甘味料は体に悪い? 「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の中身と、日本と海外のルールの違い
ゼロカロリーの炭酸飲料、ガム、低糖質のお菓子。裏面を見ると「甘味料(スクラロース、アセスルファムK)」「エリスリトール」などの表示があります。
2023年には、WHOの専門機関がアスパルテームを「発がん性があるかもしれない」グループに分類し、同じ年にWHOは「体重を減らす目的で人工甘味料を使わないように」という指針も出しました。
この記事では、
- 甘味料の種類と、裏面での見分け方
- 「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」「糖類無添加」の表示が、実際には何を意味しているのか
- 日本と海外で、使える甘味料や表示のルールがどう違うのか
- 「甘味料は体に悪い」という話を、研究や公的機関はどう見ているのか
を、国や海外の公的機関の資料をもとに整理します。
結論:「ゼロ」は「まったく入っていない」ではありません
- 「カロリーゼロ」は100mLあたり5kcal未満、「糖類ゼロ」は100mLあたり0.5g未満なら表示できます。「糖類」には糖アルコールやオリゴ糖、でんぷんは含まれないため、「糖類ゼロ」でもそれらは入っていることがあります
- 日本の甘味料には、使う量が決められているもの(アセスルファムK・スクラロース・サッカリンなど)と、決められていないもの(アスパルテームなど)があります。日本人の摂取量は、どれも許容量の1%未満と推計されています
- 2023年のアスパルテームの「発がん性があるかもしれない」という分類は、リスクの大きさではなく根拠の強さの分類です。同時に国際的な評価機関は許容量を変えていません
- ただし、「体重を減らすために甘味料に置き換える」ことの効果については、WHOが「長い目で見た効果は認められない」としています。安全性とは別の話として知っておきたいところです
甘味料の種類と見分け方
| 種類 | 主なもの | 日本での扱い | 裏面での書かれ方 |
|---|---|---|---|
| 化学的に作る甘味料(砂糖の数百〜数万倍の甘さ) | アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、サッカリン、ネオテーム、アドバンテーム | 指定添加物 | 甘味料(スクラロース、アセスルファムK) |
| 植物から取る甘味料 | ステビア、ラカンカ(羅漢果)、甘草(グリチルリチン) | 既存添加物(長く使われてきた天然系) | 甘味料(ステビア)、甘味料(甘草) |
| 糖アルコール | キシリトール、D-ソルビトール | 指定添加物 | 甘味料(キシリトール) |
| エリスリトール | 食品の扱い(添加物ではない) | 原材料名の欄に「エリスリトール」 |
裏面で見るポイント
- 甘味料は「甘味料(〇〇)」と書く決まりがあります。 保存料・着色料と同じく、用途名と物質名を並べて書きます
- アスパルテームには「L-フェニルアラニン化合物」と併記されます。 フェニルケトン尿症(フェニルアラニンを分解できない体質)の人のための決まりです(例:甘味料(アスパルテーム・L-フェニルアラニン化合物))
- エリスリトールは、添加物の欄ではなく原材料名の欄に書かれます。 日本では食品として扱われているためです。「/」の前も見るようにしましょう
「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」は何を意味する?
食品表示基準という国のルールで、「ゼロ」「低」などの言葉を使ってよい条件が決められています。
| 表示 | 飲み物(100mLあたり) | 食べ物(100gあたり) |
|---|---|---|
| カロリーゼロ(ノンカロリー、無カロリーなど) | 5kcal未満 | 5kcal未満 |
| カロリーオフ(低カロリーなど) | 20kcal以下 | 40kcal以下 |
| 糖類ゼロ(無糖、ノンシュガーなど) | 0.5g未満 | 0.5g未満 |
| 糖類オフ(低糖など) | 2.5g以下 | 5g以下 |
ここで知っておきたいことが2つあります。
① 「ゼロ」でも、少しは入っていることがある。 「カロリーゼロ」の飲み物でも、500mLのペットボトル1本なら最大で25kcal近くになることがあります。
② 「糖類」は、砂糖・ぶどう糖・果糖などに限られる。 国のルールでいう「糖類」は、単糖類と二糖類(糖アルコールを除く)だけです。そのため、「糖類ゼロ」の商品でも、糖アルコール、オリゴ糖、でんぷんなどは入っていることがあります。
「糖類無添加」の4つの条件
「糖類無添加」と表示するには、次のすべてを満たす必要があります。
- どんな糖類も加えていない
- 糖類の代わりになる原材料(ジャムなど)や添加物を使っていない
- 酵素で分解するなどして、原材料にもともとあった量より糖類を増やしていない
