English
ラベルの読み方日本と海外の違い健康と病気確認日 2026.10.19

人工甘味料は腸内細菌に悪い? 血糖値・下痢の仕組みとエリスリトール・最新ADI評価

PR この記事には、A8.net のアフィリエイト広告のリンク(生協の宅配の資料請求)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

カロリーゼロの飲料やプロテインバー、低糖質スイーツを手に取ったとき、「人工甘味料は腸内細菌を減らす」「カロリーゼロなのに血糖値が上がる」「エリスリトールで血栓リスクが上がる」といったニュースを目にして迷うことがあります。

一方で、欧州食品安全機関(EFSA)が2024〜2026年に公表した最新の再評価では、サッカリンやアセスルファムKの一日摂取許容量(ADI)はむしろ従来より引き上げられ、スクラロースのADIも維持されました。なぜ「腸内細菌や血糖値に影響する」という研究と、「安全基準(ADI)は維持・引き上げ」という公的機関の結論が同時に存在するのでしょうか。

この記事では、

  • 人工甘味料と腸内細菌・血糖値をめぐる代表的なヒト臨床試験(2014年・2022年)で何がわかったのか
  • なぜ「腸内細菌が変わる」という試験と「まったく変わらない」という試験に分かれるのか
  • エリスリトールやキシリトールなどの糖アルコールでおなかがゆるくなる仕組みと、2023〜2024年の心血管リスク論文への公的機関の評価
  • 2023〜2026年にかけてEFSAやJECFAが更新した最新のADI(一日摂取許容量)と、日常での選び方

を、査読済み論文と国内外の評価機関(食品安全委員会・EFSA・JECFA・米国FDA)の一次資料をもとに整理します。

結論:甘味料が「大腸まで届くか」と「小袋のブドウ糖」で結果が分かれます

  • すべての甘味料が腸内細菌に触れるわけではありません。 アスパルテームは小腸上部でアミノ酸等に分解され、アセスルファムKやエリスリトール(約90%)も小腸で吸収されるため、大腸の腸内細菌までそのまま届くのはスクラロースやサッカリン、未吸収分の糖アルコールなどに限られます
  • 2022年のCell誌の臨床試験(健康な成人120人・2週間)では、4種の甘味料の「市販の小袋」すべてで腸内細菌叢が変化し、サッカリンとスクラロースの群では血糖応答が上昇しました。サッカリン群では摂取をやめて1週間後のフォローアップで有意差がなくなっていますが、長期の影響は調べられていません。また、賦形剤(ブドウ糖)を含まない純粋なカプセルを使った別の二重盲検試験では、腸内細菌も血糖値も変化しなかったと報告されています
  • エリスリトールなどの糖アルコールは、一度に多く摂ると浸透圧でおなかに水を引き込み下痢を起こします。EFSAは2023年、この下痢を防ぐ基準としてエリスリトールに体重1kgあたり1日0.5gのADIを新設しました(体重60kgなら1日30g)
  • 2024〜2026年のEFSA再評価では、これらのヒト試験も含めて精査した結果、サッカリンのADIは5→9mg/kg体重/日へ、アセスルファムKは9→15mg/kg体重/日へ引き上げられ、スクラロースは15mg/kg体重/日を維持(ただし焼き菓子への用途拡大は、焼成で塩素化合物ができる可能性の不確かさから結論保留)と結論づけられています
人工甘味料の小袋、エリスリトールの白い結晶、ステビアの葉、そして腸内細菌叢のバランスと血糖応答をイメージしたイラスト
甘味料は種類によって「小腸で分解・吸収されるもの」と「大腸の腸内細菌まで届くもの」に分かれます

そもそも甘味料は大腸まで届くのか?(体内動態の違い)

「人工甘味料が腸内細菌に作用する」という話を読み解くには、まず口から入った甘味料が消化管のどこで吸収・分解されるか(体内動態:ADME)を見る必要があります。腸内細菌の大部分(約9割以上)は大腸に棲んでいるため、小腸までに消えてしまう物質は大腸の菌叢に直接触れにくいからです。

