English
ラベルの読み方日本と海外の違い説の検証確認日 2026.10.03

オーガニックは体にいい? 栄養価・残留農薬・がんの研究を論文で検証。どこから替えるか・費用まで

PR この記事には、楽天市場・Amazon・Yahoo!ショッピング・A8.net のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」など)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、公的機関の資料と論文をもとにしています。

「オーガニックの野菜は栄養がある」「有機なら農薬はゼロ」「有機食品を食べるとがんが減る」。そう聞く一方で、「値段が高いだけで意味がない」という声もあります。

関心の高さは数字にも出ています。Google の検索候補(サジェスト)を2026年10月3日に集めると、オーガニック・有機に関する日本語の候補664種のうち、農薬に関するものが73、子ども・妊娠・離乳食に関するものが50ありました。英語では「オーツ麦 グリホサート」の組み合わせが9種類も出てきます。一方、農林水産省の調査(2025年、3,000人)では、「有機」「オーガニック」の栽培方法と表示のルールを正確に知っていた人は8.6%でした。

この記事では、

  • オーガニック(有機)の野菜は、栄養価が高いのか。味は違うのか
  • 有機なら残留農薬はゼロなのか。日本のふつうの野菜には、どれくらい農薬が残っているのか
  • 有機の食事に替えると、体の中の農薬は減るのか
  • 有機食品を食べる人は、がんが少ないのか
  • 妊娠中・離乳食・子どもは、有機にしたほうがいいのか
  • グリホサート(除草剤)とネオニコチノイド(殺虫剤)は、有機なら避けられるのか
  • 米国の「ダーティ・ダズン(残留農薬の多い12品目)」は信じていいのか
  • 有機ならではの注意点はあるのか
  • 替えるなら、どこから替えるか。費用はどれくらい増えるか

を、公的機関の検査データと論文で確かめます。研究は、種類(観察研究か、比べる試験か)、人数、期間、お金を出した団体まで書きます。

このシリーズは3本です。

結論

  • 「有機は栄養価が高い」は、研究で割れています。英国政府機関の資金のレビュー(2009年)と米国スタンフォード大学のレビュー(2012年)は「はっきりした差はない」、EU と有機推進の財団の資金のレビュー(2014年)は「抗酸化物質(ポリフェノール類)が多い」。一方で、たんぱく質は有機のほうが15%少ないという結果も同じ論文に出ています
  • 有機でも残留農薬はゼロではありません。EU の2024年の公式検査では、有機の試料の約8割は農薬が検出されず、約2割で何かが見つかりました(ふつうの食品を含む全体では約4割)。有機でいちばん多く見つかるのは、有機栽培で使ってよい「銅」です
  • 日本のふつうの食事からとっている農薬は、いちばん多いものでも ADI(一生毎日とっても健康への影響がないとされる量)の0.477%(2024年度)。約210分の1です。国産の農産物の検査で基準値を超えたのは、約109万件のうち14件でした
  • 有機の食事に替えると、尿の中の農薬は数日で減ります(減り方は25〜95%)。ただし、どの試験も十数人〜数十人・数日〜2週間で、病気が減るかを確かめた試験はまだありません
  • 「有機食品でがんが25%減る」は因果関係ではありません。フランスの観察研究(2018年)の数字で、絶対リスクの差は0.6ポイント。英国の62万人の研究では全体のがんに差がなく、同じフランスの研究チームの2026年の解析では、置き換え100gあたり2%低いという小さな差でした
  • グリホサートとネオニコチノイドは、有機JASでは使えない農薬です。ただ、グリホサートは尿の量が有機の食事でもあまり変わらなかった試験もあります。日本の国産農産物の検査で、見つかる割合がいちばん高い農薬はネオニコチノイド系のジノテフランでした(12.7%、基準値超えは0件)
  • 米国の「ダーティ・ダズン」は米国のデータで、作り方に批判もあります。日本の公的データでは、同じような「替える順番の品目リスト」は作れません
  • 替えるなら、研究で差が出やすいところから。皮ごと食べる果物・葉もの、毎日たくさん食べる主食や調味料、妊娠中・小さな子どもの食事、という考え方ができます。有機の野菜の値段は、ふつうの品の1.4〜1.9倍(2016年)でした

この記事で紹介しているもの

紹介しているもの どんなときに 記事の中の場所
有機JASのオートミール オーツ麦を、グリホサートを使わない有機で選びたいとき グリホサートは有機なら避けられる? 小麦とオーツ麦
有機JASのベビーフード 離乳食の材料を有機で選びたいとき ベビーフードの残留農薬
有機野菜の宅配・産直(Oisix・らでぃっしゅぼーや・坂ノ途中・コープ自然派・食べチョク) 近くの店で有機の野菜が見つからないとき どこで買う? 宅配と産直
有機JASの冷凍野菜 有機の野菜を常備しておきたいとき 費用はいくら増える? 有機の値段と「払ってもいい額」

「オーガニックは体にいい」というイメージはどこから来た?

健康を語ってきたのは「運動」で、「法律」は健康を約束していません。まずこの違いを押さえておくと、このあとの研究が読みやすくなります。

運動は「健康」を言ってきた

  • 英国の有機運動の団体 Soil Association(1946年創立)は、「土・植物・動物・人の健康は一体で分けられない」という考えを掲げてきた、と自らの沿革に書いています
  • 日本の有機農業の運動は、1971年10月の日本有機農業研究会の結成から始まります。同じ1971年に、DDT・BHC(有機塩素系の殺虫剤)の農薬登録が失効しました。1971年から72年にかけての厚生省の調査では、調べた母乳のすべてから β-BHC と DDT が見つかっています(環境白書 昭和47年版)

運動の始まりには、農薬による汚染への危機感がありました。くわしい歴史は オーガニックとは(基準と歴史)の記事 にまとめています。

法律は「作り方のルール」

決まり 書いてあること
日本の有機JAS(農林水産省の説明) 「有機JASは、栽培のルールを定めたものであり、出来上がった農産物の品質に関する基準ではありません」
米国の有機の規則(2000年の最終規則) 認証は「作り方の主張(process claim)であって、製品の主張(product claim)ではない」。有機が慣行のものより安全だと解釈してはならない
国際基準(Codex のガイドライン、1999年) 有機農業でも、環境全体の汚染があるので、残留物がまったくないことは保証できない

買う人は「健康」を期待している

調査 結果
日本(農林水産省、2025年、有機を買う人1,856人) 有機食品のイメージ:「安全である」約77%、「健康にいい」約74%(「そう思う」と「まあそう思う」の合計)
日本(農林水産省、2019年、1,099人) 有機食品を初めて食べたきっかけ:「自分や家族が病気にならないため」22.6%、「環境を守るため」7.6%
米国(Pew Research Center、2016年) 直近1か月に有機食品を買った人の76%が「より健康な食品を求めて」

期待されているのは「健康」なのに、制度が決めているのは「作り方」です。では、作り方の違いは、食べものの中身や体にどんな差を生むのでしょうか。ここからは研究で確かめます。

