ラベルの読み方日本と海外の違い確認日 2026.09.28

保存料は体に悪い? 「保存料不使用」の裏側と、日本と海外のルールの違い

ハム、かまぼこ、漬物、しょうゆ、清涼飲料水。裏面を見ると「保存料(ソルビン酸K)」「保存料(安息香酸Na)」のような表示があります。

一方で、コンビニのお弁当やパンには「保存料不使用」と大きく書かれていることがあります。でも、保存料を使っていないのに、なぜ何日も日持ちするのでしょうか。

この記事では、

  • 「保存料」と「日持ち向上剤」の違いと、裏面での見分け方
  • 日本と海外で、使える保存料や考え方がどう違うのか
  • 「保存料は体に悪い」という話を、研究や公的機関はどう見ているのか
  • 「保存料不使用」の表示について、国のガイドラインが何を問題にしているのか

を、国や海外の公的機関の資料をもとに整理します。

結論:「保存料不使用」でも、日持ちのための添加物が入っていることがあります

  • 食品を日持ちさせる添加物には、法律上の「保存料」と、保存料ほど強くない「日持ち向上剤」があります。「日持ち向上剤」という表示の決まりはなく、グリシン、酢酸Na、pH調整剤などの名前で書かれます
  • そのため「保存料不使用」の商品でも、日持ちのための別の添加物が使われていることがあります。消費者庁のガイドライン(2022年)は、このような表示を消費者に誤解を与えるおそれが高い例として挙げています
  • 日本の保存料は、使える食品と上限の量が決まっています。子ども(1〜6歳)の摂取量は、いちばん多いソルビン酸でも許容量の0.4%と推計されています
  • 海外とは、使える種類や許容量の考え方に違いがあります。たとえばEUや韓国ではプロピルパラベンが使えませんが、日本では使えます。逆に日本で使えないメチルパラベンが、EUや米国では使えます

「保存料」と「日持ち向上剤」の違い

種類 主なもの 使い方のルール 裏面での書かれ方
保存料(指定添加物) ソルビン酸・ソルビン酸K、安息香酸・安息香酸Na、パラオキシ安息香酸エステル類(パラベン)、プロピオン酸、デヒドロ酢酸Na、ナイシン など21品目 すべてに、使える食品と上限の量が決まっている 保存料(ソルビン酸K)
保存料(既存添加物=長く使われてきた天然系) しらこたん白抽出物(プロタミン)、ポリリジン(ε-ポリリシン) など5品目 使用基準は決められていない 保存料(しらこたん白)、保存料(ポリリジン)
日持ち向上剤(法律上の用語ではない) グリシン、酢酸Na、pH調整剤(クエン酸など)、リゾチーム、各種の抽出物 保存料より効き目が弱く、数日程度の日持ちに使う 物質名(グリシン、酢酸Na など)や一括名(pH調整剤)で書かれ、「保存料」とは書かれない

(品目数は広島県食品工業技術センターの解説、2016年10月時点)

裏面での見分け方

  • 「保存料(〇〇)」と書かれていれば保存料です。 保存料は、用途名(保存料)と物質名を並べて書く決まりがあります
  • 日持ち向上剤は「保存料」とは書かれません。 「グリシン」「酢酸Na」「pH調整剤」などが、コンビニのお弁当・おにぎり・お惣菜・サンドイッチによく使われます
  • 「pH調整剤」は、中身が分からない書き方です。 クエン酸などいくつかの物質をまとめて「pH調整剤」と書いてよい決まり(一括名)があるためです
  • 保存料もキャリーオーバーの対象になります。 たとえば、しょうゆに入っていた保存料は、そのしょうゆを使ったせんべいでは表示されないことがあります(消費者庁の例)→ キャリーオーバーの記事

保存料も日持ち向上剤も、菌を殺すものではありません。 菌が増えるのを遅らせて、傷み始めるまでの時間を延ばすものです(広島県食品工業技術センター)。

日本のルール:使える食品と量が決まっている

日本の保存料(指定添加物)は、使ってよい食品と、上限の量が1つずつ決められています。着色料(タール色素)には量の上限がないので、そこは違います(→ 着色料の記事)。

