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ラベルの読み方日本と海外の違い説の検証確認日 2026.10.03

砂糖の種類と体への影響 上白糖・グラニュー糖・三温糖・きび砂糖・てんさい糖・黒糖・和三盆の歴史・製法・成分の違い、「白い砂糖は体に悪い」は本当?

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スーパーの砂糖の棚には、上白糖、グラニュー糖、三温糖、きび砂糖、てんさい糖、黒糖、和三盆と、たくさんの種類が並んでいます。

そして、砂糖にはいろいろな説がついて回ります。

  • 「白い砂糖は漂白しているから体に悪い」
  • 「茶色い砂糖はミネラルが多くて体にいい」
  • 「てんさい糖はオリゴ糖が多く、体を温める」
  • 「黒糖や、きび砂糖は血糖値が上がりにくい(GI が低い)」
  • 「上白糖は日本にしかない砂糖」
  • 「砂糖は中毒になる」「子どもが砂糖をとると落ち着きがなくなる」

この記事では、

  • 砂糖はいつ、どこで生まれ、日本にどう伝わったのか
  • 種類の違いは何で決まるのか。作り方はどう違うのか
  • 日本と海外で、砂糖の名前のルールはどう違うのか
  • 砂糖は体に悪いのか。説ごとに、研究の中身を確かめる
  • 「茶色い砂糖は体にいい」は本当か。ウラヨミで計算して確かめる
  • 原材料表示の「砂糖」から、何が分かって何が分からないのか
  • 結局、何を選べばいいのか

を、国の統計、法令、公的機関の資料、論文で確かめます。果糖ぶどう糖液糖は 異性化液糖の記事、果物の糖は 果物の果糖の記事、砂糖の代わりの甘味料は 甘味料の記事 にまとめています。

結論

  • 砂糖は、はじめは「薬」でした。日本で確かな最古の記録は、756年の正倉院の目録「種々薬帳」の「蔗糖」です。「鑑真が伝えた」という話には確証がありません
  • 日本人1人あたりの砂糖の量は 1973年度の 28.1kg がピークで、2024年度は 16.8kg(農林水産省「食料需給表」)。米国も 1972年がピークでした。日米とも1970年代初めが山です
  • 種類の違いは、作り方の違いです。結晶だけを取り出す「分蜜糖」(上白糖・グラニュー糖・三温糖)と、蜜ごと固める「含蜜糖」(黒糖・和三盆など)に分かれます。三温糖は茶色くても分蜜糖で、色は煮詰めるときのカラメル化です
  • 「上白糖は漂白している」は誤りです。色は、石灰や炭などで「取り除いて」います。その炭には、動物の骨から作る「骨炭」も日本の工場で使われてきました(2010年の業界の技術資料)
  • 上白糖は、EU の「白砂糖」の基準に当たりません。混ぜてある転化糖が約1.4%で、EU の上限 0.04% の約35倍です。ただし国際規格や中国にも似た砂糖があり、「上白糖は日本だけ」は言い過ぎです。国内の生産量では、2023年度にグラニュー糖が上白糖を抜きました
  • 「茶色い砂糖はミネラルが多い」は黒糖だけの話です。てんさい含蜜糖のミネラルは上白糖とほとんど同じでした。黒糖でも、小さじ1杯でとれるミネラルは1日の基準の2%未満です(ウラヨミで計算)
  • 砂糖の GI はショ糖で 65 前後です。黒糖・てんさい糖・和三盆の GI は、国際的なデータベースに測った値がありませんでした。体への影響で大事なのは、種類より量です。WHO は遊離糖類(加えた糖)を1日のエネルギーの 10%未満、できれば 5%(約25g)未満にするよう勧めています
  • 原材料表示の「砂糖」からは、種類はほとんど分かりません。ウラヨミの71品のうち35品に砂糖類が入っていましたが、種類まで分かるのは4品だけでした。「砂糖(国内製造)」は、さとうきびの産地ではありません

この記事で紹介しているもの

紹介しているもの どんなときに 記事の中の場所
カップ印 きび砂糖(日新製糖) 上白糖より色と風味のある砂糖を、料理に使いたいとき きび砂糖と洗双糖
洗双糖(種子島) さとうきびの産地が分かる薄茶色の砂糖を使いたいとき きび砂糖と洗双糖
ホクレン てんさい糖(北海道産てん菜) 原料がてん菜の、茶色い砂糖を使いたいとき てんさい糖は2種類ある
波照間黒糖(沖縄・波照間島) 原材料が「さとうきび」だけの黒糖を選びたいとき 黒糖と加工黒糖
加工黒糖 純粋な黒糖と、味や原材料を見比べたいとき 黒糖と加工黒糖
阿波和三盆糖(岡田製糖所) 干菓子や、口どけのよい和菓子を作りたいとき 和三盆

砂糖の歴史:薬から毎日の調味料へ

砂糖は、高価な「薬」や「ぜいたく品」から、毎日使う調味料になりました。その途中には、植民地と奴隷制の歴史もあります。

さとうきびはニューギニアから、インドで「結晶」に

甘いさとうきびは、ニューギニアで野生の種類から作物にされた、という説がいちばん有力です。その時期は「最大で約8,000年前」とする説が紹介されています(Pompidor 2021)。栽培の歴史は約1万年前のニューギニアまでさかのぼる、とする総説もあり(Lu 2024)、年代には幅があります。

砂糖を「結晶」にする技術は、古代のインドで生まれました。英語の sugar は、サンスクリット語の「サルカラ(sarkara)」が語源です。紀元前327年のアレクサンドロス大王のインド遠征の記録には、「蜂蜜のように甘い汁のとれる葦」が出てきます(精糖工業会、農畜産業振興機構)。

結晶にする技術がいつ生まれたかは、資料によって「紀元前5世紀ごろ」「紀元前2〜3世紀ごろ」「4世紀ごろ」と違い、決められませんでした。

ペルシャ・地中海、そして大航海時代と奴隷制

インドの砂糖は、西はペルシャ(今のイラン)やエジプトへ、東は中国へ伝わりました。ヨーロッパには、11〜13世紀に十字軍が持ち帰ったのが始まりとされています(精糖工業会)。

1493年、コロンブスは2回目の航海で、さとうきびをカリブ海のイスパニョーラ島に植えました。ここから、南北アメリカの植民地で、大きな砂糖の農園(プランテーション)が広がります。

農園で働かされたのは、アフリカから連れてこられた人たちでした。奴隷船の記録をまとめたデータベース(SlaveVoyages)の推計では、1525〜1866年に約1,250万人がアフリカで奴隷船に乗せられ、約1,070万人が南北アメリカに着きました。大半はカリブ海と南米に運ばれています(米国の公共放送 PBS の H.L. ゲイツの記事、全米人文科学基金の記事による)。そのうち何割が砂糖の農園に送られたかは、確かめられませんでした。

てん菜糖とナポレオン

砂糖は、さとうきびだけでなく、寒い地域で育つ「てん菜(砂糖大根、ビート)」からも作れます。

  • 1747年、ドイツのマルクグラーフが、てん菜から砂糖を取り出しました
  • 弟子のアシャールが、シレジア(今のポーランド南西部)に、てん菜糖の工場を作りました(1801年設立、1802年稼働とする資料もある)
  • 1806年、ナポレオンが大陸封鎖でイギリスとの貿易を止めると、フランスでは砂糖が足りなくなりました。ナポレオンは 1811年の政令で、てん菜の栽培を命じ、1812年に銀行家ドゥレセールがパリで工業的なてん菜糖づくりに成功しました(ナポレオン財団)

今の世界の砂糖の生産(2024年、約1億8,040万t)は、さとうきびからが約78%、てん菜からが約22%です(精糖工業会)。

日本:奈良時代に「薬」として

年 できごと 出典
743年 鑑真の2回目の渡航の積荷に「蔗糖等五百斤」。ただし船は難破した 荒尾美代(農畜産業振興機構の連載、2012年)
753年 鑑真が来日に成功。このときの積荷の目録は残っていない 同上
756年 光明皇太后が東大寺に納めた薬の目録「種々薬帳」に「蔗糖」。確かな最古の記録 日本大百科全書「正倉院薬物」(756年の献納)、荒尾美代(帳に「蔗糖」の文字)
室町時代 日明貿易で輸入。茶の湯で「砂糖饅頭」「砂糖羊羹」 精糖工業会
1543年以降 南蛮貿易で、カステラやコンペイトウが伝わる 精糖工業会

「鑑真が砂糖を伝えた」とよく言われますが、来日に成功したときの積荷の記録がなく、確証はありません。遣唐使が持ち帰った可能性もあります。この記事では「756年の種々薬帳が最古の確かな記録」とします。

江戸時代:奄美・琉球の黒糖と薩摩藩、吉宗と和三盆

江戸時代、砂糖は輸入品の中でも大事な品で、金や銀が国外へ流れ出ていました。幕府は1715年に輸入を制限し、国内で作ることを進めます。

年 できごと 出典
1623年 琉球の儀間真常が、中国に人を送って製糖法を学ばせ、黒糖づくりを始める 鹿児島県、農畜産業振興機構
1596〜1614年 または 1688年ごろ 奄美で黒糖づくりが始まる。直川智(すなおかわち)が中国から伝えた説と、三和良が琉球で学んだ説がある。今は後者以降に産業になったとする説が主流 鹿児島県「黒糖大辞典」
1727年 薩摩藩士・落合孫右衛門の申し出で、幕府が浜御殿(今の浜離宮)でさとうきびを育てる(8代将軍吉宗の国産化政策) 荒尾美代(『仰高録』による)
1777年(〜1787年)・1830年 薩摩藩が奄美の砂糖をすべて買い上げる「惣買入制(そうかいいれせい)」(第一次・第二次) 鹿児島県
1798年 讃岐(香川)の砂糖が、初めて大坂の市場に出る 鹿児島県
1804年 香川の三谷製糖羽根さぬき本舗が創業。和三盆を今も伝統の製法で作る 中国四国農政局