- 糖類の量を表示している
「砂糖不使用」「砂糖無添加」も、この4つの条件を満たした場合に表示できます(消費者庁「食品表示基準Q&A」)。つまり、砂糖だけでなく、ぶどう糖や果糖なども加えていないという意味になり、糖類の量の表示も必要です。 なお、果物の果糖のように食品にもともと含まれている糖類は、あっても表示できます。
ただし、「糖類無添加」「砂糖不使用」は、甘味料を使っていないという意味ではありません。 甘味料や糖アルコールで甘くしている商品もあります。
日本のルール:量が決まっている甘味料と、決まっていない甘味料
| 甘味料 | 使える食品と量(1kgあたり) |
|---|---|
| アセスルファムK | 清涼飲料水・乳飲料など0.50g、ガム5.0g、菓子・ジャム・漬物など、その他の食品0.35g など |
| サッカリンNa | 清涼飲料水・シロップ・酢など0.30g未満、菓子0.10g未満 など |
| サッカリン(Naがつかないもの) | ガムだけ(0.050g) |
| スクラロース | 食品ごとに上限あり |
| グリチルリチン酸二Na(甘草から精製したもの) | しょうゆ・みそだけ |
| アスパルテーム、ネオテーム、アドバンテーム、キシリトール、D-ソルビトール | 使用基準なし |
| カンゾウ抽出物、ステビア(既存添加物) | 使用基準なし(漬物・つくだ煮・清涼飲料水など幅広く使われる) |
(日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」2024年11月版、東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物 甘味料」より)
日本人はどれくらい食べている?
| 甘味料 | 1日の推定摂取量 | ADI(許容一日摂取量)に対する割合 | 調査 |
|---|---|---|---|
| アセスルファムK | 0.36mg | 0.15% | 1〜6歳、2022年度 |
| スクラロース | 0.87mg | 0.35% | 1〜6歳、2022年度 |
| ステビア | 0.37mg | 0.56% | 1〜6歳、2022年度 |
| アスパルテーム | 0.055mg | 0.002% | 全年齢、2019年度 |
| (参考)アスパルテーム | 6.58mg | 0.3% | 生産量からの推計、2020年 |
(消費者庁・厚生労働省のマーケットバスケット調査、食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」より)
日本と海外の違い
使える甘味料と許容量の違い
| 甘味料 | 日本 | EU | 米国 |
|---|---|---|---|
| サイクラミン酸(チクロ) | ✕(1969年に禁止) | ○(E952) | ✕ |
| アスパルテームのADI | 体重1kgあたり1日40mg | 40mg | 50mg |
| アセスルファムKのADI | 15mg | 15mg(2025年に9mgから引き上げ) | ― |
| サッカリンのADI | ― | 9mg(2024年に引き上げ) | ― |
| スクラロースのADI | 15mg | 15mg(2026年の再評価で据え置き) | ― |
| エリスリトール | 食品扱い(JECFAは「ADIを特定しない」) | ADI 体重1kgあたり1日0.5g(2023年に新たに設定。おなかがゆるくなる作用をもとにした値) | GRAS(一般に安全と認められる物質) |
| ステビア | 既存添加物(ステビア抽出物など) | ○(E960) | 精製度の高いもの(95%以上)だけ。葉や粗い抽出物は認められていない |
―=この記事では確認していない
チクロのように、日本や米国では禁止、EUでは使えるという逆のケースもあります。チクロは1969年、ラットの実験で膀胱がんの疑いが出たことから米国に続いて日本でも禁止されました。一方、EUやカナダなどでは、その後の試験の結果を受けて使われ続けています。
表示のルールの違い
EUでは、甘味料について次のような表示が義務になっています(EU規則1169/2011 附属書III)。日本にはない決まりです。
| EUの表示義務 | 日本 |
|---|---|
| 甘味料を使った食品は、商品名のそばに「甘味料入り」(with sweetener(s))と書く | なし(原材料の欄に「甘味料(〇〇)」と書くだけ) |
| 糖アルコールを10%を超えて含む食品は、「食べすぎるとおなかがゆるくなることがある」と書く | なし |
| 甘草を一定量以上含む菓子・飲料は、「高血圧の人は食べすぎ(飲みすぎ)に注意」と書く | なし |
| アスパルテームは「フェニルアラニンを含む」と書く | あり(L-フェニルアラニン化合物) |
オーストラリア・ニュージーランドでも、糖アルコールを含む食品に、おなかがゆるくなることへの注意書きを求めています。
「甘味料は体に悪い」は本当?