甘味料 小腸での吸収・分解 大腸(腸内細菌)への到達 主な排泄経路
アスパルテーム 小腸上部で消化酵素によりL-フェニルアラニン、L-アスパラギン酸、少量のメタノールへ速やかに完全分解される ほぼ届かない(アスパルテームの形では残らない) 通常の食品由来のアミノ酸と同様に代謝・利用される
アセスルファムK 小腸から速やかにほぼ100%吸収され、体内で代謝されない ほとんど届かない 24時間以内に99%以上がそのまま尿中へ排泄
サッカリンNa 小腸から約85〜95%が吸収される 残り約5〜15%が大腸へ到達 吸収分は代謝されず尿中へ、未吸収分は便中へ排泄
スクラロース 小腸での吸収は約15%程度にとどまる 約85%がそのまま大腸を通過 大半が未変化体のまま便中へ排泄される
ステビア(ステビオール配糖体) 胃や小腸の消化酵素では分解されない ほぼ100%が大腸へ到達し、腸内細菌(バクテロイデス属など)が糖を切り離して「ステビオール」にする ステビオールが吸収され、肝臓でグルクロン酸抱合されて尿・便へ排泄
エリスリトール(糖アルコール) 分子が小さく(炭素数4)、小腸で約90%が受動拡散で吸収される 約10%が大腸へ到達(ただし大腸菌叢にはほとんど発酵されない) 吸収された約90%は代謝されずそのまま尿中へ排泄
キシリトール・ソルビトール・マルチトール 小腸での吸収は20〜50%程度と遅い 50〜80%が大腸へ到達し、腸内細菌によって発酵されて短鎖脂肪酸やガスになる 一部は肝臓で代謝、未吸収分は大腸で発酵・浸透圧作用を示す

このように、「甘味料」とひとくくりにされていても、アスパルテームやアセスルファムKは大腸にほとんど届かない一方、スクラロースやステビア、多くの糖アルコールは大腸を通過するというはっきりした違いがあります。大腸に届いた難消化性糖質や配糖体が腸内細菌によってどのように加水分解・発酵され、短鎖脂肪酸(酢酸・プロピオン酸・酪酸)やガスに変換されるかの全体像は、欧州の腸内細菌・栄養学の総説(Rowlandら, European Journal of Nutrition 2018, PMID: 28393285)でも詳しく整理されています。

なぜヒト試験で「血糖値が上がる」と「変わらない」に分かれるのか

主要な甘味料の腸内細菌試験と最新ADIの図。サッカリンとスクラロースは2022年Cell試験の小袋群で血糖応答や菌叢が変化したが、純粋なカプセル試験では変化なし。ADIはサッカリン9mg/kg(EFSA 2024)、スクラロース15mg/kg(EFSA 2026、焼き菓子への拡大は保留)、アスパルテーム40mg/kg、アセスルファムK15mg/kg(EFSA 2025)、エリスリトール0.5g/kg(EFSA 2023)。EFSAは有害影響を特定していない
図:主要な甘味料のヒト腸内細菌試験(Suez 2022等)の知見と、2023〜2026年のEFSA最新ADI評価(押すと拡大)

きっかけになった2つの研究(2014年 Nature・2022年 Cell)

「人工甘味料が腸内細菌を介して血糖値を上げやすくする(耐糖能を低下させる)」という議論の出発点になったのは、イスラエル・ワイツマン科学研究所のEran Elinav・Jotham Suezらの研究チームによる2つの論文です。

  1. 2014年の Nature 論文(PMID: 25231862): マウスに高用量のサッカリン・スクラロース・アスパルテームを混ぜた水を与えると、腸内細菌叢が変化して食後の血糖値が上がりやすくなったと報告しました。同じ論文で、普段人工甘味料を摂らない健康な成人7人にサッカリンをADI上限(体重1kgあたり5mg)まで6日間摂ってもらったところ、7人中4人(レスポンダー)で血糖応答が悪化し、残り3人(ノンレスポンダー)では変化しなかったとしています。
  2. 2022年の Cell 論文(PMID: 35987213): 2014年の研究は「人数が7人と少なく対照群がない」と指摘されたため、同チームは普段甘味料をまったく摂らない健康な成人120人を6グループ(各20人:サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、ステビア、賦形剤のブドウ糖のみ、何も摂らない群)に分ける2週間のランダム化比較試験(RCT)を実施しました。
    • 摂取量は市販の小袋(サシェ)を使い、1日あたりサッカリン180mg、スクラロース102mg、アスパルテーム240mg、ステビア180mg(いずれもADIより十分低い量)とされました。
    • 結果として、4種の甘味料はいずれも便と口の中の細菌叢を変化させ、サッカリン群とスクラロース群の2つで食後の血糖応答(ブドウ糖負荷試験の曲線下面積)が有意に上昇しました。アスパルテーム群とステビア群では血糖応答の有意な悪化は見られませんでした。
    • さらに、血糖応答が大きく変化した被験者の便を無菌マウスに移植するとマウスでも同じ傾向が再現されました。一方、EFSA の整理によると、サッカリン群では摂取をやめて1週間後(フォローアップの終わり)には統計的な有意差がなくなっていました。なお、この試験は参加者が甘味料の種類を知っている非盲検の試験(EFSA は open-label と記載)で、期間も2週間と短いものです。

