ラベルの読み方日本と海外の違い説の検証確認日 2026.10.01

ごまは体にいい? セサミンの研究、アレルギー表示、輸入ごまの残留農薬を国の資料と論文で確かめる

PR この記事には、楽天市場のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

ごまは「カルシウムが多い」「セサミンで若返る」「すりごまにしないと吸収されない」など、体によいという話がとても多い食べものです。一方で、ごまは食物アレルギーの原因にもなり、日本で使うごまのほとんどは輸入です。

この記事では、次のことを国の資料と論文で確かめます。

  • いりごま・すりごま・練りごま・むきごまは、成分がどう違うのか
  • セサミン・セサミノールとは何か。人で調べた研究では、何が分かっているのか
  • ごまのアレルギー表示は、日本・米国・EU でどう違うのか
  • 日本はどこからごまを買っていて、輸入のときにどんな違反が見つかっているのか

結論

  • ごまは100g当たり脂質が約54g、カルシウムが1,200mg(いりごま)あります。ただし、皮をむいた「むきごま」はカルシウムが62mgしかなく、練りごまは590mgです(食品成分表)。ふだん使う量は10g前後なので、実際にとる量はその10分の1です
  • セサミンなどのごまのリグナンについて、人での試験をまとめたメタアナリシス(複数の研究を統計でまとめた研究)では、血圧・コレステロール・血糖が下がったという結果が多く出ています。ただし、試験ごとの結果のばらつきがとても大きく、研究の確かさの評価は「低い」〜「非常に低い」とされたものがあります
  • 日本では、ごまのアレルギー表示は「推奨」(義務ではない)です。米国は2023年1月から表示が義務の9番目の主要アレルゲンになり、EU も表示を義務にしています。日本では2026年4月にカシューナッツが義務に、ピスタチオが推奨に加わりましたが、ごまは推奨のままです
  • 日本はごまの種を年に約19万トン輸入しています(2025年)。いちばん多いのはナイジェリアで、アフリカの国から約9割です。国内の収穫量は約27トン(2024年産)で、輸入量のおよそ7,000分の1です
  • 輸入のときの検査では、2021年4月から2026年9月までに、ごまの種で63件の食品衛生法違反がありました。残留農薬が41件、カビ毒(アフラトキシン)が22件です。違反した貨物は、廃棄・積み戻しなどで国内には出回らないしくみです

この記事で紹介しているもの

記事の中で、論点に合わせて次のものを紹介しています(楽天市場のリンクと、メーカー公式ショップへの通常のリンクです)。

こんな人に 紹介しているもの 場所
原料の産地が分かるいりごまを選びたい 有機白ごまいりごま(金ごま本舗。原料はパラグアイ・ボリビアの有機ごまと公式サイトで公開) 産地を公開しているごまを選ぶ
いりごまとすりごまを同じメーカーで比べたい カタギ食品 有機いりごま・すりごま 選べる4袋セット いり・すり・練りを試すなら
原材料がごまだけの練りごまを使いたい カタギ食品 有機ねりごま白 いり・すり・練りを試すなら
食べる直前にごまをすりたい 京セラ セラミック 胡麻ミル いり・すり・練りを試すなら

ごまの成分:いりごま・すりごま・練りごまのちがい

4種類の成分を比べる

文部科学省の「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」には、ごまが4種類のっています。成分表の説明では、それぞれ次のようなものです。

  • 乾:市販の「洗いごま」(黒ごまと白ごま)
  • いり:「乾」を焙煎(煎る)したもの
  • むき:白ごまを水につけて種皮(皮)を取り、水洗いして乾かしたもの
  • ねり:皮をむいた白ごま、または皮つきのごまを焙煎し、すりつぶしたもの
100g当たり 乾 いり むき ねり
エネルギー 604kcal 605kcal 570kcal 646kcal
たんぱく質 19.8g 20.3g 19.3g 19.0g
脂質 53.8g 54.2g 54.9g 61.0g
食物繊維 10.8g 12.6g 13.0g 11.2g
カルシウム 1,200mg 1,200mg 62mg 590mg
鉄 9.6mg 9.9mg 6.0mg 5.8mg
マグネシウム 370mg 360mg 340mg 340mg
ビタミンB1 0.95mg 0.49mg 1.25mg 0.32mg
ビタミンE(αトコフェロール) 0.1mg 0.1mg 0.1mg 0.1mg
ビタミンE(γトコフェロール) 22.0mg 23.0mg 32.0mg 29.0mg