「オーガニックは意味ない」って本当? 栄養価と味を比べた研究

栄養価の差は「ある」とも「ない」とも言い切れません。同じ問いに答えた大きなレビューで、結論が割れているためです。

検索候補には「オーガニック 栄養価」「オーガニック 意味ない」が並びます。米国の調査(Pew、2016年)でも、「有機の果物・野菜はふつうのものより健康に良い」と答えた人は55%、「差はない」は41%と、意見が分かれています。

3つの大きなレビューで、結論が割れている

レビュー 調べた研究 結論 お金を出したところ・利益相反
Dangour ら 2009年(英国、Am J Clin Nutr) 1958〜2008年の162件(作物137・畜産物25)。品質が十分な55件で解析 「栄養の質に差があるという証拠はない」。有機は窒素が少なく(−6.7%)、リンが多い(+8.1%)。11項目のうち残りの8項目は差なし 英国食品基準庁(FSA)。著者は全員「利益相反なし」
Smith-Spangler ら 2012年(米国スタンフォード大学、Ann Intern Med) 人の研究17件と、食品の栄養・汚染の研究223件 「有機のほうが栄養が豊富だという強い証拠はない」 論文の資金欄は「なし」。訂正が2件
Barański ら 2014年(英国、Br J Nutr) 343件の論文 「抗酸化物質(ポリフェノール類)が多く、カドミウムが少なく、農薬が検出される頻度が低い」 EU の研究費と、有機農業の研究を支援する英国の財団(Sheepdrove Trust)。下で詳しく書きます

3本とも「有機と慣行(ふつうの栽培)で、作物の中身は違うか」という同じ問いに答えています。それでも結論が違うのは、どの研究を選び、どう重み付けして合わせたかが違うからです。

有機のほうが多い成分、少ない成分

いちばん「差がある」と言った Barański 2014 の数字を、多いものと少ないものの両方で並べます。

成分 有機の差(慣行と比べて) 読み方
フラバノン +69% ポリフェノールの一種
アントシアニン +51% 同上(色素)
フラボノール +50% 同上
スチルベン +28% 同上
フラボン +26% 同上
フェノール酸 +19% 同上
カロテノイド(合計) +17% 信頼区間 0〜34%
ビタミンC +6% 信頼区間 −3〜15%。割合の差では差があるとは言えないが、論文の別の解析では有意に多い
たんぱく質 −15% 信頼区間 −27〜−3%
アミノ酸 −11%
窒素 −10%
食物繊維 −8%

出典:Barański ら 2014(Br J Nutr 112:794)の本文。

  • たんぱく質が少ないのは、窒素肥料が少ないためと説明されています。Dangour 2009 でも、窒素は慣行のほうが多い結果でした
  • 「ポリフェノールが多い」ことと「食べると健康に良い」ことは別です。後者は論文の推論で、有機の食事で病気が減ったことを示したものではありません
  • 乳と肉では、別のレビュー(Średnicka-Tober ら 2016年、Barański と同じ研究グループ・同じ資金)が、有機の乳は n-3 脂肪酸が多いと報告しています。理由は放牧・牧草を多く食べさせること。EU 議会の報告(2016年)は、有機の乳・肉に替えても n-3 のとる量は4〜6%増える程度で、魚や菜種油などほかの方法もあると評価しています。一方で、有機の乳はヨウ素とセレンが少ないという結果も同じ論文にあり、同報告は「研究が少ないので慎重に解釈すべき」としています

「抗酸化物質が多い」研究の資金と利益相反

Barański 2014 は「有機は体にいい」の根拠としてよく引かれます。論文に書かれている資金と利益相反は次のとおりです。

  • 資金は EU の研究費と、有機・持続可能な農業の研究を支援する財団 Sheepdrove Trust。論文は「条件なしの資金で、研究内容に影響していない」と書いています
  • 最終著者は、ドイツに慣行の農地、ギリシャに有機の小さな農地を持っていると開示しています
  • 謝辞には、原稿を英国の有機推進団体 Soil Association の政策部長に読んでもらったと書かれています
  • 発表後には、「健康上の利益を根拠に有機を勧めるべきか」と疑問を投げかける投稿が同じ雑誌に載りました(Mulet 2014)

利益相反があるから結果が間違い、ということではありません。ただ、結論が割れている研究のうち、「差がある」側だけを引くのは偏りです。

硝酸塩・カドミウム・カビ毒は?

成分 分かっていること
硝酸塩 米国の小売店の調査(194試料)で、ほうれん草は慣行 2,797→有機 1,318mg/kg、ブロッコリーは 394→204 と有機が低め。ただしキャベツは 418→552 と逆。著者は「さらに研究が必要」と書いています(Nuñez de González 2015)
カドミウム Barański 2014 は「有機が低い(−48%)」と書きますが、信頼区間は −112〜16% と幅が大きい表記です。化学肥料のリン肥料にカドミウムが混じることが理由として挙げられています(EU 議会の報告)
カビ毒(マイコトキシン) 系統的レビューは見つかりませんでした。ノルウェーの穀物602試料の調査では有機が低い結果でしたが(Bernhoft 2012)、ほかの国に当てはまるかは分かりません

味は違う?

味を比べた大きな研究は、この記事の調査では見つかりませんでした。消費者の受け止めは次のとおりです。

  • 米国(Pew、2016年):有機の果物・野菜は「味が良い」32%、「同じ」59%、「悪い」5%
  • 日本(農林水産省、2025年、3,000人):有機食品を買うときに重視すること(最大3つ)は「おいしい」が約32%で、「安全」約31%、「安心」約29%、「健康」約27%と並んで上位でした

有機なら残留農薬はゼロ? 食品の中の農薬を比べる

有機でもゼロではありませんが、見つかる割合は、どのデータでも有機がいちばん低いです。

検索候補の「農薬」の組み合わせ73種には、「オーガニック 農薬使ってる」「有機栽培 無農薬 違い」が入っています。有機でも使ってよい農薬があることは、あまり知られていません。

残留農薬が「見つかった」割合:有機・特別栽培・慣行調べた試料・作物のうち、何らかの農薬が検出(定量)された割合(%)。基準値を超えた割合ではない慣行(全試料)特別栽培有機0%25%50%75%100%論文の統合(世界)Barański 2014論文の統合(世界) 慣行:46%慣行 46%論文の統合(世界) 有機:11%有機 11%EU の公式検査 2024年EFSA(定量できた試料)EU の公式検査 2024年 全試料(有機を含む):41.6%全試料(有機を含む) 41.6%EU の公式検査 2024年 有機:19.6%有機 19.6%東京都 2007年度国産の野菜・果実東京都 2007年度 慣行:64%慣行 64%東京都 2007年度 特別栽培:26%特別栽培 26%東京都 2007年度 有機:17%有機 17%東京都 2005年度国産の野菜・果実東京都 2005年度 慣行:48%慣行 48%東京都 2005年度 特別栽培:25%特別栽培 25%東京都 2005年度 有機:17%有機 17%Barański 2014 は世界の論文の統合(資金に有機推進の財団を含む)。EFSA は EU 各国の検査 86,449 試料のうち、有機と表示された 5,939 試料。東京都の調査は有機が18作物前後と少なく、統計的な比較はできないと年報自身が書いている。東京都の調査で有機から見つかった農薬(2007年度)は、すべて基準値以下だった。出典:Br J Nutr 2014;112:794、EFSA Journal 2026(2024年分の報告)、東京都健康安全研究センター年報 57号・59号。
出典:Barański ら 2014(Br J Nutr)、EFSA「2024年の EU の残留農薬報告」(2026年公表)、東京都健康安全研究センター年報 57号・59号(平成17年度・19年度)
データ 慣行(ふつうの栽培) 有機
論文の統合(Barański 2014) 46% で検出 11% で検出(約4分の1)
論文の統合(Smith-Spangler 2012) ― 検出される割合が30ポイント低い。基準値を超える割合の差は小さい
米国の3つのデータ(Baker 2002) ― 残留は慣行の約3分の1

