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ラベルの読み方説の検証確認日 2026.10.03

市販のカレールウを裏面で比べる 明治の西洋料理書から固形ルウ誕生までの歴史・11品の油脂と食塩と添加物・ターメリックの鉛・作り置きの食中毒

PR この記事には、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・A8.netのアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」など)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

箱から割って鍋に入れるだけでカレーができる。日本の台所でおなじみの「カレールウ」です。

一方で、「市販のルウは油と添加物のかたまり」「植物油のルウなら体にいい」「フレークは減塩」「ターメリックで認知症が防げる」「海軍がカレーを日本に持ち込んだ」「いまはレトルトがルウを抜いた」といった話もよく聞きます。「一晩置いたカレーはおいしい」と言われる一方で、作り置きのカレーによる食中毒のニュースもあります。

この記事では、

  • カレールウはいつ、どうやって生まれたのか。「日本初」はどこか
  • 固形のルウはどうやって作るのか。なぜ固まるのか
  • カレールウには法律上の決まりがあるのか
  • ウラヨミに載っている11品(シチュー1品を含む)の裏面を並べると、何が分かるか
  • 食塩・脂質・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸は、1皿でどのくらいか
  • 小麦・アレルギー、ターメリック(クルクミン)、ウコンの肝障害、香辛料の鉛・放射線照射・カビ毒は
  • 作り置きのカレーで起きる「ウエルシュ菌」の食中毒は、どう防ぐか
  • 「レトルトがルウを抜いた」は本当か

を、国の統計、法令、特許、公的機関の資料、論文で確かめます。油そのものの話は 植物油脂の記事 と 植物油と動物性の油の記事、食塩の目標量は 食塩摂取量の記事、カラメル色素は カラメル色素の記事 にまとめています。

結論

  • 日本で最初にカレーの作り方を載せた本は、1872年(明治5年)の『西洋料理指南』と『西洋料理通』です。軍隊の料理書(海軍 1908年とされる、陸軍 1910年)より先なので、「海軍がカレーを日本に持ち込んだ」は誤りです。とろみとりんごのカレーは、1861年の英国の料理書にすでにあります。「日本初の即席カレー」「日本初の固形ルウ」は1社に決められません(オリエンタル 1945年の粉末、エスビー 1954年の固形、グリコとハウス 1960年など)
  • カレールウには、法律上の定義も規格もありません。食品表示基準には「レトルトパウチ食品のカレー」の定義はあるのに、「ルウ」という言葉は1回も出てきません。カレールウの JAS も確認できませんでした
  • ウラヨミの11品を並べると、大手の固形ルウ3品は原材料名の1番目が油脂で、小麦粉より多いことが分かります。原材料の数は大手3品が33〜34項目、フレークは11〜17項目。添加物は0〜7項目です。酵母エキスは11品すべてに入っています
  • 1皿分のルウの食塩は1.9〜2.3g。女性の1日の目標量(6.5g未満)の29〜35%、WHO の目標(5g未満)の38〜46%です。100gあたりではフレークのほうが低くても、1皿に使う量が多いので、1皿では大差ありません
  • 飽和脂肪酸を表示しているのは、11品でゴールデンカレーだけ(1皿2.9g)です。パーム油は、牛脂やラードより飽和脂肪酸の割合が高いので、「動物性の脂を使わない=飽和脂肪酸が少ない」とは限りません。トランス脂肪酸は、農林水産省の調査で中央値が 0.88g → 0.52g → 0.46g(100gあたり)と下がりましたが、2022〜23年度にも 7.0g の製品がありました
  • ターメリック(クルクミン)が認知症を防ぐとは言えません。吸収がとても悪く、メタ解析の結論も正反対に割れています。ウコンの肝障害や、海外のターメリックの鉛の混ぜ物は、主にサプリや一部の産地の粉の話です
  • 作り置きのカレーで多いのは、ウエルシュ菌の食中毒です。2024年は43件・1,889人。農林水産省の実験では、鍋のまま1時間置くと62℃までしか下がらず、浅い容器なら40℃以下になりました
  • 「レトルトがルウを抜いた」は、何で比べるかで答えが変わります。重さでは2001年度にすでにレトルトが上ですが、皿の数に直すと、今もルウが約6倍です(2016年度、ウラヨミの計算)

この記事で紹介しているもの

紹介しているもの どんなときに 記事の中の場所
創健社 植物素材の本格カレールウ(フレーク) 原材料名に添加物のないルウを選びたいとき 添加物の少ないルウを選ぶなら
コスモ直火焼 カレー・ルー 中辛(フレーク) 添加物がカラメル色素だけのルウを選びたいとき 添加物の少ないルウを選ぶなら
無塩ドットコム(減塩食品の通販) カレー以外のおかずで食塩を減らしたいとき 1皿の食塩は目標量の3分の1
S&B 赤缶カレー粉 ルウを使わず、油や塩の量を自分で決めて作りたいとき ルウを使わずに作る
オリエンタル 米粉カレールウ 小麦粉を使わないルウを探すとき 小麦とアレルギーの表示
ハウス バーモントカレー 特定原材料8品目不使用 特定原材料を使わないルウを探すとき 小麦とアレルギーの表示
スケーター公式ショップ(保存容器) 作ったカレーを浅い容器に小分けして冷ますとき 浅い容器に小分けして早く冷ます

カレールウはどうやって生まれた?

カレールウの歴史は、「インドの料理」が「英国のカレー粉」になり、明治の日本で「とろみのある洋食」になり、戦後に「固形の即席品」になった流れです。

インドから英国へ:カレー粉と、小麦粉のとろみ

全日本カレー工業協同組合(業界団体)は、インドのカレーは「サラッとしたものがほとんど」で、とろみをつける小麦粉は英国に渡ってからのもの、と説明しています。

英国の家庭料理の本、ビートン夫人の『家政読本(Book of Household Management)』(1861年)には、鶏のカレー(Curried Fowl)の作り方が載っています。材料は、鶏・バター・玉ねぎ・スープ・カレー粉・小麦粉・りんご・クリーム・レモン汁です。カレー粉と小麦粉をスープで溶いて加える、と書かれています。

とろみのあるカレーも、りんごを入れるカレーも、日本の発明ではなく、英国の家庭料理にすでにありました。

日本には「明治の初めに、英国のクロス・アンド・ブラックウェル(C&B)社のカレー粉が伝わった」とよく言われます。業界団体は「18世紀末に C&B 社がカレー粉を企業化した」と書いていますが、英国の産業史の資料(Grace’s Guide)によると、C&B という会社ができたのは1830年です。年代が合わず、確かめられませんでした。明治の日本に C&B のカレー粉が入っていたことを示す当時の資料(輸入記録や広告)も、見つけられませんでした。

明治の料理書が先、軍隊はそのあと

年 できごと 出典
1872年(明治5年) 『西洋料理指南』(敬学堂主人)、『西洋料理通』(仮名垣魯文)が出る。日本で最初にカレーの作り方を載せた本とされる 国立国会図書館の所蔵
1908年(明治41年)とされる 『海軍割烹術参考書』。国立国会図書館にあるのは2007年と2011年の復刻版で、原本の年は確かめられなかった 国立国会図書館
1910年(明治43年) 陸軍の『軍隊料理法』。ルウにあたるものを「油粉捏(ゆふんでつ)」と呼び、水350ccにカレー粉1g・小麦粉10gの分量 国立国会図書館、防衛省 自衛隊新潟地方協力本部の広報コラム

『西洋料理指南』のカレーには、材料に「赤蛙(アカガエル)」が入っていると紹介されることが多いのですが、原本のページは確かめていません。

「海軍がカレーを日本に持ち込んだ」は誤りです。1872年の料理書のほうが、軍隊の料理書より30年以上早いからです。業界団体は「軍隊のメニューにライスカレーが採用されたことが、国内に広く浸透させた契機」と書いていますが、自身も「考えられます」という書き方で、それを示す統計は見つかりませんでした。

「海上自衛隊の金曜カレーは旧海軍からの伝統」という話もありますが、業界団体の資料に載った寄稿には「昔は土曜日のお昼に…週休2日制のあとは金曜日」とあり、旧海軍から金曜日だったという根拠は確かめられませんでした。「1873年に陸軍幼年学校で土曜日はカレー」「1876年に札幌農学校でクラーク博士がライスカレーを勧めた」という話も、業界団体の資料の寄稿にあるだけで、一次資料は確かめられませんでした。