(日本食品標準成分表(八訂)増補2023年。食品番号 05017・05018・05019・05042)

ごま100g当たりのカルシウム(mg)右の数字は同じ100g当たりの鉄(mg)。日本食品標準成分表(八訂)増補202304008001,200鉄ごま 乾(洗いごま)皮つきごま 乾(洗いごま):カルシウム 1,200mg1,2009.6ごま いり皮つき・煎ったものごま いり:カルシウム 1,200mg1,2009.9ごま ねり皮むき/皮つきを煎ってすりつぶすごま ねり:カルシウム 590mg5905.8ごま むき水につけて皮を取ったものごま むき:カルシウム 62mg626.0いりごま10g(大さじ1杯ほど)なら、この10分の1(カルシウム120mg)。食品番号 05017・05018・05042・05019

表から分かることは、次の3つです。

  • カルシウムは、皮をむくと大きく減ります。 皮つきの乾・いりは1,200mgですが、むきごまは62mgです。練りごまは、皮をむいたものと皮つきのものの両方があり、590mgです
  • 煎ると、ビタミンB1が減ります。 乾の0.95mgが、いりでは0.49mgです
  • ごまのビタミンEは、ほとんどがγ(ガンマ)トコフェロールです。αトコフェロールは0.1mgしかありません

ごまは100gのうち半分以上が脂質なので、エネルギーも多くなります。いりごま10g(大さじ1杯ほど。成分表では100mlが65g)で約60kcalです。この記事で紹介する有機白ごまいりごま(金ごま本舗)のラベルでは、10g当たり66.6kcal、脂質5.72gと表示されています。成分表の値と商品の値は、原料や作り方で少しずつ違います。

ごま油は、100gのほぼすべてが脂質です(890kcal)。カルシウムはほとんど入っていません(1mg)。油どうしの比べ方は植物油と動物性の油の記事で書いています。

すりごまは成分表にない

「すりごま」は成分表にはのっていません。成分表の説明には、ごまは「煎ってそのまま、あるいは擂りつぶして料理に用いられる」と書かれています。すりごまは、いりごまをすりつぶしたものなので、100g当たりの成分はいりごまとほぼ同じと考えられます(成分表に値がないので、ウラヨミの推定です)。

「ごまは粒のままだと消化されずに出てしまうので、すってから食べるほうがよい」という話もよく見かけます。ただ、いりごまとすりごまを人で食べ比べて、栄養の吸収を比べた研究は、今回調べた資料の中にはありませんでした。試験管の中で消化をまねた研究(Chen 2019)では、焙煎したごまの粕からリグナン(後で説明します)が出てくる量を調べていますが、人の体でどれだけ吸収されるかを確かめたものではありません。

いり・すり・練りを試すなら

原材料名が「有機ごま」だけのものから選びました。

セサミン・セサミノールとは

ごまには、リグナンと呼ばれる成分のなかまが入っています。代表的なものがセサミンとセサモリンです。

  • 総説(Wei 2022)によると、種子に含まれる量の平均は、セサミンが1g当たり2.48mg(1.11〜9.41mg)、セサモリンが1.72mg(0.20〜3.35mg)です。リグナン全体の量は黒ごまで多く(1g当たり3.56〜12.76mg)、白ごまは2.83〜5.66mgと報告されています
  • セサミノールやセサモールは、生の種子には少ししかありません。ごまを圧搾したり加熱したりすると、セサミンやセサモリンが変化してできます。とくに、酸性の条件(ごま油を酸性白土という土で脱色するときなど)では、セサモリンがセサミノールに変わりやすいとされています
  • 焙煎した原料を熱をかけて搾ったごま油は、冷たいまま搾った油や精製した油より、セサモール・セサミン・リグナン全体が多いと報告されています