保存料 使える食品の例(上限は1kgあたり)
安息香酸・安息香酸Na キャビア(2.5g)、マーガリン(1.0g)、清涼飲料水・シロップ・しょうゆ(0.60g)
パラベン類(5種類) しょうゆ(1Lあたり0.25g)、果実ソース(0.20g)、酢(1Lあたり0.10g)、清涼飲料水・シロップ(0.10g)、果物の皮(0.012g)
デヒドロ酢酸Na チーズ・バター・マーガリン(0.50g)
ソルビン酸・ソルビン酸K ハム・ソーセージ、かまぼこ、チーズ、漬物、つくだ煮、ジャム など多くの食品
プロピオン酸 チーズ、パン、洋菓子

(日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」2024年11月版より)

日本人はどれくらい食べている?

消費者庁が2022年度に行った調査(実際に食品を買って測るマーケットバスケット方式)では、1〜6歳の子どもが1日にとる量は次のとおりでした。

保存料 1日の推定摂取量 ADI(許容一日摂取量)に対する割合
ソルビン酸 1.5mg 0.4%
安息香酸 1.0mg 0.3%
デヒドロ酢酸 0(測れる量より少ない) ―
  • ADIは、一生毎日食べても健康に影響が出ないとされる量です
  • 安息香酸は、もともと果物や乳製品などに食品の成分として含まれていることもあり、その分も含んだ数字です
  • 2018年度の調査と比べて、大きな変化はありませんでした

日本と海外の違い

使える保存料の違い

保存料 日本 EU 米国 韓国
ソルビン酸・ソルビン酸K ○ ○ ○ ○
ソルビン酸カルシウム ○ ✕(2018年に削除。安全性を確かめるデータが出されなかったため) ― ―
安息香酸・安息香酸Na ○ ○ ○ ○
メチルパラベン ✕ ○ ○ ○
エチルパラベン ○ ○ ― ○
プロピルパラベン ○ ✕(2006年に削除) ○(FDAが再評価中。カリフォルニア州は2027年から禁止) ✕
ブチル・イソブチル・イソプロピルパラベン ○ ✕ ― ✕

○=使える ✕=食品に使えない ―=この記事では確認していない(EUは規則1333/2008と改正規則、韓国は食品医薬品安全処の基準、米国はFDAによる)

パラベンは、日本と海外で使える種類が入れ替わっています。 EUと韓国で食品に使えるパラベンはメチルとエチルの2種類だけです。日本はメチルが使えない一方で、プロピル・ブチルなど5種類が使えます。

許容量(ADI)の考え方の違い

保存料 日本・JECFA(国際機関) EU(EFSA)
ソルビン酸 体重1kgあたり1日25mg(日本は食品安全委員会、JECFAも同じ値) 11mg(2019年。生殖への影響を調べた新しい試験をもとに設定)
安息香酸 20mg(JECFAが2021年に5mgから引き上げ。日本の摂取量調査もこの値を使用) 5mg(2016年)

同じ物質でも、どの試験を重く見るかで許容量が2〜4倍違います。ただし、上で紹介した日本の子どもの摂取量は、EUの厳しい方の値で計算しても許容量の数%以内に収まります(ソルビン酸は約0.8%、安息香酸は約1.2%。ウラヨミの試算)。

EU:プロピルパラベンを外した理由

EFSA(欧州食品安全機関)は2004年、プロピルパラベンを与えた幼いオスのラットで精子の数が減るなどの影響が、試験した一番低い量(体重1kgあたり1日10mg)でも見られたことから、ほかのパラベンと同じ許容量に入れられないと判断しました。影響が出ない量を決められなかったためです。EFSA自身は同時に、「食品からとるプロピルパラベンは限られており、消費者へのリスクになる可能性は低い」とも述べていますが、EUは2006年に食品への使用を認めないことにしました。