国産カレー粉と「即席カレー」

年 できごと(各社の公式の言い方)
1905年 大和屋(現ハチ食品)が「日本で初めてカレー粉を国産化」し「蜂カレー」として売り出す。大阪府立中央図書館の調査ガイドも「日本で初めて大阪で作られた国産カレー粉」としている
1923年 エスビー食品の創業者が「日本で初めて国産カレー粉の製造に成功」
大正の末 業界団体:「粉状タイプの即席カレー(カレールウ)も散見」
1926年 ハウス:「オリジナルの粉末カレーの製造販売を開始」。1928年に「ハウスカレー」
1945年11月 オリエンタル「即席カレー」。牛脂やバターで炒めた小麦粉にカレー粉と調味料を加えた粉末で、「日本で初めてとなる、本格的なルウタイプのインスタントカレー」。5皿分35円(あんパン1個5円の時代)
1950年 エスビー「赤缶カレー粉」

国産カレー粉の「日本初」は、ハチ食品(1905年)とエスビー食品(1923年)の両方が名乗っています。どちらの言い方も各社の公式の説明です。

オリエンタルは、戦前の家庭のカレーについて「小麦粉を炒め、ルウを作ることから始めなければなりませんでした」と書いています。カレールウは、家庭でしていた「小麦粉を油で炒める」手間を、工場で先にすませた品物として生まれました。

固形ルウの登場と、定番の発売年

年 できごと(各社の公式)
1954年 エスビー「本格的固形即席カレー『ヱスビーカレー』」
1959年 エスビー「即席モナカカレー」(カレー粉をモナカの皮に詰めたもの)
1960年 江崎グリコ「ワンタッチカレー」(薄いプレート状で溶けやすい)
1960年 ハウス「ハウス初の固形ルウカレー『印度カレー』」
1962年 オリエンタル「マースカレー」(チャツネを別に添えた。当時70円)
1963年 ハウス「バーモントカレー」(りんごとハチミツ。米国バーモント州の健康法にちなむ名前)
1966年 エスビー「ゴールデンカレー」
1968年 ハウス「ジャワカレー」
1973年 エスビー「ゴールデンディナーカレー」(現在のフォン・ド・ボー ディナーカレー)
1995年 江崎グリコ「熟カレー」
2001年 エスビー「とろけるカレー」

「日本初の固形ルウ」は、断定できません。公式で年を確かめられた中で最も早い「固形」はエスビーの1954年ですが、エスビー自身は「日本初」とは書いていません。ハウスの1960年は「ハウス初」です。「ベル食品が日本初の固形ルウ」という話もありますが、ベル食品の公式の沿革にはカレールウが出てこず、確かめられませんでした。

各社の言い方の違い(「日本で初めて」「本格的な」「ハウス初」)が、そのまま「日本初がいくつもある」理由です。何をもって「即席カレー」「ルウ」とするかの決まりがないので、各社がそれぞれの基準で「初」を名乗れます。

レトルトカレーの登場

大塚食品の「ボンカレー」は、1968年2月12日に阪神地区で、1969年5月に全国で発売されました。当時1個80円です。大塚食品は「世界初の市販用レトルトカレー」と説明しています。最初の半透明の袋は賞味期限が冬3か月・夏2か月で、アルミの袋に変えて2年になりました。

大塚食品は、1964年に「関西でカレー粉や即席固形カレーを製造販売していた会社」を引き継いで始まった、と説明しています。

カレールウは日本独自?

業界団体は、とろみとうま味を加えた即席の「カレールウ」を「日本人の発明」としています。確かめた範囲では、固形のカレールウを作っているのは日本の会社と、その海外の子会社でした(ハウスは2005年に中国でバーモントカレーを発売)。英国にあったのは「カレー粉と小麦粉でとろみをつける」料理法で、それを製品として固めた例は見つかりませんでした。

ただし、韓国や中国の現地のメーカーの製品までは調べていないので、「世界で日本だけ」とは言えません。

固形ルウはどうやって作る?

固形カレールウの作り方を4段の流れで示した図。1 炒める:小麦粉などを油脂と一緒に100〜170℃程度で加熱し、家庭でしていた「小麦粉を油で炒める」手間を工場で先にすませる。2 混ぜる:カレー粉・食塩・調味料を混ぜる。風味が飛びやすいカレーパウダーなどは小麦粉ルウを作った後に加える。3 冷やし固める:固形は砕かずに板状に、フレークは粒・粉に砕く。4 詰める:量って詰め、金属探知機やX線で異物を除く。固めるには常温で固まる融点の高い油脂(牛脂・豚脂・パーム油、以前は硬化油)が要ること、硬化油にはトランス脂肪酸ができること、オリエンタルが固形ルウを作らない方針にしたことも示す。
図:固形ルウの作り方と、固めるための油脂(押すと拡大)

固形ルウは、小麦粉を油脂で炒め、カレー粉や調味料を混ぜ、冷やして固めたものです。固めるには、常温で固まる油脂が必要です。

工場での作り方

全日本カレー工業協同組合の、小規模なカレー粉・カレールウの製造者向けの衛生管理の手引書(2019年)は、作る流れを次のように書いています。

  1. 原料を量る(アレルギーの原因になる原料が混ざらないように管理)
  2. 小麦粉などを油脂と一緒に加熱する(調合・加熱)
  3. すばやく冷やして固める(冷却)
  4. 適当な粒の大きさに砕き(粗砕・粉砕)、量って詰める
  5. 金属探知機や X 線で異物を取り除く

固形ルウは、砕かずに板状に冷やし固めます。油脂メーカーの ADEKA の特許は、固形ルウを風で冷やしながらゆっくり固める工程を書いています。

ハウス食品の特許(1997年出願)は、ふつうの作り方を「油脂と小麦粉とを100〜170℃程度に加熱混合して小麦粉ルウを作った後に、風味が逸散、分解しやすいカレーパウダー等を加える」と説明しています。手引書によると、カレールウは水分活性(食品の中で微生物が使える水の量の目安)が0.70未満で、微生物はほとんど増えません。業界団体は、未開封で常温なら賞味期間の目安を1年半〜2年としています。

固めるには「常温で固まる油」が要る

油脂メーカーの ADEKA の特許(2008年出願)は、「固形ルウに使用する油脂としては、風味やコク味が良好であること及び常温で固体であることから、牛脂、豚脂、牛脂硬化油脂、豚脂硬化油脂などの動物性油脂が、主として使用されてきた」「最近は…パーム系油脂を使用した固形ルウも」と書いています。

固形ルウの油脂に求められる性質は、ほかの特許にも書かれています。

求められる性質 意味 出典
スナップ性 手でパリッと割れる ADEKA の特許(2008年)
夏場の保型性 夏の店頭や台所で溶けて形が崩れない 不二製油の特許(2016年出願)
液油のしみ出し耐性 液体の油が表面ににじまない 同上
白色変化耐性 表面が白くならない(ブルーム) 同上、ADEKA の特許
口溶けのよさ 食べたときに口の中で溶ける 不二製油の特許

こうした性質を満たすため、固形ルウには融点の高い油脂(牛脂・豚脂・パーム油、以前は硬化油)が使われてきました。

硬化油とトランス脂肪酸:油に水素を加えて固くした「硬化油」(部分的に水素を加えたもの)には、トランス脂肪酸ができます。日清オイリオの特許(2009年出願、優先日2008年)は、従来のルウ用の油脂には脂肪酸の15〜25%程度のトランス脂肪酸が含まれていたと書き、減らす方法として、完全に水素を加えた油(極度硬化油)や、脂肪酸を組み替えた油(エステル交換油)を挙げています。

オリエンタルは、今も固形ルウを作っていません。公式の説明では、固形ルウは形を保つために融点の高い油脂(硬化油)を使うが、それが「健康上問題になった時期」があり、これをきっかけに固形ルウを作らない方針にした、としています。いつ、どんな問題だったかは書かれていません。

固形とフレークの違い

固形 フレーク・粉末
形 板状に冷やし固め、割って使う 砕いた粒・粉。量って使う
油脂への条件 常温で割れる硬さ、夏に溶けないこと 形を保たなくてよいので、条件がゆるい
ウラヨミの11品の油脂の表示 「牛脂豚脂混合油、パーム油」「パーム油・なたね油混合油脂」と種類を書いている 「食用油脂」「植物油脂」とだけ書いているものが多い(創健社だけ「有機べに花油、パーム油」と種類を書いている)