リグナンの量は、品種・産地・天候・育て方で大きく変わります。商品の袋にセサミンの量が書かれていることはほとんどないので、ふつうのごまを食べたときにどれだけとっているかは、正確には分かりません。

セサミンは体にいい? 人での研究

メタアナリシスで分かったこと

ごまやセサミンを人に食べてもらう試験(ランダム化比較試験など)は、いくつも行われています。それらをまとめたメタアナリシスの主なものを並べます。

研究 対象 与えたもの 結果 研究の確かさ
Khalesi 2016 対照のある試験10本 ごま(種子・油など) 中性脂肪は下がった。総コレステロール・LDLコレステロールは差がはっきりしなかった 試験ごとのばらつきが非常に大きい(I²=84〜96%)
Khosravi-Boroujeni 2017 試験8本・843人 ごま 上の血圧が7.83mmHg、下の血圧が5.83mmHg下がった。質の高い4本だけでは、上の血圧3.23mmHg、下の血圧は差がはっきりしなかった ばらつきが非常に大きい(I²=98〜99%)
Sun 2022 ランダム化比較試験7本・212人 セサミンのサプリメント(28〜60日) 総コレステロール10.9mg/dL、LDLコレステロール8.4mg/dL、上の血圧3.7mmHgが下がった。下の血圧・中性脂肪・体重は差がはっきりしなかった 期間が短く、人数が少ない
Yargholi 2021 ランダム化比較試験8本・382人(主に2型糖尿病の人) ごま油・ごま・セサミン(6〜12週間) 空腹時血糖28.2mg/dL、HbA1c 1.00%が下がった。インスリンは差がはっきりしなかった GRADE(確かさの評価)で「低い」
Mardani 2025 試験6本・465人(血圧が高めの人・高血圧の人) ごまのカプセル・ごま油(1日60mg〜35g) 血圧・体重・総コレステロール・中性脂肪が下がった。LDLコレステロールは差がはっきりしなかった 6本のうち5本が質「低」。GRADE ですべて「非常に低い」

ほかにも、糖尿病の人を対象に、ごまやごま油で血糖・脂質が下がったとするメタアナリシスが5本あります(Sohouli 2022、Atefi 2022、Ramírez-Coronel 2023、Vajdi 2024、Jafari 2025)。

読むときの注意

結果だけを見ると「ごまは血圧・コレステロール・血糖を下げる」と言いたくなりますが、次の点に気をつける必要があります。

  • 試験ごとの結果のばらつきがとても大きい(I²が90%を超えるものが多い)。同じ「ごま」でも、量・形(種・油・サプリ)・期間・対象者がばらばらだからです
  • 最も新しいまとめ(Mardani 2025)では、研究の確かさが「非常に低い」と判定されています。著者は、試験の多くが小規模で、血圧の薬を飲んでいる人が含まれていたり、目隠し(どちらを食べたか分からないようにする工夫)がなかったりしたことを挙げています
  • 試験で使われた量は、1日数十グラムのごま油や、セサミンのサプリなど、ふだんの食事より多いものがあります
  • 対象は、主に糖尿病や高血圧などの人です。健康な人がごまを食べ続けて病気が減ったかを調べた研究ではありません
  • セサミンの体内での動きを調べた試験(Tomimori 2013、健康な48人、セサミンとエピセサミン1日50mgを28日間)では、重い有害事象はなかったと報告されています。この論文の著者は、セサミンのサプリメントを販売するサントリーウエルネスの研究所の所属です

ごまを食べる量とセサミンの量

先ほどの平均値(種子1g当たりセサミン2.48mg)を使うと、ごま10gに含まれるセサミンは約25mgです(幅は約11〜94mg。ウラヨミの計算)。サプリメントの試験の多くは1日200mg未満(Sun 2022 で7本中4本)だったので、ごまを料理に使う量でとれるセサミンは、試験の量より少ないことが多いと考えられます。白ごまはリグナンが少なめという報告もあるので、量はさらに変わります。

