日本と海外の違い説の検証確認日 2026.09.30

カラメル色素は危ない? 4種類のちがいと「4-MEI」を、日本・EU・米国の評価で確かめる

PR この記事には、楽天市場とA8.netのアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」「おためしセットを見る」)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

コーラ、ソース、しょうゆ、カレールウ、めんつゆ。裏面に「カラメル色素」「着色料(カラメル)」と書かれた食品はとても多く、茶色い食品の色づけに広く使われています。

一方で、「カラメル色素には発がん性がある」という話もよく見かけます。

この記事では、

  • カラメル色素とは何か、4種類は何がちがうのか
  • 「発がん性」と言われる成分(4-MEI)は何で、どこまで分かっているのか
  • 日本・EU・米国(とカリフォルニア州)は、それぞれどう評価しているのか
  • ラベルで見分けられるのか、避けたいときはどうすればよいか

を、公的機関の資料と論文で確かめます。

結論

  • カラメル色素は、砂糖などの糖類を加熱して作る茶色の色素です。作り方のちがいで4種類(I〜IV)あり、日本では4種類とも使えます
  • 「発がん性」と言われるのは、色素そのものではなく、III と IV を作るときにできる副産物の「4-MEI(4-メチルイミダゾール)」です。マウスに大量に与えた試験で肺のがんが増え、IARC(国際がん研究機関)は「2B(発がん性があるかもしれない)」に分類しています。人で調べた研究はありません
  • 日本・EU・国際機関(JECFA)は、4-MEI に上限を決めたうえで使用を認めています。EU の EFSA、米国の FDA は、カラメル色素からとる4-MEIの量では健康への心配はないという立場です
  • 一方、米カリフォルニア州は1日29µgを超える製品に警告表示を求めていて、2012年の調査では日本で売られていたコーラ1缶(355ml)に72µg含まれていました。同じ数字でも、「閾値があるか」の考え方で評価が大きく分かれます
  • 日本の表示は「カラメル色素」「着色料(カラメル)」だけで、4種類のどれを使っているかは分かりません。気になる場合は、「カラメル」の文字がない商品を選ぶのが確実です

カラメル色素とは:4種類のちがい

カラメル色素は、でん粉を分解した糖(水あめなど)、糖蜜、砂糖などを加熱して作ります。そのとき何を加えるかで、4種類に分かれます(第10版 食品添加物公定書、JECFA の規格)。

種類 加えるもの 海外で使われる食品の例 4-MEI THI
カラメルI(E150a) なし(酸・アルカリは可)。亜硫酸化合物・アンモニウム化合物は使わない ウイスキーなどの酒、パン・クッキー できない できない
カラメルII(E150b) 亜硫酸化合物 ブランデー・ラムなどの酒、一部の酢 できない できない
カラメルIII(E150c) アンモニウム化合物 ビール、しょうゆ、ソース、菓子 できる できる
カラメルIV(E150d) 亜硫酸化合物とアンモニウム化合物 コーラなどの清涼飲料、バルサミコ酢、スープ できる できない

(食品の例は、JECFA・海外メーカーの資料による海外での使われ方です。日本の個別の商品でどれが使われているかは、ラベルからは分かりません)

  • 日本では、1995年の食品衛生法の改正で、昔から使われてきた「天然添加物」は「既存添加物」という区分になりました。カラメル色素もその一つで、1999年の第7版 食品添加物公定書から「カラメルI〜IV」として規格が決められています
  • 使える量の上限はありません。ただし、ほかの天然系の着色料と同じく、こんぶ類・食肉・鮮魚介類・茶・のり類・豆類・野菜・わかめ類には使えません(食品添加物公定書 使用基準)
  • 「天然の着色料」と呼ばれることもありますが、III・IV はアンモニウム化合物などを加えて作ります。米国の消費者団体コンシューマー・リポートは「カラメル色素はすべて人工のもの」という立場です