反対に「変化なし」と報告したヒト臨床試験

ところが、別の研究機関が行ったランダム化比較試験(RCT)では、異なる結果が出ています。

研究(発表年) 対象・試験デザイン 投与した甘味料と形態 結果
Serranoら(2021, Microbiome, PMID: 33431052) 健康な成人46人(プラセボ・サッカリン・ラクチゾール・併用の4群)・2週間の二重盲検プラセボ対照RCT 純粋なサッカリンカプセル(ADI上限、400mg/日、賦形剤のブドウ糖なし) 腸内細菌叢の多様性・組成、短鎖脂肪酸、耐糖能(血糖・ホルモン応答)のいずれも変化なし
Ahmadら(2020, Nutrients, PMID: 33171964) 健康な成人17人(18〜45歳)・各2週間の二重盲検クロスオーバーRCT(副次評価項目の報告) アスパルテーム(425mg/日=ADIの14%)およびスクラロース(136mg/日=ADIの20%) 腸内細菌叢の主要菌群・菌叢構造・便中の短鎖脂肪酸に差なし(著者の1人に甘味料を扱う企業主催の講演の謝礼あり)
Thomsonら(2019, British Journal of Nutrition, PMID: 31258108) 健康な成人男性34人・7日間の二重盲検RCT 純粋なスクラロースカプセル(780mg/日) 血糖コントロール・インスリン抵抗性、腸内細菌叢(門レベル)に変化なし

なぜ結果が食い違うのか? 3つの理由

試験の設計を比べると、結果が割れる理由として次の3点が考えられます。

  1. 「市販の小袋(ブドウ糖96%+甘味料4%)」か「純粋なカプセル」かの違い: 卓上用の人工甘味料の小袋(1袋1g)は、甘味料そのものが数ミリグラムしかなく、かさ増しのために中身の約95〜96%がブドウ糖やマルトデキストリンで作られています。Suezら(2022)ではこの市販小袋(1日計5〜6gのブドウ糖を含む)を溶かして飲んでおり、対照として「ブドウ糖5gだけを摂る群」は置いたものの、「ブドウ糖と高感度甘味料を同時に毎日複数回摂る条件」になっていました。一方、ブドウ糖を含まない純粋なカプセルで投与したSerranoら(2021)やThomsonら(2019)では変化が見られていません。
  2. もともとの腸内細菌叢の個人差(レスポンダーとノンレスポンダー): Suezらの試験でも、同じ量の甘味料を摂って血糖値が上がりやすくなった人(トップ・レスポンダー)と、ほとんど変わらなかった人(ボトム・レスポンダー)に分かれました。普段の食物繊維の摂取量やベースラインの菌叢構成によって反応が異なります。
  3. 一時的な適応反応か、病的な変化かの違い: EFSAは2024年のサッカリン再評価(EFSA Journal 2024;22:e9044)でSuezら(2022)を含むヒト試験を検討し、Suezらでは血糖応答の上昇がみられた一方、ほかの複数の試験では影響がなかったと整理しました。そのうえで「血糖・インスリン」の項目では有害な影響は特定されない(ただし根拠の確かさは「低い」)とし、長期のヒト試験がないことが主な不確かさだと述べています。ADI は動物試験の体重減少をもとに決められました。

糖アルコール(エリスリトール・キシリトール等)と腸・血管の最新評価

プロテインバーや「糖類ゼロ」のチョコレート、のど飴、ガムでよく使われるのが、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール(還元麦芽糖水飴)といった糖アルコールです。