奄美の人たちは、砂糖を藩以外に売ることを禁じられ、日用品を砂糖と引き換えに買わされました。1830年の史料では、その値段は大坂の相場の約4〜90倍でした(鹿児島県「黒糖大辞典」)。

2024年3月には、「薩南諸島の黒糖製造技術」が国の登録無形民俗文化財になりました。

明治から戦後:上白糖の誕生、配給、そして輸入の自由化

年 できごと 出典
幕末〜明治初め 安い輸入糖が入り、奄美・沖縄以外の国内の砂糖づくりはほぼなくなる 農畜産業振興機構
1880年 北海道・伊達に官営の紋鼈(もんべつ)製糖所。原料と技術が足りず、のちに解散 同上
1900年 日本の統治下にあった台湾で、台湾製糖が設立。台湾の砂糖で国内の需要をまかなえるようになる 同上、精糖工業会
1907年ごろ 上白糖が作られはじめる 精糖工業会
1919〜1920年 北海道で北海道製糖と(旧)日本甜菜製糖が設立され、てん菜糖づくりが再び始まる(今の日本甜菜製糖は、この2社の流れをくんで1947年に設立) 農畜産業振興機構
1940〜1952年 砂糖の配給制。1人あたりの量は 1939年の約17kg から、1945年には 0.6kg に 精糖工業会
1963年8月31日 粗糖(原料になる茶色い砂糖)の輸入を自由化 精糖工業会、農畜産業振興機構
1965年 糖価安定法。今の「糖価調整制度」の始まり 同上

戦後の1947年には、1人あたりの砂糖は 0.36kg しかなく、かわりに人工甘味料(ズルチン・サッカリン)が 2.9kg 使われていました(精糖工業会)。

上白糖がなぜ生まれたかは、「湿気の多い日本で固まりにくくするため」という説と、「和三盆の作り方を参考にした」という説があり、決まっていません(精糖工業会)。

1人あたりの量は1973年度がピーク。米国も同じころ

1人あたりの砂糖の量:日本も米国も1970年代初めがピーク1人1年あたりの供給量(kg)。食べた量ではなく、国内に出回った量を人口で割った値日本 砂糖類(食料需給表・年度)日本 戦前・戦中戦後(精糖工業会)米国 精製糖(USDA)0kg10kg20kg30kg40kg50kg19401960198020002020配給制1940〜19521960年度:15.1kg(食料需給表)1961年度:15.9kg(食料需給表)1962年度:16.9kg(食料需給表)1963年度:16.7kg(食料需給表)1964年度:17.6kg(食料需給表)1965年度:18.7kg(食料需給表)1966年度:19.9kg(食料需給表)1967年度:21.0kg(食料需給表)1968年度:21.9kg(食料需給表)1969年度:24.2kg(食料需給表)1970年度:26.9kg(食料需給表)1971年度:26.8kg(食料需給表)1972年度:28.0kg(食料需給表)1973年度:28.1kg(食料需給表)1974年度:26.3kg(食料需給表)1975年度:25.1kg(食料需給表)1976年度:25.3kg(食料需給表)1977年度:26.7kg(食料需給表)1978年度:25.3kg(食料需給表)1979年度:25.9kg(食料需給表)1980年度:23.3kg(食料需給表)1981年度:22.2kg(食料需給表)1982年度:22.8kg(食料需給表)1983年度:21.6kg(食料需給表)1984年度:21.3kg(食料需給表)1985年度:22.0kg(食料需給表)1986年度:22.3kg(食料需給表)1987年度:22.2kg(食料需給表)1988年度:22.3kg(食料需給表)1989年度:21.9kg(食料需給表)1990年度:21.8kg(食料需給表)1991年度:21.9kg(食料需給表)1992年度:21.5kg(食料需給表)1993年度:20.7kg(食料需給表)1994年度:21.4kg(食料需給表)1995年度:21.2kg(食料需給表)1996年度:21.2kg(食料需給表)1997年度:20.7kg(食料需給表)1998年度:20.0kg(食料需給表)1999年度:20.2kg(食料需給表)2000年度:20.2kg(食料需給表)2001年度:20.0kg(食料需給表)2002年度:20.0kg(食料需給表)2003年度:20.0kg(食料需給表)2004年度:19.9kg(食料需給表)2005年度:19.9kg(食料需給表)2006年度:19.5kg(食料需給表)2007年度:19.8kg(食料需給表)2008年度:19.2kg(食料需給表)2009年度:19.3kg(食料需給表)2010年度:18.9kg(食料需給表)2011年度:18.9kg(食料需給表)2012年度:18.8kg(食料需給表)2013年度:19.0kg(食料需給表)2014年度:18.5kg(食料需給表)2015年度:18.5kg(食料需給表)2016年度:18.6kg(食料需給表)2017年度:18.2kg(食料需給表)2018年度:18.1kg(食料需給表)2019年度:17.8kg(食料需給表)2020年度:16.6kg(食料需給表)2021年度:16.9kg(食料需給表)2022年度:17.3kg(食料需給表)2023年度:16.7kg(食料需給表)2024年度:16.8kg(食料需給表)1939年:約17kg(精糖工業会)1944年:2.9kg(精糖工業会)1945年:0.6kg(精糖工業会)1947年:0.36kg(精糖工業会)米国 1972年:102.3ポンド=約46.4kg(USDA ERS)米国 1986年:60.0ポンド=約27.2kg(USDA ERS)米国 2019年:68.4ポンド=約31.0kg(USDA ERS)米国 2021年:69.7ポンド=約31.6kg(USDA ERS)米国 2023年:68.4ポンド=約31.0kg(USDA ERS)米国 1972年 約46kg(ピーク)日本 1973年度 28.1kg(ピーク)米国 1986年 約27kg2024年度 16.8kg米国 2023年 約31kg1939年 約17kg1945年 0.6kg・1947年 0.36kg日本:食料需給表の「砂糖類」(粗糖・精糖・含みつ糖・糖みつ)。異性化糖は含まない。白い丸は精糖工業会の資料の数字で、定義が違うので線でつないでいない。米国:USDA 経済研究所の精製糖(さとうきび糖+てん菜糖)の供給量。公表されている年だけを四角で示した。コーンシロップ(異性化糖)は含まない。どちらも供給量で、家庭や店で捨てた分も含む。実際に食べた量はこれより少ない。出典:農林水産省「食料需給表」品目別累年表(令和6年度)、精糖工業会「砂糖伝播の歴史」、USDA ERS Charts of Note(2021・2022・2024年)。
出典:農林水産省「食料需給表」品目別累年表(令和6年度)、精糖工業会「砂糖伝播の歴史」、米国農務省経済研究所(USDA ERS)。日本と米国、戦前戦後の数字は定義が違う

日本人1人あたりの砂糖の量(供給量)は、1960年度の 15.1kg から増え、1973年度に 28.1kg(1日77.0g)でピークになりました。その後は減り続け、2024年度は 16.8kg(1日46.1g)です。ピークから約4割減りました。

米国でも、精製した砂糖の量は 1972年の 102.3ポンド(約46kg)がピークで、1986年には 60.0ポンド(約27kg)まで減りました。2023年は 68.4ポンド(約31kg)です(米国農務省経済研究所)。

日米とも、ピークのあとに増えたのが、トウモロコシのでん粉から作る「異性化糖(果糖ぶどう糖液糖など)」でした。精糖工業会も、昭和50年代に異性化糖が砂糖の需要を侵食したと書いています。異性化糖については 異性化液糖の記事 にまとめています。

注意したいのは、これが「供給量」だということです。国内に出回った量を人口で割った値で、捨てた分も含みます。実際に食べた量は、あとで紹介する国の調査のほうが近い数字です。

砂糖はどうやって作る?