有機でも約2割で何か見つかる(EU の公式検査)

欧州食品安全機関(EFSA)は、EU 各国の検査結果を毎年まとめています。2024年の分(2026年公表)では、86,449 試料のうち 5,939 試料(6.9%)が有機でした。

全試料(有機を含む) 有機の試料
農薬が検出されなかった 58.4% 80.4%
検出されたが基準値以下 38.3% 18.8%
基準値を超えた 3.3% 0.9%
そのうち違反とされた 1.8% 0.4%
  • 残留基準値は、有機にも慣行と同じものが使われます
  • 有機でいちばん多く見つかったのは銅で、小麦148試料、レンズ豆82試料、鶏卵72試料などで検出されました。銅は有機栽培で使ってよい農薬で、肥料や飼料にも使われます。このため、動物性の食品だけは、有機のほうが検出が多い結果でした
  • 次に多かったのはスピノサド(5.1%)で、これも有機で使ってよい殺虫剤です
  • 有機で使えない農薬も見つかっています(アセタミプリド 2.0%、ボスカリド 2.0%、フルジオキソニル 1.4%)。EFSA は理由として、周りの畑からの飛散(ドリフト)、流通・加工の途中での汚染、慣行の食品を有機と表示した誤表示の可能性を挙げています

米国農務省の2024年の検査(9,872試料、うち有機620試料)では、42.3%で残留が検出されず、99%超が基準値以下でした。基準値を超えた76試料のうち63(82.9%)は輸入品でした。

日本で有機・特別栽培・慣行を比べたデータ(東京都)

日本で、有機・特別栽培・慣行を同じ方法で比べた公的なデータは多くありません。見つかったのは、東京都健康安全研究センターが都内で買った国産の野菜・果実を調べた、2002〜2007年度の年報です。

年度 慣行 特別栽培 有機
2007年度(平成19年度) 64%(22作物中14) 26%(23作物中6) 17%(18作物中3)
2005年度(平成17年度) 48% 25% 17%
2003年度(平成15年度、野菜) 36%(47作物中17) ― 11%(37作物中4)

数字は「農薬が見つかった作物の割合」です。

  • 2007年度に有機から見つかったのは、なすのプロシミドン(0.03ppm)、メロンのメソミル、いちごのへたのテブフェンピラド(0.06ppm)。すべて基準値以下でした。年報は、いちごのへたのテブフェンピラドについて「有機栽培時に農薬が使用された可能性が疑われた」と書き、なすとメロンは飛散や流通での汚染と区別できなかったとしています
  • 2002年度には、「有機栽培」と表示されたじゃがいもで、ホスチアゼートが基準値を超えていました
  • 年報は、有機は作物の数が少なく統計的な比較はできないとしたうえで、「JAS 有機の表記のある作物から例年農薬が検出されており、消費者の期待に反し、制度への不信にもつながる」と書いています(2005年度)

このデータは20年近く前のものです。その後の年報は、この記事では確かめていません。

日本の農産物は、基準値を超えている?

国産の農産物で基準値を超えることは、ほとんどありません。

検査 結果
自治体などの流通品の検査(2024年度) 国産の農産物 1,092,421件のうち、検出 2,610件(0.24%)、基準値超え 14件(0.001%)。輸入の農産物は 659,661件のうち、検出 5,598件(0.85%)、基準値超え 148件(0.022%)
農林水産省が農家から直接集めた調査(2024年度) 237戸・1,331の組み合わせで、基準値超えは0。検出は170(12.8%)で、最も高かったのはしゅんぎくのピリダリル 8.00mg/kg(基準値 25mg/kg)

「件数」は、農薬1種類×試料1つを1件と数えた延べの数です。基準値の決まり方は 農薬データベースの「基準値はどう決まる?」 にまとめています。

毎日の食事からとっている農薬は ADI の何%?

毎日の食事からとっている農薬は ADI の何%?(いちばん多い農薬)全国8地域で買った食品を調理して分析(マーケットバスケット調査)。ADI = 100%。各年度の最大の値0%1%2%3%4%令和2年度(2020)令和2年度(2020):31.58%(イマザリル)31.58%(イマザリル)目盛りの外令和3年度(2021)令和3年度(2021):0.356%0.356%令和4年度(2022)令和4年度(2022):2.954%(イミシアホス)2.954%(イミシアホス)令和5年度(2023)令和5年度(2023):0.551%0.551%令和6年度(2024)令和6年度(2024):0.477%(プロシミドン)0.477%(プロシミドン)令和6年度は47の農薬等を調べ、量が測れたのは19。いちばん多いプロシミドンで ADI の0.409〜0.477%(約210分の1)。令和2年度だけイマザリルが31.58%と高い。報告書には、なぜ高かったかの説明は見当たらない。農薬ごとの割合で、いくつもの農薬を合わせた影響は含まない。体重56.3kgで計算。出典:消費者庁(令和5年度までは厚生労働省)「食品中の残留農薬等の一日摂取量調査」令和2〜6年度。
出典:消費者庁(令和5年度までは厚生労働省)「食品中の残留農薬等の一日摂取量調査」令和2〜6年度

国は、全国8地域のスーパーなどで、ふだん食べている量に合わせて食品を買い、調理して14の食品群に分けて分析しています(マーケットバスケット調査)。その結果を、ADI(一生毎日とっても健康への影響がないとされる量)と比べます。

  • 2024年度は47の農薬などを調べ、量が測れたのは19。ADI に対する割合は 0.003〜0.477% でした。いちばん多いプロシミドンでも約210分の1です
  • グリホサートは 0.009〜0.111% でした
  • 2020年度だけ、イマザリルが最大 31.58% と高い値でした。報告書には、なぜ高かったかの説明は見当たりません。イマザリルは、日本では収穫後のかんきつ類・バナナに使う防かび剤として「食品添加物」に指定されている物質です(ポストハーベスト農薬)
  • この計算は農薬1つずつの割合で、いくつもの農薬を合わせた影響は含んでいません

有機で使える農薬もある(銅・スピノサドなど)

有機JASの規格には、使ってよい農薬の表があります。数えると約40項目です(くわしくは オーガニックとは(基準と歴史)の記事)。使えるのは「農産物に重大な損害が出る危険が迫っていて、ほかの方法では防げないとき」に限られます。