アスパルテームの「発がん性があるかもしれない」
2023年7月、WHOの2つの専門機関が、アスパルテームの評価を同時に発表しました。
| 機関 | 結論 |
|---|---|
| IARC(国際がん研究機関) | 「ヒトに対して発がん性があるかもしれない」(グループ2B)に分類。人での肝臓がんについての限られた根拠などにもとづく |
| JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議) | 許容量(体重1kgあたり1日40mg)を変える十分な理由はない。体重70kgの大人なら、ダイエット炭酸飲料を1日9〜14缶より多く飲まない限り許容量を超えない |
食品安全委員会は、IARCの分類は「がんの原因になりうるかという根拠の強さ」を示すもので、実際にがんになる可能性の大きさを示すものではないと説明しています。米国FDAは、IARCが根拠にした研究には大きな欠点があるとして、分類に同意していません。
WHOの「体重管理に甘味料を使わないで」
2023年5月、WHOは「体重を管理したり、生活習慣病を防いだりする目的で、砂糖以外の甘味料を使わないように」という指針を出しました。
- 対象は、アセスルファムK、アスパルテーム、アドバンテーム、サイクラミン酸、ネオテーム、サッカリン、スクラロース、ステビアなど
- 理由は、長い目で見ると体脂肪を減らす効果が認められないこと。長く使う人で2型糖尿病や心血管の病気、死亡が多いという観察研究の結果もあるが、もともとの体の状態などの影響を取り除けていない可能性がある
- 「条件付き」の勧告。すでに糖尿病のある人の食事管理は、この指針の評価の範囲外です(「使ってはいけない」という意味でも、「使ってよい」という意味でもありません)。糖アルコールも対象外
- 短い期間の試験では、砂糖を甘味料に置き換えると体重が少し減るという結果もあります。WHOが問題にしているのは、長い目で見た効果です
- 甘味料そのものに毒性があるという指針ではありません
腸内細菌と血糖(2022年の研究)
2022年、イスラエルの研究チームが医学誌『Cell』に、健康な大人120人を対象にした試験を発表しました。
- 120人を、サッカリン・スクラロース・アスパルテーム・ステビアのどれか1つをとるグループと、比べるためのグループ(ぶどう糖だけ・何もとらない)に分け、許容量より少ない量を2週間とってもらった(甘味料は市販の小袋と同じく、ぶどう糖と一緒にとった)
- サッカリンとスクラロースのグループで、腸内細菌の変化とともに、血糖の上がり方が大きくなった
- 変化は人によって大きく違い、研究チームは「臨床的な意味は今後の検証が必要」としています
EFSAは2024年のサッカリン再評価で、この研究を検討しています。サッカリンをとっていた2週間は血糖の上がり方が大きかったものの、試験後の追跡では差がなくなっていたこと、ほかの4つの小規模な試験では血糖やインスリンとの関連は見られなかったことを挙げ、「判断するには根拠が不十分で、長期の試験がない」としています。
エリスリトールと心臓病(2023年の研究)
2023年、米国クリーブランド・クリニックの研究チームが『Nature Medicine』に、血液中のエリスリトールが多い人ほど、3年以内に心筋梗塞や脳卒中などが多かったと発表しました。エリスリトールが血小板を固まりやすくする実験結果も示しています。
ただし、米国FDAはこの研究を検証し、次の点を指摘しています。
- 観察研究なので、関連は示せても、原因とは言えない
- エリスリトールは体の中でもぶどう糖から作られ、体に負担がかかると増えることが知られている
- 米国の患者の血液は2001〜2007年、エリスリトールが食品に広く使われる前に、しかも空腹時に採られたもの。食べたエリスリトールではなく、体内で作られた分を見ている可能性が高い
EFSAも2023年の再評価で、今ある根拠からは、エリスリトール入りの食品と心血管の病気のあいだに因果関係は示されていないとし、観察研究の血中濃度が食べたエリスリトールを反映しているかは不確かだとしています。
一方でEFSAは同じ評価で、人の試験で下痢が起きなかった量をもとに、エリスリトールに初めて許容量(体重1kgあたり1日0.5g)を設けました。すぐに起きる下痢だけでなく、下痢が続くことによる体への影響も防ぐための値です。そして、どの年齢層でも摂取量の推計がこの許容量を超えていて、たくさんとる人は体調をくずすおそれがあるとしています(EFSAは、推計には多めに見積もっている面があるとしています)。糖アルコールの多いお菓子や飲み物のとりすぎには、気をつけたいところです。
スクラロースの不純物・加熱
- 2023年、「スクラロース-6-アセテート」という物質が、培養した細胞でDNAを傷つけるという研究が発表されました。スクラロースを作るときの不純物として含まれることがある物質で、体の中でスクラロースから作られるのかどうかは、はっきりしていません。食品安全委員会は、関連する論文が非常に少なく、国内外で健康被害の例も確認されていないとして、評価の対象にはしていません。同じ論文の中でも、細菌を使った変異原性試験(Ames試験)は陰性でした
