日本と海外の違い説の検証確認日 2026.09.30

植物油と動物性の油(バター・ラード・牛脂・魚の油)は何が違う? 16種類の脂肪酸の比較と、ふだん使うならどっちか

PR この記事には広告を含みます。「楽天市場で見る」のリンクは楽天市場のアフィリエイト広告です。書いている内容は、広告の有無と関係なく、国の資料と論文をもとにしています。

サラダ油やオリーブ油などの植物油と、バター・ラード・牛脂などの動物性の油。「植物油は体に悪い」という話もあれば、「バターやラードは体に悪い」という話もあります。

この記事では、

  • 植物油と動物性の油は、中身(脂肪酸)がどう違うのか
  • それぞれのいいところ・気をつけたいところ
  • 血液のコレステロールや、心臓病・脳卒中について、研究で分かっていること
  • 普段の料理に使うなら、どちらがよいのか

を、文部科学省の食品成分表、国やWHOの基準、論文で確かめます。

結論

  • 油の違いは、「植物か動物か」より「どの脂肪酸が多いか」で決まります。植物油の多くは飽和脂肪酸が少なく、バター・ラード・牛脂は飽和脂肪酸が4〜5割です。ただし例外があり、ココナッツ油(やし油)とパーム油は植物なのに飽和脂肪酸が多く、魚の油は動物なのにn-3系(EPA・DHA)が多い油です
  • 飽和脂肪酸が多い油は、血液のLDLコレステロールを上げます。バターをオリーブ油などに替えるとLDLコレステロールが下がることは、人の試験でくり返し確かめられています
  • 飽和脂肪酸を減らすと心臓や血管の病気が減るという試験のまとめ(コクラン、2020年)があり(試験の選び方によっては差が出ないというまとめもあります)、WHO(2023年)も飽和脂肪酸を総エネルギーの10%までに減らし、植物油などの不飽和脂肪酸に置き換えるよう推奨しています。日本の目標は7%以下で、日本人の平均は約8.3%です
  • 一方、日本人の研究では、飽和脂肪酸をとる量が多い人ほど脳出血などの脳卒中が少なかったという結果もあります。日本人は欧米人より飽和脂肪酸が少ないため、「減らせば減らすほどよい」とは言えません
  • トランス脂肪酸は、いまの日本ではマーガリンよりバター・牛脂のほうが多いという調査結果です(牛などの胃で自然にできるもの)
  • ふだん使いは、飽和脂肪酸が少ない植物油(なたね油・オリーブ油・米油など)を中心に、バターやラードは風味づけに少し、動物性の脂は魚からとる。これが、国の基準・WHO・研究の結果のどれとも矛盾しない使い方です

この記事で紹介する油と缶詰

使いみち 商品 購入
炒め物・揚げ物のふだん使い 平田産業 国産なたねサラダ油(圧搾一番しぼり) 楽天市場で見る PR
炒め物・かける アルチェネロ 有機エキストラバージンオリーブオイル 楽天市場で見る PR
揚げ物・炒め物 三和油脂 まいにちのこめ油 楽天市場で見る PR
加熱せずにかける ニップン アマニ油 楽天市場で見る PR
魚の脂(EPA・DHA) Umios さば水煮 食塩不使用 楽天市場で見る PR

選んだ理由と原材料は、記事の後半「ふだん使いの油と、魚の缶詰」で説明しています。

油の違いは「脂肪酸」の違い

油(脂質)の大部分は、脂肪酸という成分でできています。脂肪酸は大きく4つに分けられます。

種類 多い油 性質
飽和脂肪酸 バター・ラード・牛脂・ココナッツ油・パーム油 常温で固まりやすい。酸化しにくい。とりすぎると血液のLDLコレステロールが上がる
一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など) オリーブ油・なたね油・高オレイン酸タイプのひまわり油 常温で液体。比較的酸化しにくい
n-6系の多価不飽和脂肪酸(リノール酸など) 大豆油・とうもろこし油・ごま油 体内で作れない必須脂肪酸。酸化しやすい
n-3系の多価不飽和脂肪酸(α-リノレン酸、EPA・DHA) えごま油・あまに油(α-リノレン酸)、魚の油(EPA・DHA) 体内で作れない必須脂肪酸。とても酸化しやすい