ウラヨミの 農薬データベース に載っている183の農薬などのうち、有機JASで使えるものは11(うち2つは条件つき)でした。

有機JASで使える農薬(例) どんなもの 日本の検査(2024年度、国産)
スピノサド 土の中の放線菌が作る物質からできた殺虫剤。ADI 0.024mg/kg 体重/日 1,600件中8件で検出(0.5%)、基準値超え0
ミルベメクチン 放線菌が作る物質からできた殺ダニ剤 379件中0件
除虫菊の抽出物(ピレトリン) 除虫菊の花の成分。共力剤を含まないものに限る 64件中0件
銅剤 塩基性塩化銅・水酸化第二銅・硫酸銅など。条件つき ―
硫黄 残留基準値が設けられていない「対象外物質」 ―
カスガマイシン 放線菌が作る抗生物質からできた、稲のいもち病の殺菌剤 ―
BT剤・なたね油・炭酸水素ナトリウムなど 細菌・油・重曹など ―

出典:ウラヨミ 農薬データベース(厚生労働省『令和6年度 食品中の残留農薬等検査結果』、FAMIC 農薬登録情報、食品安全委員会の評価書から作成)。

「有機で使える農薬のほうが安全」とは言えません。毒性を同じものさしで比べた資料は、この記事の調査では取っていないからです。言えるのは、「有機でも農薬を使うことがある」「EU の検査では、有機で最も多く見つかるのは銅」という事実までです。

有機に替えると体の中の農薬は減るって本当? 尿を調べた研究

尿の中の農薬は、有機の食事に替えると数日で減ります。これは複数の試験で一致しています。ただし、どれも小さく短い試験です。

有機の食事に替えると、尿の農薬はどれだけ減った?替える前(ふつうの食事)と比べた減り方(%)。数日〜2週間の小さな試験0−25%−50%−75%−100%Oates 2014(成人13人・7日)有機リン系の代謝物(合計)Oates 2014 有機リン系の代謝物(合計):-89%−89%Bradman 2015(子ども40人・7日)有機リン系の代謝物(合計)Bradman 2015 有機リン系の代謝物(合計):-40%−40%除草剤 2,4-DBradman 2015 除草剤 2,4-D:-25%−25%Hyland 2019(4家族16人)クロチアニジン(ネオニコチノイド系)Hyland 2019 クロチアニジン(ネオニコチノイド系):-82.7%−82.7%マラチオンの代謝物Hyland 2019 マラチオンの代謝物:-95%−95%クロルピリホスの代謝物(TCPy)Hyland 2019 クロルピリホスの代謝物(TCPy):-60.7%−60.7%Rempelos 2022(成人27人・2週間)尿中の農薬の合計Rempelos 2022 尿中の農薬の合計:-91%−91%Hyland 2023(妊婦39人・1週間)グリホサート(中央値)Hyland 2023 グリホサート(中央値):-16%−16%尿の値が下がることは、体に入る農薬が減ったことを示す。病気が減るかどうかは分からない(健康の差を調べた介入試験は見つかっていない)。Hyland 2019 の資金には環境NGO、Rempelos 2022 の著者には有機の研究者を含む。Hyland 2023 の −16% は中央値から計算した値。農地の近く(0.5km以内)に住む人では差がなかった。出典:Environ Res 2014・2019、Environ Health Perspect 2015・2023、Am J Clin Nutr 2022。
出典:Oates 2014、Bradman 2015、Hyland 2019、Rempelos 2022、Hyland 2023(PubMed で抄録・資金・利益相反を確認)

有機の食事で尿の農薬が減った試験

研究 誰を・どのくらい 結果 資金・利益相反
Oates 2014(オーストラリア) 成人13人。有機80%以上の食事を7日間(ランダム化・クロスオーバー) 有機リン系の殺虫剤の代謝物(合計)が −89% 確かめられませんでした
Bradman 2015(米国) メキシコ系の子ども40人。慣行4日→有機7日→慣行5日 有機リン系の代謝物 −40%、除草剤 2,4-D −25% 米国環境保護庁など。第1著者は米国の有機の研究団体 The Organic Center の科学諮問委員
Hyland 2019(米国) 4家族16人、尿158検体 13の農薬(代謝物)が有意に低下。クロチアニジン −82.7%、マラチオンの代謝物 −95.0%、クロルピリホスの代謝物 −60.7% 資金の欄に環境NGO(Friends of the Earth U.S.)
Rempelos 2022 成人27人。地中海食を全部有機/全部慣行で2週間(ランダム化) 尿中の農薬の合計が −91%(180→17μg/日) 最終著者は Barański 2014 と同じ
González 2023(スペイン) 成人。有機の食事の介入(ランダム化) 有機リン系の代謝物が有意に低下 利益相反なし

小学生23人の食事を5日間有機に替えると、マラチオンとクロルピリホスの代謝物が検出できないほど下がった、という試験もあります(Lu 2006、米国環境保護庁の研究費)。

グリホサートは減り方が小さかった

除草剤のグリホサートだけは、話が違いました。妊婦39人が慣行と有機の食事を1週間ずつ食べた試験(Hyland 2023、米国国立環境健康科学研究所の資金、利益相反なし)では、尿の中央値は慣行の週 0.19μg/L、有機の週 0.16μg/L と差が小さく、農地から0.5km以内に住む人では差がありませんでした。食事以外(畑からの飛散など)の影響が大きい可能性があります。

「尿の農薬が減る」と「病気が減る」のあいだ

有機の食事に替えたときの尿の農薬と、病気の関係を示した図。上から順に、「有機の食事に替える」、「尿の農薬が減る」、「病気が減る?」の3つが並び、2つ目と3つ目のあいだは点線で切れていて、「まだ橋が架かっていません」と書かれている。尿の農薬は数日で25〜95%減るが、どの試験も十数人〜数十人、数日〜2週間と小さい。例外はグリホサートで、妊婦39人の試験では差が小さかった。病気が減るかを確かめた試験はまだなく、がんの観察研究は全体のがんで0.75倍〜1.03倍と割れている。注意として、有機を選ぶ人は生活全体が健康的なので結論できないこと、35件のレビューが健康上の利益を断定できる証拠はないとしていることを挙げている。
図:尿の数字と病気のあいだ(Oates 2014、Bradman 2015、Hyland 2019・2023、Rempelos 2022、Vigar 2019 をもとに作成)(押すと拡大)

尿の数字が下がることと、病気が減ることのあいだには、まだ橋が架かっていません。

  • 35件の研究をまとめた系統的レビュー(Vigar 2019)は、「健康上の利益を断定できる証拠はない」「長い期間、食事を全部置き換える試験が必要」と結論しています。このレビューの著者には有機の研究センターの研究者が含まれ、論文にもそう明記されています
  • EU 議会の依頼でまとめられた報告(2016年、学術版は Mie 2017)は、「アレルギーや肥満が減る可能性はあるが、有機を選ぶ人は生活全体が健康的なので結論できない」と書いています
  • Smith-Spangler 2012 は、病気や症状を調べた人の研究は3件しかなく(アレルギーとカンピロバクター感染)、差はなかったとしています