砂糖の作り方を2つの道に分けた図。原料は鹿児島県・沖縄県のさとうきび(輸入粗糖の90%はオーストラリア産、2024年)と、国産の砂糖の約8割を占める北海道のてん菜。分蜜糖は結晶だけを取り出す砂糖で、さとうきびは産地で原料糖にし、精糖工場で溶かして石灰と炭酸ガス、骨炭・粒状活性炭・イオン交換樹脂で色を取り、再び結晶にしてグラニュー糖と上白糖(転化糖の液をかける)になる。残った蜜を煮詰めると三温糖(茶色はカラメル化)。含蜜糖は蜜ごと固める砂糖で、黒糖(原材料名は「さとうきび」)、和三盆、てんさい含蜜糖がある。砂糖は漂白していないこと、きび砂糖・洗双糖に法令の定義がないことも示す。
図:砂糖の作り分け(分蜜糖と含蜜糖)(押すと拡大)

砂糖の種類の違いは、ほとんどが「作り方」の違いです。原料が同じさとうきびでも、作り方で上白糖にも、グラニュー糖にも、黒糖にもなります。

分蜜糖と含蜜糖

分け方 作り方 主な種類
分蜜糖(ぶんみつとう) 煮詰めた液を遠心分離機にかけて、結晶と蜜に分け、結晶だけを取り出す グラニュー糖、上白糖、三温糖、白ざら糖、中ざら糖、角砂糖、氷砂糖
含蜜糖(がんみつとう) 結晶と蜜を分けずに、蜜ごと固める 黒糖(黒砂糖)、和三盆、てんさい含蜜糖、メープルシュガー

出典:農林水産省「砂糖の種類と製造方法」(2021年11月)、日本甜菜製糖(ニッテン)のコラム

蜜には、ミネラルや色や香りのもとが残っています。だから、蜜ごと固める含蜜糖は茶色く、独特の風味があります。

白い砂糖ができるまで

日本の白い砂糖(精製糖)は、2段階で作られます。

  1. 産地で「原料糖」を作る:さとうきびは、収穫するとすぐに糖分が減ってしまい、かさばります。そこで、産地の工場で搾り、石灰を加えて不純物を沈め、煮詰めて結晶にした茶色い「原料糖(粗糖)」にしてから運びます
  2. 精糖工場で白くする:原料糖を溶かして不純物と色を取り除き、もう一度結晶にします

精糖工場での主な工程は、次のとおりです(精糖工業会の理事が書いた農畜産業振興機構の技術解説、2010年)。

工程 すること
洗糖 原料糖に濃い糖液を加えて混ぜ、結晶の表面の色を落とす
溶解・炭酸飽充 温水で溶かし、石灰と炭酸ガスを加える。できた炭酸カルシウムの沈殿に不純物を取り込ませて、ろ過する
脱色 骨炭(動物の骨を焼いた炭)、粒状活性炭、イオン交換樹脂に色のもとを吸着させる
結晶化 真空の釜で煮詰め、種になる細かい結晶を入れて育てる
分蜜をくり返す 結晶と蜜に分け、蜜からさらに結晶を取る。後の回ほど加熱が長く、色がつく(→三温糖)

北海道のてん菜は、原料糖を作らずに、産地の工場で白い砂糖まで一気に作ります(耕地白糖)。

「上白糖は漂白している」は誤り

砂糖の結晶は、もともと無色透明です。細かい結晶が光をばらばらに反射するので、白く見えます(精糖工業会、農畜産業振興機構)。

色は、上の表のように炭やイオン交換樹脂で「取り除いて」います。薬品で色素を白く変える「漂白」ではありません。亜硫酸で色素を変える方法(亜硫酸法)は、一部の国の工場で今も使われていますが、日本・EU・米国では行われていない、と精糖工業会の理事は書いています(2010年)。

骨炭は使われている?

「白い砂糖は、牛の骨の炭で白くしている」という話があります。調べると、消費者向けの説明と、業界の技術資料で書き方が違いました。

資料 書いてあること
精糖工業会の理事の技術解説(農畜産業振興機構、2010年) 日本の多くの工場は、炭酸飽充のあと「骨炭ろ過→脱色用イオン交換樹脂」の順で処理している
消費者向けの説明(農畜産業振興機構 2014年など) 「活性炭」や「イオン交換樹脂」とだけ書いてある
三井製糖(今の DM三井製糖) 2019年の決算説明会の資料に「福岡工場 粒状活性炭設備導入」「ハラール認証の取得」。2018年1月の報道(FoodNavigator-Asia)は、福岡工場で骨炭をやめて活性炭に切り替え、2018年半ばから動かす計画だと伝えている
日本甜菜製糖(てん菜糖) 「骨炭やキトサン含め動物性由来の原材料は使用していない」

骨炭は、日本でも使われてきました。ただ、ほかの精製糖メーカーが今も使っているかどうかは、公開資料では確かめられませんでした。気になる人は、メーカーに問い合わせるのが確実です。米国でも、骨炭を使う工場と使わない工場があります(ベジタリアン・リソース・グループの企業への取材、2019年・2021年)。

骨炭は、色を吸着させるために使うもので、原材料として加えるものではありません。気にするのは、主に動物性のものを避けたい人(ヴィーガンやハラール)です。和三盆は、伝統的な作り方では骨炭を使いません(香川の放送局 KSB の報道、2025年)。

種類ごとの違いと選び方

主な砂糖の特徴を、農林水産省と精糖工業会の説明でまとめました。成分は日本食品標準成分表(八訂)の値です。

種類 分類 粒・手ざわり 味と、向く使い方
上白糖 分蜜糖 0.1〜0.2mm。しっとり ほどよいコク。料理・菓子・飲みものに幅広く
グラニュー糖 分蜜糖 0.2〜0.7mm。さらさら クセのない淡白な味。ジャム・洋菓子、コーヒー・紅茶
三温糖 分蜜糖 細かい。しっとり 独特の風味とコク。煮物・佃煮
中ざら糖 分蜜糖 2〜3mm。黄褐色 まろやかな風味。煮物・すき焼き・漬物
黒糖(黒砂糖) 含蜜糖 かたまり・粉末 特有の風味で甘味を強く感じる。かりんとう・駄菓子
和三盆 含蜜糖 とても細かい 口どけがよい。高級な和菓子

出典:農林水産省「違いを知って料理をおいしく!砂糖の種類と製造方法」(2021年11月、精糖工業会の写真・監修)

上白糖:日本の家庭の定番

上白糖は、細かい結晶に「ビスコ」と呼ばれる液をかけた砂糖です。ビスコは、ショ糖をぶどう糖と果糖に分けた「転化糖」の液です(精糖工業会)。

  • 成分は、ショ糖 97.9%・ぶどう糖 0.7%・果糖 0.7%・水分 0.7%
  • しっとりしているのは、転化糖と水分のためです
  • 乾燥すると、表面の液から小さな結晶ができて、結晶どうしをくっつけるので固まります
  • グラニュー糖より甘く感じるのは、ショ糖以外の成分がわずかに入っていて、それが刺激になるためと説明されています(精糖工業会)

固まったときは、袋に入れて霧吹きで水をかけ、口を閉じて数時間おくと戻ります(精糖工業会)。

上白糖とグラニュー糖の逆転

精製糖の生産量:2023年度にグラニュー糖が上白糖を抜いた国内の精製糖工場の生産量(千トン、年度)。北海道のてん菜糖は含まない。縦軸は44万トンから440千t460千t480千t500千t520千t2020年度2021年度2022年度2023年度2024年度上白糖 2020年度:485,929t上白糖 2021年度:499,177t上白糖 2022年度:491,430t上白糖 2023年度:482,420t上白糖 2024年度:479,391t上白糖 479千tグラニュー糖 2020年度:450,172tグラニュー糖 2021年度:468,464tグラニュー糖 2022年度:481,980tグラニュー糖 2023年度:492,825tグラニュー糖 2024年度:512,948tグラニュー糖 513千t4864502023年度 逆転(493 対 482)てん菜糖も含めた種類別の構成(令和2年産、黒砂糖を除く 184万t)グラニュー糖:43.9%グラニュー糖 43.9%上白糖:27.1%上白糖 27.1%液糖:20.8%液糖 20.8%三温糖:4.6%その他:3.6%三温糖 4.6%・その他 3.6%(白ざら・中ざら・氷角糖原料など)上の線:精糖工業会「国内精製糖生産量」(最終製品。液糖は固形に換算していない)。下の帯:農畜産業振興機構(alic)のパンフレット「砂糖」の令和2年産の集計。グラニュー糖 809千t・上白糖 500千t・液糖 384千t。家庭で使う砂糖(家庭用)は、砂糖の消費全体の 8.7%(2024年度、精糖工業会・alic 調べ)。
出典:精糖工業会「国内精製糖生産量」(2020〜2024年度)、農畜産業振興機構 パンフレット「砂糖」(令和2年産の種類別構成)

「日本で最も生産量が多いのは上白糖」と、長く言われてきました。ところが精糖工業会の統計では、2023年度に、グラニュー糖(49万2,825t)が上白糖(48万2,420t)を抜きました。2024年度は、グラニュー糖 51万2,948t、上白糖 47万9,391t と差が開いています。

北海道のてん菜糖も含めると、差はもっと大きくなります。農畜産業振興機構の集計(令和2年産)では、グラニュー糖 43.9%、上白糖 27.1%、液糖 20.8% でした。

理由の一つは、使う人の内訳です。砂糖の消費のうち家庭用はわずか 8.7%(2024年度)で、多いのは菓子 27.8%、清涼飲料 17.4%、パン 11.5% です(精糖工業会、農畜産業振興機構調べ)。家庭では上白糖が定番でも、工場ではグラニュー糖や液糖が多く使われています。

なお、農林水産省の2026年9月の資料は、今も上白糖を「国内の砂糖消費量の約半分」と説明していて、統計の数字と合いませんでした。

グラニュー糖:世界の「ふつうの砂糖」

グラニュー糖は、ショ糖が 99.9% の、純度の高いさらさらした砂糖です。農林水産省は「世界では砂糖といえばグラニュー糖という国が多くあります」と書いています。

クセがなく、コーヒーや紅茶の風味をじゃましません。スティックシュガーや角砂糖の中身も、グラニュー糖です(精糖工業会)。

三温糖:茶色いのは「カラメル化」

三温糖は、上白糖やグラニュー糖の結晶を取り出したあとの蜜を、何度も煮詰めて作る砂糖です。

  • 黒糖と同じ含蜜糖と思われがちですが、分蜜糖です(ニッテン)
  • 茶色いのは、煮詰める加熱をくり返すうちに糖がカラメル化するためです
  • 名前は、明治の初めに輸入された「三温車糖」から来ているといいます(「温」は煮詰める回数。ニッテン)
  • 市販の三温糖・中ざら糖には、色をそろえるために、カラメル色素や色の濃い蜜を表面にかけたものがあります(ニッテン、食品成分表の注記)