フレークの創健社のパッケージには、「油脂が少ないため、やや溶けにくくダマができやすい」という注意書きがあります。

カレールウの表示の決まり

カレールウには、法律上の定義も、品質の規格もありません。

食品表示基準に「ルウ」は出てこない

2015年から使われている「食品表示基準」には、「レトルトパウチ食品」の「カレー」と、「カレー缶詰・カレー瓶詰」の定義があります。ところが、「ルウ」という言葉は、基準全体に1回も出てきません。2015年に廃止された古い品質表示基準(54本)にも、カレールウのものはありませんでした。

カレールウの JAS(日本農林規格)は、あったかどうかも含めて確認できませんでした。業界の公正競争規約も見つかりませんでした。

業界団体の衛生管理の手引書は、カレールウを「小麦粉等をバター等で炒め、カレー粉を混ぜ合わせたもので、フレーク又は固体のもの」と説明しています。これは業界の説明で、法律の定義ではありません。

決まった名前がないので、裏面の「名称」もメーカーによって違います。ウラヨミに載っている商品では、「カレールウ」(ハウス こくまろ)、「カレールウ(フレークタイプ)」(創健社)、「カレールー(中辛)」(コスモ 米粉)などでした。

カレー粉の書き方には決まりがある

ルウそのものに定義はありませんが、原材料に入っているカレー粉・香辛料の書き方には決まりがあります。くわしくは原材料じてんの カレー粉・香辛料 にまとめています。

甘口・中辛・辛口は何で決まる?

業界団体の Q&A によると、「甘口・中辛・辛口」は、唐辛子・こしょう・しょうがなど辛みのある香辛料の量で表したもので、塩の量ではありません。辛さの順位は各社がそれぞれ決めていて、業界で統一した基準はありません。同じ「中辛」でも、メーカーが違えば辛さは同じではありません。辛みの成分は 唐辛子とカプサイシンの記事 にまとめています。

表面が白い・緑っぽいのは?

業界団体の説明では、表面が白いのは油脂が浮き出て固まった「ブルーミング」、緑っぽく見えるのはターメリックの黄色の成分が油脂に溶けて浮き、光の具合でそう見えるもので、どちらも品質が悪くなったわけではないとしています。

裏面の読み方

カレールウの裏面で見る4か所を、架空の原材料名の見本で示した図。1 原材料の1番目:油脂が1番目なら小麦粉より油脂が多い(11品ではハウスの固形3品とコスモの米粉中辛)。2 油脂のかっこの中:「植物油脂」「食用油脂」だけでは種類が分からず、分かったのは5品。飽和脂肪酸の割合はパーム油51%、牛脂46%、ラード42%。3 うま味の素材:酵母エキス・たん白加水分解物は「/」より前の食品扱いで、酵母エキスは11品すべてに入っていた。4 「/」の後ろの添加物は一括名で中身は分からない。食塩は1皿1.9〜2.3gで比べること、飽和脂肪酸の表示はゴールデンだけ、牛脂を使っても「牛肉」とは書かれないことも示す。
図:ルウの裏面で見る4か所(押すと拡大)

ルウの裏面は、原材料名の1番目、油脂の書き方、うま味の素材、「/」の後ろの添加物、の4か所を見ると、中身の違いが分かります。

原材料の1番目を見る

原材料名は、重さの多い順に書く決まりです。1番目が「食用油脂」なら、そのルウは小麦粉より油脂のほうが多いということです。ウラヨミの11品では、ハウスの固形3品(バーモント・ジャワ・こくまろ)と、コスモの米粉中辛が油脂から始まっていました。

「食用油脂」「植物油脂」の中身

油脂は、種類を書かずに「植物油脂」「食用油脂」とまとめて書くことができます(くわしくは 植物油脂の記事)。11品のうち、油の種類が裏面で分かったのは、ハウスの3品(牛脂豚脂混合油、パーム油)、ゴールデン(パーム油・なたね油混合油脂)、創健社(「植物油脂(有機べに花油、パーム油)」)の5品でした。コスモの4品とエム・トゥ・エムは、種類が分かりませんでした。

ハウスの3品の「牛脂豚脂混合油(国内製造)」の「国内製造」は、混合油を作った場所が国内という意味で、牛や豚の産地ではありません。

酵母エキス・たん白加水分解物・調味料(アミノ酸等)

書き方 扱い 11品で入っていた数
酵母エキス 食品(「/」より前) 11品すべて
たん白加水分解物 食品(「/」より前) 2品(こくまろ、ゴールデン)
調味料(アミノ酸等) 添加物(「/」より後ろ) 5品(大手のカレー4品とシチュー)

酵母エキスとたん白加水分解物は、うま味を出す素材ですが、日本の表示では添加物ではなく食品の扱いです。そのため、「添加物0」のルウにも酵母エキスは入っています。違いは 酵母エキスの記事 と うま味調味料の記事 にまとめています。

一括名:中身までは分からない

「乳化剤」「香料」「酸味料」「調味料(アミノ酸等)」は、何種類使っても、まとめた名前(一括名)で書いてよいことになっています。裏面から、実際に何が入っているかまでは分かりません。それぞれ 乳化剤の記事・香料の記事・酸味料・pH調整剤の記事 にまとめています。

また、原材料の中に使われた添加物が、最終の食品で効果を持たない場合は、表示しなくてよいことになっています(キャリーオーバー)。裏面に添加物が書かれていないことと、添加物が一切使われていないことは、同じではありません(キャリーオーバーの記事)。

ウラヨミの11品を裏面で比べる

ウラヨミに載っているルウ11品(カレー10品とシチュー1品)の裏面を並べると、大手の固形ルウとフレークで、原材料の数・添加物の数・1番目の原材料がはっきり分かれました。

原材料の1番目と、原材料の数

原材料の数と添加物の数(11品)原材料名に書かれた項目の数。右は原材料名の1番目(いちばん重いもの)食品(酵母エキスを含む)添加物(「/」より後ろ)01020301番目ジャワカレー 中辛ジャワカレー 中辛:食品27項目ジャワカレー 中辛:添加物7項目34(添加物7)油脂バーモントカレー 中辛バーモントカレー 中辛:食品28項目バーモントカレー 中辛:添加物6項目34(添加物6)油脂こくまろカレー 中辛こくまろカレー 中辛:食品27項目こくまろカレー 中辛:添加物6項目33(添加物6)油脂シチューミクス(参考)シチューミクス(参考):食品19項目シチューミクス(参考):添加物5項目24(添加物5)小麦粉コスモ りんご 甘口コスモ りんご 甘口:食品16項目コスモ りんご 甘口:添加物1項目17(添加物1)小麦粉エム・トゥ・エム 中辛エム・トゥ・エム 中辛:食品15項目エム・トゥ・エム 中辛:添加物1項目16(添加物1)小麦粉ゴールデンカレー 中辛ゴールデンカレー 中辛:食品12項目ゴールデンカレー 中辛:添加物3項目15(添加物3)小麦粉コスモ 中辛コスモ 中辛:食品14項目コスモ 中辛:添加物1項目15(添加物1)小麦粉コスモ 米粉 中辛コスモ 米粉 中辛:食品15項目15(添加物0)油脂コスモ 米粉 甘口コスモ 米粉 甘口:食品14項目14(添加物0)米粉創健社 植物素材創健社 植物素材:食品11項目11(添加物0)小麦粉大手の固形ルウ3品(ハウス)は、原材料名の1番目が「食用油脂(牛脂豚脂混合油、パーム油)」で、小麦粉より多い。酵母エキスは11品すべてに入っている。食品の扱いなので、添加物の数には入らない。出典:各社のパッケージ表示・公式ページ(2026年9月29日〜10月2日確認)をウラヨミで集計。
図:11品の原材料の数と添加物の数、原材料名の1番目(各社のパッケージ表示・公式ページ、2026年9月29日〜10月2日確認。ウラヨミで集計)
名前 形 1番目 原材料の数(うち添加物) 油脂の書き方
ジャワカレー 中辛 固形 油脂 34(7) 牛脂豚脂混合油、パーム油
バーモントカレー 中辛 固形 油脂 34(6) 牛脂豚脂混合油、パーム油
こくまろカレー 中辛 固形 油脂 33(6) 牛脂豚脂混合油、パーム油
ゴールデンカレー 中辛 固形 小麦粉 15(3) パーム油・なたね油混合油脂
シチューミクス クリーム(参考) 顆粒 小麦粉 24(5) 植物油脂
コスモ直火焼 りんごカレー・ルー 甘口 フレーク 小麦粉 17(1) 食用油脂
エム・トゥ・エム カレールー 中辛 フレーク 小麦粉 16(1) 植物油脂
コスモ直火焼 カレー・ルー 中辛 フレーク 小麦粉 15(1) 食用油脂
コスモ直火焼 米粉のカレー・ルー 中辛 フレーク 油脂 15(0) 食用油脂
コスモ直火焼 米粉のカレー・ルー 甘口 フレーク 米粉 14(0) 食用油脂
創健社 植物素材の本格カレールウ 中辛 フレーク 小麦粉 11(0) 植物油脂(有機べに花油、パーム油)
  • 大手の固形ルウ3品は、油脂が小麦粉より多い。「小麦粉を油で炒めたもの」というより、油脂が主役です。同じ固形でもゴールデンは小麦粉が1番目でした
  • 原材料の数は、大手3品が33〜34項目、フレークは11〜17項目。大手3品は、全粉乳・チーズパウダー・バナナペースト・はちみつなど、味を重ねる原材料が多く入っています
  • 動物性の原材料:大手3品は牛脂・豚脂、ジャワはチキンエキスとポークエキス、バーモントはポークエキス、コスモの小麦粉の2品と米粉中辛は「肉エキス」。エム・トゥ・エム、創健社、コスモ米粉甘口には肉由来の原材料がありませんでした