なぜ「一度に食べるとおなかがゆるくなる」のか

糖アルコールは砂糖に比べて小腸での吸収が遅いため、吸収しきれなかった分が大腸へ進みます。すると大腸内の浸透圧が高まり、濃度を薄めようとして腸壁から水分が引き込まれる(浸透圧性の下痢)とともに、腸内細菌が発酵して炭酸ガスやメタンガスを発生させ、おなかの張り(膨満感)につながります。

ただし、糖アルコールの中でもおなかのゆるくなりやすさには大きな差があります。

糖アルコール 小腸での吸収率 大腸での発酵 おなかがゆるくなりにくい目安量(成人単回) 特徴
エリスリトール 約90% ほとんど発酵されない 体重1kgあたり約0.5〜0.66g(体重60kgで約30〜40g) 糖アルコールの中で最もおなかがゆるくなりにくく、カロリーは0kcal/g
キシリトール 約50% 発酵される 体重1kgあたり約0.3〜0.4g(1回20g前後、1日30〜40gまで) ガムやタブレットに多い。犬には少量でも急激な低血糖・肝障害を起こすため厳禁
D-ソルビトール 約20〜40% 発酵される 体重1kgあたり約0.15〜0.25g(1回10g前後から個人差) プルーンや梨にも天然に含まれる。保湿・やわらかさ維持で惣菜や菓子にも使われる
マルチトール 約40% 発酵される 体重1kgあたり約0.3g(1回15〜20g前後) 「糖類ゼロ」チョコレートや低糖質焼き菓子の主原料になりやすい

2023年EFSAによるエリスリトールのADI新設(0.5g/kg体重/日)

エリスリトールはこれまでJECFAなどで「ADIを特定しない(安全性が高いため上限を設けない)」とされてきました。しかしEFSAは2023年12月の再評価(EFSA Journal 2023;21:e8430)で、「浸透圧性の下痢による水分・電解質バランスの乱れ」を防ぐ観点から、初めて数値としてのADI「体重1kgあたり1日0.5g」を設定しました。

  • 体重60kgの大人なら1日30g、体重20kgの子どもなら1日10gにあたります。
  • EFSAは、摂取量の推計(過大評価としつつ)が子ども・10代の多く食べる人ではADIを上回るとし、多く摂る人はおなかの不調が起きるおそれがあると述べています。また、EUで糖アルコールを10%を超えて加えた食品に義務づけられている「摂りすぎるとおなかがゆるくなることがあります」の表示について、エリスリトールを対象外にしてほしいという申請を認めませんでした。

2023〜2024年の「エリスリトール・キシリトールと血栓リスク」論文はどう評価されたか

2023年2月に米国クリーブランド・クリニックのWitkowski・Hazenらの研究チームが Nature Medicine(PMID: 36849732)で「血中のエリスリトール濃度が高い人ほど心筋梗塞や脳卒中のリスクが高く、血小板が固まりやすくなる」と発表し、2024年6月には European Heart Journal(PMID: 38842092)でキシリトールについても同様の報告を行いました。

この2つの論文に対して、EFSA(2023年12月評価書)や専門機関は以下の重要な注意点を指摘しています。

  1. 人間は食事で摂らなくても、体内でエリスリトールを合成している(内因性合成): 実は人間の体は、ブドウ糖を代謝する「ペントースリン酸経路(PPP)」という仕組みを通じて、エリスリトールを体内で自然に作り出しています。高血糖や酸化ストレス、肥満、腎機能低下がある人ほど体内でエリスリトールが多く作られるため、観察研究(もともと心臓病リスクが高い高齢者層の空腹時血液)で見つかった高いエリスリトール濃度は、「食品から摂った量」ではなく「もともと代謝異常があった結果(バイオマーカー)」を見ている可能性が高いと指摘されています。
  2. 因果関係は確立されていない: EFSAは2023年の再評価でWitkowskiらの論文を審査し、「食事からのエリスリトール摂取と心血管疾患との因果関係は、いまある研究では示されていない」としたうえで、「関連の性質を明らかにするにはさらに研究が役立つ」と述べています。なお Witkowski らの試験では、エリスリトール30gを含む飲み物を飲んだ直後に血中濃度が大きく上がっています。一度に大量(30gなど)をとらず、ADI(1日0.5g/kg体重)の範囲で分けてとるのは、少なくともおなかの面からは理にかなっています。