バターやラードが冷蔵庫で固まり、植物油が液体のままなのは、飽和脂肪酸の多い・少ないの違いです。

16種類の油の中身をくらべる

文部科学省の食品成分表から、よく使う油の脂肪酸を並べました。

油100gに含まれる脂肪酸の内訳(飽和・一価不飽和・n-6系・n-3系)植物の油12種と動物の油4種の脂肪酸の内訳を積み上げた横棒グラフ。植物の油の多くは飽和脂肪酸が少ないが、パーム油とやし油は飽和脂肪酸が半分〜8割を占める。動物の油のうちバター・牛脂・ラードは飽和脂肪酸が4〜5割だが、魚の油はn-3系が多く飽和脂肪酸は16%。飽和一価不飽和n-6系n-3系0g25g50g75g100g植物の油ひまわり油(高オレイン酸)ひまわり油(高オレイン酸) 飽和 8.74gひまわり油(高オレイン酸) 一価不飽和 79.9gひまわり油(高オレイン酸) n-6系 6.57gひまわり油(高オレイン酸) n-3系 0.23gオリーブ油オリーブ油 飽和 13.29g13オリーブ油 一価不飽和 74.04gオリーブ油 n-6系 6.64gオリーブ油 n-3系 0.6gなたね油なたね油 飽和 7.06gなたね油 一価不飽和 60.09gなたね油 n-6系 18.59gなたね油 n-3系 7.52g調合油(サラダ油)調合油(サラダ油) 飽和 10.97g11調合油(サラダ油) 一価不飽和 41.1g調合油(サラダ油) n-6系 34.13g調合油(サラダ油) n-3系 6.81g米ぬか油(米油)米ぬか油(米油) 飽和 18.8g19米ぬか油(米油) 一価不飽和 39.8g米ぬか油(米油) n-6系 32.11g米ぬか油(米油) n-3系 1.15gごま油ごま油 飽和 15.04g15ごま油 一価不飽和 37.59gごま油 n-6系 40.88gごま油 n-3系 0.31g大豆油大豆油 飽和 14.87g15大豆油 一価不飽和 22.12g大豆油 n-6系 49.67g大豆油 n-3系 6.1gとうもろこし油とうもろこし油 飽和 13.04g13とうもろこし油 一価不飽和 27.96gとうもろこし油 n-6系 50.82gとうもろこし油 n-3系 0.76gえごま油えごま油 飽和 7.64gえごま油 一価不飽和 16.94gえごま油 n-6系 12.29gえごま油 n-3系 58.31gあまに油あまに油 飽和 8.09gあまに油 一価不飽和 15.91gあまに油 n-6系 14.5gあまに油 n-3系 56.63gパーム油パーム油 飽和 47.08g47パーム油 一価不飽和 36.7gパーム油 n-6系 8.97gパーム油 n-3系 0.19gやし油(ココナッツ油)やし油(ココナッツ油) 飽和 83.96g84やし油(ココナッツ油) 一価不飽和 6.59gやし油(ココナッツ油) n-6系 1.53g動物の油たらのあぶら(魚の油)たらのあぶら(魚の油) 飽和 16.4g16たらのあぶら(魚の油) 一価不飽和 44.9gたらのあぶら(魚の油) n-6系 2.3gたらのあぶら(魚の油) n-3系 22.64gラード(豚)ラード(豚) 飽和 39.29g39ラード(豚) 一価不飽和 43.56gラード(豚) n-6系 9.35gラード(豚) n-3系 0.46g牛脂牛脂 飽和 41.05g41牛脂 一価不飽和 45.01g牛脂 n-6系 3.44g牛脂 n-3系 0.17gバター(有塩)バター(有塩) 飽和 50.45g50バター(有塩) 一価不飽和 17.97gバター(有塩) n-6系 1.86gバター(有塩) n-3系 0.28g赤い帯の数字=飽和脂肪酸(g/100g)。出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表

油100gあたり(g。コレステロールは mg)

