「無添加」表示のルール:消費者庁ガイドラインの10類型を、裏面から読む
「無添加」「保存料不使用」「着色料無添加」。食品のパッケージでよく見るこうした表示には、2022年3月から国の目安ができています。消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」です。
ガイドラインは、誤解を招くおそれがある「無添加」「不使用」の表示を、10の類型に分けて示しています。この記事では、10類型を一つずつ、消費者庁の例とあわせて紹介します。「無添加」の文字を見たときに、裏面のどこを見ればよいかが分かるようになります。
結論:「無添加」は禁止されていません。ただし「何が」「何の代わりに」が大事です
- ガイドラインは「無添加」「不使用」の表示を一律に禁止するものではありません。消費者庁の啓発チラシにも、そう明記されています
- 目安になるのは、食品表示基準第9条(表示してはいけないこと)です。ガイドラインは、第9条に当たるおそれが高い表示を10の類型で示しています
- 事業者の表示の見直し期間は、2024年3月末まででした
- 10類型の中心にある考え方は、何を使っていないのかが分からない表示、同じ働きの別のもので置き換えているのに、それが分からない表示、「無添加だから安全・おいしい」と理由づける表示は、誤解を招くということです
- どんな添加物が使われているかは、これまでどおり裏面の原材料名(一括表示)に書かれています。消費者庁も、一括表示をよく確かめて買うよう呼びかけています
ガイドラインとは
できた理由
食品添加物は、食品安全委員会で安全性が評価され、食品衛生法で規格や使い方の基準が決められています。表示の方法も、食品表示基準で決められています。
一方で、「添加物を使っていない」という表示には、特別な決まりがありませんでした。「無添加」「不使用」は、事業者が任意でつけていた表示です。
消費者庁の検討会では、次のような問題が指摘されていました。
- 表示してはいけないことを定めた食品表示基準第9条の解釈を示す資料(食品表示基準Q&A)が、網羅的でなく、あいまいだった
- 「無添加」の表示が、義務表示より目立つようにパッケージの正面に書かれ、本来見るべき一括表示が活用されていない
消費者庁の調査では、次のような結果も出ていました。
| 調査の項目(消費者庁の消費者意向調査) | 結果 |
|---|---|
| 食品添加物が、安全性の評価などを経て国に認められたものだと知っている | 36.3%(2019年度) |
| 「無添加」などの表示がある食品を、いつも、または同じ種類なら選んで買う | 51.2%(2017年度、1万人) |
| そのうち、理由に「安全で健康に良さそうなため」を挙げた人 | 72.9% |
| 「〇〇無添加」を見て、添加物をまったく使っていない印象、またはほかの商品より少ない印象を受ける | 合わせて54.3% |
こうした状況を受けて、2021年3月に検討会が設けられ、消費者と事業者へのヒアリングや実際の表示をもとに、ガイドラインがまとめられました(2022年3月30日)。ガイドラインは、食品の強調表示についての国際的な指針(コーデックスの「強調表示に関する一般ガイドライン」)の考え方も一部参考にしています。
位置づけ
- ガイドラインは、新しい規制ではありません。すでにある食品表示基準第9条に当たるかどうかを、事業者が自分で点検するための目安(メルクマール)です
- 対象は、一般用加工食品の容器包装にある、食品添加物の不使用の表示です
- 実際に第9条に当たるかどうかは、商品の性質、一般の消費者の知識、表示の方法などから、ケースバイケースで全体として判断されます
- 包装資材の切り替えに時間がかかることから、2年程度(2024年3月末まで)の間に表示を見直すよう求めていました。この期間につくられた商品が見直し前の表示のまま出回ることは、やむを得ないとしています
10類型の一覧
| 類型 | どんな表示か | 消費者庁の例 | くわしい記事 |
|---|---|---|---|
| 1 単なる「無添加」の表示 | 何を加えていないのかが分からない「無添加」 | 単に「無添加」とだけ書いた表示 | ― |
| 2 食品表示基準に規定されていない用語を使用した表示 | 「人工」「合成」「化学」「天然」などの言葉と一緒に使う | 「人工甘味料不使用」、「化学調味料は使用していません」 | うま味調味料の記事、甘味料の記事 |
| 3 食品添加物の使用が法令で認められていない食品への表示 | もともと使えない添加物を「不使用」とうたう | 清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」、マヨネーズに「香料無添加」 | 香料の記事 |
| 4 同一機能・類似機能を持つ食品添加物を使用した食品への表示 | 同じ働きの別の添加物を使っている | 日持ち向上のために保存料以外の添加物を使った食品に「保存料不使用」 | 保存料の記事、着色料の記事 |