機能性表示食品のセサミン

日本には機能性表示食品という制度があります。消費者庁の説明では、事業者が食品の安全性と機能性の科学的根拠などを販売前に消費者庁長官に届け出れば、機能性を表示できる制度で、特定保健用食品(トクホ)と異なり、国は審査を行いません。

消費者庁の届出データベースで「セサミン」を検索すると、8件の届出がありました(2026年10月1日。うち4件は販売休止中)。届け出ているのは3社で、

  • ごま油(セサミン・セサモリン):LDLコレステロールに関する表示
  • 錠剤・カプセル(セサミン類とほかの成分の組み合わせ):疲労感や睡眠に関する表示

の2種類に分かれます。届け出た内容(根拠の論文など)は、データベースで誰でも見られます。消費者庁は、公表されている届出内容を超えた広告をうのみにしないよう呼びかけています。

ごまアレルギーの表示:日本・米国・EU

日本:ごまの表示は「推奨」

日本の食品表示では、アレルギーの原因になる食品を2つに分けています(消費者庁「加工食品の食物アレルギー表示ハンドブック」令和8年4月版)。

区分 決めているもの 品目 表示
特定原材料(9品目) 食品表示基準(内閣府令) えび・カシューナッツ・かに・くるみ・小麦・そば・卵・乳・落花生 義務
特定原材料に準ずるもの(20品目) 消費者庁次長の通知 アーモンド・あわび・いか・いくら・オレンジ・キウイフルーツ・牛肉・ごま・さけ・さば・大豆・鶏肉・バナナ・ピスタチオ・豚肉・マカダミアナッツ・もも・やまいも・りんご・ゼラチン 推奨(任意)

ごまは「特定原材料に準ずるもの」です。つまり、ごまを使っていても、表示をしなくても違反にはなりません。ごまのアレルギーがある人は、アレルギー表示の欄だけでなく、原材料名そのものを確かめる必要があります。

表示の対象になる「ごま」の範囲は、次のとおりです(同ハンドブック)。

  • ゴマ科ゴマ属のもの。白ごま・黒ごま・金ごまはすべて対象
  • ごま油、練りごま、すりゴマ、切り胡麻、ゴマペーストなどの加工品も対象
  • エゴマ(荏胡麻)やトウゴマ(唐胡麻)は対象外(別の植物)

また、ごまを原材料に使っていなくても、同じ工場の製造ラインで混ざる可能性があるときは、「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています」のような注意喚起の表示が推奨されています。一方、「入っているかもしれない」といった、ただの可能性の表示は認められていません。この記事で紹介する有機白ごまいりごま(金ごま本舗)のパッケージにも「本品加工工場では小麦、落花生を含む製品を加工しています」と書かれています。

2026年4月の見直し

消費者庁は、およそ3年ごとの全国の実態調査の結果をもとに、表示の対象を見直しています。

時期 見直しの内容
2023年3月 くるみを特定原材料(義務)に追加
2024年3月 マカダミアナッツを推奨に追加、まつたけを推奨から削除
2026年4月1日 カシューナッツを特定原材料(義務)に追加(2年間の経過措置あり)。ピスタチオを推奨に追加

(消費者庁 食物アレルギー表示に関する情報、令和8年4月1日事務連絡)

ごまは、2026年10月1日時点でも「推奨」のままです。

日本のごまアレルギーの患者数

消費者庁が委託した全国調査(2023年1〜12月に報告された症例。令和6年度の報告書)では、食べて60分以内に症状が出て病院にかかった「即時型」の食物アレルギー6,033例のうち、ごまが原因だったのは25例(0.4%)でした。意識が遠くなるなどのショック症状が出た586例のうち、ごまは1例(0.2%)です。

原因 即時型 6,033例 ショック 586例
鶏卵 1,609(26.7%) 136(23.2%)
くるみ 916(15.2%) 86(14.7%)
牛乳 807(13.4%) 95(16.2%)
カシューナッツ 279(4.6%) 37(6.3%)
ごま 25(0.4%) 1(0.2%)