油 飽和 一価不飽和 n-6系 n-3系 コレステロール
ひまわり油(高オレイン酸) 8.74 79.9 6.57 0.23 0mg
オリーブ油 13.29 74.04 6.64 0.6 0mg
なたね油 7.06 60.09 18.59 7.52 2mg
調合油(サラダ油) 10.97 41.1 34.13 6.81 2mg
米ぬか油(米油) 18.8 39.8 32.11 1.15 0mg
ごま油 15.04 37.59 40.88 0.31 0mg
大豆油 14.87 22.12 49.67 6.1 1mg
とうもろこし油 13.04 27.96 50.82 0.76 0mg
えごま油 7.64 16.94 12.29 58.31 0mg
あまに油 8.09 15.91 14.5 56.63 2mg
パーム油 47.08 36.7 8.97 0.19 1mg
やし油(ココナッツ油) 83.96 6.59 1.53 0 1mg
たらのあぶら(魚の油) 16.4 44.9 2.3 22.64
うちEPA+DHA 19.2
310mg
ラード(豚) 39.29 43.56 9.35 0.46 100mg
牛脂 41.05 45.01 3.44 0.17 100mg
バター(有塩) 50.45 17.97 1.86 0.28 210mg

※n-6系・n-3系は、それぞれの合計です。脂肪酸のほかにグリセリンなどが含まれるため、4つを足しても100にはなりません

表から分かること

  • 植物油の多くは、飽和脂肪酸が1割前後〜2割。いちばん少ないのはなたね油(7.1g)です
  • バター・牛脂・ラードは、飽和脂肪酸が4〜5割。バターは約半分が飽和脂肪酸です
  • 例外1:パーム油(47g)とココナッツ油(84g)は、植物なのに飽和脂肪酸が多い。ココナッツ油はバターより多く、パーム油はラードより多い油です
  • 例外2:魚の油は、動物なのに飽和脂肪酸が16gと少なく、n-3系が多い。EPA・DHAは、この表では魚の油にしか含まれません
  • コレステロールは、動物性の油にだけ含まれます。バターは100gで210mg、ラード・牛脂は100mg。植物油はほぼ0です
  • ラードや牛脂は、飽和脂肪酸と同じくらい一価不飽和脂肪酸(オレイン酸など)も含みます。「動物性=飽和脂肪酸だけ」ではありません

それぞれのいいところ・気をつけたいところ

植物油(なたね・オリーブ・米・大豆など) 動物性の油(バター・ラード・牛脂) 魚の油(魚そのもの)
多い脂肪酸 一価不飽和・n-6系(油による) 飽和・一価不飽和 一価不飽和・n-3系(EPA・DHA)
いいところ 飽和脂肪酸が少ない/コレステロールがほぼ0/必須脂肪酸(リノール酸・α-リノレン酸)がとれる 加熱しても酸化しにくい/バターやラードならではの風味・食感 EPA・DHAがとれる(植物油やバター・ラードには含まれない)
気をつけたいところ 多価不飽和脂肪酸の多い油は酸化しやすい(使い回し・古い油)/パーム油・ココナッツ油は飽和脂肪酸が多い 飽和脂肪酸が多く、LDLコレステロールを上げる/コレステロールを含む/牛由来の脂には天然のトランス脂肪酸が含まれる 酸化しやすい/サプリメントの効果は試験によって差がある
血液のLDLコレステロール 上げにくい(ココナッツ油・パーム油を除く) 上げやすい 上げにくい
加工食品の表示 「植物油脂」とまとめて書かれ、種類が分からないことが多い(植物油脂の記事) 「動物油脂」「ラード」「牛脂」「バター」など 魚そのものとして食べることが多い

体への影響:研究で分かっていること

血液のLDLコレステロール:試験ではっきり差が出る

飽和脂肪酸が多い油でLDLコレステロールが上がることは、人の試験でくり返し確かめられています。

研究 内容 結果
デンマークの試験(2015年) 健康な成人47人。ふだんの食事の一部を、バターか精製オリーブ油に5週間ずつ置き換え バターのほうが、総コレステロールとLDLコレステロールが高くなった
英国の試験(2018年) 50〜75歳の94人に、エキストラバージンのココナッツ油・オリーブ油・バターのどれかを1日50g、4週間 バターは、オリーブ油やココナッツ油よりLDLコレステロールが高くなった。ココナッツ油とオリーブ油では差がなかった
54の試験をまとめた研究(2018年) 13種類の油・脂をくらべた試験を、まとめて比較 べに花油・ひまわり油・なたね油・あまに油・とうもろこし油・オリーブ油・大豆油・パーム油・ココナッツ油・牛脂のどれも、バターよりLDLコレステロールを下げた。いちばん下げたのはべに花油、次がなたね油
ココナッツ油の試験16件のまとめ(2020年) ココナッツ油と、ほかの植物油(熱帯の油以外)をくらべた試験 ココナッツ油のほうがLDLコレステロールが約10mg/dL高かった(HDLコレステロールも高かった)