| 5 同一機能・類似機能を持つ原材料を使用した食品への表示 | 同じ働きの原材料(食品)で置き換えている | アミノ酸を含む抽出物を使った食品に、添加物の調味料を使っていない旨の表示 | うま味調味料の記事 |
| 6 健康、安全と関連付ける表示 | 「無添加だから体に良い・安全」 | 「調味料(アミノ酸等)は使用していないので、安全です」 | ― |
| 7 健康、安全以外と関連付ける表示 | 「無添加だからおいしい」など、因果関係を説明できない理由づけ | 「着色料不使用だからおいしい」 | ― |
| 8 食品添加物の使用が予期されていない食品への表示 | ふつうは使わない添加物を「不使用」とうたう | ミネラルウォーターに「保存料不使用」「着色料不使用」 | ― |
| 9 加工助剤、キャリーオーバーとして使用されている(又は使用されていないことが確認できない)食品への表示 | 原材料の中の添加物を確かめずに「不使用」 | 原材料の一部に保存料を使いながら「保存料不使用」、「自社の製造工程においては、食品添加物は使用しておりません」 | キャリーオーバーの記事 |
| 10 過度に強調された表示 | 一括表示を見る妨げになるほど目立たせる | 保存料・着色料以外の添加物を使った食品に、大きく「無添加」、その横に小さく「保存料、着色料」 | ― |
※「消費者庁の例」は、ガイドライン本文と消費者庁の資料「表示を作成する際に注意すべき10類型」から。
類型ごとのポイント
類型1:単なる「無添加」
対象を書かずに「無添加」とだけ表示すると、何を加えていないのかを消費者が推測することになります。推測した内容が事業者の意図と違うと、中身を誤解させるおそれがある、というのがガイドラインの考え方です。
類型2:「人工」「合成」「化学」「天然」
食品衛生法では、添加物には化学的に合成したものも天然のものも含まれ、どちらも使用が認められています。食品表示基準も、両者を区別せずに原則すべて表示するよう求めており、「人工」「合成」の言葉は2020年7月に基準から削除されました。
こうした言葉に良い・悪い印象を持つ人がいるため、「無添加」「不使用」と一緒に使うと、実際より優れていると誤解させるおそれがある、としています。「化学調味料」も、かつて JAS 規格で使われていましたが平成元年に削除され、食品表示基準で使われたことはない言葉です。くわしくは うま味調味料の記事 で紹介しています。
類型3:もともと使えない添加物の「不使用」
法令で使えない添加物を「不使用」と書くと、そのルールを知らない人は、不使用の表示がない商品より優れていると読み取るおそれがあります。
- 清涼飲料水には、保存料のソルビン酸は使えません(使用基準違反になります)
- 消費者庁の資料によると、マヨネーズには、調味料(アミノ酸等)・酸味料・香辛料抽出物以外の添加物は使えません。そのため「香料無添加」の表示は、この類型の例として挙げられています
類型4:同じ働きの「別の添加物」
「〇〇不使用」としながら、〇〇と同じ働きや似た働きをする別の添加物を使っている場合です。
- 日持ちをよくするために、保存料以外の添加物(消費者庁の資料では、おにぎりに使われたグリシン)を使った食品に「保存料不使用」
- 既存添加物(多くは植物などから取る添加物の区分)の着色料を使った食品に、指定添加物(タール色素など)の着色料を使っていない旨を表示
保存料と日持ち向上剤のちがいは 保存料の記事、着色料の区分は 着色料の記事 で紹介しています。
類型5:同じ働きの「原材料(食品)」
置き換えたものが添加物ではなく原材料(食品)の場合です。特定の成分だけを取り出したものなど、もとの食品とは科学的に同じとはいえないもので置き換えていることに消費者が気づかないと、誤解させるおそれがある、としています。
消費者庁の資料の例は、アミノ酸が主成分の酵母エキスを使った白だしに「調味料(アミノ酸等)無添加」と表示するケースです。ガイドラインは、置き換えた原材料を表示ではっきり示さないことを問題にしています。くわしくは うま味調味料の記事 で紹介しています。
類型6:「無添加だから安全・体に良い」
食品添加物は、安全性の評価を受け、人の健康を損なうおそれがない場合に限って国が使用を認めています。そのため、事業者が独自に健康や安全を科学的に検証して「無添加」と結びつけることは難しく、誤解させるおそれがある、としています。
類型7:「無添加だからおいしい」など
健康や安全以外の理由づけも対象です。ガイドラインは次の3つを例に挙げています。
- おいしい理由として「不使用」を表示する(おいしさと不使用の因果関係を説明できない場合)
- 「保存料不使用なので、お早めにお召し上がりください」と、「開封後」に触れずに表示する(期限表示より早く食べなければならない印象を与え、期限表示と矛盾するおそれ)
- 変色する理由として「着色料不使用」を表示する(変色と着色料の役割の関係を説明できない場合)
類型8:もともと使われない添加物の「不使用」
同じ種類の商品でふつうは使われない添加物を「不使用」と書くと、その添加物を気にする人ほど、表示のない商品より優れていると読み取るおそれがあります。ガイドラインの例は、ミネラルウォーターの保存料・着色料や、ふつう着色料を使わず、食品本来の色をしている食品の「着色料不使用」です。
