:お酢の種類と、ラベルに書ける言葉の条件(食品表示基準)(押すと拡大)

(食品表示基準 別表第三・別表第四。日本農林規格「醸造酢」JAS 0801:2024 も同じ定義)

米酢と米黒酢では、使う米の量の下限が4.5倍ちがいます(40gと180g)。また、米黒酢は精白した白米を使えません。

「純米酢」「黒酢」「静置発酵」と書ける条件

食品表示基準は、お酢に書いてはいけない言葉も決めています(別表第二十二)。

言葉 書ける場合
「天然」「自然」 お酢には書けない
「黒酢」など 米黒酢・大麦黒酢だけ
「純○○酢」 原材料が1種類の穀類・果実などだけの酢で、○○にその原材料名を入れるとき(米だけなら「純米酢」)。米だけの米黒酢は「純米黒酢」、玄米だけの米黒酢は「純玄米黒酢」
「静置発酵」など 主に、もろみの表面にいる酢酸菌で発酵させ、空気を送りこんだりかき混ぜたりして発酵を早めていない酢で、もろみにアルコールを加えていないとき
原材料の一部を強調する言葉 穀類なら1種類で40g以上、果実なら1種類のしぼり汁で300g以上使っているとき

つまり、「純米酢」は米だけ、「純りんご酢」はりんごだけで造った酢です。「黒酢」と書いてあれば、米黒酢か大麦黒酢です。

一般的な米酢と純米酢の原材料

同じ「米酢」でも、裏面の原材料名はちがいます。

一般的な米酢の例(ミツカン「米酢」) 河原酢造 老梅 有機純米酢
名称 米酢 有機米酢
原材料名 米(国産)、アルコール 有機栽培米(国産)
添加物 表示なし 表示なし
酸度 ― 4.5%

(ミツカン公式ページ、河原酢造の商品ラベル。2026年9月30日確認)

米酢の条件は「米40g以上」なので、アルコールを加えて造っても米酢と名乗れます。アルコールは食品表示基準の醸造酢の原料として認められていて、添加物ではありません。どちらがよいという話ではなく、原材料が米だけかどうかは、原材料名と「純」の文字で見分けられるということです。

老梅 有機純米酢は、原材料が有機栽培米だけで、公式サイトでは、液面に菌の膜を張らせて静かに置く「静置醗酵」で造ると説明しています。

酸度:酢酸は何%入っている?

裏面の「酸度」

お酢の裏面には「酸度」を、パーセントで小数第1位まで書く決まりです(食品表示基準)。酸度は、お酢に含まれる酸の量を酢酸に換算したものです。

日本農林規格(JAS)は、JAS マークを付けるお酢の酸度の下限を決めています。

種類 酸度の下限(JAS)
穀物酢(米酢・黒酢を含む) 4.2%
果実酢(りんご酢・ぶどう酢を含む) 4.5%
そのほかの醸造酢 4.0%

(醸造酢の日本農林規格 JAS 0801:2024)

JAS は任意の規格なので、JAS マークのないお酢がすべてこの数字を満たすとは限りません。酸度は裏面で確かめられます(老梅 有機純米酢は4.5%)。

食品成分表の酢酸の量

文部科学省の食品成分表には、お酢ごとの酢酸の量が載っています。

食酢100gあたりの酢酸(g)右端:酢酸750mgになる量(機能性表示食品の届出で多い1日の量)750mgになる量0g1g2g3g4g5g6g穀物酢25kcal/100g穀物酢(17015)酢酸 4.2g/100g4.2g17.9g米酢46kcal/100g米酢(17016)酢酸 4.4g/100g4.4g17.0g黒酢54kcal/100g黒酢(17090)酢酸 4.0g/100g4.0g18.8gりんご酢26kcal/100gりんご酢(17018)酢酸 4.7g/100g4.7g16.0gぶどう酢22kcal/100gぶどう酢(17017)酢酸 4.8g/100g4.8g15.6gバルサミコ酢99kcal/100gバルサミコ酢(17091)酢酸 5.6g/100g5.6g13.4g米酢ほかの穀物の酢果実酢出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」炭水化物成分表 別表2(有機酸)・本表750mgになる量は、成分表の酢酸の値からウラヨミが計算
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」炭水化物成分表 別表2(有機酸)・本表(2026年3月27日更新版)から作成。可食部100gあたり。右の「750mgになる量」は成分表の酢酸の値からウラヨミが計算
100gあたり 酢酸 エネルギー 炭水化物 カリウム
穀物酢 4.2g 25kcal 2.4g 4mg
米酢 4.4g 46kcal 7.4g 16mg
黒酢 4.0g 54kcal 9.0g 47mg
りんご酢 4.7g 26kcal 2.4g 59mg
ぶどう酢 4.8g 22kcal 1.2g 22mg
バルサミコ酢 5.6g 99kcal 19.4g 140mg