英国の試験ではココナッツ油がオリーブ油と差がありませんでしたが、16件の試験をまとめた研究では、ココナッツ油はほかの植物油よりLDLコレステロールを上げていました。1つの試験だけで「ココナッツ油は大丈夫」とは言えません。

心臓病・死亡:「何に置き換えるか」が大事

LDLコレステロールが下がっても、病気や死亡が減るとは限りません。ここは研究のまとめ方によって結論が少し違います。

  • コクランのまとめ(2020年):飽和脂肪酸を減らす2年以上の試験15件(約5万7千人)をまとめると、心臓や血管の病気(心筋梗塞・脳卒中など)が17%少なかった。ただし、死亡全体や心臓・血管の病気による死亡には、はっきりした差がなかった。飽和脂肪酸を大きく減らした試験ほど、病気の減り方も大きかった
  • 日本の研究者によるまとめ(2025年):試験の選び方を変え、9件(13,532人。うち7件は心臓病の既往がある人)をまとめると、心臓・血管の病気による死亡、死亡全体、心筋梗塞のどれにもはっきりした差がなかった。著者は「現時点では、飽和脂肪酸を減らすことを推奨できない」としています(著者の1人は、低糖質食品の会社の株式を持っていると申告しています)
  • 米国の22万人を最長33年追った研究(2025年):バターをいちばん多くとる人は、いちばん少ない人より死亡が15%多く、植物油(べに花・大豆・とうもろこし・なたね・オリーブ油)をいちばん多くとる人は16%少なかった。1日10gのバターを同じ量の植物油に置き換えると、死亡が17%少ない計算になった。ただし、これは観察研究で、バターを多く使う人のほかの生活習慣の影響を完全には取り除けません
  • オリーブ油の研究のまとめ(2022年):追跡研究など27件で、オリーブ油を1日25g多くとるごとに、心臓や血管の病気が16%、死亡が11%少なかった(がんとは関連なし)

WHOは2023年に、飽和脂肪酸についてのガイドラインを出しています。

飽和脂肪酸を減らすとき、何に置き換えるか(WHO 2023年ガイドライン)WHOは、飽和脂肪酸を総エネルギーの10%までに減らし、その分を多価不飽和脂肪酸(強い推奨)、植物由来の一価不飽和脂肪酸(条件付き)、食物繊維を含む炭水化物(条件付き)に置き換えるよう推奨している。精製した炭水化物に置き換えた研究では効果がはっきりしないとWHOは説明している。飽和脂肪酸を減らす総エネルギーの10%まで(日本の目標は7%以下)減らした分を、何で置き換えるか多価不飽和脂肪酸大豆油・なたね油・魚など強い推奨植物由来の一価不飽和脂肪酸オリーブ油・なたね油など条件付きの推奨食物繊維を含む炭水化物全粒穀物・野菜・果物・豆条件付きの推奨精製した炭水化物砂糖や精製した穀物など。効果がはっきりしない推奨に入っていない出典:WHO「Saturated fatty acid and trans-fatty acid intake for adults and children」(2023)

WHOは、飽和脂肪酸を減らした分を何で置き換えるかが大事だとしています。精製した炭水化物に置き換えた研究や、置き換えたものが分からない研究では、飽和脂肪酸を減らした効果がはっきりしない、と説明しています。