類型9:原材料の中の添加物
添加物の表示は、原材料の製造や加工の段階までさかのぼって確認することが必要です。
- 原材料の一部に保存料を使いながら、できあがった商品に「保存料不使用」
- 原材料の段階で添加物が使われていないことを確かめられないため、「自社の製造工程に限る」と断ったうえで「無添加」
どちらも、誤解させるおそれが高い例です。表示されない添加物のしくみは キャリーオーバーの記事 で紹介しています。
類型10:目立たせすぎ
表示が事実でも、パッケージのあらゆる場所に書いたり、一括表示と比べて極端に大きい文字や目立つ色を使ったりして、一括表示を見る妨げになると、ほかの添加物もまったく使っていない印象を与えるおそれがあります。ほかの類型と組み合わさると、その誤解を強めるおそれもある、としています。
「これならOK」の例
消費者庁の啓発チラシは、分かりやすい表示の例も示しています。
| 表示 | 条件 |
|---|---|
| 「保存料無添加 保存効果を持たせるために酸化防止剤を使用しています」 | 保存効果を持たせるために酸化防止剤を使っているときは、その旨を書く |
| 「甘味料不使用」 | 甘味料や、甘味料と似た働きを持つ原材料・添加物(カンゾウ抽出物など)を使っていないとき |
| 「着色料無添加」 | 着色料や、着色料と似た働きを持つ原材料(クランベリー抽出エキスなど)・添加物を使っていないとき |
チラシには、「何が無添加なのか」「何が使われているのか」が書いてあれば分かりやすい、という吹き出しもあります。
裏面チェックのポイント
- 「無添加」の文字を見たら、「何が?」を探す:対象が書かれていない「無添加」は、類型1の例です
- 「〇〇不使用」を見たら、同じ働きのものを探す:保存料なら日持ち向上剤や酸化防止剤、調味料(アミノ酸等)なら酵母エキスやたん白加水分解物など(類型4・5)
- 「人工」「合成」「化学」「天然」と組み合わさった「無添加」は、基準にない言葉(類型2)
- 「だから安全」「だからおいしい」は、理由として成り立つかを考える(類型6・7)
- その食品にもともと使われる添加物かを考える:使えない・使われないものの「不使用」は、ほかの商品と差がありません(類型3・8)
- 最後は、一括表示の原材料名を見る:使われている添加物は「/」のあとに書かれています。原材料の中の添加物は書かれないことがあります(類型9)
ウラヨミの考え方
ガイドラインは、「無添加」をやめさせるためのものではなく、裏面の原材料名を読んでもらうためのものだと、ウラヨミは受け止めています。
ウラヨミの商品ページでは、次のように書き分けています。
- メーカーが表示している「〇〇不使用」は、メーカーの表示としてそのまま引用する
- ウラヨミが原材料名を見て書かれていないことを確かめたものは「原材料名に見当たらないもの」として載せる。これは「入っていない」という意味ではありません(類型9のように、表示されない添加物がありうるため)
- 「無添加だから安全」「体にいい」とは書かない(類型6)
各テーマの記事
- 「化学調味料無添加」はなぜ消えた?(類型2・5) → うま味調味料の記事
- 「保存料不使用」と日持ち向上剤(類型4) → 保存料の記事
- 着色料の区分と海外のルール(類型4) → 着色料の記事
- 「人工甘味料」と「ゼロ」表示(類型2) → 甘味料の記事
- 「香料」の中身(類型3) → 香料の記事
- ラベルに書かれない添加物(類型9) → キャリーオーバーの記事
- ハムの「無塩せき」と発色剤 → 発色剤の記事
- 添加物ごとの海外のルール → 添加物データベース
なお、このガイドラインは食品の表示についてのものです。シャンプーや洗剤など日用品の「無添加」は対象ではありません。日用品の表示は 経皮毒・日用品の記事 で紹介しています。
参考にした資料
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月30日)
- 消費者庁「表示を作成する際に注意すべき10類型」(2022年7月)
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」啓発チラシ・ポスター(2022年11月)
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関する議論の振り返り」(食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会 資料、2021年3月。消費者意向調査〔2017〜2019年度〕の抜粋を含む)
- 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン検討会」(2021年3月〜2022年3月)
※この記事は、表示のルールを説明するもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。また、特定の商品の表示がガイドラインに当たるかどうかを判断するものでもありません。