(文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」本表・炭水化物成分表 別表2。2026年3月27日更新版)

  • 酢酸の量は、どのお酢も100gあたり4〜6gです。黒酢は4.0gで、ほかのお酢より多いわけではありません
  • 黒酢は米を多く使うので、炭水化物やカリウムは米酢より多めです
  • 成分表の値は代表値です。老梅 有機純米酢のラベルは100gあたり2kcal・炭水化物0.3gで、成分表の米酢(46kcal・7.4g)とはちがいます。商品ごとの値は裏面の栄養成分表示で確かめます

機能性表示食品で多い1日の酢酸の量(750mg)は、どのお酢でも15〜19g(大さじ1杯あまり)にあたります。

黒酢とりんご酢をくらべるなら

種類ごとの味や色のちがいを確かめたい人のために、原材料が1種類だけのものを選びました。

日本でどれくらい造られている?

全国食酢協会中央会の推計では、2024年度のお酢の生産量は41万2300キロリットルでした。

食酢の種類別の生産量(2024年度)合計 41万2300kL。単位はキロリットル(kL)、かっこは合計に占める割合その他の醸造酢穀物酢・果実酢に当たらない醸造酢その他の醸造酢 248,100kL248,100kL(60.2%)その他の穀物酢米酢・黒酢以外の穀物酢その他の穀物酢 89,100kL89,100kL(21.6%)米酢米 40g/L 以上米酢 36,700kL36,700kL(8.9%)果実酢りんご酢・ぶどう酢など果実酢 27,200kL27,200kL(6.6%)米黒酢白米以外の米 180g/L 以上米黒酢 10,300kL10,300kL(2.5%)大麦黒酢大麦 180g/L 以上大麦黒酢 500kL500kL(0.1%)合成酢氷酢酸・酢酸を薄めたもの合成酢 400kL400kL(0.1%)出典:全国食酢協会中央会「食酢の種類別生産実績の推移」表1(2009年度以降は業界団体の調査に基づく推計値)
全国食酢協会中央会「食酢の種類別生産実績の推移」表1から作成。2024年度(業界団体の調査に基づく推計値)
生産量(kL) 2004年度 2024年度 変化
米酢 60,000 36,700 −39%
米黒酢・大麦黒酢 16,900 10,800 −36%
そのほかの穀物酢 140,300 89,100 −36%
果実酢 25,000 27,200 +9%
そのほかの醸造酢 187,500 248,100 +32%
合成酢 2,200 400 −82%
合計 431,900 412,300 −4.5%

(全国食酢協会中央会「食酢の種類別生産実績の推移」表1・表2。2008年度までは農林水産省の調査、2009年度以降は業界団体の調査に基づく推計値)

  • 合計の量は20年でほぼ横ばいですが、米酢・黒酢・穀物酢は3〜4割減り、穀物酢・果実酢に当たらない「そのほかの醸造酢」が増えています
  • 輸入(2万4400kL)と輸出(4200kL)を合わせた国内の供給量は39万2100kLで、1人あたり1年に約3.2リットル(3,167ml)です。この量には、マヨネーズ・ドレッシング・すし酢など、加工食品に使われる分も入っています
  • 家庭で買う量は、総務省の家計調査で二人以上の世帯が1年に1,350ml(2024年)。2000年の2,576mlから半分ほどに減りました

「酢酸で内臓脂肪・血圧」:国の制度ではどう扱われている?