日本人では話が少し違う:脳卒中の研究

日本人を対象にした追跡研究では、欧米と違う結果が出ています。

研究 人数 飽和脂肪酸をいちばん多くとる人(いちばん少ない人とくらべて)
JACC研究(2010年) 40〜79歳の約5万8千人、約14年 脳卒中による死亡が31%少なかった。脳出血・脳梗塞も少なかった。心臓の病気による死亡とは関連なし
JPHC研究(2013年) 45〜74歳の約8万2千人 脳卒中が23%少なく、脳出血は39%少なかった。一方、心筋梗塞は多い傾向(1.39倍。主に男性)
日本と海外の研究のまとめ(2018年) 日本の研究と海外の研究を分けて解析 日本の研究では、飽和脂肪酸が多いと脳出血が45%、脳梗塞が18%少なかった。海外の研究では関連がなかった

日本人は欧米人より飽和脂肪酸をとる量が少ないため、「少なすぎる人」でリスクが出ている可能性があります。ただし、観察研究なので、飽和脂肪酸そのものの影響か、肉や乳製品からとれるたんぱく質などの影響かは分けられていません。まとめた研究の著者も、日本人での介入試験が必要だとしています。

日本の食事摂取基準(2025年版)は、18歳以上の飽和脂肪酸の目標量を総エネルギーの7%以下としています。農林水産省が国民健康・栄養調査(2023年)から計算した日本人(20歳以上)の平均は約8.3%で、平均では目標を少し上回っています。

つまり、日本人にとっては「動物性の脂をゼロに近づける」ことではなく、とりすぎている分を植物油や魚に置き換えることが、国の目標にも研究の結果にも合う方向です。

トランス脂肪酸:いまはバター・牛脂のほうが多い

トランス脂肪酸は、心臓病のリスクを上げる脂肪酸です。できかたが2つあります。

  • 工業的にできるもの:植物油を固めるための「部分水素添加」でできる。マーガリン・ショートニングなどに含まれてきた
  • 天然のもの:牛や羊などの胃の中で、微生物の働きでできる。牛肉・牛乳・バター・チーズに含まれる

油脂100gに含まれるトランス脂肪酸(農林水産省の調査の中央値)牛脂2.7g、バター1.9g、ラード1.0g(平成18・19年度調査)。マーガリン0.65g、植物性油脂0.64g、ショートニング0.61g、ファットスプレッド0.48g(令和4・5年度調査)。いまは動物性の油脂のほうがトランス脂肪酸が多い。動物性(牛などの胃で自然にできる)植物油・加工油脂牛脂2.7gH18・19年度・1点バター1.9gH18・19年度・13点ラード1gH18・19年度・3点マーガリン0.65gR4・5年度・60点植物性油脂0.64gR4・5年度・60点ショートニング0.61gR4・5年度・12点ファットスプレッド0.48gR4・5年度・60点出典:農林水産省 トランス脂肪酸の含有実態調査(中央値。牛脂は1点のみ)

日本では、食品会社が工業的なトランス脂肪酸を減らしてきた結果、いまのマーガリン(中央値0.65g/100g)は、バター(1.9g、2006〜07年度の調査)より少ないという結果になっています。なお、バター・牛脂・ラードの数字は2006〜07年度の調査で、その後は調べられていません。

天然のトランス脂肪酸について、追跡研究のまとめ(2011年)では心臓病との関連は見られませんでしたが、臨床試験を集めた研究(2022年)では、天然のものも工業的なものもLDLコレステロールなどを上げる、とされています。WHOは、天然のものも含めてトランス脂肪酸を総エネルギーの1%までに減らし、さらに少なくするよう推奨しています。

日本人のトランス脂肪酸の平均摂取量は総エネルギーの約0.3%と少なく、食品安全委員会は「通常の食生活では健康への影響は小さい」と評価しています。

食べ物のコレステロール

コレステロールは、動物性の油にだけ含まれます(バター100gで210mg、ラード・牛脂で100mg)。

  • 日本の食事摂取基準(2025年版)は、健康な人のコレステロールの目標量を決めていません。ただし、脂質異常症の人は、重症化を防ぐために1日200mg未満にとどめることが望ましいとしています
  • 米国心臓協会(2020年)は、観察研究では食事のコレステロールと心臓・血管の病気の関連は一般的にはっきりしないが、介入試験の多くでは、平均より多くとると血液のコレステロールが上がる、とまとめています