添加物

名前 添加物(表示どおり)
ジャワ 調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、乳化剤、酸味料、甘味料(スクラロース)、香料、香辛料抽出物
バーモント 着色料(カラメル、パプリカ色素)、調味料(アミノ酸等)、乳化剤、香料、酸味料、香辛料抽出物
こくまろ 調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、乳化剤、香料、酸味料、香辛料抽出物
シチューミクス(参考) 調味料(アミノ酸等)、香料、乳化剤、酸味料、酸化防止剤(ビタミンE、ビタミンC)
ゴールデン 調味料(アミノ酸等)、カラメル色素、酸味料
コスモ中辛・コスモりんご甘口・エム・トゥ・エム カラメル色素
コスモ米粉中辛・コスモ米粉甘口・創健社 なし

栄養成分(ルウだけ)

名前 1皿の量 1皿の脂質 1皿の食塩 100gあたりの食塩
ジャワ 20.6g 8.2g 2.3g 11.2g
バーモント 19.2g 6.9g 2.0g 10.4g
こくまろ 18.1g 6.2g 2.3g 12.7g
ゴールデン 18g 5.3g(うち飽和脂肪酸2.9g) 2.3g 12.8g
創健社 22.5g 5.9g 1.9g 8.4g
シチューミクス(参考) 17g 3.0g 1.9g 11.2g
コスモ4品・エム・トゥ・エム 表示なし ― ― 6.1〜8.9g

ジャワ・バーモント・こくまろ・ゴールデン・シチューは1皿分の表示、創健社は「1皿分(22.5g)」の表示から、100gあたりに換算しました。コスモとエム・トゥ・エムは100gあたりの表示だけで、1皿に何g使うかは確認できませんでした。具やごはんは含みません。

メーカーが示す「表示どおりに作った1皿」(牛もも肉などを使い、ごはんは除く)は、バーモント 246kcal・食塩2.1g、ジャワ 277kcal・2.3g、こくまろ 220kcal・2.4g、ゴールデン 261kcal・2.4g でした。

添加物の少ないルウを選ぶなら

11品のうち、原材料名に添加物がなかったのは、創健社と、コスモの米粉の2品(中辛・甘口)でした。創健社は、牛脂・ラードや肉のエキスを使っておらず、油の種類(有機べに花油、パーム油)を裏面に書いています(産地は公式ページで公開)。100gあたり約393円と、11品の中でいちばん高い価格でした。

小麦粉のルウで添加物を減らしたいなら、コスモ直火焼 カレー・ルー 中辛は、添加物がカラメル色素の1つだけでした。油脂の種類は書かれていません。

人体への影響を説ごとに確かめる

食べものとしてのカレールウで、数字で確かめられるのは食塩と脂質です。スパイスの話は、サプリや一部の産地の粉の話と、ルウの話を分けて考える必要があります。

1皿の食塩は目標量の3分の1

1皿分のルウの食塩相当量と、1日の目標量ルウだけの値(具・ごはんは含まない)。メーカーの栄養成分表示(g)。右は100gあたりの食塩0g1g2g3g4g5g6g7g8gWHO 5g未満女性 6.5g未満男性 7.5g未満100gあたりジャワカレー 中辛ジャワカレー 中辛:1皿2.3g(20.6g分)2.3g(35%)11.2gこくまろカレー 中辛こくまろカレー 中辛:1皿2.3g(18.1g分)2.3g(35%)12.7gゴールデンカレー 中辛ゴールデンカレー 中辛:1皿2.3g(18.0g分)2.3g(35%)12.8gバーモントカレー 中辛バーモントカレー 中辛:1皿2.0g(19.2g分)2.0g(31%)10.4g創健社 植物素材(フレーク)創健社 植物素材(フレーク):1皿1.9g(22.5g分)1.9g(29%)8.4gシチューミクス(参考)シチューミクス(参考):1皿1.9g(17.0g分)1.9g(29%)11.2gコスモ 米粉 中辛(フレーク)1皿の量の表示なし8.9gエム・トゥ・エム 中辛(フレーク)1皿の量の表示なし8.1gコスモ 中辛(フレーク)1皿の量の表示なし7.4gコスモ りんご 甘口(フレーク)1皿の量の表示なし7.0gコスモ 米粉 甘口(フレーク)1皿の量の表示なし6.1gかっこ内の%は、女性の目標量6.5g未満に対する割合(ウラヨミで計算)。2皿食べれば約2倍になる。100gあたりの食塩はフレーク品のほうが低いが、創健社は1皿に22.5g使うので1皿では1.9gと大手と近い。コスモ・エム・トゥ・エムは1皿に使う量の表示がなく、1皿分は計算できない(100gあたりの値のみ公表)。出典:各社のパッケージ表示・公式ページ(2026年9月29日〜10月2日確認)、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、WHO。
図:1皿分のルウの食塩相当量と、1日の目標量(各社のパッケージ表示・公式ページ、厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、WHO)

1皿分のルウの食塩は、表示のある6品で1.9〜2.3gでした。

1皿の食塩 男性の目標量(7.5g未満) 女性の目標量(6.5g未満) WHO の目標(5g未満)
1.9g(創健社・シチュー) 25% 29% 38%
2.0g(バーモント) 27% 31% 40%
2.3g(ジャワ・こくまろ・ゴールデン) 31% 35% 46%

出典:厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」、WHO。割合はウラヨミで計算。

  • 1皿で、1日の目標量のおよそ3分の1です。おかわりして2皿(4.6g)なら、女性の目標量の7割、WHO の目標の9割を超えます
  • 高血圧や慢性腎臓病の重症化を防ぐための目標は、男女とも6.0g未満です
  • 子どもの目標量は、3〜5歳で3.5g未満、6〜7歳で4.5g未満です。子どもは盛る量が少ないので、大人1皿分をそのまま当てはめることはできませんが、ルウの量に比例して食塩も入ります

100gあたりの食塩だけでは「減塩」とは言えません。フレークの6品は100gあたり6.1〜8.9gで、大手の固形ルウ(10.4〜12.8g)より低く見えます。ところが、創健社は100gあたり8.4gでも1皿に22.5g使うので、1皿では1.9gです。バーモント(2.0g)との差は0.1gでした。コスモとエム・トゥ・エムは、1皿に何g使うかが分からないので、1皿の食塩を比べられません。

食塩の目標量や、「減塩」と書ける条件は 食塩摂取量の記事 にまとめています。カレーの日は、ほかのおかずや汁物の食塩を控えると、1日の合計を抑えやすくなります。

脂質と飽和脂肪酸:「植物性なら少ない」とは限らない

1皿分のルウの脂質は、5.3g(ゴールデン)〜8.2g(ジャワ)でした。飽和脂肪酸を表示しているのは、11品でゴールデンだけで、1皿2.9g、脂質の55%でした。栄養成分表示で飽和脂肪酸を書くのは、義務ではなく任意(推奨)です。