「発がん性」と言われる成分:4-MEI

4-MEI とは

4-MEI(4-メチルイミダゾール)は、アンモニアと糖が一緒に加熱されるとできる物質です。カラメル色素のうち、アンモニウム化合物を使う III と IV を作るときに、副産物として少しできます。

カラメル色素だけの問題ではありません。米FDAや食品安全委員会が紹介している資料では、コーヒー豆の焙煎や、肉を焼くときにもできるとされています。

動物の試験で分かったこと

米国の NTP(国家毒性プログラム)が2007年に、4-MEI をえさに混ぜてマウスとラットに2年間与える試験を行いました。

動物 結果 与えた量(1日・体重1kgあたり)
マウス(オス・メス) 肺の腫瘍(腺腫とがん)が増えた=「発がん性の明らかな証拠」 約40・80・170mg
ラット(メス) 白血病(単核球性白血病)が増えた=「あいまいな証拠」 約60・120・250mg
ラット(オス) 発がん性の証拠なし 約30・55・115mg

これを受けて、IARC(国際がん研究機関)は2011年の評価(モノグラフ第101巻)で、4-MEI を「グループ2B:人に対して発がん性があるかもしれない」に分類しました。2Bは、動物の試験で証拠があり、人での証拠が十分でないときの分類です。4-MEI については、人で調べた研究(疫学研究)はありません。

遺伝子を傷つける性質はあるか

発がん物質には、遺伝子を直接傷つけるタイプ(ごく少量でもリスクがゼロにならないと考える)と、そうでないタイプ(一定の量より少なければ影響が出ないと考える=閾値がある)があります。

  • 4-MEI は、細菌を使う試験(エームス試験)や、マウス・ラットの小核試験で陰性でした
  • EFSA は、4-MEI は遺伝子を傷つける性質はなく、閾値を考えてよいとしています。国立医薬品食品衛生研究所の研究者による総説(Morita・Uneyama 2016)も、新しい試験データをもとに同じ方向で論じています
  • 一方、カリフォルニア州の環境保護庁は「遺伝子を傷つける仕組みを否定できるほど試験が十分ではない」として、閾値がないという前提で基準を決めました

ここが、後で見る「評価の分かれ目」になります。

カラメルIII だけにできる「THI」

カラメルIII には、4-MEI のほかに THI(2-アセチル-4-テトラヒドロキシブチルイミダゾール)という副産物もできます。

  • THI は、ラットで血液中のリンパ球を減らす作用が知られています(リンパ球がリンパ節などから血液中に出ていくのを妨げる)。ビタミンB6が不足していると作用が強くなります
  • EFSA は2011年、この免疫への影響に不確かさが残るとして、カラメルIII だけに、ほかより厳しい摂取許容量を決めました(下の表)

日本・EU・米国の評価とルール

評価・ルール
JECFA(国際的な評価機関) 1日の許容摂取量(ADI、体重1kgあたり):I は「特定しない」、II は160mgまで、III・IV は200mgまで。IV の ADI は動物の試験に加え、人がカラメルIV を1日18gまでとっても、おなかがゆるくなる以外の影響がなかったことも踏まえている(1986年)。規格で 4-MEI(III・IV)と THI(III)の上限を決めている
EU(EFSA) 2011年に再評価し、4種類まとめてADI 300mg、うちIII だけは100mgとした。当時の計算では、よく食べる子ども・大人で ADI を超えるおそれがあるとしたが、2012年に実際の使用量で計算し直し、合計は全年齢で ADI を下回ると結論(ただし一部の国の幼児などで、III が個別の ADI を超える場合があるとした)。4-MEI については「カラメル色素からとる量では心配はない」。規格で 4-MEI の上限を III 200mg/kg、IV 250mg/kg、THI を III 10mg/kg としている
米国(FDA) 「食品に使われる量のカラメル色素で、差し迫った危険や短期的な危険があると考える理由はない」「4-MEI を心配して食生活を変えることは勧めない」(2014年のQ&A)。一方で、データの確認は続けている
米カリフォルニア州 2011年に 4-MEI を州法(プロポジション65)の発がん物質リストに加えた。1日29µgを「重大なリスクのない量」とし、これを超える製品には警告表示が必要
日本 既存添加物として使用可。食品添加物公定書で、III は 4-MEI 0.30mg/g以下・THI 40µg/g以下、IV は 4-MEI 1.0mg/g以下(いずれも固形物あたり)と決めている