(消費者庁「令和6年度 食物アレルギーに関連する食品表示に関する調査研究事業 報告書」表7。一部の品目を抜き出しています)

日本の調査では、ごまは上位の品目と比べると少ない原因です。この数字が、日本でごまが「推奨」にとどまっている背景にあります。

米国:2023年から9番目の主要アレルゲン

米国では、2021年4月23日にFASTER法(食物アレルギーの安全・治療・教育・研究法)が成立し、それまでの8品目(牛乳・卵・魚・甲殻類・木の実・ピーナッツ・小麦・大豆)にごまが9番目の主要アレルゲンとして加わりました。2023年1月1日以降に流通する包装食品と栄養補助食品(サプリメント)では、ごまの表示が義務です。

米食品医薬品局(FDA)は、法律が施行されたあとにレシピを変えたメーカーがあり、以前は入っていなかった少量のごまを含む食品が出てきたと説明しています。米国で売られている食品でも、前に食べて大丈夫だった商品の表示をあらためて確かめる必要があります。

米国の人口を代表する約7万9千人の調査(Warren 2019)では、ごまのアレルギーがあると答えた人は0.49%、そのうち症状などから確かなアレルギーと判定された人は0.23%でした。確かなアレルギーの人の約3人に1人(33.7%)が、エピネフリン(アドレナリン)の自己注射を使ったことがあると答えています。

EU:表示は義務

EU では、食品表示の規則(Regulation (EU) No 1169/2011)の付属書IIで、表示しなければならない14のアレルゲンを決めていて、その11番目が「ごまの種とその製品」です。

  • 原材料名の中で、アレルゲンの名前を書体・スタイル・背景色などで目立たせることが求められています
  • 包装されていない食品(量り売りや飲食店)でも、アレルゲンの情報を伝えることは義務です

消費者庁のハンドブックの比較表では、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド、スイスも、ごまの表示を義務にしています。

ごまの表示 始まり・根拠
日本 推奨(任意) 消費者庁次長通知「特定原材料に準ずるもの」
米国 義務 FASTER法(2021年成立、2023年1月1日から)
EU 義務 Regulation (EU) No 1169/2011 付属書II
カナダ・豪州・NZ・スイス 義務 消費者庁ハンドブックの比較表

ごまのアレルギーは、子どものうちに自然に治る人が20〜30%ほどで、大人になっても続くことが多いとされています(Adatia 2017)。ピーナッツや木の実のアレルギーと一緒に持っている人も多く、Warren 2019 では、確かなごまアレルギーの人の46.9%がピーナッツ、33.7%が木の実のアレルギーも持っていました。

ごまの自給率と輸入先

日本で使うごまのほとんどは輸入です。財務省の貿易統計で、ごまの種(統計品目番号1207.40)の輸入を調べました。

ごまの種の輸入先(2025年・トン)合計 18万6,483トン(金額 452.8億円)。黄色はこの記事で紹介するいりごまの原料の産地ナイジェリアナイジェリア:59,135トン(31.7%)59,135(31.7%)タンザニアタンザニア:31,905トン(17.1%)31,905(17.1%)ブルキナファソブルキナファソ:26,390トン(14.2%)26,390(14.2%)トーゴトーゴ:14,309トン(7.7%)14,309(7.7%)モザンビークモザンビーク:11,092トン(5.9%)11,092(5.9%)ニジェールニジェール:9,170トン(4.9%)9,170(4.9%)パラグアイパラグアイ:7,994トン(4.3%)7,994(4.3%)エチオピアエチオピア:5,749トン(3.1%)5,749(3.1%)ボリビアボリビア:3,331トン(1.8%)3,331(1.8%)その他 21か国その他 21か国:17,408トン(9.3%)17,408(9.3%)出典:財務省貿易統計(品別国別表・輸入・2025年1〜12月、統計品目番号1207.40-000)参考:国内の収穫量は2024年産で約27トン(日本特産農産物協会の調査)。2024年の輸入量19万3,281トンの約7,000分の1