カラメル色素の種類や評価は カラメル色素の記事 にまとめています。

きび砂糖と洗双糖

きび砂糖には、法令で決まった定義がありません。消費者庁の「食品表示基準Q&A」を調べても、「きび砂糖」「てんさい糖」「上白糖」「グラニュー糖」の定義は見つかりませんでした。日本農林規格(JAS)にも、砂糖の規格はありません(精糖工業会)。

「さとうきびの原料糖を精製する途中で、そのまま煮詰めて結晶にした砂糖」と説明する記事が多いのですが、メーカーの公式の製法説明は、今回確かめられませんでした。色や風味の強さは、製品によって違うと考えたほうが安全です。

選ぶときは、袋の名称欄と原材料欄、メーカーの説明で、何から、どう作ったかを確かめます。茶色い砂糖なので、上白糖の代わりに使うと、仕上がりにも色と風味がつきます。

ここでは、日新製糖の「カップ印 きび砂糖」を例に挙げます。作り方や味は、メーカーの説明で確かめてください。

洗双糖(せんそうとう)も、公的な定義がない名前です。薄茶色で、原料糖に近い砂糖と説明されることが多いのですが、一次資料では確かめられませんでした。

国産のさとうきびの砂糖(甘しゃ糖)は、主に鹿児島県と沖縄県で作られています。2024/25年度は 16万1,156t、うち鹿児島県が 6万4,102t でした(精糖工業会)。ここで紹介するのは、鹿児島県の種子島の洗双糖です。

てんさい糖は2種類ある

「てんさい糖」と言うとき、実は2つの別のものが混ざっています。

白いてん菜糖 茶色い「てんさい糖」
何か てん菜から作ったグラニュー糖や上白糖 てん菜の蜜を含んだ茶色い砂糖(成分表では「てんさい含蜜糖」)
見た目 さとうきびの白い砂糖と同じ 薄い茶色
メーカーの説明 「高純度の糖液を使い、オリゴ糖やミネラル分はほぼ残留していない」(日本甜菜製糖) 「煮詰められた過程で自然に色づいた」「まろやかで角のない味」(ニッテン「北海道まろやかてんさい糖」)

日本の国産の砂糖の約8割は、北海道のてん菜糖です。てん菜糖を作っているのは、ホクレン・北海道糖業・日本甜菜製糖の3者7工場です(農畜産業振興機構、2025年)。

茶色い「てんさい糖」は、「ミネラルやオリゴ糖が豊富」と紹介されることがあります。北海道開発局のパンフレットにも「天然のミネラルやオリゴ糖を含む」とあります。ところが、食品成分表のてんさい含蜜糖は、カルシウムが微量、マグネシウムが 0 で、上白糖とほとんど変わりませんでした(茶色い砂糖は体にいい? でくわしく見ます)。

選ぶときは、健康の効果ではなく、色と、まろやかな風味が料理に合うかで選ぶのがよいと考えます。ニッテンは、自社のてんさい糖について「料理もお菓子も優しく仕上がります」「飲み物やヨーグルトなどの味付けにも」と説明しています。

ここで紹介するのは、北海道のてん菜糖メーカー3者の一つ、ホクレンの茶色いてんさい糖です。ホクレンの公式サイトは今回読み込めず、成分の数字は確かめられませんでした。気になる人は、袋の栄養成分表示を見てください。

黒糖と加工黒糖

黒糖(黒砂糖)は、さとうきびの搾り汁を煮詰めて、蜜ごと固めた砂糖です。

「黒糖」と名乗れるものは、消費者庁の「食品表示基準Q&A」で決まっています。

  • 黒糖(黒砂糖):さとうきびの搾り汁から不純物を取り除き、煮詰めたあと、蜜を分けずに冷やして固めたもの。原材料名は「さとうきび」と書く
  • 加工黒糖:黒糖に、粗糖(原料糖)や糖みつなどを加えたもの。原材料名は「黒糖、粗糖、糖みつ」など。「黒糖」とだけ書いてはいけない
  • 黒糖をまったく使っていない茶色い砂糖に、「黒糖○○」「○○黒糖」という名前は使えない。こうした砂糖のために、事業者の団体が「赤糖」という名前を定めた

このルールは、2010〜2011年に決まりました。それまでは「黒砂糖」と書いた商品の中に、黒糖を使っていないものもありました。消費者庁の調査では、「黒糖と黒砂糖は同じ」「違う」「分からない」と答えた人が、約3分の1ずつだったそうです(農畜産業振興機構、2011年)。2011年3月に「黒砂糖=黒糖」と整理され、黒糖と黒糖加工品(黒糖が50%以上)は、原料の産地の表示が義務になりました(2013年4月から完全実施)。

国内の黒糖(含蜜糖)は、2024/25年度で 1万756t。そのうち 1万175t が沖縄県で作られています(精糖工業会)。鹿児島県の資料によると、黒糖づくりの最盛期は冬で、ブロック状や粉末状など、仕上げ方で形が違います。

純粋な黒糖を選ぶなら、原材料名が「さとうきび」だけのものを探します。例として、沖縄県の波照間島の黒糖を挙げます。

見比べるなら、加工黒糖もあります。原材料名に「黒糖、粗糖、糖みつ」などが並びます。純粋な黒糖と原材料名を並べると、表示のルールがよく分かります。

和三盆

和三盆は、讃岐(香川県)と阿波(徳島県)に伝わる砂糖です。香川県の老舗の作り方は、次のとおりです(中国四国農政局、2016年)。

  1. 12月にさとうきびを収穫したらすぐに搾り、釜で炊く
  2. 「味を決める」と言われるアク抜きを、澄んだ液になるまでくり返す
  3. 素焼きのかめで約2週間冷やして、原料になる「白下糖(しろしたとう)」を作る
  4. 職人が手で練る「研ぎ」と、重しで蜜を押し出す「押し船」を、5回・6日間くり返す

「盆の上で3日間研いだ」ことが名前の由来と言われています。成分はショ糖 98.0%で、分類は含蜜糖ですが、研ぎで蜜を抜くので、色は淡い黄色です(農林水産省)。

口どけがよく、木型で押して作る干菓子や和菓子に使われます。最近は洋菓子にも使われています。煮物などにたっぷり使う砂糖というより、口どけと香りを楽しむ菓子づくり向きです。

ここでは、阿波(徳島県)の和三盆を紹介します。

角砂糖・氷砂糖・粉砂糖

種類 作り方 向く使い方
角砂糖 グラニュー糖に少量の濃い糖液を加えて固める 1個の重さが決まっているので、計量の手間がいらない
氷砂糖 時間をかけて大きな結晶に育てる ゆっくり溶けるので果実酒づくり
粉砂糖 グラニュー糖を粉にする。固まらないよう、でん粉を少し加えるものもある お菓子のデコレーション

出典:精糖工業会「よくある質問」、農林水産省

角砂糖の生産は、2020年度の 1,172t から 2024年度の 569t へ、5年で半分以下になりました(精糖工業会)。

日本と海外:名前のルールと、砂糖の量

砂糖の名前のルールは、国によって違います。日本の上白糖は、海外の基準ではどう見えるのでしょうか。

上白糖は EU の「白砂糖」に当たらない

EU には、砂糖の名前を決めた指令(2001/111/EC)があります。

EU の名前 主な基準
半白糖(semi-white sugar) 転化糖 0.1%以下
白砂糖(sugar・white sugar) 転化糖 0.04%以下、乾燥減量 0.06%以下など
特白糖(extra-white sugar) 白砂糖の基準を満たし、色などの点数がさらに低い

出典:EU 指令 2001/111/EC(英国の法令データベースに収録された原文で確認。2021年以降の EU 側の改正は確かめていない)

上白糖の転化糖(ぶどう糖+果糖)は約1.4%です。EU の白砂糖の上限 0.04% の約35倍で、半白糖(0.1%)にも当たりません。EU では、こうした名前は定義に合う砂糖にしか使えません(ウラヨミで比べた結果)。

「上白糖は日本だけ」は言い過ぎ

ただし、似た砂糖は海外にもあります。

  • 国際食品規格(コーデックス、CXS 212-1999)には「ソフトホワイトシュガー(細かくしっとりした白い砂糖、ショ糖と転化糖で 97%以上)」と「ソフトブラウンシュガー(同 88%以上)」という区分があります
  • 中国には「绵白糖(綿白糖)」という国家規格(GB/T 1445)の砂糖があります。広東省の業界団体が2026年に出した規格案(意見募集中のもの)では、還元糖(ぶどう糖や果糖など)が 100g あたり 1.5〜4.5g(別の案では 1.0〜4.5g)で、上白糖(約1.4g)と同じくらいか、それより多い砂糖です