EU と日本は単位や計算のしかたがちがうため、数字をそのまま比べることはできません。FOOCOM(食の安全の情報サイト)は、日本の値は EU より大きめだと解説しています。

カリフォルニア州の規制と、コーラの4-MEI

カリフォルニア州の規制ができたあと、2012年にコカ・コーラやペプシコなどの飲料メーカーは、米国で売る製品について、4-MEI の少ないカラメル色素に切り替えると発表しました。

米国の消費者団体の調査では、次のような結果が出ています。

  • 2012年(CSPI、9か国のコーラ・355mlあたり):カリフォルニア州 4µg、日本 72µg、ワシントンDC 144µg、英国 145µg、カナダ 160µg、ブラジル 267µg。同じような商品でも、国によって大きくちがっていました
  • 2014年(コンシューマー・リポート、米国で買った清涼飲料):コカ・コーラ、ダイエットコーク、コーク ゼロは1缶5µg未満。ペプシワン(39.5〜195.3µg)とマルタ・ゴヤ(307.5〜352.5µg)は、すべての検査で29µgを超えていました

日本のコーラの数値は2012年のもので、今の商品の値は分かりません。

同じ数字でも評価が分かれる理由

日本で売られていたコーラ1缶の4-MEI(72µg、2012年)を、2つの考え方で見てみます。

考え方 基準 コーラ1缶(72µg)は
閾値があると考える(EFSA など) 動物で影響が出なかった量(1日・体重1kgあたり80mg)を100で割った量。体重60kgなら1日48mg(48,000µg) 基準の約670分の1。基準に届くには1日約667缶(FOOCOM の試算)
閾値がないと考える(カリフォルニア州) 70年間とり続けても、がんになる人が10万人に1人以下にとどまる量=1日29µg 1缶で基準の約2.5倍

どちらも同じ動物の試験から出発していますが、「少量なら影響はない」と考えるか、「量に比例してリスクがあると考えて、十分に低い線を引く」かで、結論が大きく変わります。

参考として、FDA の2014年の調査では、米国人(2歳以上)がカラメル色素入りの食品からとる4-MEI は平均で1日60〜90µgと推計され、いちばん多いのはカラメル色素入りの炭酸飲料(全体の約25%)でした。カラメル色素と関係なく、ふだんの調理でも1日6〜20µgほどとっていると推計されています。日本人の摂取量の推計は、今回調べた範囲では見つかりませんでした。

日本のラベルでは種類が分からない

日本では、カラメル色素を色づけに使った場合、一般的に次のどれかで書かれます。

  • 「着色料(カラメル)」
  • 「カラメル色素」
  • 「カラメル」

どの書き方でも、4種類のうちどれか、どのくらい使っているかは分かりません。4-MEI ができない I・II なのか、できる III・IV なのかも、ラベルからは判断できません。

EUでは、「着色料:E150d」のように、種類ごとの番号で表示されます(着色料の記事)。

「特級」「本醸造」でも入っていることがある

しょうゆの JAS 規格(日本農林規格)では、以前は特級のこいくちしょうゆでも、カラメルI・III・IVのうち1種類を使ってよいと定めていました(平成16年制定時)。2021年の改正で、添加物は国際規格(コーデックス)に合うものを使えるという書き方に変わっています。

「特級」の表示だけでは、カラメル色素が入っていないとは言えません。原材料名を見て確かめるのが確実です。

「カラメル色素不使用」の書き方にも注意

「合成着色料不使用」「カラメル色素不使用」といった表示には、消費者庁のガイドラインがあります(「無添加」表示のルールの記事)。たとえば、別の着色料を使っているのに「カラメル色素不使用」だけを強調すると、着色料をまったく使っていないように見えることがあります。表の言葉より、裏面の原材料名を見るのが確実です。