バター10g(大さじ1弱)のコレステロールは約21mgです。

加熱と酸化:植物油の弱点

多価不飽和脂肪酸は、二重結合が多いため、熱や光、空気で酸化しやすい性質があります。高い温度で長く加熱すると、アクロレインや4-ヒドロキシノネナールなどのアルデヒドができることが分かっています(どれだけできるかは、油の種類・温度・加熱時間で変わります)。

  • 飽和脂肪酸が多いバター・ラード・牛脂は、酸化しにくいのが利点です
  • 植物油の中でも、オレイン酸(一価不飽和)が多いなたね油・オリーブ油・高オレイン酸タイプのひまわり油は、リノール酸が多い油より酸化しにくい性質があります
  • えごま油・あまに油は、n-3系が約6割と最も酸化しやすい油です。ニップンのアマニ油の販売ページにも「熱に弱いため、加熱調理にはお使いにならないでください」と書かれています
  • どの油でも、何度も使い回した揚げ油や、開けてから時間がたった油は劣化が進みます。植物油の劣化と国の基準は植物油脂の記事で説明しています

魚の油:動物性でも別もの

魚100gに含まれるEPA+DHA魚100gに含まれるEPAとDHAの合計は、くろまぐろのとろ4.6g、さんま3.7g、ぶり2.6g、まさば1.7g、まいわし1.7g、しろさけ0.7g。バター・ラード・牛脂と、えごま油・あまに油を含む植物油には、EPAとDHAは含まれない。くろまぐろ(とろ)4.6gさんま3.7gぶり2.6gまさば1.7gまいわし1.6gしろさけ0.7gバター・ラード・牛脂0g(EPA・DHAは含まれない)植物油(えごま油も)0g(EPA・DHAは含まれない)魚はいずれも生。出典:日本食品標準成分表(八訂)増補2023年 脂肪酸成分表

EPA・DHAは、バター・ラード・牛脂にも、えごま油・あまに油を含む植物油にも含まれません。えごま油などのα-リノレン酸は体内で一部がEPA・DHAに変わりますが、魚からとるのがいちばん直接的です。

  • 日本の食事摂取基準(2025年版)は、n-3系脂肪酸を「体内で作れない必須脂肪酸」とし、目安量を決めています(例:18〜29歳で男性2.2g、女性1.7g/日)
  • EPA・DHAのサプリメントについては、13の試験(約12万7千人)をまとめた研究(2019年)で心筋梗塞などがわずかに少なかった(8%など)一方、多価不飽和脂肪酸全体を増やす試験をまとめたコクラン(2018年)では、死亡全体への影響はほとんどない、とされています。サプリメントより、まず魚を食べることがどの研究とも矛盾しません

ふだん使うならどっち?

ここまでをまとめると、ふだんの料理の油は、植物油が基本です。ただし「植物油なら何でもよい」「動物性はゼロに」ではありません。

使いみち 向いている油 理由
炒め物・焼き物 なたね油・オリーブ油・米油 飽和脂肪酸が少なく、オレイン酸が多め(比較的酸化しにくい)
揚げ物 なたね油・米油・高オレイン酸タイプのひまわり油 同上。使い回しは少なめに
ドレッシング・かける オリーブ油(エキストラバージン)・えごま油・あまに油 えごま油・あまに油はn-3系が多いが熱に弱いので、加熱しない
パン・お菓子の風味づけ バター(量を決めて少し) 風味はバターならでは。飽和脂肪酸・コレステロールが多いので「毎日たっぷり」は避ける
動物性の脂をとるなら 魚(さば・いわし・さんま・ぶり・さけなど) 動物性の中で唯一、EPA・DHAが多い
避けたいもの 何度も使い回した揚げ油、古くなった油 酸化が進んでいる

ポイント

  1. 「植物か動物か」より「飽和脂肪酸が多いか」で見る。ココナッツ油・パーム油は植物でも飽和脂肪酸が多い
  2. バター・ラードは「なくす」より「量を決めて風味に使う」。日本人の研究では、飽和脂肪酸が少なすぎることにも注意信号がある
  3. 動物性の脂は、肉より魚から。EPA・DHAがとれる
  4. 油の量そのものにも注意。脂質のエネルギーの目標は総エネルギーの20〜30%ですが、2023年の調査では男性の約37%、女性の約46%がこれを超えています
  5. 加工食品の「植物油脂」は、中身が分からない。パーム油が多いこともあります(植物油脂の記事)