つまり、言えるのは「有機に替えると、体に入る農薬は減る」までです。「その結果、病気が減る」はまだ確かめられていません。

有機食品を食べるとがんが減るって本当? 3つのコホート研究を並べる

全体のがんで見ると、研究によって「少ない」と「差がない」に分かれ、新しい解析ほど差が小さくなっています。

「オーガニック 体に良い」「有機食品 がん」は、報道でもよく取り上げられる話題です。大きな研究を並べます。

有機食品とがん:研究ごとの数字を並べるハザード比・相対リスク(点)と95%信頼区間(線)。1より左は「少ない」、線が1をまたぐと差があるとは言えない0.50.7511.25← 少ない多い →Baudry 2018(仏・6.9万人)全がん:有機をよく食べる人 vs あまり食べない人Baudry 2018(仏・6.9万人) 全がん:有機をよく食べる人 vs あまり食べない人:0.75(0.63〜0.88)0.75(0.63〜0.88)Bradbury 2014(英・62万人)全がん:いつも・ほぼ有機 vs 食べないBradbury 2014(英・62万人) 全がん:いつも・ほぼ有機 vs 食べない:1.03(0.99〜1.07)1.03(0.99〜1.07)Theodoridis 2025(メタ解析)全がんTheodoridis 2025(メタ解析) 全がん:0.93(0.78〜1.12)0.93(0.78〜1.12)Berlivet 2026(仏・3.1万人)全がん:野菜果物 100g/日を有機に置き換えBerlivet 2026(仏・3.1万人) 全がん:野菜果物 100g/日を有機に置き換え:0.98(0.95〜1.0)0.98(0.95〜1.00)Bradbury 2014非ホジキンリンパ腫Bradbury 2014 非ホジキンリンパ腫:0.79(0.65〜0.96)0.79(0.65〜0.96)Bradbury 2014乳がんBradbury 2014 乳がん:1.09(1.02〜1.15)1.09(1.02〜1.15)Berlivet 2026閉経後の乳がん(100g/日の置き換え)Berlivet 2026 閉経後の乳がん(100g/日の置き換え):0.9(0.85〜0.96)0.90(0.85〜0.96)上の4行は全がん、下の3行は部位別。どれも観察研究(とそのまとめ)で、因果関係は示していない。Baudry 2018 は論文に訂正があり、絶対リスクの差は0.6ポイント。Bradbury 2014 は質問1問で有機を調べた。Theodoridis 2025 は MDPI の雑誌 Life のメタ解析で、まとめた研究の数は抄録に書かれていない。色:緑=有意に少ない、レンガ=有意に多い、灰=差があるとは言えない。出典:JAMA Intern Med 2018、Br J Cancer 2014、Life 2025、Am J Clin Nutr 2026(PubMed で確認)。
出典:Baudry 2018(JAMA Intern Med)、Bradbury 2014(Br J Cancer)、Theodoridis 2025(Life)、Berlivet 2026(Am J Clin Nutr)
研究 誰を・どのくらい 全体のがん 部位別
Baudry 2018(フランス NutriNet-Santé) 68,946人(女性78%、平均44歳)。2009〜2016年、がん1,340件 有機をよく食べる人で0.75倍(0.63〜0.88) 閉経後の乳がん・非ホジキンリンパ腫で少ない。乳がん全体は差があるとは言えない
Bradbury 2014(英国 Million Women Study) 中年女性 623,080人。9.3年、がん53,769件 1.03倍(0.99〜1.07)=差なし 非ホジキンリンパ腫 0.79倍、乳がんは 1.09倍と逆に多い
Theodoridis 2025(メタ解析) 複数の研究をまとめた 0.93倍(0.78〜1.12)=関連なし 乳がん・大腸がんも関連なし
Berlivet 2026(フランス NutriNet-Santé) 31,179人。平均7.3年、がん1,718件 野菜・果物100g/日を有機に置き換えると0.98倍(0.95〜1.00) 閉経後の乳がんだけ 0.90倍

かっこ内は95%信頼区間。1をまたぐと「差があるとは言えない」と読みます。

いちばん目立った「25%減」の読み方

「有機食品でがんが25%減る」という見出しのもとは、Baudry 2018 です。読むときの注意点は次のとおりです。

  • 観察研究です。有機をよく食べる人と、あまり食べない人を比べただけで、有機を食べたからがんが減ったとは言えません
  • 参加者はボランティアで、女性が8割、学歴が高く健康意識の高い人が多い集団です。論文自身も、残った交絡(ほかの生活習慣の差)を限界に挙げています
  • 絶対リスクの差は0.6ポイントです。相対で「25%」でも、実際に差が出た人の割合は小さい
  • 有機の量は、16品目を「どのくらいの頻度で有機にしているか」を自分で答えた点数で、食べた量は分かりません
  • 論文には後から訂正(結論の言い換えと表1のデータの訂正)が出ています
  • 著者の1人は、有機食品の会社に関係する2つの財団の科学専門家を無報酬で務めていると開示しています

同じ研究チームの数字は、その後どう動いたか

ここはウラヨミが並べ直した独自の見方です。最も目立った数字が、その後どう動いたかを時系列で見ると、次のようになります。

年 研究 全体のがんの数字
2014年 英国 62万人(Bradbury) 1.03倍(差なし)
2018年 フランス 6.9万人(Baudry) 0.75倍(報道で「25%減」)
2025年 メタ解析(Theodoridis) 0.93倍(関連なし)
2026年 フランス 3.1万人(Berlivet、Baudry と同じ研究) 野菜・果物100g/日を有機に置き換えるごとに 0.98倍(0.95〜1.00)。差はごく小さい。閉経後の乳がんだけ0.90倍

比べ方(有機の点数か、置き換える量か)や対象者が違い、物差しが違うので、同じフランスの研究から出た数字でも単純には比べられません。ただ、目立つ数字ほど、後の解析では小さく見えることがあります。「最初の目立つ数字」だけで判断しないほうがよさそうです。

妊娠中・離乳食・子どもは有機にしたほうがいい?