精糖工業会は上白糖を「日本独特の砂糖」と説明しています。言えるのは、「上白糖のような砂糖が家庭の主流になっている国は、ほかに見当たらない」ところまでです。

米国:さとうきびか、てん菜かは書かなくてよい

米国では、ショ糖(sugar、cane sugar、beet sugar)は「一般に安全と認められる物質(GRAS)」で、さとうきびとてん菜の区別を名前に書く義務はありません(米国連邦規則 21 CFR 184.1854)。

日本の砂糖のしくみ:約6割が輸入原料糖

日本の砂糖は、約6割が輸入した原料糖、約4割が国産です(令和6砂糖年度、輸入原料糖 約110万t・国産糖 約70万t、農林水産省)。国産の約8割は北海道のてん菜糖で、残りが鹿児島・沖縄のさとうきびの砂糖です。2024年に輸入した粗糖の 90% はオーストラリア産でした(財務省の貿易統計を精糖工業会が集計)。

国産の砂糖は、輸入より割高です。そこで国は「糖価調整制度」で、輸入する原料糖から調整金を集め、国内のさとうきびやてん菜の農家、工場への交付金に回しています(農林水産省)。鹿児島県の南西諸島の農家の 83%、沖縄県の農家の 84% がさとうきびを作っていて、台風や干ばつに強い「代わりのきかない作物」とされています。

異性化糖からも調整金を集めるしくみは、異性化液糖の記事 にくわしく書いています。

世界の中では、日本は少ないほう

1人あたりの砂糖消費量(2024年):日本は世界平均より少ない粗糖に換算した量(kg/人・年)。国際砂糖機関(ISO)の年鑑から精糖工業会が作成した表0kg20kg40kg60kgマレーシアマレーシア:56.2kg56.2ブラジルブラジル:55.6kg55.6ニュージーランドニュージーランド:42.4kg42.4キューバキューバ:41.5kg41.5ロシアロシア:41.0kg41.0タイタイ:37.5kg37.5カナダカナダ:36.6kg36.6EUEU:35.1kg35.1オーストラリアオーストラリア:33.9kg33.9メキシコメキシコ:31.6kg31.6韓国韓国:31.2kg31.2エジプトエジプト:30.9kg30.9コロンビアコロンビア:30.2kg30.2米国米国:29.9kg29.9スイススイス:27.3kg27.3台湾台湾:26.7kg26.7ウクライナウクライナ:25.8kg25.8インドインド:20.5kg20.5日本日本:15.2kg15.2中国中国:11.2kg11.2世界平均 22.3kg国・地域ごとに統計の取り方が違い、食べた量ではなく出回った量(消費量)。食料需給表の日本の数字(2024年度 16.8kg)とは定義が違う。出典:精糖工業会「統計資料」主要国の1人当り砂糖消費量(出典は国際砂糖機関(ISO)年鑑)。
出典:精糖工業会「統計資料」主要国の1人当り砂糖消費量(2024年、粗糖換算。国際砂糖機関の年鑑から作成)

国際砂糖機関の2024年の数字では、日本の1人あたりの砂糖の消費量は 15.2kg で、世界平均の 22.3kg を下回ります。並んだ20の国・地域の中で、日本より少ないのは中国(11.2kg)だけでした。米国は 29.9kg、EU は 35.1kg、ブラジルは 55.6kg です。

裏面の「砂糖」から分かること・分からないこと

原材料表示の「砂糖」から分かることと分からないことを並べた図。分かるのは、砂糖類が入っていること、「砂糖(国内製造)」なら精製した工場が国内にあること、「砂糖(上白糖、黒糖)」のように書いてあれば使った種類、黒糖と黒糖が50%以上の加工品なら原料の産地。分からないのは、砂糖の種類、さとうきびやてん菜の産地(輸入原料糖を国内で精製しても「国内製造」)、黒糖が入っているか(黒糖は「砂糖」と書いてよい)、骨炭を使ったかどうか。ウラヨミの71品では、砂糖類入り35品のうち種類が分かるのは4品だった。
図:原材料表示の「砂糖」から分かること・分からないこと(押すと拡大)

原材料表示の「砂糖」からは、砂糖の種類も、さとうきびの産地も、ほとんど分かりません。ウラヨミの商品データで確かめました。

ウラヨミの71品を数え直した

ウラヨミに載せている71品の原材料を数え直しました(2026年10月3日)。

項目 件数
砂糖類(砂糖・グラニュー糖・ざらめ・黒糖など)が入っている 35品(71品中)
そのうち、原材料名が「砂糖」だけ 26品
砂糖の種類が分かる書き方 4品だけ

種類が分かったのは、「グラニュー糖」(ふりかけ)、「ザラメ糖」(焼肉のたれ)、「砂糖(黒糖)」(マヨネーズ風の調味料)、「糖類(有機糖みつ、砂糖)」(やきそばソース)の4品でした。上白糖・三温糖・きび砂糖・てんさい糖と書いた商品は、1つもありませんでした。

「黒糖」は「砂糖」と書いてもよい

消費者庁の「食品表示基準Q&A」では、次のように決まっています。

  • 黒糖は「砂糖」と書いてもよい(加工-61)。だから、黒糖を使っていても、原材料名には「砂糖」としか出てこないことがある
  • お菓子に「黒糖使用」と書いても、黒糖が100%とは限らない。ただし、黒糖以外の砂糖も使うなら「砂糖(上白糖、黒糖)」のように書く(加工-204。三温糖も同じ)
  • 同じ種類の原材料が複数あるときは、「糖類(砂糖、水あめ)」のようにまとめて書ける(加工-58)

ウラヨミの「砂糖(黒糖)」の商品は、このルールの実例です。

「砂糖(国内製造)」は、さとうきびの産地ではない

加工食品には、いちばん多い原材料の産地を書くルールがあります。砂糖がいちばん多い食品では、「砂糖(国内製造)」のように、砂糖を作った場所を書きます(消費者庁 Q&A の例)。

「国内製造」は、砂糖を精製した工場が国内にあるという意味です。オーストラリアから輸入した原料糖を日本の工場で精製した砂糖も、「国内製造」になります(制度のしくみからの説明。さとうきびの産地を示す表示ではない)。

一方、黒糖と黒糖加工品(黒糖が50%以上)は、別のルールで原料の産地を書く義務があります。黒糖かりんとうのように黒糖が50%未満なら、対象外です。

砂糖には賞味期限がない

砂糖は、食品表示基準で賞味期限の表示を省略できる食品です(でん粉・食塩などと同じ)。袋に日付がなくても、表示の違反ではありません。

食品表示の「無添加」の書き方は 「無添加」表示のルールの記事 にまとめています。

砂糖は体に悪い? 説ごとに確かめる

体への影響を考えるときに大事なのは、砂糖の「種類」ではなく「量」です。WHO も米国の指針も、白い砂糖と茶色い砂糖を区別していません。

WHO の「10%・5%」と、日本の基準が数字を決めなかったこと

指針 中身
WHO(2015年) 遊離糖類を1日のエネルギーの 10%未満(強い推奨)。5%未満・約25g(小さじ約6杯)ならさらによい(条件付きの推奨)
日本「食事摂取基準2025」 糖類の目標量の設定は「見送ることとした」
米国 食事ガイドライン2025–2030(2026年1月) 添加糖類は「どれだけなら健康的という量はない」。1食あたり10gまで
米国心臓協会(2016年) 子ども(2〜18歳)の添加糖類は25g以下、2歳未満は避ける

「遊離糖類」とは、作る人・食べる人が加える糖と、はちみつ・シロップ・果汁の糖のことです。黒糖も、てんさい糖も、はちみつも、同じ遊離糖類に数えます。米国の新しい指針も、添加糖類の例に cane sugar(さとうきびの砂糖)、beet sugar(てん菜の砂糖)、honey(はちみつ)、molasses(糖みつ)を並べています。

日本の食事摂取基準2025 が数字を決めなかった理由は、

  • 日本の食品成分表に、加えた糖(added sugar・free sugar)の値がなく、摂取量を簡単に推定できない
  • 日本人の平均の摂取量は低く、過半数は他国の推奨値より少ない可能性がある

などです。ただし同じ文書は、「糖類の摂取量が非常に多い日本人もいる」とし、摂取の実態に注意が必要だと書いています。

日本人の遊離糖類は少なめ。2割強は「調味料」から

2016年の国民健康・栄養調査(成人 約9,900人、1日の食事を量った記録)を使った研究では、日本人の遊離糖類は、男性 4.8%・女性 5.8%(1日のエネルギーに対する割合)でした(Fujiwara 2020)。英国の成人は 10.4%(2019〜2023年の調査)、米国の成人の添加糖類は 14.9%(2005〜2010年)です。

日本で特徴的なのは、どこから糖をとっているかです。

遊離糖類のもと 男性 女性
砂糖・ジャム類 30.1% 29.8%
調味料 24.4% 21.3%
菓子 17.0% 23.0%
清涼飲料 11.3% 9.4%

出典:Fujiwara A, et al. Nutrients 2020(利益相反なし)

海外では清涼飲料と菓子が中心ですが、日本では煮物やたれなどの「調味料」が2割強を占めていました。みりんやしょうゆの話は みりんの記事 と 醤油の種類の記事 にまとめています。

同じ研究グループの別の解析(成人 16,652人)では、遊離糖類が多い人ほど、24種類のビタミン・ミネラルのうち16種類の摂取量が少ない傾向がありました(Fujiwara 2020)。砂糖の多い食事は、ほかの食べものの栄養を「薄める」ということです。