  • 2025年の輸入量は18万6,483トン(金額452.8億円)。輸入先は30か国です(数量が0トンの国を含む)
  • 1位はナイジェリア(5万9,135トン、31.7%)、2位タンザニア、3位ブルキナファソで、アフリカの国が合計で約89%を占めます
  • 南米(パラグアイ・ボリビア・ブラジル・アルゼンチン)は合計1万2,204トン(6.5%)、中国からは585トンでした
年 輸入量 ナイジェリア タンザニア ブルキナファソ パラグアイ ボリビア
2015年 18万4,706トン 5万5,753 3万6,034 2万6,429 1万4,201 2,016
2020年 20万4,864トン 7万6,208 1万8,296 2万5,925 1万5,019 2,087
2024年 19万3,281トン 7万9,729 1万9,424 2万1,558 9,809 2,666
2025年 18万6,483トン 5万9,135 3万1,905 2万6,390 7,994 3,331

(財務省貿易統計 品別国別表。単位はトン)

国内の生産はとても少なく、公益財団法人日本特産農産物協会の調査(都道府県の協力で集計)では、2024年産のごまの収穫量は全国で約27トン(26,991.9kg、442戸)でした。いちばん多いのは鹿児島県(9,349kg。喜界町・伊仙町など)です。

ごまの公式の「自給率」は、今回調べた範囲では国の資料に見つかりませんでした。2024年の数字で計算すると、国内の収穫量は輸入量の約7,000分の1(約0.014%)です(ウラヨミの計算)。「国産ごまは0.1%」と書かれたページもありますが、この調査の数字ではそれよりさらに小さくなります。

輸入ごまの残留農薬とカビ毒

輸入のときの検査のしくみ

輸入される食品は、検疫所で食品衛生法にもとづいて検査されます。違反事例の一覧には、検査の種類として次の3つが出てきます(厚生労働省の資料から)。

  • モニタリング検査:検疫所が行う検査
  • 検査命令:違反が見つかって、同じ違反のおそれが高いと判断された食品について、輸入の届出ごとに全部のロットの検査を輸入者に義務づけるもの
  • 自主検査:輸入者が自分で行う検査
日本で使うごまのほとんどは輸入で、検疫所で食品衛生法にもとづいて検査される流れの図。ごまの種の輸入は2025年に18万6,483トンで、1位はナイジェリア(31.7%)、アフリカの国が合計で約89%、国内の収穫量は約27トン(2024年産)。検疫所の検査には、検疫所が行うモニタリング検査、同じ違反のおそれが高い食品に全部のロットの検査を義務づける検査命令、輸入者が行う自主検査がある。違反は2021年4月から2026年9月までに、ごまの種で63件(残留農薬41件、アフラトキシン22件)あり、廃棄・積み戻し・ほかの国への輸出などで日本の市場には出回らない。問題がなかったものは国内で煎るなどの加工をして店に並び、原材料名の「(国内製造)」は産地ではない。検査命令の例は、タンザニア産のイミダクロプリド(2021年10月から、2026年2月にクロルピリホスを追加)、モザンビーク産のカルバリル(2023年8月から)、ブルキナファソ産・ナイジェリア産のアフラトキシン(2024年6月から)。
図:輸入ごまは検疫所で検査され、違反したものは国内に出回らない(押すと拡大)

違反事例の数

厚生労働省は、輸入のときに違反になった食品を「輸入時における輸入食品違反事例」として公表しています。2021年度から2026年度(9月まで)の一覧から、品名が「ごまの種子」の行を数えました。

輸入時の検査で違反になった「ごまの種」(件)残留農薬が基準を超えたカビ毒(アフラトキシン)が10µg/kgを超えた051015202021年度2021年度 残留農薬 1件2021年度 アフラトキシン 0件1(農薬1・カビ毒0)2022年度2022年度 残留農薬 3件2022年度 アフラトキシン 3件6(農薬3・カビ毒3)2023年度2023年度 残留農薬 9件2023年度 アフラトキシン 2件11(農薬9・カビ毒2)2024年度2024年度 残留農薬 12件2024年度 アフラトキシン 10件22(農薬12・カビ毒10)2025年度2025年度 残留農薬 15件2025年度 アフラトキシン 1件16(農薬15・カビ毒1)2026年度4〜9月2026年度 残留農薬 1件2026年度 アフラトキシン 6件7(農薬1・カビ毒6)出典:厚生労働省「輸入時における輸入食品違反事例」(令和3〜8年度)から、品名が「ごまの種子」の行を数えた