日本人の食事摂取基準(2025年版)は、飽和脂肪酸の目標量を、18歳以上で「1日のエネルギーの7%以下」としています。1日2,000kcal なら約15.6gです。ゴールデンのルウ1皿(2.9g)で、その約19%になります。

ジャワ・バーモント・こくまろは飽和脂肪酸を公表していません。仮に、脂質のうち飽和脂肪酸が43.5%(食品成分表の「カレールウ」の飽和脂肪酸14.84gを脂質34.1gで割った値)〜57.6%(農林水産省の2022〜23年度の調査で、ルウ20点の飽和脂肪酸の中央値19gを脂質の中央値33gで割った値)とすると、ジャワは1皿3.6〜4.7g、バーモントは3.0〜4.0g、こくまろは2.7〜3.6gになります。これはウラヨミの推計で、メーカーの値ではありません。

油の種類ごとの飽和脂肪酸の割合(食品成分表2020年版)

油脂 100gあたりの飽和脂肪酸 脂肪酸に占める割合
パーム油 47.08g 51%
牛脂 41.05g 46%
ラード(豚脂) 39.29g 42%
なたね油 7.06g 8%
(参考)カレールウ 14.84g 47%

出典:文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」脂肪酸成分表。

パーム油は、牛脂やラードより飽和脂肪酸の割合が高い油です。牛脂・ラードを使わずパーム油を使っても、飽和脂肪酸が少なくなるとは限りません。ゴールデンは動物性の脂を使っていませんが、脂質の55%が飽和脂肪酸でした。動物性の油と植物油の違いは 植物油と動物性の油の記事 にまとめています。

トランス脂肪酸:中央値は下がったが、高い製品もある

ルウのトランス脂肪酸(100gあたり)棒:中央値(真ん中の製品の値)、細い線:いちばん少ない製品〜いちばん多い製品(g/100g)0g1g2g3g4g5g6g7g農林水産省の含有実態調査業界団体の自主調査(平均)2006〜07年度 カレールウ5点:中央値0.88g(0.78〜1.5g)0.88g最大 1.5g2006〜07年度カレールウ 5点2014〜15年度 ルウ20点:中央値0.52g(0.07〜6.4g)0.52g最大 6.4g2014〜15年度ルウ 20点2022〜23年度 ルウ20点:中央値0.46g(0.09〜7.0g)0.46g最大 7.0g2022〜23年度ルウ 20点業界の自主調査 2007〜14年の製品:平均3.68g3.68g2007〜14年の製品家庭用・平均業界の自主調査 2015年9月:平均0.33g0.33g2015年9月家庭用・平均農水省の2014年度以降は、カレー・ハヤシ・シチューのルウを合わせた20点。中央値は下がったが、7.0gの製品もあった。業界の「以前3.68g」と、農水省の2006〜07年度の中央値0.88g(5点)は大きく食い違う(対象・点数・平均か中央値かが違う)。出典:農林水産省「食品中のトランス脂肪酸の含有実態調査」(平成18〜19年度・26〜27年度・令和4〜5年度)、全日本カレー工業協同組合「カレー組合による『トランス脂肪酸低減取組』について」(2018年)。
図:ルウのトランス脂肪酸(農林水産省「食品中のトランス脂肪酸の含有実態調査」、全日本カレー工業協同組合の自主調査)

農林水産省は、市販の食品のトランス脂肪酸を何年かおきに調べています。

調査 対象 中央値(100gあたり) 範囲
2006〜07年度 カレールウ 5点 0.88g 0.78〜1.5g
2014〜15年度 ルウ(カレー・ハヤシ・シチュー)20点 0.52g 0.07〜6.4g
2022〜23年度 同 20点 0.46g 0.09〜7.0g

出典:農林水産省「食品中のトランス脂肪酸の含有実態調査」。

一方、業界団体(全日本カレー工業協同組合)は自主調査で、家庭用のカレールウのトランス脂肪酸は平均で、2007〜2014年の製品が100gあたり3.68g、2015年9月の調査で0.33gになり、「10分の1に低減」したと公表しています。各社に、トランス脂肪酸の少ない油脂を使うよう勧めたとしています。

2つの調査の数字は食い違います。業界の「以前は3.68g」に対し、農林水産省の2006〜07年度の中央値は0.88g(5点)でした。調べた製品・点数・平均か中央値かが違うためと考えられ、どちらが正しいとは言えません。はっきりしているのは、中央値は下がったものの、2022〜23年度の調査にも100gあたり7.0gの製品があったことです(どの製品かは公表されていません)。

食事摂取基準(2025年版)は、トランス脂肪酸を「1日のエネルギーの1%未満に留めることが望ましい」としています。2,000kcal なら約2.2gです。中央値0.46gのルウを1皿20g使うと約0.09g、7.0gの製品なら約1.4gになります(ウラヨミの計算)。日本ではトランス脂肪酸の表示は義務ではなく、11品で表示しているものはありませんでした。

ルウを使わずに作る

ルウの中身は、炒めた小麦粉・油脂・カレー粉・食塩・調味料です。カレー粉と小麦粉を使って家で作れば、油の種類と量、食塩の量を自分で決められます。明治の料理書や、オリエンタルが「戦前の家庭」と書いた作り方と同じです。エスビーの「赤缶カレー粉」は1950年発売のカレー粉です。

小麦とアレルギーの表示

食物アレルギーの表示は、2026年4月の改正で、義務の「特定原材料」が9品目(えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生)になりました。カシューナッツは2年の経過措置があります。表示が勧められている「特定原材料に準ずるもの」は20品目で、ピスタチオが加わりました。

11品の表示に出てきたのは、小麦・乳成分・大豆・豚肉・鶏肉・りんご・ごま(ジャワ・こくまろ)・バナナ(バーモント)・ゼラチン(ゴールデン)でした。

牛脂を使っていても「牛肉」とは書かれていません。消費者庁のハンドブックは、牛肉・豚肉の表示の範囲に「動物脂(ラード、ヘッド)」も入ると説明しています。ところが牛肉・豚肉は、義務ではなく「推奨」の品目なので、書かなくても違反ではありません。実際、牛脂豚脂混合油を使う大手3品のアレルギー表示に「牛肉」はひとつもなく、こくまろは「豚肉」も書かれていませんでした(公式ページのアレルギー情報にも印なし)。

日本と海外の違い:ごまは、日本では推奨の品目ですが、米国では2023年1月から表示が義務の主要アレルゲンになりました。牛肉・豚肉は、米国の主要アレルゲンには入っていません。

小麦を使わないルウでも、小麦アレルギー向けとは限りません。コスモの米粉のルウには、小麦粉の代わりに米粉とひよこ豆粉が使われていますが、パッケージには「本品は、アレルギー対応食品として製造された製品ではありません」と書かれています。消費者庁も「米粉製品による小麦アレルギーに気を付けましょう」という注意喚起の資料を出しています(米粉のクッキーなどで小麦アレルギーの事故が起きた例を紹介)。グルテンについては グルテンとスペルト小麦の記事 にまとめています。

小麦粉を使わないルウには、コスモのほかに、オリエンタルの米粉のカレールウもあります。アレルギーがある人は、アレルギー対応として作られた製品かどうかを、パッケージで確かめてください。

ハウス食品の「特定原材料8品目不使用シリーズ」のバーモントカレーは、当時の特定原材料8品目を使わず、専用のラインで作っているとハウス食品が説明しています(2024年8月に、くるみの義務化に合わせて「7品目」から名前を改めた)。2026年4月にカシューナッツが加わったあとに名前や中身が変わったかは、確かめられませんでした。粉末タイプです。

ターメリック(クルクミン)は認知症を防ぐ?