米国:保存料の再評価と州の規制

  • 米国では、ソルビン酸K・安息香酸NaなどはGRAS(一般に安全と認められる物質)として使われています
  • FDA(米国食品医薬品局)は、プロピルパラベン(2024年から)と、油の酸化を防ぐBHA・BHT(2025年から)を、食品に使われている化学物質の再評価リストに入れています。BHAは2026年2月、BHTは2026年5月に情報提供を募っています。2026年9月時点で、どれも結論は出ていません
  • カリフォルニア州は2027年1月から、プロピルパラベンを含む食品の製造・販売を禁止します(AB 418)。ウェストバージニア州もBHA・プロピルパラベンを2028年から禁止する法律をつくりましたが、この部分は2025年12月に裁判所に差し止められています

BHA・BHTは、日本では「酸化防止剤」として表示されます。油の傷みを防ぐ添加物で、保存料とは別の仲間です。

韓国:食品ごとに細かい上限

韓国も日本と同じく、保存料ごとに使える食品と上限の量を決めています。さらに、保存料を組み合わせて使ったときの合計量の上限も、食品ごとに細かく決めています(例:ジャムはソルビン酸・安息香酸・パラベン・プロピオン酸の合計で1kgあたり1.0gまで)。

「保存料は体に悪い」は本当?

清涼飲料水のベンゼン

2006年、安息香酸(保存料)とビタミンC(アスコルビン酸)の両方が入った清涼飲料水の中で、条件によって発がん性物質のベンゼンが微量にできることが海外で分かりました。

  • 厚生労働省が両方を含む国内の清涼飲料水31製品を調べたところ、1製品が水道水の基準(10ppb)を超えていたため、回収と改良を求めました
  • 厚生労働省は、この基準は一生飲み続けたときのリスクをもとにした値で、超えた製品をある程度飲んだとしても特段の健康影響が出ることを意味しないと説明しています。人がとるベンゼンの大半は、食品ではなく空気(排気ガスなど)からです
  • その後、業界団体は国際的なガイドラインにもとづいて、製造方法や成分の見直しを進めています

子どもの行動への影響(サウサンプトン研究)

2007年にイギリスで発表された研究では、着色料と安息香酸Naを混ぜた飲み物で、子どもの多動の指標が少し上がりました。ただし、色素と保存料を混ぜて調べたため、安息香酸Naの影響かどうかは分かりません。EUが注意書きを義務づけたのは着色料だけで、安息香酸Naは対象外です(詳しくは → 着色料の記事)。

プロピオン酸と血糖

2019年、ハーバード大学などの研究チームが、パンなどに使われるプロピオン酸カルシウムを1gとった人で、血糖を上げるホルモン(グルカゴンなど)が増えたと発表しました。マウスに少ない量を長く与えると、体重が増え、インスリンが効きにくくなりました。一方で、専門家からは「人のデータはマウスほど説得力がない」「食品添加物として使うことを否定するには、人でのさらなる研究が必要」という指摘も出ています。

まとめると

  • 日本の保存料は、国の評価で決められた食品・量の中で使えば健康への影響はないとされ、日本人の摂取量は許容量よりずっと少ない
  • 一方で、プロピルパラベンのように国によって判断が分かれるものや、プロピオン酸のように研究が続いているものもある
  • 保存料には、食中毒や食品のかびを防ぐという役割があることも忘れてはいけません

「保存料不使用」の表示に注意

消費者庁の「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月策定。事業者の見直し期間は2024年3月末で終了)は、次のような表示を、消費者に誤解を与えるおそれが高い例として挙げています。

ガイドラインの例 どこが問題か
日持ちをよくするために保存料以外の添加物を使った食品に「保存料不使用」(類型4) グリシンや酢酸Na、pH調整剤で日持ちさせているのに、日持ちのための添加物が何も入っていないように見える
清涼飲料水に「ソルビン酸不使用」(類型3) そもそも清涼飲料水にソルビン酸を使うことは認められていない
ミネラルウォーターに「保存料不使用」(類型8) もともと保存料を使わない食品なので、ほかの商品より優れているように見える
「開封後」という言葉を入れずに「保存料不使用なのでお早めにお召し上がりください」(類型7) 期限表示より早く食べなければならないような印象を与える
「合成保存料不使用」のように「合成」「人工」「天然」の言葉を使う表示(類型2) 添加物の表示のルールには、もともと合成と天然の区別がない
「無添加」を大きく書き、その横に小さく「保存料・着色料」と書く(類型10) 保存料・着色料以外の添加物は使っているのに、何も入っていないように見える