機能性表示食品:58件の届出

お酢の飲料などには、「酢酸」を機能性関与成分とする機能性表示食品があります。消費者庁の届出データ(2026年9月30日時点)を数えると、次のとおりです。

項目 件数
酢酸の届出(撤回を除く) 58件
そのうち酢酸だけの届出 54件
機能「内臓脂肪」(酢酸だけの届出で数えた件数。データベースの分類では「体脂肪」) 48件
機能「疲労感」 29件
機能「血圧」 13件
機能「体重・BMI」 4件
最初の届出 2017年
1日の量で多いもの 酢酸750mg

(消費者庁「機能性表示食品の届出情報」全届出の CSV、2026年9月30日取得。ウラヨミのサプリメント成分データベースの「酢酸(お酢)」と同じ集計)

  • 58件すべてが、酢酸という成分についての研究のまとめ(システマティックレビュー)を根拠にしています。商品そのものを使った人の試験を根拠にした届出はありません
  • 酢酸だけの届出に、「血糖」の機能はありません(58件のうち1件は血糖の機能がありますが、難消化性デキストリンと組み合わせた届出です)
  • 58件のうち19件は、ミツカン(株式会社Mizkan)の届出です
  • 機能性表示食品は、事業者が自分の責任で根拠を届け出る制度で、国が審査・許可したものではありません

トクホ:血圧の2品目

国が商品ごとに審査して許可する特定保健用食品(トクホ)では、関与する成分が酢酸のものが2品目あり、どちらも「血圧が高めの方」向けです(消費者庁「特定保健用食品許可(承認)品目一覧」2026年9月1日時点)。

EU:りんご酢の表示は認められていない

EU の健康強調表示の登録簿では、りんご酢の「体重」「お通じ」「血圧」などの表示は認められていません(2009〜2011年の欧州食品安全機関の意見による)。酢酸そのものの健康の表示は、登録簿にありません。

日本では届出や許可のしくみで「血圧」「内臓脂肪」を書けるお酢の商品があり、EU では書けない、というちがいがあります。

この記事では 機能性表示食品・トクホのお酢飲料は紹介していません。ふつうの調味料のお酢を、料理に使う前提で紹介しています。

論文で分かっていること

日本の試験:肥満の人が12週間飲んだ

日本人を対象にした試験として、肥満の人が12週間お酢を飲んだ2009年のランダム化比較試験があります(Kondo ら)。

  • お酢15ml(酢酸750mg)、30ml(酢酸1,500mg)、0ml(プラセボ)を含む飲み物500mlを、12週間、毎日飲んでもらいました
  • お酢を飲んだ2つの群では、プラセボの群より、体重・BMI・内臓脂肪の面積・腹囲・血液の中性脂肪が低くなりました
  • 試験は二重盲検(参加者も調べる人も、どの群か分からない方法)です

論文の著者の所属は、ミツカングループの中央研究所です(PubMed の書誌情報)。メーカーの研究所が行った試験だということは、読むときの前提として知っておいてください。

試験をまとめた研究:体重は約1kg、上の血圧は約3mmHg

お酢の試験は世界中で行われています。2026年に出たアンブレラレビュー(研究のまとめを、さらにまとめた研究)は、メタアナリシス10本に入っていたランダム化比較試験38件・1,781人を集め直して計算しました(Shahmohammadi ら)。

お酢の試験をまとめた結果(アンブレラレビュー、2026年)ランダム化比較試験38件・1781人。対照群とくらべた差と、証拠の確からしさ(GRADE)調べた項目お酢を飲んだ群の差確からしさ体重−1.06kg高い収縮期血圧(上の血圧)−2.94mmHg高い空腹時血糖−9.40mg/dL中くらい食後血糖−14.59mg/dL中くらいHbA1c−0.70%中くらい総コレステロール−9.39mg/dLとても低い中性脂肪差なし高いLDLコレステロール差なし低い腹囲差なし中くらいBMI差なし中くらい拡張期血圧(下の血圧)差なし中くらい緑の行は統計的に意味のある差が出た項目。38件の試験の多くは「質が低い」と評価され、24件はりんご酢の試験出典:Shahmohammadi F ら(2026)Food Sci Nutr. PMID 42110393 の本文・表2から作成
Shahmohammadi F ら(2026)Food Sci Nutr(PMID 42110393)の本文・表2から作成。確からしさは GRADE の評価
  • 差が出たのは、体重(−1.06kg)・上の血圧(−2.94mmHg)・空腹時血糖・食後血糖・HbA1c(血糖の平均の目安)・総コレステロールです
  • 中性脂肪・LDLコレステロール・腹囲・BMI・下の血圧には、はっきりした差がありませんでした
  • 証拠の確からしさ(GRADE)は、体重と上の血圧が「高い」、血糖が「中くらい」、総コレステロールは「とても低い」でした