「カレーを食べると認知症になりにくい」とは言えません。よく言われる「インドではアルツハイマー病が少ない」の出どころと、その後の研究を順に確かめます。

出どころは1990年代の Indo-US 研究です。北インドの農村(バラブガル)の55歳以上5,126人を調べ、65歳以上のアルツハイマー病の有病率は1.07%でした(Chandra 1998)。2年間の追跡で、新しく発症する割合は米国の比較地域の約4分の1でした(Chandra 2001)。ただし、

  • この研究は、クルクミンもカレーも調べていません
  • 著者自身が、平均寿命の短さ、病気になってからの生存期間の短さ、追跡の短さ、文化的な要因などから、慎重に解釈するよう書いています
  • 2024年の、インド全国から選んだ4,096人の調査(LASI-DAD)では、認知症の有病率は7.2%で、著者は「これまで考えられていたより高い」と書いています(Gross 2024)。調べ方も対象も違うので、2つの数字を「増えた」と比べることはできません

クルクミンは、体にほとんど吸収されません。1回に500〜8,000mg を飲んでも血液から検出されず、10,000〜12,000mg でわずかに検出された研究があります(Lao 2006)。黒こしょうの成分ピペリンを一緒に飲むと吸収が増えたという研究(Shoba 1998)は、共著者にピペリン製剤を売る会社の創業者が入っています。

研究 種類・人数 結果
Ringman 2012 RCT(ランダム化比較試験)、軽〜中等度のアルツハイマー病36人、1日2g または4g を24週 症状にも、血液・髄液の指標にも効果の差なし。血液中のクルクミンはごくわずか
Rainey-Smith 2016 RCT、高齢者96人、1日1,500mg を12か月 認知機能検査(MoCA)で偽薬群だけ6か月時に下がった以外は、差なし
Small 2018 RCT、認知症でない40人、吸収を高めた製剤を18か月 記憶・注意が改善(人数は40人)
Yu 2025 メタ解析(ヒト10研究・531人) 全体の認知機能に有意な差なし。有害事象はクルクミン群に多い
Wang 2025 メタ解析(RCT 9件・501人) 全体の認知機能が有意に改善

同じ年の2つのメタ解析が、正反対の結論になっています。2017年の総説(Nelson、J Med Chem)は、クルクミンは不安定で吸収されにくく、試験の中で見かけ上反応してしまう性質があるとし、「二重盲検・プラセボ対照で成功したクルクミンの臨床試験はない」と書いています。クルクミン研究で知られる研究者の論文のうち、主に試験管や動物の研究が撤回されたこともあります。

シンガポールの高齢者の観察研究では、カレーを食べる頻度が高い人は認知機能の検査の点数が高めでした(Ng 2006、1,010人)。観察研究なので、カレーが原因かどうかは分かりません。

量の差も大きい:ターメリックの粉のクルクミンは平均3%ほどです(市販28品の分析、Tayyem 2006)。試験で使われた1日1,500mg をターメリックの粉からとると約48g。ルウ1皿(18〜22g)に入るカレー粉はその一部で、ルウの中のカレー粉の割合は公表されていません。

ウコンの肝障害は、サプリでの報告

ウコン(ターメリック)による肝臓の障害の報告は、ほぼすべてサプリです。料理のスパイスで起きたという報告は、今回の調査では見つかりませんでした(ないとは言い切れません)。

国 分かっていること 出典
日本 民間薬・健康食品による薬物性肝障害の89症例(14施設、1994〜2003年)で、原因として挙がった民間薬・健康食品の中で最多がウコン(29件、24.8%) 恩地ほか 肝臓 2005
米国 肝障害の登録研究で、ターメリック関連が10例(すべて2011年以降)。1例が急性肝不全で死亡。10例中7人が特定の遺伝子の型(HLA-B*35:01)を持っていた Halegoua-DeMarzio 2023
イタリア 2019年前半に、ターメリック製品による急性肝炎の報告が28件集まり、規制の措置がとられた。高用量や、吸収を高めた製剤だった Menniti-Ippolito 2020、Lombardi 2021

「ウコンは二日酔いや肝臓にいい」という宣伝文句は、今回は調べていません。

ターメリックの鉛

海外では、ターメリックに鉛を含む黄色い顔料(クロム酸鉛)を混ぜる不正が問題になりました。

  • バングラデシュでは、色をよく見せるために顔料を混ぜることが30年以上続いていて、粉から最大1,152µg/g の鉛が見つかりました(Forsyth 2019)
  • 報道・教育・食品安全庁の迅速な検査による取り締まりのあと、市場のターメリックで鉛が見つかった割合は、2019年の47%から2021年には0%になりました(Forsyth 2023)
  • インド東部の5州では、2021〜23年に集めた503検体の30%が、インドの基準(10µg/g)を超えていました(Forsyth 2026)

日本では、厚生労働省の輸入食品の違反事例(2024年度〜2026年9月)を香辛料で集計したところ、鉛での違反は0件でした。ただし、香辛料に鉛の基準値があるかは確認できませんでした。基準がなければ違反として出てこないので、「違反0件」を「鉛がない」とは読めません。

放射線照射とカビ毒

香辛料や乾燥野菜には、1gあたり10万〜1,000万個の微生物がいることがあり、多くは細菌の芽胞です(林 2007)。日本では、食品をエチレンオキサイドで燻蒸することが禁止されていて、過熱水蒸気で殺菌しています。殺菌の方法は国によって違います。

日本 海外
放射線照射 食品への照射は原則禁止。実際に使われているのは、じゃがいもの芽止めだけ。2000年に全日本スパイス協会が香辛料の照射の許可を求めたが、今も認められていない 米国は香辛料に30kGy まで認め、表示を義務づけている。EU も香辛料の照射を認めている
照射された香辛料 2025年度、パキスタン産のターメリック粉が「放射線照射」で食品衛生法違反になった ―

カビがつくる毒の「アフラトキシン」も、輸入の香辛料で毎年違反が出ています。厚生労働省の輸入食品の違反事例を集計すると、2024年度は唐辛子・ミックススパイス・ナツメグで10件、2025年度は唐辛子・ナツメグで5件でした(基準は総アフラトキシン10µg/kg)。インドネシア産のナツメグの違反がくり返し出ています。アフラトキシンの基準は 豆板醤の記事 にまとめています。

これらは輸入のときの検査で見つかった違反です。国内のルウの製品から見つかったという意味ではありません。

作り置きのカレーとウエルシュ菌

作り置きのカレーで気をつけたいのは、熱に強い「芽胞(がほう)」をつくるウエルシュ菌です。再加熱より、作ったあとの冷まし方で差が出ます。

菌の性質

食品安全委員会によると、ウエルシュ菌は空気(酸素)を嫌う菌で、熱に強い芽胞をつくります。

  • 食中毒を起こす芽胞には、100℃で1〜6時間加熱しても生き残るものがあります
  • 増えるのは12〜50℃、最も増えやすいのは43〜45℃です
  • 煮込むと、ほかの菌は死に、鍋の中の酸素も追い出されます。ゆっくり冷えていく間に、芽胞が目を覚まして一気に増えます
  • 食べてから6〜18時間で、腹痛や下痢が起きます。1〜2日で治ることが多い食中毒です

統計を集計し直すと

厚生労働省の食中毒の事件一覧を、ウラヨミで集計し直しました。

年 件数 患者数 病因物質の中の患者数の順位
2023年 28件 1,097人 3位
2024年 43件 1,889人 2位(ノロウイルスの次)
2025年 33件 1,260人 3位
2026年(9月までの速報) 14件 382人 ―

出典:厚生労働省「食中毒統計資料」の食中毒発生事例(ウラヨミで集計)。

  • 1件あたりの患者数が多いのが特徴です。2024年は1件あたり約44人で、ノロウイルス(約31人)、カンピロバクター(約6人)より多くなっています
  • 原因の食べものに「カレー」「シチュー」「ハヤシ」と書かれた事件は、2023〜2025年に8件ありました。2024年には、1月1日に提供したカレーで85人が発症した事件(三重県)もありました。原因の食べものが「不明」の事件も多くあります
  • 原因の施設は、飲食店(45件)・老人ホームなどの給食施設(35件)・仕出屋(12件)・病院(6件)・旅館(5件)・学校(7件)などで、「家庭」は0件でした(2023〜2026年9月の118件。ほかに製造所1件、その他4件、不明3件)。家庭で起きないという意味ではありません。大量に作る施設で起きやすく、家庭の軽い例は届け出られにくいと考えられます