  • 合計63件のうち、残留農薬が41件、カビ毒のアフラトキシンが22件でした
  • 残留農薬は、基準を超えた農薬が見つかったもの。アフラトキシンは、カビがつくる毒で、日本では総アフラトキシンが10µg/kg(1kgに100万分の10グラム)を超えると違反です
  • 2024年度は22件と多く、その約半分がアフラトキシンでした

どの国の、どんな違反か

生産国 件数 主な内容
モザンビーク 22 殺虫剤のカルバリル、チアメトキサム
タンザニア 17 殺虫剤のイミダクロプリド、クロルピリホス(ほかにアフラトキシン1件)
ナイジェリア 8 アフラトキシン7件、イミダクロプリド1件
ブルキナファソ 6 アフラトキシン
パキスタン 4 アフラトキシン3件、クロルピリホス1件
マリ・ニジェール・コートジボワール・トーゴ・中国 各1 アフラトキシン
ボリビア 1 除草剤のハロキシホップ(隣の農場からの飛散と推測)
パラグアイ 0 —

(厚生労働省「輸入時における輸入食品違反事例」令和3〜8年度から集計)

  • 見つかった量は、たとえばカルバリルが0.02〜0.14ppm(基準は0.01ppm)、イミダクロプリドが0.06〜0.29ppm(基準は0.05ppm)でした
  • 違反の原因として、輸入者の報告には「近くの農場からの飛散(ドリフト)」「一部の農家での農薬の使用」「アフラトキシンの偏在(一部の粒に集中してつくこと)」「乾燥が不十分」などが書かれています
  • 違反をきっかけに、タンザニア産(イミダクロプリド、2021年10月から。2026年2月にクロルピリホスを追加)、モザンビーク産(カルバリル、2023年8月から)、ブルキナファソ産・ナイジェリア産(アフラトキシン、2024年6月から)のごまの種に検査命令がかけられました。検査命令は、条件を満たすと解除されることがあり、ナイジェリア産のアフラトキシンは2026年7月にあらためて検査命令の対象になっています

ごまの種のほかにも、練りごま(中国産、2023年度、アフラトキシン13µg/kg)や、ごまだれ味の即席めん(中国産、2025年度、アフラトキシン96µg/kg)などの加工品で違反がありました。

違反したごまはどうなるか

違反した貨物は、廃棄、積み戻し(輸出した国へ返す)、ほかの国への輸出などの措置がとられ、日本の市場には出回りません。今回数えた63件でも、措置は「第三国輸出」「積み戻し」「廃棄、積み戻し等を指示(全量保管)」でした。

厚生労働省は、2023年8月にモザンビーク産ごまに検査命令をかけたときの発表で、カルバリルが0.02ppm残っていたごまを体重60kgの人が毎日21.9kg食べ続けても、一生涯の平均的な摂取量が許容一日摂取量(毎日一生とり続けても健康に影響がないとされる量)を超えることはなく、「健康に及ぼす影響はありません」と説明しています。基準値は、健康への影響が出る量よりかなり低いところに決められているためです。

ただし、検査命令は「全部のロットの検査」を義務づけるしくみなので、裏を返すと、検査命令がかかっていない国のごまは、すべての貨物が検査されるわけではありません。違反の件数が0件であることは、農薬がまったく残っていないことを意味するわけではありません。