ただし、読むときの注意がいくつもあります。

  • 38件の試験のうち、質が「高い」と評価されたのは3件、「まあまあ」が3件で、残りは「低い」でした。Kondo らの日本の試験は「まあまあ」です
  • 24件はりんご酢の試験で、ほかはワインビネガー・白酢・ナツメヤシ酢・ざくろ酢などです。米酢・黒酢と書かれた試験はありません(2件は種類が書かれていません)
  • 22件は2型糖尿病の人の試験で、試験の期間は1日〜12週間です
  • 上の血圧と HbA1c、総コレステロールでは、出版バイアス(よい結果の研究ほど発表されやすい偏り)の疑いが統計で示されています
  • 研究費はイランのテヘラン医科大学の学生研究センターから出ていて、著者は利益相反はないと申告しています

血圧:1日30mlまでで少しずつ下がる

2022年のメタアナリシス(Shahinfar ら)は、お酢の量と血圧の関係を調べ、1日30mlあたり上の血圧が3.25mmHg、下の血圧が3.33mmHg下がると計算しました。確からしさは、どちらも「低い」と評価されています。

血糖:食事と一緒にとると、食後の血糖が上がりにくい

食事と一緒にお酢をとる試験をまとめた2017年のメタアナリシス(Shishehbor ら)では、お酢をとった人で、食後の血糖とインスリンの上がり方が小さくなりました。

しくみの1つとして考えられているのが、胃から腸へ食べ物が送られるのが遅くなることです。健康な10人の試験(1998年)では、白パンにお酢を加えると食後の血糖とインスリンの上がり方が小さくなり、胃から出ていく速さが遅くなっていました。

一方、糖尿病で胃の動きがもともと遅い人(糖尿病性胃不全まひ)10人の試験(2007年)では、りんご酢30mlで胃から出ていく速さがさらに遅くなり、研究者は血糖のコントロールには不利になるかもしれない、と書いています。

撤回されたりんご酢の試験

2024年、レバノンの10代と若い大人120人が12週間りんご酢を飲み、体重が減ったという試験が、BMJ のグループの雑誌(BMJ Nutrition, Prevention & Health)に掲載されました。

この論文は2025年9月に撤回されました。撤回の告知によると、著者の解析を雑誌が再現できず、複数の誤りが見つかったこと、データに無作為の割り付けと合わない形があったこと、試験が事前に登録されていなかったことが理由です。著者も撤回に同意しています。

2025年のりんご酢と体重のメタアナリシス(Castagna ら、10件)は、この撤回された試験を含めて計算しています。りんご酢でやせる、という話の根拠には、撤回された試験が入っているものがあることに注意が必要です。

飲みすぎの注意:歯・のど・胃

歯:エナメル質を溶かす

お酢は酸性なので、歯の表面のエナメル質を溶かす力があります。

  • 試験管の実験(2014年):人の歯のエナメル質を5種類のお酢につけると、時間とお酢の種類によってミネラルが溶け出しました。8時間で、深さ45µmのところのミネラルが約20%減ったお酢もありました
  • 試験管の実験(2021年、スイス):バルサミコ酢を使ったドレッシングは、オレンジジュースより歯のエナメル質のすり減りが大きくなりました。牛乳やクリームを含むドレッシングは小さくなりました
  • 人の調査(1991年、フィンランド):歯の酸蝕症(酸で歯が溶ける病気)がある106人とない100人をくらべると、りんご酢を毎週とる人は、酸蝕症のリスクが約10倍でした