むし歯:WHO の根拠に、日本の戦中・戦後のデータ

むし歯と砂糖の関係は、いちばん根拠がそろっています。

  • WHO のための系統的レビュー(55研究)では、子どもの50研究のうち42、大人の5研究すべてで、砂糖が多いほどむし歯が多い関係が見られました。10%未満でむし歯が少ないことは「中程度」の質の根拠、5%未満は「非常に低い」質とされました(Moynihan & Kelly 2014)。2022年の更新では、5%未満の根拠が「低い」に上がりました(Moores 2022)
  • WHO の「5%」の根拠の一つが、日本の子どものデータです。戦時中に砂糖が手に入らなくなった時期を含む、日本の全国のむし歯のデータを再解析すると、砂糖がエネルギーの 0〜10% の範囲で、むし歯が増えていました(Sheiham & James 2014)

戦中・戦後の日本の子どもたちの歯のデータが、いまの世界の目安を決める材料の一つになった、ということです。

体重:増えるのは「エネルギーが増えるから」

WHO が依頼したメタ解析(ランダム化比較試験30件・コホート研究38件)では、

  • 砂糖を減らすと、体重は平均 0.80kg 減った
  • 砂糖を増やすと、平均 0.75kg 増えた
  • ただし、同じエネルギーのまま砂糖をほかの炭水化物に置き換えると、体重は変わらなかった

という結果でした(Te Morenga 2013)。砂糖が太る主な理由は、甘いものでエネルギーをとりすぎることだと考えられます。

糖尿病・心臓病:根拠の中心は「甘い飲みもの」

研究 種類・規模 分かったこと
Imamura 2015 17のコホート研究のメタ解析 加糖飲料を1日1杯多く飲むと、2型糖尿病が 18% 多い(肥満度で調整すると 13%)
Huang 2023 73のメタ解析をまとめた総説 砂糖と多くの病気の関連を示したが、根拠の質は多くが「低い」。加糖飲料1日250mLごとに冠動脈疾患 17% など
高山スタディ(日本、Nagata 2019) 岐阜県高山市の 29,079人を16年追跡 男性で、糖類の摂取が最も多いグループの死亡が 1.27倍。女性は遊離糖類だけで関連

どれも観察研究が中心で、「砂糖が病気を起こした」とまでは言えません。いちばん根拠がそろっているのは、甘い飲みものです。日本の食事摂取基準2025 も、2型糖尿病については加糖飲料との関連を挙げ、「明確な閾値は報告されていない」としています。

果物の果糖と、甘い飲みものの果糖の違いは 果物の果糖の記事 にまとめています。

「砂糖は中毒になる」「子どもが多動になる」

説 研究で分かっていること 判定
砂糖は麻薬のように中毒になる ラットに砂糖を「間をあけて」与えると、むちゃ食いや脳の変化が見られた(Avena 2008)。人でこれを支持する証拠は少ない、とするレビューがある(Westwater 2016) 人では根拠が乏しい
砂糖を食べると子どもが多動になる 二重盲検の23試験をまとめた結果、行動や認知への影響は確認されなかった(Wolraich 1995、米国医師会雑誌)。親の思い込みの影響も指摘されている 根拠なし

業界のお金と研究

砂糖の研究は、業界のお金が関わってきた歴史があります。

  • 1965年、米国の砂糖研究財団が、心臓病の原因を脂肪に向け、砂糖のリスクを小さく見せる総説にお金を出していたことが、2016年に明らかになりました(Kearns 2016)。当時、資金提供は開示されていませんでした
  • 「各国の砂糖の指針は根拠が弱い」とした2017年の論文(Erickson 2017)は、食品・農業業界が主に資金を出す団体(ILSI North America)の資金で行われていました

日本では、精糖工業会の「砂糖と健康」研究会が「リラックス効果」「ダイエットやメンタルヘルスにも良い」などと発信しています。これは業界団体の主張で、この記事では事実としては扱いません。

海外の対策:英国の飲料税と、撤回された論文

英国は2018年4月、糖の多い清涼飲料にかかる税(ソフトドリンク産業税)を始めました。製造する会社にかかる税で、メーカーは飲みものの糖を減らしました。

研究 分かったこと
Bandy 2020 2015→2018年で、清涼飲料から売れた糖が1人1日 4.6g(30%)減った。飲みものの平均の糖度は 100mL あたり 4.4g→2.9g
Rogers 2024 税の開始から11か月後、遊離糖類が子どもで1日 4.8g、大人で 10.9g 減った
Rogers 2023 小学6年生(10〜11歳)の女子の肥満が 1.6ポイント減った。男子では変化なし

一方、2021年に英国医師会雑誌(BMJ)に載った購入量の分析は、データの誤りが見つかり、2023年に撤回されました。直した版では、清涼飲料全体の糖の減り方が 9.8% から 2.7% に小さくなっています。数字を引くときは、撤回されていないかを確かめる必要があります。

日本には、健康を目的にした砂糖や甘い飲みものへの税はありません。

茶色い砂糖は体にいい? ウラヨミで計算

「白い砂糖は体に悪く、茶色い砂糖は体にいい」という説を、食品成分表の数字で確かめました。

100gで比べると、多いのは黒糖だけ

砂糖の種類別 100gあたりのミネラル日本食品標準成分表(八訂)増補2023年の値。「微量」は成分表の Tr(ごくわずか)茶色い砂糖でも、黒砂糖とそれ以外の差が大きい。てんさい含蜜糖は上白糖に近いカルシウム(mg)0150300黒砂糖黒砂糖 カルシウム:240mg240和三盆糖和三盆糖 カルシウム:27mg27三温糖三温糖 カルシウム:6mg6てんさい含蜜糖てんさい含蜜糖 カルシウム:0mg微量上白糖上白糖 カルシウム:1mg1グラニュー糖グラニュー糖 カルシウム:0mg微量カリウム(mg)06001,200黒砂糖黒砂糖 カリウム:1100mg1,100和三盆糖和三盆糖 カリウム:140mg140三温糖三温糖 カリウム:13mg13てんさい含蜜糖てんさい含蜜糖 カリウム:27mg27上白糖上白糖 カリウム:2mg2グラニュー糖グラニュー糖 カリウム:0mg微量鉄(mg)02.55黒砂糖黒砂糖 鉄:4.7mg4.7和三盆糖和三盆糖 鉄:0.7mg0.7三温糖三温糖 鉄:0.1mg0.1てんさい含蜜糖てんさい含蜜糖 鉄:0.1mg0.1上白糖上白糖 鉄:0mg微量グラニュー糖グラニュー糖 鉄:0mg微量マグネシウム(mg)02040黒砂糖黒砂糖 マグネシウム:31mg31和三盆糖和三盆糖 マグネシウム:17mg17三温糖三温糖 マグネシウム:2mg2てんさい含蜜糖てんさい含蜜糖 マグネシウム:0mg0上白糖上白糖 マグネシウム:0mg微量グラニュー糖グラニュー糖 マグネシウム:0mg0てんさい含蜜糖はテンサイ(砂糖大根)から作る茶色い砂糖。ナトリウムは48mgと、上白糖(1mg)より多い。和三盆糖の値は分析値と四訂成分表の値から決めたもの(成分表の説明)。製品によって値は違う。出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」本表(03001〜03005・03030)。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
100gあたり カルシウム カリウム 鉄 マグネシウム
黒砂糖 240mg 1,100mg 4.7mg 31mg
和三盆糖 27mg 140mg 0.7mg 17mg
三温糖 6mg 13mg 0.1mg 2mg
てんさい含蜜糖 微量 27mg 0.1mg 0
上白糖 1mg 2mg 微量 微量
グラニュー糖 微量 微量 微量 0
  • ミネラルが多いのは、蜜をすべて含む黒砂糖だけでした
  • てんさい含蜜糖は、茶色いのに、上白糖とほとんど変わりません。多かったのはナトリウム(48mg)だけです
  • 三温糖のミネラル(灰分)は 0.1% で、精糖工業会も「三温糖の方が身体に良いとは言えない」としています

小さじ1杯なら、1日の基準の何%?