2024〜2026年の最新国際再評価(EFSA・JECFA)まとめ

ここ数年で、長年据え置かれていた甘味料のADI(一日摂取許容量)が相次いで見直されました。最新の数値をまとめると次のとおりです。

甘味料 旧ADI(欧州SCF等) 最新のADI(EFSA・JECFA) 改定年・評価のポイント
サッカリン(E954) 5 mg/kg体重/日 9 mg/kg体重/日(引き上げ) EFSA 2024年11月改定。 旧ADIの根拠だった雄ラットの膀胱腫瘍は「雄ラット特有で人には当てはまらない」という科学的合意があるとし、動物試験の体重減少をもとに設定(旧ADI 5mgはサッカリンNaとしての値で、遊離体では3.8mg)
アセスルファムK(E950) 9 mg/kg体重/日 15 mg/kg体重/日(引き上げ) EFSA 2025年4月改定。 ラットの慢性毒性・発がん性試験で有害影響のなかった最高用量をもとに、JECFAや日本と同じ15 mg/kg体重/日へ
スクラロース(E955) 15 mg/kg体重/日 15 mg/kg体重/日(維持) EFSA 2026年2月再評価。 現在認められている用途・使用量では安全性の懸念なし。ただし焼き菓子(ファインベーカリー)への用途拡大は、さまざまな焼成条件で塩素化合物ができる可能性の不確かさから、安全性を結論できないとした
アスパルテーム(E951) 40 mg/kg体重/日 40 mg/kg体重/日(維持) JECFA 2023年7月再評価。 同時にIARCは「ヒトに対して発がん性がある可能性がある(グループ2B)」に分類したが、JECFAはADIを変えなかった。WHOによれば体重70kgの大人で1日に飲料(1缶200〜300mg)9〜14缶以上に相当。日本の令和元年度調査の推定摂取量は1日0.06mg程度で、ADIの0.01%未満
エリスリトール(E968) 特定せず 0.5 g(500 mg)/kg体重/日(新設) EFSA 2023年12月新設。 浸透圧性の下痢を防ぐ無毒性量(NOAEL)をもとに設定

基本的な表示ルールや「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の基準については、人工甘味料・甘味料は体に悪い? 「カロリーゼロ」「糖類ゼロ」の中身と日本と海外のルールおよび砂糖・甘味料の種類と違いもあわせてご覧ください。

日常での選び方と付き合い方のヒント

研究データと国際評価を踏まえると、「人工甘味料を1滴でも避けるべきか、いくらでも摂ってよいか」という二択ではなく、次の3つの視点で選ぶのが実用的です。

  1. おなかが張りやすい・ゆるくなりやすい人は「糖アルコールの種類と量」を見る: 低糖質チョコやグミを食べておなかがゴロゴロする場合は、人工甘味料(ミリグラム単位)よりも、グラム単位で入っているソルビトール、マルチトール、キシリトールが原因であるケースが大半です。糖アルコールの中では小腸で約90%吸収されるエリスリトールのほうが負担が少なく、それでも1回15〜20g以下に抑えると安心です。
  2. 高温のオーブン料理・焼き菓子にスクラロースを使うかは慎重に: 2026年のEFSA評価では、焼き菓子への用途拡大について、焼成で塩素化合物ができる可能性の不確かさから安全性を結論できないとされました。家庭の焼き菓子には砂糖やみりん、または熱に強いエリスリトール・ラカンカなどを選ぶ方法があります。
  3. 「小袋を何袋も入れる習慣」より、甘さへの慣れを少しずつ下げる: 2022年のCell試験で変化が出たのは、ブドウ糖ベースの小袋を毎日複数回摂り続けたケースでした。またWHOは2023年のガイドラインで、体重管理のために非糖質系甘味料を使わないよう条件付きで推奨し、幼いころから食事全体の甘さを減らすことを勧めています。無糖の炭酸水やお茶と組み合わせながら「たまに楽しむ」距離感が無理がありません。