カラメル色素を避けたいときの選び方

カラメル色素が入っているかどうかは、原材料名に「カラメル」の文字があるかで分かります。茶色い食品でも、原材料の色(しょうゆの熟成、野菜・果物、砂糖の加熱)だけで色がついているものもあります。

「カラメル」の文字がない調味料・飲みもの(楽天市場)

カラメル色素が入りやすい種類から、原材料名に「カラメル」がないものを選びました。

種類 名前 カラメル色素のかわりに 価格の目安 楽天市場
しょうゆ 丸中醸造醤油(こいくち)(丸中醤油) 原材料は大豆・小麦・食塩だけ。杉樽で熟成 720ml 1,788円(公式ショップ) 楽天市場で見る(成城石井) PR
ウスターソース ヒカリ ウスターソース(国産有機野菜・果実使用)(光食品) 有機たまねぎ・トマト・みかん・にんにく・にんじん、米酢、砂糖・有機糖みつ。メーカーが「保存料、調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酵母エキスは使用していません」と明記 360ml 442円(希望小売価格) 楽天市場で見る(ビーライフショップ) PR
コーラ ヒカリ オーガニッククラフトコーラシロップ(光食品) 有機しょうが・スパイス・有機果汁と有機砂糖・有機糖みつ。メーカーが「香料、カラメル色素、酸味料は使用していません」と明記。炭酸水で約5倍にうすめる 150ml 540円(希望小売価格) 楽天市場で見る(楽天24) PR
カレールウ 植物素材の本格カレールウ 中辛(創健社) 原材料名に添加物なし。一般的な固形ルウには「着色料(カラメル、パプリカ色素)」と書かれたものがある 135g 530円(希望小売価格) 楽天市場で見る(楽天24) PR
カレールウ コスモ直火焼 米粉のカレー・ルー 中辛(コスモ食品) 原材料名に添加物なし。同じメーカーの小麦粉のルーにはカラメル色素が入っている 110g 357円(公式ストア) 楽天市場で見る(成城石井・2個セット) PR

(2026年9月30日に、メーカーの公式ページと楽天市場の販売ページで確認。価格・送料は変わることがあります。ソースとコーラシロップの原材料は、光食品の公式ページと販売ページの表示によります)

  • 光食品のソースとコーラシロップは、色が薄いわけではありません。野菜・果物、糖みつ、スパイスで茶色になっています
  • 「カラメル色素不使用」は、健康によいという意味ではありません。コーラシロップも砂糖を使った甘い飲みものです

食材宅配の基準で選ぶ

オイシックスは、自社の添加物の基準で、カラメル色素を含む天然の着色料を「できるだけ使用しないもの」に挙げています(オイシックスの記事)。一つずつラベルを確かめるのが大変なときは、こうした基準を公開している宅配を使う方法もあります。

まとめ

  • カラメル色素は4種類あり、「発がん性」と言われるのは III・IV を作るときにできる副産物の4-MEI。マウスの試験で肺のがんが増え、IARC は2B。人での研究はない
  • 日本・EU・JECFA は、4-MEI の上限を決めたうえで使用を認めている。EFSA・FDA は、カラメル色素からとる量では心配はないとしている
  • カリフォルニア州は1日29µgという低い線を引いていて、2012年に日本で売られていたコーラは1缶72µgだった。「閾値があるか」の考え方で、評価が大きく分かれる
  • 日本のラベルでは種類が分からない。気になるなら、原材料名に「カラメル」の文字がないものを選ぶ

「危険だから避けるべき」とも「安全だから気にしなくてよい」とも、今の資料からは言い切れません。どの考え方をとるかで結論が変わることを知ったうえで、コーラなど毎日たくさんとるものから見直すかどうかを決めるのが現実的です。

参考にした資料

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.09.30)。