「有機で子どもの健康が良くなる」を確かめた試験はありません。観察研究で関連が報告されたものはありますが、人数が少なかったり、有機そのものを調べていなかったりします。

検索候補には「オーガニック 妊娠中」「オーガニック 離乳食」「オーガニック 粉ミルク」など、子ども・妊娠に関するものが50ありました。ドイツの国の調査(2024年)でも、有機を買う人の47%が「子ども・妊娠中の食事のため」を理由に挙げています。

妊娠・出生の研究

研究 誰を 結果 注意点
Torjusen 2014(ノルウェー MoBa) 初めて出産する妊婦 28,192人 有機の野菜をよく食べた人(2,493人)で、妊娠高血圧腎症が少ない(0.79倍) 質問票。有機の果物・穀類・卵・乳では関連なし
Brantsæter 2016(同) 男の子を産んだ母 35,107人 有機を食べた母で、男の子の尿道下裂が少ない(0.42倍) 尿道下裂は74人、そのうち有機を食べた母は21人と少ない。著者自身が「再現が必要」と書く。著者の1人は有機食品の団体の元職員
Kesse-Guyot 2017・2020(フランス NutriNet-Santé) 6.2万人・3.3万人 有機をよく食べる人で、肥満・2型糖尿病が少ない 観察研究。食事の質が高い人で関連が強い
Pernin-Schneider 2025(フランス パリのコホート) 8歳の子ども 1,258人 有機が多い子で、ダニ・花粉などへの感作が少ない(0.64倍) ぜんそく・湿疹・鼻炎とは関連なし

子どもの農薬の研究

  • 米国シアトルの未就学児(有機18人・慣行21人)では、有機リン系(ジメチル系)の代謝物の中央値が、慣行の子で約6倍でした(Curl 2003)
  • 米国カリフォルニアの農業地域の出生コホート(329人)では、妊娠中の母親の尿の有機リン系代謝物が多いグループで、7歳の IQ が7.0ポイント低い結果でした(Bouchard 2011)。ただし、農家の家族が多い地域の研究で、食事からの農薬だけを見たものではありません

不妊治療と「残留農薬が多い野菜・果物」

「農薬と妊娠」でよく引かれる研究もあります。

  • 不妊治療を受けた女性325人(Chiu 2018)で、残留農薬が多い果物・野菜を1日2.3皿以上食べる人は、1皿未満の人より、臨床的な妊娠が18%、出産が26%少ない結果でした
  • 男性244人の研究(Kazemi 2025)でも、同じような関連が報告されています

この2本は「有機かどうか」の研究ではありません。米国農務省のデータで品目を「残留が多い/少ない」に分けて、その摂取量を調べたものです。対象も不妊治療を受けている人に限られ、著者は「自然妊娠への意味は分からない」と書いています。

ベビーフードの残留農薬

EU の2024年の検査では、乳幼児向けの食品 1,546試料(そのうち29.4%が有機)を調べ、83.4%で農薬が検出されませんでした。EU では乳幼児向けの食品の残留基準値は、原則 0.01mg/kg と低く決められています。基準値を超えた物質で多かったのは銅で、銅は乳児用ミルクなどに栄養素として加えることが認められているため、と EFSA は説明しています。グリホサートは429試料のすべてで検出されませんでした。

日本の乳幼児向け食品について、有機と慣行で残留農薬を比べた公的なデータは、この記事の調査では見つかりませんでした。

離乳食の材料を有機で選びたいときは、日本では有機JASマークの付いたベビーフードがあります。マークの付いていない食品は、「有機」「オーガニック」と表示できません。ただし、有機のベビーフードで子どもの健康に差が出るかを調べた研究は見つかっていません。

グリホサートは有機なら避けられる? 小麦とオーツ麦

グリホサートは有機JASでは使えない除草剤ですが、有機の食事に替えても尿の量はあまり変わらなかった試験があります。

グリホサートは、海外で特に関心が高い農薬です。英語の検索候補には「glyphosate oats(グリホサート オーツ麦)」の組み合わせが9種類並び、英語版 Wikipedia の「Glyphosate」の記事は年に31万〜41万回(2023〜2025年)読まれています。日本語版の「グリホサート」は年に約1,000〜1,200回で、日本ではあまり話題になっていません。

項目 内容
発がん性の評価 国際がん研究機関(IARC)は2015年に「おそらく発がん性がある」(グループ2A)に分類。欧州食品安全機関(EFSA)は2023年に「重大な懸念はない」と評価。機関によって評価が分かれています
EU 2023年に承認を更新(2033年12月15日まで)
日本 ADI は 1mg/kg 体重/日。小麦の残留基準値は2017年に 5ppm から 30ppm に改められました
収穫前の散布 北米などでは、小麦などの収穫の前に散布して作物を枯らし、収穫をそろえる使い方(プレハーベスト)があります
有機 有機JASで使える農薬の表に、グリホサートはありません

実際にどれくらい見つかる?

検査 結果
日本の輸入農産物(厚生労働省、2024年度) 99件中18件で検出(18.2%)。見つかったのは大豆・小麦・茶。基準値超えは0
日本の食事(マーケットバスケット調査、2024年度) ADI の 0.009〜0.111%
EU の食品(EFSA、2024年) 14,143試料のうち 98.2% で検出されず。基準値超えは0.2%(違反0.1%)で、主にそばなど
EU の有機の試料(EFSA、2023年) 有機で認められていないのに見つかることがある農薬の例として、グリホサートが挙げられている

オーツ麦(えん麦)について、グリホサートの残留を有機と慣行で比べた公的なデータは、この記事の調査では見つかりませんでした。成分の詳しい情報は グリホサート と ポストハーベスト農薬 にまとめています。

有機JASで使える農薬の表に、グリホサートは入っていません。オートミールを、グリホサートを使わない栽培のもので選びたいときは、包装の有機JASマークで見分けます。

ネオニコチノイドは? 日本で関心がいちばん高い農薬

日本の検査でいちばん多く見つかる農薬は、ネオニコチノイド系です(基準値超えは0)。有機JASでは使えません。

グリホサートとは逆に、ネオニコチノイドは日本で関心が高い農薬です。日本語版 Wikipedia の「ネオニコチノイド」の記事は年に2.0万〜2.7万回読まれていて、「グリホサート」(約1,000回)や「残留農薬」(約1,000回)の約20倍です。検索候補には「発達障害」「人体への影響」「お茶」「EU」「規制」が並びます。

日本の検査で見つかる割合(国産の農産物、2024年度)

農薬 検査件数 検出 基準値超え
ジノテフラン 1,327 169(12.7%)。国産で見つかる割合がいちばん高い農薬 0
クロチアニジン 2,985 147(4.9%) 0
アセタミプリド 2,746 121(4.4%) 0
イミダクロプリド 3,463 70(2.0%) 0

出典:厚生労働省『令和6年度 食品中の残留農薬等検査結果』(ウラヨミ 農薬データベースで集計)。

規制は日本と EU で違う

  • EU は2018年、クロチアニジン・イミダクロプリド・チアメトキサムの屋外での使用を禁止しました(ミツバチへの影響が理由)。その後、承認が失効しています
  • アセタミプリドは EU で承認されていますが、EFSA は2024年に ADI を体重1kgあたり 0.005mg に引き下げ、EU は残留基準値を下げました(EU 規則 2025/158)。日本の ADI は 0.071mg です
  • 日本の食品安全委員会では、アセタミプリドの再評価が審議中です

「発達障害」との関係は?