海外の例:EU とインド産ごまのエチレンオキシド

EU では、2020年9月にインド産のごまの種から、エチレンオキシドという物質が、EU の基準値(0.05mg/kg)の1,000倍を超える濃度で見つかりました。エチレンオキシドは EU で農薬として認められておらず、遺伝子を傷つける性質・発がん性・生殖毒性がある物質に分類されています。EU は2020年10月の規則(Implementing Regulation (EU) 2020/1540)で、インド産ごまの種について、国境での残留農薬の検査の頻度を50%に引き上げました。

日本のごまの輸入でインド産はわずか(2025年は34トン)ですが、ごまの種が国際的に残留物質の監視対象になっている例です。輸入ごまの残留農薬の考え方は、ポストハーベストの記事や野菜と農薬のデータベースもあわせてどうぞ。

産地を公開しているごまを選ぶ

裏面の原材料名だけでは、ごまの産地は分からないことが多いです(次の「ラベルの読み方」で説明します)。産地を気にするなら、メーカーが原料の産地を公開しているものや、有機JASのものを選ぶ方法があります。

有機JASマークは、「農薬や化学肥料などの化学物質に頼らないことを基本として自然界の力で生産された食品」に付けられるマークで、登録認証機関の検査で認証された事業者だけが付けられます。マークのない農産物や加工食品に「有機」「オーガニック」と表示することは法律で禁止されています(農林水産省)。ただし、有機栽培でも、上の違反事例にあるように、隣の畑からの飛散などで農薬が混ざることはありえます。

ラベルの読み方

ごまやごまを使った食品の裏面では、次の点を見ると分かることが増えます。

見るところ 分かること 注意
原材料名「ごま」「有機ごま」 何が入っているか 「白ごま」「黒ごま」「金ごま」もすべて同じゴマ属
原材料名の( )の中 原料の産地、または加工した国 「(国内製造)」は日本で煎るなどの加工をしたという意味で、ごまの産地ではない
アレルギー表示「(一部にごまを含む)」 ごまを使っているか 日本では表示は推奨なので、書かれていないこともある。原材料名も見る
「本品製造工場では…」 同じ工場で扱っている食品 原材料には使っていないが、混ざる可能性がある
有機JASマーク 有機の基準で作り、認証を受けたか 農薬が「ゼロ」という保証ではない

「(国内製造)」は、いちばん多い原材料が、ごまを煎ったものなどの加工品のときに、その加工をした場所を書くルールによるものです(食品表示基準の原料原産地表示)。有機白ごまいりごま(金ごま本舗)の原材料名も「有機白ごま(国内製造)」で、ごまの産地はパラグアイ・ボリビアです。添加物を使っていないことを表の言葉で強調する表示については、「無添加」表示のルールの記事で書いています。

まとめ

論点 分かったこと もっと知りたい・買うなら
成分 いりごまは100g当たり脂質54.2g・カルシウム1,200mg。むきごまはカルシウム62mg、練りごまは590mg。煎るとビタミンB1が減る いり・すり・練りを試すなら
すりごま 成分表に値はなく、いりごまとほぼ同じと推定。人で吸収を比べた研究は見つからなかった 京セラ セラミック 胡麻ミル
セサミンの研究 メタアナリシスでは血圧・コレステロール・血糖が下がった結果が多いが、ばらつきが大きく、確かさは「低い」〜「非常に低い」 機能性表示食品は事業者の責任で届け出たもの
アレルギー表示 日本は推奨、米国(2023年〜)と EU は義務。日本の即時型の症例ではごまは0.4% 原材料名で確かめる
輸入 2025年は18万6,483トン、ナイジェリアが31.7%、アフリカで約89%。国内は約27トン —
残留農薬・カビ毒 2021年4月〜2026年9月にごまの種で63件(農薬41・アフラトキシン22)。違反品は国内に出回らない 産地を公開しているごまを選ぶ

ごまは、少量で脂質やミネラルがとれる食べものですが、「食べれば血圧やコレステロールが下がる」とまで言える確かな根拠は、今のところそろっていません。一方で、ごまのアレルギーがある人にとっては、日本の表示が「推奨」にとどまっていることが大事な点です。産地や作り方が気になる人は、原料の産地を公開しているもの、有機JASのものを選ぶのが現実的です。

参考にした資料

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.01)。