浅い容器に小分けして早く冷ます

作ったカレーの冷め方:鍋のまま と 浅い容器約80℃のカレーを室温で1時間置き、そのあと冷蔵庫へ(℃、横軸は分)ウエルシュ菌が増える温度(12〜50℃)0℃20℃40℃60℃80℃0分60分120分180分240分室温(23.9℃)冷蔵庫へ →鍋 0分:80℃鍋 60分:62℃鍋 180分:38℃浅い容器 0分:80℃浅い容器 35分:50℃浅い容器 60分:40℃浅い容器 120分:20℃浅い容器 147分:12℃浅い容器 165分:10℃鍋:1時間で62℃冷蔵2時間後も38℃推計 約242分で20℃浅い容器:1時間で40℃以下2時間45分で10℃未満鍋:直径24cm・カレーの深さ約20cm。浅い容器:10×15cm・深さ2.5cm。点は報告書の本文に書かれた時刻と温度を結んだもの。点線は報告書の推計(直線で下がると仮定)。鍋を62℃のまま冷蔵庫に入れると、冷蔵庫の中が11℃まで上がった(ほかの食品も温まる)。出典:農林水産省「容器の違いによるカレーの冷却速度の違い」(作成年の記載なし)。
図:作ったカレーの冷め方(農林水産省「容器の違いによるカレーの冷却速度の違い」の本文の数字から作成)

農林水産省は、約80℃のカレーを、鍋(直径24cm・深さ約20cm)と、浅い容器(深さ2.5cm)に分けて、室温で1時間置いてから冷蔵庫で2時間冷やす実験をしています。

  • 1時間後、浅い容器は40℃以下、鍋は62℃まで下がっただけでした。冷める速さは容器のほうが約2.6倍でした
  • 浅い容器は、合計2時間45分で10℃未満になりました。菌が増える12〜50℃を通った時間は112分です
  • 鍋は、冷蔵庫に入れて2時間たっても38℃でした。12〜50℃を通るのに約165分、20℃以下になるのに約242分かかると推計されています
  • 鍋を冷蔵庫に入れると、冷蔵庫の中が11℃まで上がりました。ほかの食品も温まってしまいます

食品安全委員会は「調理後の速やかな喫食、小分けと10℃以下又は55℃以上の温度での保存」を、農林水産省は「食べきれる量を作り、早く食べる」「浅い容器に小分けして素早く冷やす」ことを勧めています。鍋のまま一晩置かず、浅い容器に分けて冷ますのが基本です。

温め直しは、かき混ぜながら全体を

農林水産省は、温め直すときは「よくかき混ぜながら全体を十分に再加熱」するよう勧めています。ただし、芽胞の中には長く加熱しても生き残るものがあるので、温め直しより、作ってから冷ますまでのほうが大切です。電子レンジで温め直すときの注意は 電子レンジの記事 にまとめています。

「レトルトがルウを抜いた」は本当?

「レトルトカレーがルウを逆転した」という話は、重さ・金額・皿の数のどれで比べるかで、答えが変わります。

カレールウとレトルトカレーの生産量重さ(トン)。ルウは2017年度以降の数字を入手できなかった0万t5万t10万t15万t200020052010201520202025カレールウ 2000年度:107,059tカレールウ 2001年度:99,647tカレールウ 2002年度:101,975tカレールウ 2003年度:100,143tカレールウ 2004年度:97,886tカレールウ 2005年度:97,952tカレールウ 2006年度:100,083tカレールウ 2007年度:103,491tカレールウ 2008年度:105,164tカレールウ 2009年度:102,338tカレールウ 2010年度:101,558tカレールウ 2011年度:104,676tカレールウ 2012年度:99,420tカレールウ 2013年度:91,105tカレールウ 2014年度:92,321tカレールウ 2015年度:92,757tカレールウ 2016年度:91,485tレトルト 2001年:103,263tレトルト 2002年:96,612tレトルト 2003年:107,749tレトルト 2004年:111,193tレトルト 2005年:120,299tレトルト 2006年:115,721tレトルト 2007年:127,781tレトルト 2008年:135,727tレトルト 2009年:148,592tレトルト 2010年:148,738tレトルト 2011年:149,983tレトルト 2012年:144,941tレトルト 2013年:147,010tレトルト 2014年:147,303tレトルト 2015年:145,483tレトルト 2016年:153,185tレトルト 2017年:156,245tレトルト 2018年:161,711tレトルト 2019年:163,872tレトルト 2020年:164,310tレトルト 2021年:159,823tレトルト 2022年:157,537tレトルト 2023年:149,972tレトルト 2024年(集計の対象が変更):161,227tレトルト 2025年(集計の対象が変更):151,994tカレールウレトルトカレー2001年度:重さではすでにレトルト(103,263t)がルウ(99,647t)より多い対象変更2016年度の生産量を「皿」に直すと(1皿 ルウ20g・レトルト210g で計算)カレールウカレールウ:約45.7億皿約45.7億皿レトルトカレーレトルトカレー:約7.3億皿約7.3億皿集計元:レトルトは2008年度まで農林水産省調べ(レトルトパウチ詰のカレー)、2009年から日本缶詰びん詰レトルト食品協会。ルウは2008年度まで農林水産省調べ、2009年度から全日本カレー工業協同組合調べ。2024年からレトルトの集計対象がトレー詰などに広がった(白い丸)。2023年以前とはそのまま比べられない。皿数はウラヨミの計算。1皿の量は全日本カレー工業協同組合が使う目安(ルウ20g・レトルト210g)。
図:カレールウとレトルトカレーの生産量(農林水産省調べ、全日本カレー工業協同組合調べ、日本缶詰びん詰レトルト食品協会)と、2016年度の皿数の換算(ウラヨミの計算)
ものさし 分かっていること 出典
重さ(生産量) 2001年度にすでに、レトルトパウチ詰のカレー(103,263t)がカレールウ(99,647t)を上回っていた 農林水産省調べ
金額(店頭の販売額) 「2017年度に逆転した」と業界紙が報じている(調査会社名なし)。2024年度はルウ525億円、レトルト702億円 業界紙(2024年度はインテージの調査)
皿の数 2016年度の生産量(ルウ91,485t、レトルトは2016年の153,185t)を1皿の量(ルウ20g・レトルト210g)で割ると、ルウ約45.7億皿、レトルト約7.3億皿。ルウが約6倍 ウラヨミの計算(生産量は全日本カレー工業協同組合調べ、日本缶詰びん詰レトルト食品協会)
  • カレールウの生産量は、2001〜2016年度に年9万〜10.5万トンで横ばいから少し減りました。2017年度以降の数字は、無料で見られる範囲では手に入りませんでした
  • レトルトカレーは、2016〜2023年に年約15万〜16.4万トンでした。2024年から集計の対象がトレー詰などに広がったので、それより前とはそのまま比べられません
  • ルウは家で肉や野菜を足すので、レトルト1袋と皿の中身の量は同じではありません。それでも、家で作られているカレーの皿の数は、今もルウのほうがずっと多いと考えられます
  • カレー製品の輸出は、年134〜454トン(2002〜2016年)で、生産量の0.5%未満でした。海外では、輸出より現地で作るのが中心です

家計調査:いちばん買うのは新潟市

総務省の家計調査(二人以上の世帯、2023〜2025年の平均)では、カレールウの1世帯あたりの年間の購入は、全国平均で1,487円・1,200gでした。

順位 都市 金額
1位 新潟市 1,895円
2位 鳥取市 1,847円
3位 山形市 1,680円
4位 高知市 1,650円
最下位 神戸市 1,231円

出典:総務省統計局「家計調査(二人以上の世帯)品目別都道府県庁所在市及び政令指定都市ランキング(2023〜2025年平均)」。

購入量は、1983年の2,090g がいちばん多く(農林漁家を除く二人以上の世帯の系列)、いまの1,200g はその6割ほどです(世帯の数え方が違う系列なので目安)。なお、家計調査の品目名は1986年まで「カレー粉」で、1987年に「カレールウ」に変わりました。

実際に払っている値段は、定価の半分から6割

家計調査の金額と量から計算すると、家庭が実際に払っているカレールウの値段は、100gあたり約124円(2023〜2025年平均)でした。一方、ウラヨミに載っている大手の固形ルウ4品の希望小売価格(税込に換算)は、100gあたり199〜261円です。

家庭は、定価のおおむね半分から6割の値段で買っていることになります(ウラヨミの計算)。特売で買われることの多い食品だと考えられます。ただし、家計調査の金額にはいろいろな銘柄・大きさが混ざっていて、同じ品物どうしの比較ではありません。