のど・食道:薄めずに飲み続けた例

  • 15歳の男性が、ざくろのお酢の飲料を、十分に薄めずに毎朝100〜150ml、1か月飲み続け、食道全体に潰瘍ができた例(韓国、2020年)。メーカーは水3:お酢1に薄めて飲むよう勧めていました。研究者は、お酢の飲料も腐食性のあるものとして扱うべきだと書いています
  • お酢を飲む習慣のあった75歳の女性で、食道に穴があき、手術を受けた例(日本・岡山、2020年)。報告した医師は、長いあいだお酢にさらされたことで食道の粘膜が壊死したのかもしれない、と書いています
  • のどに刺さったカニの殻を「やわらかくする」ために白酢を大さじ1杯飲み、のどと食道がただれた例(香港、2002年)。報告者は、この民間療法はやめるよう書いています
  • りんご酢の錠剤で食道を傷めた例をきっかけに、市販の錠剤8製品を調べると、錠剤の大きさ・pH・酸の量・表示が製品ごとにばらばらだったという報告(米国、2005年)

そのほか

  • 大量のりんご酢をとっていた人で、血液のカリウムが低くなり、骨粗しょう症が見られた例が報告されています(オーストリア、1998年)
  • 酢酸の機能性表示食品の届出には、「一度に多量にとると体質によってはお腹がゆるくなることがある」という注意書きのあるものがあります
  • アンブレラレビューの著者も、胃腸への刺激・歯の酸蝕・胃酸の逆流の悪化に注意が必要で、とくに慢性腎臓病の人や、血糖・カリウムに影響する薬を使っている人は注意が要る、と書いています

食道を傷めた例は、薄めずに飲み続けた例や、のどに刺さったものを溶かそうとして飲んだ例でした。お酢の飲料には、メーカーが水で薄めて飲むよう書いているものがあります。治療中の人は、主治医に相談してください。

裏面チェックのポイント

お酢を選ぶときは、裏面の次の項目を見ます。

見るところ 分かること
名称 米酢・米黒酢・大麦黒酢・穀物酢・りんご酢・ぶどう酢・果実酢・醸造酢・合成酢のどれか
「醸造酢」「合成酢」の文字 発酵で造ったか、氷酢酸・酢酸を薄めたか
原材料名 「アルコール」が入っているか。米だけ・りんごだけなら「純」と書ける
酸度 酸の量(酢酸に換算した%)。薄めずに飲むものではない
添加物 調味料(アミノ酸等)・酸味料などが加わっていないか
  • 「黒酢」と書けるのは、米黒酢と大麦黒酢だけです
  • 「天然」「自然」は、お酢には書けない言葉です
  • お酢そのものではありませんが、お弁当やお惣菜の裏面にある「酢酸Na」は、日持ちのために使う添加物です。詳しくは保存料の記事で書いています

まとめ

論点 分かったこと 確からしさ・出典
種類 醸造酢と合成酢。米酢は米40g/L以上、米黒酢は白米以外の米180g/L以上、りんご酢はりんごのしぼり汁300g/L以上 食品表示基準(法令)
純米酢 原材料が米だけの酢だけが「純米酢」と書ける。一般的な米酢にはアルコールを加えたものがある 食品表示基準・各社の表示
酢酸の量 100gあたり4〜6g。黒酢(4.0g)が多いわけではない 食品成分表
生産量 2024年度41万2300kL。合成酢は0.1% 業界団体の推計
内臓脂肪・体重 日本の試験で12週間後に内臓脂肪・体重が低下。まとめた研究では体重が約1kg低い ランダム化比較試験(メーカーの研究所)/アンブレラレビュー(多くの試験は質が低い)
血圧 上の血圧が約3mmHg低い アンブレラレビュー(出版バイアスの疑いあり)
血糖 食後血糖・空腹時血糖・HbA1c が下がる 確からしさ「中くらい」。糖尿病の人の試験が中心
制度 日本:機能性表示食品58件・トクホ2品目。EU:表示は認められていない 消費者庁・EU 登録簿
飲みすぎ 歯の酸蝕、食道のただれ(薄めずに飲み続けた例) 試験管の実験・人の調査・症例報告

報告されている食道の傷は、薄めずに飲み続けた例などでした。一方で、「お酢を飲めば血圧や体重がはっきり下がる」と言えるほどの差ではなく、試験の質にも課題があります。お酢を選ぶときは、まず名称と原材料名を見て、好みの原料と味で選ぶのがよいでしょう。

この記事で紹介したお酢:

関連:保存料の記事(酢酸Na・日持ち向上剤)/「無添加」表示のルールの記事/果物の果糖の記事(食後の血糖と食べ方)

参考にした資料

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この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.01)。