よく引かれるのは、生まれたばかりのラットの小脳の神経細胞に、アセタミプリドとイミダクロプリドを加えた試験管の研究です(Kimura-Kuroda 2012)。EFSA も2013年に、この2つに発達神経毒性の可能性があるとする意見を出しています。ただし、人で発達障害との因果関係を示した研究は、この記事の調査では見つかりませんでした。

有機の食事に替えると、尿のクロチアニジンは −82.7% でした(Hyland 2019、米国の16人)。ミツバチなど生きものへの影響は 農薬データベースの「生態系への影響」 にまとめています。

お茶は「有機」の割合がいちばん高い作物

ネオニコチノイドの検索候補には「お茶」も出てきます。日本の作物のうち、有機の割合がいちばん高いのは緑茶(荒茶)で6.86%(2024年度)です。野菜は0.45%、米は0.12%でした(農林水産省)。有機を選びやすい作物と、選びにくい作物がはっきり分かれています。

「ダーティ・ダズン」は信じていい? 米国のリストと批判

米国の非営利団体が米国のデータで作ったリストで、作り方への批判もあります。日本の食品にそのまま当てはめることはできません。

英語の検索候補には「dirty dozen 2026」「clean fifteen(残留農薬が少ない15品目)」が並びますが、日本語の候補には出てきません。米国でよく知られた話題です。

2026年版の12品目と作り方

環境団体 EWG(Environmental Working Group、米国の非営利の研究・啓発団体)が毎年発表している「ダーティ・ダズン」の2026年版は、次の12品目です。

  1. ほうれん草 2. ケール・コラード・マスタードグリーン 3. いちご 4. ぶどう 5. ネクタリン 6. 桃 7. さくらんぼ 8. りんご 9. ブラックベリー 10. 洋なし 11. じゃがいも 12. ブルーベリー
  • 米国農務省が調べた有機でない試料のデータを、4つの指標(検出された割合、1試料あたりの農薬の種類、濃度の合計、毒性)で点数にして並べています
  • 米国農務省は品目を数年ごとに回して調べるため、ほうれん草は2015〜16年の1,295試料という古いデータが使われています
  • EWG 自身も、リストの品目の残留が法律の基準値以下であることは認めています(報道による)

批判と、EWG 自身の検証

立場 内容
批判(Winter & Katz 2011、米国カリフォルニア大学デービス校の食品毒性学者) 当時の12品目で最も多く見つかる農薬それぞれ10種(120の組み合わせ)の摂取量を推定すると、すべて慢性の参照用量を大きく下回り、1%を超えたのは1つ(ピーマンのメタミドホス 2%)。「12品目を有機に替えても、リスクは実質的に下がらない」と結論。資金と利益相反の記載はありません
業界団体の反論 米国の農産物の生産者団体(AFF)は、米国農務省の試料の99%超が基準値を大きく下回ると反論しています
EWG 自身の検証(Temkin 2025) 米国の1,837人の食事から「農薬の負荷の点数」を作って尿の農薬と比べると、全体では関連がなく、じゃがいもを除くと関連が出た。除いたのは解析の後の判断。著者のうち6人は EWG の職員。じゃがいもは2026年版のリストに入っています

立場の違う団体が、同じ米国農務省のデータから正反対の結論を出しています。どちらかを「正しい」と決めるのではなく、「基準値以下の残留を、さらに減らしたいか」という考え方の違いだと読むのが実際的です。

日本版のダーティ・ダズンは作れる?

今ある日本の公的データでは、作れません。理由は3つです。

データ 作れない理由
東京都の有機・特別栽培・慣行の比較 2002〜2007年度と古く、品目も少ない
農林水産省の農家からの採取調査 米・大豆・ほうれん草・ブロッコリーなど数品目に限られる
マーケットバスケット調査 食品群ごとに混ぜて分析するので、個別の野菜は分からない

自治体などの流通品の検査は件数が多いものの、品目ごとに「どれだけ残っているか」を点数にして並べた公的な資料はありません。「日本で、どの野菜から有機に替えるべきか」は、日本のデータでは根拠を持って決められないというのが、正直な答えです。ウラヨミの 農薬データベース では、農薬ごとに「どの作物で見つかったか」を調べられます。

有機ならではの注意点:食中毒と抗生物質が効かない菌

有機だから安全、とも、有機だから危険、とも言えません。有機ならではの点として、堆肥の扱いや、生で食べる野菜の衛生があります。

2011年ドイツの O104 は有機のもやし工場から

2011年、ドイツで腸管出血性大腸菌 O104:H4 の大きな集団食中毒が起きました。

  • ドイツ国内の患者は3,842人(溶血性尿毒症症候群855人を含む)、死者53人(ロベルト・コッホ研究所の2011年7月の集計。集計の時期によって数字は少し違います)
  • 調査で、ニーダーザクセン州のもやし工場のフェヌグリーク(マメ科の植物)の発芽野菜が原因とされました。41の集団発生が、すべてこの生産者に結びついています。ドイツの消費者団体 foodwatch の分析によると、この工場は有機(Bio)のもやし工場でした(ロベルト・コッホ研究所の報告は「園芸農場」と書き、有機かどうかには触れていません)
  • 欧州食品安全機関は、エジプトから輸入した種子の1ロットが、ドイツとフランスの発生の共通の原因として最も疑わしいとしました。ただし、患者に結びついた種子から流行株は見つかっていません
  • 検察は、経営者が汚染を早く知っていた証拠はないとして捜査を終えています

この食中毒は「有機のせい」というより、生で食べる発芽野菜のリスクの例です。ドイツの当局は、発芽野菜は十分に加熱して食べるよう勧めています。

堆肥と大腸菌

  • 米国ミネソタ州の農場の調査(Mukherjee 2004)では、大腸菌が見つかった野菜は、有機の農場で9.7%、慣行の農場で1.6%でした。ただし、認証を受けた有機の農場だけだと4.3%で、慣行と差はありませんでした。堆肥の熟成が12か月未満の農場では19倍多く見つかっています。O157 は見つかっていません
  • 店で売られている段階では、有機と慣行で大腸菌の汚染に差はない、というまとめもあります(Smith-Spangler 2012)

日本の有機JASは、人の糞尿や下水汚泥を肥料に使うことを原則として認めていません(くわしくは オーガニックとは(基準と歴史)の記事)。

抗生物質が効かない菌は?

  • Smith-Spangler 2012 は、店で売られている鶏肉・豚肉で、3種類以上の抗生物質が効かない菌が見つかる割合は、慣行のほうが33ポイント高い(リスク差)とまとめています
  • 有機JASの畜産では、病気の予防のために動物用医薬品を使いません。治療で抗生物質を使ったときは、出荷までの休薬期間を法定の2倍にします
  • 一方で、ブロイラーのカンピロバクター(食中毒菌)は、と畜の時点では有機のほうが多いという報告があります(Young 2009)。店で売られる鶏肉では差がありませんでした

オーガニックのススメ:どこから替える?