選び方のポイント

ルウは「どれが安全か」ではなく、裏面で何を見て選ぶかの問題です。11品で分かった見どころをまとめます。

気になること 裏面で見るところ 11品で分かったこと
油が多いか 原材料名の1番目、1皿の脂質 大手の固形3品は油脂が1番目。1皿の脂質は5.3〜8.2g
油の種類 「食用油脂(〇〇)」のかっこの中 種類が分かったのは5品。パーム油は牛脂・ラードより飽和脂肪酸の割合が高い
食塩 1皿あたりの食塩相当量 1.9〜2.3g。100gあたりで比べない
添加物 「/」より後ろ 0〜7項目。一括名の中身は分からない
うま味 酵母エキス・たん白加水分解物・調味料(アミノ酸等) 酵母エキスは11品すべて
アレルギー アレルギー表示と、「アレルギー対応」の記載 牛脂を使っても「牛肉」は書かれていない。米粉でもアレルギー対応とは限らない

使い方では、作ったら早く食べる、残りは浅い容器に小分けして冷ます、温め直しはかき混ぜながら全体を、の3つが基本です。

この記事で紹介したもの(まとめ)

記事の中で紹介したものを、もう一度まとめました。理由や原材料は、それぞれの節に書いています。

紹介したもの 購入先
創健社 植物素材の本格カレールウ 中辛(フレーク)135g 楽天市場で見る(楽天24) PR
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コスモ食品 コスモ直火焼 カレー・ルー 中辛(フレーク)170g 楽天市場で見る(楽天24) PR
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S&B カレー粉 赤缶 37g 楽天市場で見る(エスビー食品公式) PR
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オリエンタル 米粉カレールウ(6皿分) 楽天市場で見る(オリエンタル公式) PR
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ハウス バーモントカレー 特定原材料8品目不使用 中辛 108g 楽天市場で見る(S-LIFE) PR
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まとめ

気になること 分かったこと
カレールウの始まりは? 1872年の西洋料理書が先。とろみとりんごは1861年の英国の料理書にある。「海軍が持ち込んだ」は誤り
日本初の即席カレー・固形ルウは? 1社に決められない。オリエンタル1945年(粉末)、エスビー1954年(固形)、グリコ・ハウス1960年など、各社がそれぞれの言い方で「初」を名乗る
法律の決まりは? カレールウの定義も規格もない。食品表示基準に「ルウ」の語はなく、JAS も確認できない
11品の裏面は? 大手の固形3品は油脂が1番目で、原材料33〜34項目。フレークは11〜17項目。添加物0〜7項目。酵母エキスは全品
食塩は? 1皿1.9〜2.3gで、1日の目標量の約3分の1。100gあたりの数字だけでは減塩と言えない
脂質・飽和脂肪酸・トランス脂肪酸は? 飽和脂肪酸の表示はゴールデンだけ(1皿2.9g)。パーム油は牛脂・ラードより飽和脂肪酸の割合が高い。トランス脂肪酸の中央値は下がったが、7.0gの製品もあった
ターメリックは体にいい? 認知症の予防は言えない。吸収が悪く、メタ解析は正反対。肝障害はサプリでの報告。鉛の混ぜ物は一部の産地の問題
作り置きは? ウエルシュ菌の食中毒は2024年に43件・1,889人。鍋のままだと1時間で62℃、浅い容器なら40℃以下
レトルトがルウを抜いた? 重さ・金額ではレトルトが上。皿の数ではルウが約6倍(2016年度)

参考にした資料

歴史・市場

  • Isabella Beeton『The Book of Household Management』(1861年)941「Curried Fowl」(Project Gutenberg #10136)
  • Grace’s Guide「Crosse and Blackwell」
  • 国立国会図書館サーチ『西洋料理指南』(1872年)、『西洋料理通』(1872年)、『軍隊料理法』(1910年)、『海軍割烹術参考書』(復刻版 2007年・2011年)
  • 防衛省 自衛隊新潟地方協力本部「白壁の中の人」第7回
  • 大阪府立中央図書館「調査ガイド135 カレー」(2026年3月)
  • ハチ食品「企業沿革」、エスビー食品「沿革」、ハウス食品グループ「沿革」・事業報告・ニュースリリース(2023年2月9日、2024年2月2日)、江崎グリコ「商品の歴史」、オリエンタル「歴史」、大塚食品「ボンカレーの歴史」、ベル食品「沿革」
  • 全日本カレー工業協同組合「カレーとは?」「数字で知るカレー」「カレーの種類」「Q&A」「カレーの数字」「カレー類の生産量」「輸出入」、学校給食の資料
  • 日本缶詰びん詰レトルト食品協会「レトルト食品の生産数量」(2016〜2023年、2024〜2025年)
  • 総務省統計局「家計調査」品目別ランキング(2023〜2025年平均)、e-Stat 長期時系列(1963〜2007年)・品目分類(2015〜2025年)
  • 食料醸界新聞(インテージ SRI+ のデータ、2024年度)、日本食糧新聞(2019年7月1日)

製法・規格

  • 全日本カレー工業協同組合「HACCP の考え方を取り入れた衛生管理のための手引書(小規模なカレー粉及びカレールウ製造事業)」(2019年5月)、「カレー(カレー粉、カレールウ)の賞味期限設定について」
  • 特許 JP3276884B2「ルウの製造方法」(ハウス食品、1997年出願)、JP2009201416A「固形ルウ用油脂組成物」(ADEKA、2008年出願)、JP4517043B1「ルウ用油脂組成物及びルウ」(日清オイリオグループ、2009年出願・優先日2008年)、WO2016/143530(不二製油、2016年出願・優先日2015年)
  • 食品表示基準(平成27年内閣府令第10号)e-Gov 法令検索
  • 消費者庁「食品表示基準 Q&A」加工-64・65

栄養・油脂

  • 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)」本表・脂肪酸成分表
  • 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」策定のポイント
  • WHO「Salt reduction」
  • 農林水産省「食品中のトランス脂肪酸の含有実態調査」(平成18〜19年度、平成26〜27年度、令和4〜5年度)
  • 全日本カレー工業協同組合「カレー組合による『トランス脂肪酸低減取組』について」(2018年)

アレルギー

  • 消費者庁「アレルギー表示とは」(令和8年4月)、事務連絡(2026年4月1日)、「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」(令和8年4月)、「米粉製品による小麦アレルギーに気を付けましょう」(表示対策課 食品表示対策室)
  • 米国 FDA「Food Allergies: What You Need to Know」
  • ハウス食品 ニュースリリース(2024年8月6日)

スパイスと健康

  • Chandra V, et al. Neurology 1998(PMID 9781520)/Chandra V, et al. Neurology 2001(PMID 11571321)/Gross AL, et al. PLoS One 2024(PMID 38324518)
  • Ng TP, et al. Am J Epidemiol 2006(PMID 16870699)
  • Lao CD, et al. BMC Complement Altern Med 2006(PMID 16545122)/Shoba G, et al. Planta Med 1998(PMID 9619120)/Tayyem RF, et al. Nutr Cancer 2006(PMID 17044766)
  • Ringman JM, et al. Alzheimers Res Ther 2012(PMID 23107780)/Rainey-Smith SR, et al. Br J Nutr 2016(PMID 27102361)/Small GW, et al. Am J Geriatr Psychiatry 2018(PMID 29246725)
  • Yu 2025 J Prev Alzheimers Dis(PMID 40579315)/Wang 2025 Front Nutr(PMID 40308636)/Nelson KM, et al. J Med Chem 2017(PMID 28074653)
  • 恩地森一ほか「民間薬および健康食品による薬物性肝障害の調査」肝臓 2005;46(3):142-148/Halegoua-DeMarzio D, et al. Am J Med 2023(PMID 36252717)/Menniti-Ippolito F, et al. 2020(PMID 33346172)/Lombardi N, et al. 2021(PMID 32656820)
  • Forsyth JE, et al. Environ Res 2019(PMID 31550596)/Forsyth JE, et al. Environ Res 2023(PMID 37286126)/Forsyth JE, et al. NPJ Sci Food 2026(PMID 42091913)
  • 厚生労働省「輸入食品等の食品衛生法違反事例」(令和6年度・令和7年度・令和8年度4〜9月)
  • 林徹「食品照射の現状」日本食品科学工学会誌 2007;54(9):389、「全日本スパイス協会の香辛料照射の許可要請」食品照射 2001;36(1-2):49
  • 米国連邦規則 21 CFR 179.26、欧州委員会「Food irradiation – legislation」

食中毒

  • 食品安全委員会「ウエルシュ菌食中毒」ファクトシート(2025年4月11日更新)
  • 農林水産省「容器の違いによるカレーの冷却速度の違い」、近畿農政局「カレーやシチューによる食中毒に注意」
  • 厚生労働省「食中毒統計資料」食中毒発生事例(令和5〜8年)

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.03)。