小さじ1杯の砂糖のミネラルは、1日の基準の何%?女性(30〜49歳)の食事摂取基準2025に対する割合。鉄は月経ありの推奨量。ウラヨミで計算いちばん多い黒砂糖でも、どの成分も2%未満カリウム目安量 2,000mg0%1%2%カルシウム推奨量 650mg0%1%2%鉄推奨量 10.5mg0%1%2%マグネシウム推奨量 290mg0%1%2%黒砂糖小さじ1杯 3g(仮定)黒砂糖 カリウム:1.65%1.7%黒砂糖 カルシウム:1.11%1.1%黒砂糖 鉄:1.34%1.3%黒砂糖 マグネシウム:0.32%0.3%和三盆糖小さじ1杯 3g(仮定)和三盆糖 カリウム:0.21%0.2%和三盆糖 カルシウム:0.12%0.1%和三盆糖 鉄:0.20%0.2%和三盆糖 マグネシウム:0.18%0.2%三温糖小さじ1杯 3.2g三温糖 カリウム:0.02%0.02%三温糖 カルシウム:0.03%0.03%三温糖 鉄:0.03%0.03%三温糖 マグネシウム:0.02%0.02%てんさい含蜜糖小さじ1杯 3g(仮定)てんさい含蜜糖 カリウム:0.04%0.04%てんさい含蜜糖 カルシウム:0.00%0%てんさい含蜜糖 鉄:0.03%0.03%てんさい含蜜糖 マグネシウム:0.00%0%上白糖小さじ1杯 3g上白糖 カリウム:0.00%ほぼ0%上白糖 カルシウム:0.00%ほぼ0%上白糖 鉄:0.00%0%上白糖 マグネシウム:0.00%0%グラニュー糖小さじ1杯 4gグラニュー糖 カリウム:0.00%0%グラニュー糖 カルシウム:0.00%0%グラニュー糖 鉄:0.00%0%グラニュー糖 マグネシウム:0.00%0%黒砂糖だけで女性のカルシウム推奨量をとるには 271g(953kcal)、鉄なら 223g(786kcal)が必要小さじ1杯の重さ:上白糖3g・グラニュー糖4gは国立健康・栄養研究所の重量目安表、三温糖3.2gは成分表の比重から。黒砂糖・和三盆糖・てんさい含蜜糖は公的な重量表に値がないため、上白糖と同じ3gと仮定した。出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」(ウラヨミで計算)。
出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」からウラヨミで計算。黒砂糖・和三盆糖・てんさい含蜜糖の小さじ1杯の重さは仮定

砂糖は、1回に使う量が少ない食品です。そこで、小さじ1杯でとれるミネラルが、30〜49歳の1日の基準の何%になるかを計算しました。

  • 小さじ1杯の重さは、上白糖 3g・グラニュー糖 4g(国立健康・栄養研究所の重量目安表)、三温糖 3.2g(成分表の比重から)です
  • 黒砂糖・和三盆糖・てんさい含蜜糖は、公的な重量表に値がないため、上白糖と同じ 3g と仮定しました
小さじ1杯 カリウム カルシウム 鉄 マグネシウム
黒砂糖(3g・仮定) 33mg(1.7%) 7.2mg(1.1%) 0.14mg(1.3%) 0.93mg(0.3%)
和三盆糖(3g・仮定) 4.2mg(0.2%) 0.81mg(0.1%) 0.02mg(0.2%) 0.51mg(0.2%)
てんさい含蜜糖(3g・仮定) 0.81mg(0.04%) 0 0.003mg(0.03%) 0
上白糖(3g) 0.06mg(ほぼ0%) 0.03mg(ほぼ0%) 0 0

かっこ内は、女性(30〜49歳)の基準に対する割合です(カリウム目安量 2,000mg、カルシウム推奨量 650mg、鉄 推奨量 10.5mg〔月経あり〕、マグネシウム推奨量 290mg)。

いちばん多い黒砂糖でも、どのミネラルも1日の基準の2%未満でした。

逆に、黒砂糖だけで女性の1日の基準を満たそうとすると、

  • カルシウム(650mg)なら 黒砂糖 271g・953kcal
  • 鉄(10.5mg)なら 黒砂糖 223g・786kcal

が必要です。WHO の「望ましい上限」の 25g をすべて黒砂糖にしても、カルシウムは基準の 9%、鉄は 11% にとどまります。参考までに、こまつな 100g にはカルシウムが 170mg(13kcal)入っています(食品成分表)。

砂糖メーカー自身も、同じことを書いています。てん菜糖の日本甜菜製糖(ニッテン)は、自社サイトのコラムで、黒砂糖で成人男性のカリウムの目安量(2,500mg)をとるには約230g(約810kcal)が必要だとして、「ミネラル摂取を目的として砂糖を使い分けることは実際には意味をなさず」と書いています。

てんさい糖のオリゴ糖は、製品で大きく違う

てんさい糖の「オリゴ糖」は、てん菜に含まれる「ラフィノース」という糖のことです。

資料 オリゴ糖の量(100gあたり)
食品成分表「てんさい含蜜糖」 ラフィノース 4.7g、1-ケストース 0.6g
ニッテン「北海道まろやかてんさい糖」の栄養成分表示 オリゴ糖 0.4g

成分表と、実際の製品の表示で、約12倍の差がありました。成分表自身も「含まれるラフィノース及びケストースの量は、製品の種類により異なる可能性がある」と注記しています。成分表の値で計算しても、小さじ1杯(3g)のラフィノースは 0.14g です。

なお、ニッテンの製品の表示では、カリウムは 100g あたり 136mg で、成分表の値(27mg)より多めでした。それでも小さじ1杯なら約4mg で、女性の目安量の 0.2% です。茶色いてんさい糖の中身は製品ごとに違うので、袋の栄養成分表示で確かめるのが確実です。消費者庁の特定保健用食品(トクホ)の一覧(2026年9月)に、ラフィノースを関与成分とする製品はありませんでした。

GI:砂糖は65前後。黒糖・てんさい糖の値は見つからない

GI(グリセミック・インデックス)は、食べたあとの血糖値の上がりやすさを、ぶどう糖を100として比べた数字です。

甘いもの GI 出典
ぶどう糖 103(7試験の平均) 国際GI表(Atkinson 2008)
ショ糖(砂糖) 65(6試験の平均。試験ごとに58〜84。日本の試験は60) 同上
パネラ(さとうきびの含蜜糖) 69 シドニー大学のデータベース(イタリアの試験)
はちみつ 61(17種の平均。35〜87) 国際GI表
メープルシロップ 54 同上
果糖 15(3試験の平均) 同上
  • 砂糖(ショ糖)は、ぶどう糖と果糖がつながったものです。果糖の GI が低いので、砂糖の GI は 65 前後の「中くらい」になります
  • 黒糖・てんさい糖・和三盆・きび砂糖の GI は、シドニー大学の GI データベースに、測った値が登録されていませんでした
  • ネットでよく見る「上白糖 GI 109」などの数字は、出典を確かめられませんでした。国際的な表では、ショ糖は100を超えません

さらに大事なのは、量です。GI は、炭水化物 50g(砂糖なら 25〜50g)を一度に食べたときの比べ方です。食べる量をかけた「GL(グリセミック負荷)」で見ると、上白糖の小さじ1杯(3g)は約1.9、大さじ1杯(9g)は約5.8 で、量が2倍になれば GL も2倍になります(ウラヨミで計算)。「低 GI の砂糖に替える」より、「使う量を減らす」ほうが、ずっと影響が大きいということです。

果糖は GI が低くても、とりすぎると中性脂肪の上昇や体重増加の懸念がある、と食事摂取基準2025 は書いています。

黒糖には、アクリルアミドが多め。ただし量で考える

アクリルアミドは、糖とアミノ酸を高温で加熱するとできる物質です。農林水産省の調査で、含みつ糖(黒糖など)は、フライドポテトより多く、ポテト系スナック菓子に近い量を含んでいました。

食品 平均(mg/kg) 調査年度
含みつ糖 0.42(最大1.5) 2015年度(120点)
砂糖類 0.02 2022年度
フライドポテト 0.24 2023〜24年度
ポテト系スナック菓子 0.47 2022〜23年度

同じお菓子でも、含みつ糖を使うかどうかで差がありました(2010年度の平均)。飴は 1.0 対 0.005、ようかんは 0.42 対 0.008(mg/kg、含みつ糖あり対なし)です。

ただし、量で考えると、黒糖の小さじ1杯(3g)は約 1.3μg(マイクログラム)です。ポテト系スナック菓子1袋(60g)の約 28μg の、約20分の1でした(ウラヨミで計算)。黒糖のかたまりをよく食べる人は、量に気をつけると覚えておけばよいと考えます。

「てんさい糖は体を温める」は、人で確かめた研究がない

「てんさい糖は体を温める」「白い砂糖は体を冷やす」という説があります。

  • 出どころとみられるのは、桜沢如一のマクロビオティックです。食べものを、産地の寒暖などから「陰性」「陽性」に分ける考え方で、マクロビオティックでは砂糖の代わりに、米飴・甘酒・甜菜糖・メープルシロップを使うとされます
  • この陰陽の分け方には、科学的な根拠がありません
  • PubMed で、てん菜の砂糖やラフィノースと、体温・皮膚の温度を調べた人の試験を探しましたが、見つかりませんでした

なお、野菜のビーツと、砂糖をとるてん菜(シュガービート)は同じ仲間の別の品種です。ビーツのジュースの研究を、てんさい糖に当てはめることはできません。

「黒糖も1歳未満は避ける」は?

1歳未満の赤ちゃんの「乳児ボツリヌス症」について、国が名指しで注意しているのは、はちみつだけです。1987年の厚生省の通知は「1歳未満の乳児に蜂蜜を与えないよう」と指導しており、農林水産省の資料(2026年9月更新)も、予防策としてはちみつを挙げています。

ネットでは「黒糖も1歳未満は避けて」という話を見かけますが、その根拠になる公的な資料は見つかりませんでした。この記事では、黒糖が危ないとも安全とも言えません。赤ちゃんに砂糖そのものをどう与えるかは、かかりつけの小児科で相談してください。米国の食事ガイドラインは、乳幼児期には添加糖類を避けるよう勧めています。

結局、どう選んで、どう使う?