裏面の表示だけでは分からないところを、売り手が自分の基準で絞って選んでいる宅配もあります。

主な出典・参考資料

  • Suez J, et al. Artificial sweeteners induce glucose intolerance by altering the gut microbiota. Nature. 2014;514(7521):181-186. (PMID: 25231862)
  • Suez J, et al. Personalized microbiome-driven effects of non-nutritive sweeteners on human glucose tolerance. Cell. 2022;185(18):3307-3328.e19. (PMID: 35987213)
  • Serrano J, et al. High-dose saccharin supplementation does not induce gut microbiota changes or glucose intolerance in healthy humans and mice. Microbiome. 2021;9(1):11. (PMID: 33431052)
  • Ahmad SY, Friel J, Mackay D. The Effects of Non-Nutritive Artificial Sweeteners, Aspartame and Sucralose, on the Gut Microbiome in Healthy Adults: Secondary Outcomes of a Randomized Double-Blinded Crossover Clinical Trial. Nutrients. 2020;12(11):3408. (PMID: 33171964)
  • Thomson P, et al. Short-term impact of sucralose consumption on the metabolic response and gut microbiome of healthy adults. British Journal of Nutrition. 2019;122(8):856-862. (PMID: 31258108)
  • Witkowski M, et al. The artificial sweetener erythritol and cardiovascular event risk. Nature Medicine. 2023;29(3):710-718. (PMID: 36849732)
  • Witkowski M, et al. Xylitol is prothrombotic and associated with cardiovascular risk. European Heart Journal. 2024;45(27):2439-2452. (PMID: 38842092)
  • EFSA Panel on Food Additives and Flavourings (FAF). Re-evaluation of erythritol (E 968) as a food additive. EFSA Journal. 2023;21(12):e8430.
  • EFSA FAF Panel. Re-evaluation of saccharin and its sodium, potassium and calcium salts (E 954) as food additives. EFSA Journal. 2024;22(11):e9044.
  • EFSA FAF Panel. Re-evaluation of acesulfame K (E 950) as food additive. EFSA Journal. 2025;23(4):e9317.
  • EFSA FAF Panel. Re-evaluation of sucralose (E 955) as a food additive and evaluation of a new application on extension of use of sucralose (E 955) in fine bakery wares. EFSA Journal. 2026;24(2):e9854. (doi: 10.2903/j.efsa.2026.9854)
  • Rowland I, et al. Gut microbiota functions: metabolism of nutrients and other food components. European Journal of Nutrition. 2018;57(1):1-24. (PMID: 28393285 / PMC5847071)
  • WHO. Use of non-sugar sweeteners: WHO guideline. 2023年5月.
  • WHO・IARC・JECFA「アスパルテームの発がん性ハザードとリスク評価の結果」2023年7月14日発表
  • 内閣府食品安全委員会「アスパルテームに関するQ&A」および添加物評価書各種
  • 厚生労働省「令和元年度マーケットバスケット方式による甘味料の摂取量調査の結果について」(https://www.mhlw.go.jp/content/000920072.pdf)および国立医薬品食品衛生研究所(NIHS)「食品安全情報(化学物質)」

この記事に関係する商品の裏面 PR

ウラヨミで原材料名を読んだ商品のうち、原材料や種類がこの記事の話題に関係するものです。おすすめや安全性の判定ではありません。店のボタンは広告リンクです。価格は確認日時点の参考価格です。

よくある質問

人工甘味料は腸内細菌に悪い? 血糖値・下痢の仕組みとエリスリトール・最新ADI評価の結論・要点は?
人工甘味料で腸内細菌や血糖値が乱れるかは甘味料の消化経路と賦形剤(ブドウ糖)の有無で結果が分かれます。サッカリン(ADI 9mg/kg)やエリスリトール(0.5g/kg)の最新国際評価を整理します。
そもそも甘味料は大腸まで届くのか?(体内動態の違い)についてはどうなっていますか?
「人工甘味料が腸内細菌に作用する」という話を読み解くには、まず口から入った甘味料が消化管のどこで吸収・分解されるか(体内動態:ADME)を見る必要があります。腸内細菌の大部分(約9割以上)は大腸に棲んでいるため、小腸までに消えてしまう物質は大腸の菌叢に直接触れにくいからです。
なぜヒト試験で「血糖値が上がる」と「変わらない」に分かれるのかについてはどうなっていますか?
「人工甘味料が腸内細菌を介して血糖値を上げやすくする(耐糖能を低下させる)」という議論の出発点になったのは、イスラエル・ワイツマン科学研究所のEran Elinav・Jotham Suezらの研究チームによる2つの論文です。
糖アルコール(エリスリトール・キシリトール等)と腸・血管の最新評価についてはどうなっていますか?
プロテインバーや「糖類ゼロ」のチョコレート、のど飴、ガムでよく使われるのが、エリスリトール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール(還元麦芽糖水飴)といった糖アルコールです。

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.19)。