- EFSAは2026年2月の再評価で、スクラロースとその不純物に遺伝毒性の懸念はないとし、許容量を据え置きました
- 一方で、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、スクラロースを120℃を超えて加熱すると、有害な塩素化合物ができるおそれがあると注意を呼びかけています。EFSAも、今の使い方には懸念はないとしたうえで、焼き菓子に使い道を広げる申請については、高温で加熱したときの影響が十分に分からないとして、安全性を結論できませんでした。家庭でスクラロース入りの甘味料を使って焼き菓子を作るときは、知っておきたい点です
まとめると
- 日本で使える甘味料は、国の評価で決められたルールの中で使えば健康への影響はないとされ、日本人の摂取量は許容量よりずっと少ない
- 一方で、腸内細菌・血糖・心臓病との関係は研究が続いていて、まだ決着していない
- そして、「甘味料に置き換えれば痩せる」とは言えないというのが、今のWHOの立場です
ウラヨミの考え方
ウラヨミでは、甘味料を一律に「危険」とは書きません。一方で、「ゼロ」「無添加」の表示だけでは、何が入っているかは分からないことを重視します。
商品ページでは、
- 甘味料の種類(アスパルテーム、スクラロース、アセスルファムK、ステビアなど)
- エリスリトールなど、原材料名の欄に書かれる甘味のもと
- 「糖類ゼロ」「糖類無添加」などの表示があるか
を、裏面の表示どおりに載せていきます。メーカーが「砂糖不使用」などと書いている場合もそのまま引用し、甘味料が使われていればあわせて示します。
裏面チェックのポイント
- 添加物の欄で「甘味料(〇〇)」を探す
- 原材料名の欄も見る:エリスリトール、還元水あめ、オリゴ糖などは、こちらに書かれることがあります
- 「糖類ゼロ」「砂糖不使用」は、甘味料が入っていないという意味ではない
- 栄養成分表示で「糖質」「糖類」の量を確かめる:「糖類ゼロ」でも、糖質(炭水化物から食物繊維を除いたもの)は入っていることがあります
- 糖アルコールが多いお菓子は、食べすぎに注意:日本では注意書きの義務がありません
あわせて知っておきたいこと
参考にした資料
- 消費者庁「食品表示基準」第7条・別表第13(栄養強調表示)、第3条(アスパルテームの表示)
- 消費者庁「食品表示基準Q&A」(2025年3月28日改正)加工-230・231(糖類無添加・砂糖不使用)
- 消費者庁「令和4年度マーケットバスケット方式による保存料等の摂取量調査の結果について」(2024年5月)
- 食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」/「令和5年度『自ら評価』検討資料」(スクラロース-6-アセテート)
- 日本食品化学研究振興財団「各添加物の使用基準及び保存基準」(2024年11月)
- 東京都保健医療局「用途別 主な食品添加物 甘味料」
- WHO “WHO advises not to use non-sugar sweeteners for weight control in newly released guideline”(2023年5月)
- WHO “Aspartame hazard and risk assessment results released”(2023年7月)
- U.S. FDA “High-Intensity Sweeteners”/“An evaluation of the article ‘The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk’”(2023年6月)
- EFSA「アセスルファムKの再評価」(2025年)/「サッカリンの再評価」(2024年)/「スクラロースの再評価」(2026年)/「エリスリトールの再評価」(2023年)
- BfR “Sucralose – Heating above 120°C can produce substances that are harmful to health”
- Regulation (EU) No 1169/2011 Annex III
- Food Standards Australia New Zealand “Warning and advisory statements”
- Suez J, et al. Cell 2022(腸内細菌と血糖)
- Witkowski M, et al. Nat Med 2023;29:710-718(エリスリトール)
- Schiffman SS, et al. J Toxicol Environ Health B 2023(スクラロース-6-アセテート)
※この記事は、特定の食品や添加物の安全性・危険性を断定するものではありません。糖尿病などで食事の管理をしている方、フェニルケトン尿症の方は、医師にご相談ください。