なお、このガイドラインは「無添加」「不使用」の表示を一律に禁止するものではありません。 何が不使用なのかがはっきりしていて、誤解を招かない表示であれば使えます。

「保存料不使用」=「日持ちのための添加物が入っていない」ではありません。 裏面の原材料名で、グリシン・酢酸Na・pH調整剤などが入っていないかを見るのが確実です。

ウラヨミの考え方

ここまでをまとめると、

  • 日本の保存料は、使える食品と量が1つずつ決まっていて、日本人の摂取量は許容量よりずっと少ない
  • 一方で、プロピルパラベンのように、日本では使えて海外では使えないものがあり、許容量の考え方も国によって2〜4倍違う
  • 「保存料不使用」の商品でも、日持ち向上剤で日持ちさせていることがある。国のガイドラインもこの点を問題にしている
  • 保存料を使わない商品は、そのぶん冷蔵や早めに食べることが大切になる

ウラヨミでは、保存料を一律に「危険」とは書きません。そのかわり商品ページでは、保存料だけでなく、日持ち向上剤(グリシン・酢酸Na・pH調整剤など)も含めて、裏面の表示どおりに載せていきます。メーカーが「保存料不使用」と書いている場合も、それをそのまま引用し、日持ち向上剤が使われていればあわせて示します。

裏面チェックのポイント

  1. 原材料名の「/」のあと(添加物の欄)を見る
  2. 「保存料(〇〇)」があれば保存料:安息香酸Na、ソルビン酸K、パラオキシ安息香酸〇〇 など
  3. 「保存料」の文字がなくても、日持ち向上剤を探す:グリシン、酢酸Na、pH調整剤、リゾチーム など
  4. 「保存料不使用」の文字だけで判断しない:日持ち向上剤で日持ちさせていることがあります
  5. 保存料を使っていない商品は、保存方法と期限をよく見る:冷蔵が必要なもの、開封後は早めに食べるものが多くなります

あわせて知っておきたいこと

参考にした資料

  • 消費者庁「令和4年度マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について」(2024年5月)
  • 消費者庁「食品添加物の不使用表示に関するガイドライン」(2022年3月)
  • 日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」(2024年11月)
  • 広島県 食品工業技術センター「『保存料』、『日持ち向上剤』について」(2025年2月)
  • 消費者庁「食品添加物表示に関するマメ知識」(キャリーオーバーの例)
  • 厚生労働省「清涼飲料水中のベンゼンに関するQ&A」(2006年7月)
  • EFSA “EFSA advises on the safety of paraben usage in food”(2004年)
  • EFSA “Opinion on the follow-up of the re-evaluation of sorbic acid (E200) and potassium sorbate (E202)”(2019年)
  • EFSA “Scientific Opinion on the re-evaluation of benzoic acid (E 210)…”(2016年)
  • Commission Regulation (EU) 2018/98(ソルビン酸カルシウム)
  • U.S. FDA “List of Select Chemicals in the Food Supply Under FDA Review”(2026年7月29日更新)
  • HHS “FDA Launches Assessment of BHA”(2026年2月)
  • California AB 418(California Food Safety Act)
  • 韓国 食品医薬品安全処「食品添加物の基準及び規格」品目別使用基準
  • Tirosh A, et al. Sci Transl Med 2019;11:eaav0120(プロピオン酸)/Science Media Centre “expert reaction”(2019年)

※この記事は、特定の食品や添加物の安全性・危険性を断定するものではありません。持病があり食事の制限をしている方は、医師にご相談ください。

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.09.28)。