砂糖を選ぶ決め手は、健康の効果ではなく、味・色・溶けやすさ・料理との相性です。

料理で使い分ける

したいこと 向く砂糖 理由(公式の説明)
色をつけずに甘くしたい(ゼリー・シロップ・洋菓子) グラニュー糖、白ざら糖 クセがなく、無色透明
コーヒー・紅茶 グラニュー糖、角砂糖 飲みものの風味を損ねない
毎日の料理全般 上白糖 しっとりして、ほどよいコク。料理・菓子・飲みものに幅広く使える
煮物・佃煮・すき焼き 三温糖、中ざら糖 独特の風味とコク
茶色の色と風味を生かしたい きび砂糖、てんさい糖 色と風味がつく(製品で違う)
黒糖の風味のお菓子(かりんとう・黒蜜) 黒糖 特有の風味で、甘味を強く感じる
干菓子、口どけを楽しむ和菓子 和三盆 結晶が細かく、口どけがよい
果実酒 氷砂糖 ゆっくり溶ける

出典:農林水産省、精糖工業会

色のつく砂糖(三温糖・きび砂糖・てんさい糖・黒糖)を上白糖の代わりに使うと、仕上がりの色と風味が変わります。お菓子は、レシピに書かれた種類で一度作ってから替えると、違いが分かりやすくなります。

値段の見方

上白糖の東京の小売価格(年平均)は、2022年の 1kg 213円から、2025年は 279円に上がっています(総務省の統計を精糖工業会が集計)。国際的な粗糖の価格は、2023年11月に 1kg 109円の歴史的な高値をつけ、その後は下がっています(農林水産省)。

きび砂糖・てんさい糖・黒糖・和三盆は、袋の大きさがまちまちです。比べるときは、1kg あたりの値段に直すと分かりやすくなります。和三盆は、手作業の研ぎを6日間くり返して作る砂糖で、農林水産省は「高級和菓子の原料」と説明しています。

保存と、固まったとき

  • 砂糖の袋(ポリエチレン)は空気や湿気を通します。密封できる缶や容器に入れると固まりにくくなります(農林水産省、精糖工業会)
  • 固まったら、袋に入れて霧吹きで水をかけ、口を閉じて数時間おきます。食パンと一緒に容器に入れて一晩おく方法もあります
  • 長く置くと、砂糖にわずかに含まれるアミノ酸との反応で色がつくことがあります(精糖工業会)

量の目安

WHO は、「望ましい上限」の約25g を「小さじ約6杯」と説明しています。日本の重量目安表の上白糖(小さじ1杯 3g)で数えると、約8杯です。ただし、遊離糖類には、自分で入れる砂糖だけでなく、菓子や飲みもの、たれ・ドレッシングなどに入っている糖も含みます。日本の「食事バランスガイド」は、菓子・嗜好飲料を「1日200kcal程度」を目安にしています。

甘さを保ったまま砂糖を減らしたいときの甘味料については、甘味料の記事 にまとめています。

この記事で紹介したもの(まとめ)

記事の中で紹介したものを、もう一度まとめました。理由や原材料は、それぞれの節に書いています。

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まとめ

気になること 分かったこと
砂糖はいつ日本に来た? 確かな最古の記録は 756年の正倉院「種々薬帳」の「蔗糖」(薬)。鑑真が伝えたという確証はない
1人あたりの量は増えている? 日本は 1973年度の 28.1kg がピークで、2024年度は 16.8kg。米国も 1972年がピーク
種類の違いは? 作り方の違い。結晶だけ取り出す分蜜糖(上白糖・グラニュー糖・三温糖)と、蜜ごと固める含蜜糖(黒糖・和三盆など)。三温糖の茶色はカラメル化
上白糖は漂白している? していない。結晶は無色透明。色は炭などで取り除く。骨炭は日本でも使われてきた
上白糖は日本だけ? EU の「白砂糖」の基準には当たらないが、国際規格や中国にも似た砂糖がある。国内の生産量は 2023年度にグラニュー糖が上回った
茶色い砂糖は体にいい? ミネラルが多いのは黒糖だけ。それでも小さじ1杯で1日の基準の2%未満。てんさい含蜜糖は上白糖に近い
GI が低い砂糖は? ショ糖は 65 前後。黒糖・てんさい糖の値は見つからない。「上白糖 109」は出典不明。影響が大きいのは量
砂糖は体に悪い? 種類より量。WHO は遊離糖類を 10%未満、できれば 5%(約25g)未満に。むし歯・体重の根拠が強く、糖尿病などは甘い飲みものが中心
裏面で種類は分かる? ほぼ分からない。ウラヨミ71品のうち、種類まで分かったのは4品。「国内製造」は原料の産地ではない

参考にした資料

歴史

  • Pompidor N, et al. Three founding ancestral genomes involved in the origin of sugarcane. Ann Bot 2021(PMC8103802)/Lu G, et al. Sugarcane breeding: a fantastic past and promising future driven by technology and methods. Front Plant Sci 2024(PMC10957636)
  • 精糖工業会「砂糖伝播の歴史」「砂糖の主な原料と分類」「砂糖の製造工程」「よくある質問」https://seitokogyokai.com/
  • 農畜産業振興機構(alic)パンフレット「砂糖」、消費者コーナー(2010年)、「砂糖類・でん粉情報」の各記事(荒尾美代「内外の伝統的な砂糖製造法」2011・2012年、木山邦樹 2025年 ほか)
  • コトバンク『日本大百科全書』「正倉院薬物」
  • 鹿児島県「黒糖大辞典」(2026年)、中国四国農政局 香川県拠点「伝統の製法で作り続ける『和三盆』」(2016年)
  • NEH Humanities「Gross Injustice」(2010年)、PBS「How Many Slaves Landed in the U.S.?」
  • Fondation Napoléon「La bataille du sucre」
  • 農林水産省「食料需給表」品目別累年表(令和6年度)、米国農務省経済研究所 Charts of Note(2021・2022・2024年)

製法・種類

  • 農林水産省「違いを知って料理をおいしく!砂糖の種類と製造方法」aff 2021年11月号
  • 斎藤祥治「砂糖の白さは天然の色」砂糖類情報(農畜産業振興機構、2010年)
  • 日本甜菜製糖(ニッテン)「砂糖の種類」「三温糖とは」「よくあるご質問」、「北海道まろやかてんさい糖」の製品ページ
  • 三井製糖 2019年3月期 決算説明会資料、FoodNavigator-Asia(2018年1月15日)
  • Vegetarian Resource Group「Sugar Update」(2019年・2021年)
  • KSB瀬戸内海放送「大阪・関西万博 ヴィーガン体験プログラムに『和三盆』が登場」(2025年)

制度・統計・表示

  • 農林水産省「砂糖・でん粉をめぐる状況」(2026年9月)
  • 精糖工業会「統計資料」(国内精製糖生産量、用途別消費量、粗糖の輸入、主要国の1人当り砂糖消費量〔国際砂糖機関の年鑑から〕、上白糖の小売価格)
  • 消費者庁「食品表示基準Q&A」加工食品(加工-9・58・61・69・70・204)、原料原産地表示(2026年10月1日改正)、食品表示基準(e-Gov)
  • 中村祥典「黒糖の表示について」砂糖類情報(農畜産業振興機構、2011年)
  • EU 指令 2001/111/EC(legislation.gov.uk 収録)、Codex Standard for Sugars CXS 212-1999、米国連邦規則 21 CFR 184.1854、中国 广东省生物医药产业高质量发展协会 团体标准「绵白糖」征求意见稿(2026年)

成分・GI

体への影響

  • WHO「Guideline: Sugars intake for adults and children」(2015年)と報道発表
  • 米国「Dietary Guidelines for Americans 2025–2030」(2026年1月)
  • Vos MB, et al. Circulation 2017(PMID 27550974)
  • Fujiwara A, et al. Nutrients 2020(PMID 33255814)/Fujiwara A, et al. Eur J Nutr 2020(PMID 32162042)
  • 英国 National Diet and Nutrition Survey 2019 to 2023(2025年)/Yang Q, et al. JAMA Intern Med 2014(PMID 24493081)
  • Moynihan PJ, Kelly SA. J Dent Res 2014(PMID 24323509)/Moores CJ, et al. J Dent Res 2022(PMID 35302414)/Sheiham A, James WP. BMC Public Health 2014(PMID 25228012)
  • Te Morenga L, et al. BMJ 2013(PMID 23321486)/Imamura F, et al. BMJ 2015(PMID 26199070)/Huang Y, et al. BMJ 2023(PMID 37019448)/Nagata C, et al. Br J Nutr(PMID 32124712)
  • Avena NM, et al. Neurosci Biobehav Rev 2008(PMID 17617461)/Westwater ML, et al. Eur J Nutr 2016(PMID 27372453)/Wolraich ML, et al. JAMA 1995(PMID 7474248)
  • Kearns CE, et al. JAMA Intern Med 2016(PMID 27617709)/Erickson J, et al. Ann Intern Med 2017(PMID 27992898)
  • Bandy L, et al. BMC Med 2020(PMID 31931800)/Rogers NT, et al. J Epidemiol Community Health 2024(PMID 38981684)/Rogers NT, et al. PLoS Med 2023(PMID 36701272)/BMJ 2023;383:p2705(撤回)、Rogers NT, et al. BMJ Open 2023(PMID 38052469)
  • 農林水産省「食品中のアクリルアミドの含有実態調査」(2026年3月31日更新)
  • 厚生省 健医感第71号ほか(1987年10月20日)、農林水産省「ボツリヌス菌」ハザードシート(2026年9月15日更新)
  • 厚生労働省・農林水産省「食事バランスガイド」(2005年)

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.03)。