ふだん使いの油と、魚の缶詰(楽天市場)

原材料が1つだけ(油そのもの・魚だけ)の商品を選びました。価格は2026年9月30日に楽天市場の販売ページで確認したものです(1点だけ買った場合の送料込みの合計。送料・価格は変わることがあります)。

平田産業 国産なたねサラダ油 アルチェネロ 有機エキストラバージンオリーブオイル ドルチェ 三和油脂 まいにちのこめ油
原材料名 食用なたね油(国産なたね) 有機食用オリーブ油 食用こめ油
内容量 910g 250ml 900g
価格(送料込み) 2,180円 2,153円 1,649円
この記事で選んだ理由 なたね油は、成分表の油で飽和脂肪酸がいちばん少ない(7.1g)。圧搾法で搾った国産なたね オリーブ油は100g中74gが一価不飽和脂肪酸(主にオレイン酸)。有機JAS。ウラヨミで紹介しているアルチェネロのパスタと同じブランド 飽和脂肪酸は18.8gと植物油では多めだが、一価不飽和(39.8g)と n-6系(32.1g)が近い量。国産の米ぬかが原料
購入 楽天市場で見る(海洋深層水のアコール) PR 楽天市場で見る(楽天24) PR 楽天市場で見る(楽天24) PR
ニップン アマニ油 Umios さば水煮 食塩不使用
原材料名 アマニ さば(国産)
内容量 186g 190g×3缶
価格(送料込み) 2,085円 1,520円
この記事で選んだ理由 100g中57gがn-3系(α-リノレン酸)。販売ページに「加熱調理にはお使いにならないでください」とあるので、サラダやスープにかけて使う 魚の脂のEPA・DHAを、原材料がさばだけの缶詰で。食塩も加えていない
購入 楽天市場で見る(楽天24) PR 楽天市場で見る(ベイシア) PR

ご注意 ここで紹介した商品は、特定の病気を防いだり治したりするものではありません。油はどれも1gあたり約9kcalで、どの油でも使いすぎればエネルギーのとりすぎになります。

ウラヨミの考え方

  • 植物油も動物性の油も、「体に良い油」「体に悪い油」と一言では決められません。違いは脂肪酸の中身です
  • 飽和脂肪酸の多い油がLDLコレステロールを上げることは、人の試験で確かです。国もWHOも、飽和脂肪酸を減らしすぎない範囲で、植物油や魚の油に置き換えることをすすめています
  • 日本人の研究では、飽和脂肪酸が少なすぎることにも注意信号があります。バターやラードをゼロにする必要はありません
  • 植物油の弱点は酸化です。新しい油を使い、使い回しを減らし、えごま油・あまに油は加熱しない。これは研究とも国の基準とも合う、すぐできる工夫です

まとめ

  • 植物油と動物性の油の違いは、脂肪酸の中身。植物油の多くは飽和脂肪酸が1〜2割、バター・ラード・牛脂は4〜5割
  • 例外:ココナッツ油・パーム油は植物でも飽和脂肪酸が多く、魚の油は動物でもn-3系(EPA・DHA)が多い
  • バターをオリーブ油などの植物油に替えると、LDLコレステロールが下がる(人の試験)。飽和脂肪酸を減らすと心臓・血管の病気が減る、という試験のまとめもある
  • 日本人の研究では、飽和脂肪酸が多い人で脳卒中が少なかった。日本の目標は7%以下で、平均は約8.3%。減らしすぎず、とりすぎを置き換える
  • トランス脂肪酸は、いまの日本ではマーガリンよりバター・牛脂のほうが多い
  • ふだん使いは、なたね油・オリーブ油・米油などを基本に、バターは風味づけに少し、動物性の脂は魚から

関連:植物油脂の記事(加工食品の「植物油脂」の中身と、植物油は体に悪いという説の検証)/油と認知症・うつ病の記事

参考にした資料

※この記事は、特定の食品や油の健康効果をうたうものではありません。脂質異常症などで食事の指導を受けている方は、医師や管理栄養士にご相談ください。

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.09.30)。