全部を有機にしなくても、研究で差が出やすいところから選ぶことができます。ここでは、ウラヨミが研究の事実から整理した「替える順番の考え方」を紹介します。「〇〇なら替える意味がある」と断定するものではありません。

どこから有機に替えるかの考え方を整理した図。上に、押さえておきたい3つの事実として、日本のふつうの食事からとっている農薬は ADI の0.5%未満(2024年度)、有機に替えると尿の農薬は数日で減る、それで病気が減るかはまだ確かめられていない、を並べる。その下に、替える順番の考え方を4段で示す。1は皮ごと食べる果物・葉もの、2は毎日たくさん食べるもの(米・パン・みそなど)、3は妊娠中・小さな子どもの食事、4は皮をむく・ゆでるものは後回しでもよい。最後に、有機が手に入らなくても野菜や果物を減らす根拠にはならないこと、全部替えると約1.63倍(9品目1kgずつで4,574円から7,449円、2016年)であることを書いている。断定ではなく、ウラヨミが整理した考え方の例。
図:替える順番の考え方(Barański 2014、東京都健康安全研究センター、農林水産省の調査をもとにウラヨミが整理。断定ではなく考え方の例)(押すと拡大)

先に押さえておきたい3つの事実

  1. 日本のふつうの食事からとっている農薬は、ADI の0.5%未満(2024年度)。国産の農産物で基準値を超えることは、ほとんどありません
  2. 有機に替えると、尿の農薬は数日で減る(複数の小さな試験)
  3. それで病気が減るかは、まだ確かめられていない。がんの研究は観察研究で、新しい解析ほど差が小さい

そのうえで、「基準値以下の農薬でも、減らせるなら減らしたい」と考える人に向けて、差が出やすいところを並べます。

替える順番の考え方

考え方 根拠になる事実
① 皮ごと食べる果物・葉もの 論文の統合では、慣行の果物の75%、野菜の32%で農薬が検出(Barański 2014)。東京都の調査でも果実で検出が多く(2007年度 67%)、果皮だけに残っていた例がある。米国のダーティ・ダズンも果物と葉ものが中心
② 毎日たくさん食べるもの(米・パン・みそなど) 食べる量が多いほど、体に入る量に効く。日本で有機を買う人の購入品目は、野菜44.6%、米30.4%、納豆29.8%、豆腐28.8%、みそ27.6%(2025年)
③ 妊娠中・小さな子どもの食事 関心が高い(検索候補50種、ドイツの購入者の47%が理由に挙げる)。ただし、有機で子どもの健康に差が出ることを確かめた試験はない
④ 皮をむく・ゆでるものは後回しでもよい 皮をむく・ゆでると減る農薬がある(洗う・むく・ゆでると落ちる?)

注意したいのは、有機が手に入らないからといって、野菜や果物を減らす根拠にはならないことです。Rempelos 2022 の試験では、ふつうの欧米型の食事から慣行の地中海食(野菜・果物が多い)に替えると、尿の殺虫剤は1日7μgから25μgに増えました。ただしこの試験は、健康の差を調べたものではありません。

有機の調味料という選び方

「② 毎日たくさん食べるもの」には、みそ・酢などの調味料も入ります。ウラヨミで原材料を読んだものの中にも、有機JASの調味料・食材があります。

「国産有機野菜使用」のように、原材料の一部だけが有機の商品もあります。商品名に「有機」と付けられるのは、有機JASマークの付いたものだけです。見分け方は オーガニックとは(基準と歴史)の記事 で紹介しています。

どこで買う? 宅配と産直

日本で有機食品を買う人の83.5%はスーパーで買っています(2025年)。一方で、有機・特別栽培の野菜を買わない理由の2番目は「身近で売っていない」36.6%でした(日本政策金融公庫、2021年、2,000人の調査)。

宅配や産直は、有機JASや会社独自の基準の野菜を、家まで届けるしくみです。基準の中身は会社ごとに違います。

サービス 野菜の基準(公式ページの表記の要約)
Oisix 有機JAS、または化学合成農薬・化学肥料を地域の慣行の5割以下
らでぃっしゅぼーや 独自の基準。国が認める農薬のうち120成分を使用禁止に
坂ノ途中 セットの野菜とお米は「栽培期間中、化学合成農薬、化学肥料は原則不使用」(暫定の基準と明記)
コープ自然派 取り扱う農産物の約65%が有機・「無農薬」と説明(「無農薬」は国の表示ルールでは使わない言葉で、広告主の表現)
食べチョク 生産者から直接買う産直通販。「有機JAS」「農薬不使用」などの表示は生産者ごと

(各社の公式ページ。2026年9月29日〜10月2日確認)。おためしセットや費用の比較は 食材宅配の比較記事、特別栽培と有機JASの違いは オイシックスの記事 にまとめています。

費用はいくら増える? 有機の値段と「払ってもいい額」

有機の野菜は、ふつうの品の1.4〜1.9倍。それを払ってもいいと答えた人は1割台です。

検索候補には「オーガニック 高い理由」「オーガニック 野菜 高い」があり、有機を買っている人でも79.2%が「価格が高い」と感じています(2025年)。

有機の野菜はどれくらい高い? どこまでなら払う?上:同じ店で並べて売られた国産の標準品を100としたときの、有機JAS の野菜の値段(1kgあたり、平成28年の年平均)100125150175200ねぎねぎ:標準品 669円/kg、有機 960円/kg(143)143(669→960円)ばれいしょばれいしょ:標準品 385円/kg、有機 568円/kg(147)147(385→568円)こまつなこまつな:標準品 792円/kg、有機 1223円/kg(154)154(792→1,223円)だいこんだいこん:標準品 204円/kg、有機 315円/kg(154)154(204→315円)トマトトマト:標準品 697円/kg、有機 1078円/kg(155)155(697→1,078円)キャベツキャベツ:標準品 178円/kg、有機 291円/kg(163)163(178→291円)にんじんにんじん:標準品 394円/kg、有機 685円/kg(174)174(394→685円)たまねぎたまねぎ:標準品 296円/kg、有機 536円/kg(181)181(296→536円)ピーマンピーマン:標準品 959円/kg、有機 1793円/kg(187)187(959→1,793円)下:有機を買っている人に「ふつうの品より何割高くても買うか」を聞いた答え(令和7年度、1,856人)少しでも高ければ買わない:30.0%30.0%少しでも高ければ買わない1割高まで:28.3%28.3%1割高まで2割高まで:15.5%15.5%2割高まで3割以上高くても買う:14.1%14.1%3割以上高くても買うわからない:12.1%12.1%わからない実際の値段の差は4〜9割高。「3割以上高くても買う」と答えた人は14.1%。(3割高まで 7.4%・5割高まで 4.0%・2倍まで 2.0%・2倍以上でも 0.7% の合計)上段の値段は平成28年の調査が最新(有機と標準品が同じ店で並んで売られていた店舗の調査)。いまの値段の差は確かめられていない。出典:農林水産省「平成28年 生鮮野菜価格動向調査」(同調査の報告と「有機農業をめぐる事情」令和元年8月から転記)、同「有機農業及び有機食品に関する意識・意向調査」(令和7年度、2025年11〜12月)。
出典:農林水産省「平成28年 生鮮野菜価格動向調査」、同「有機農業及び有機食品に関する意識・意向調査」(令和7年度)
品目 国産の標準品(円/kg) 有機JAS(円/kg) 比
ねぎ 669 960 143%
ばれいしょ 385 568 147%
こまつな 792 1,223 154%
だいこん 204 315 155%
トマト 697 1,078 155%
キャベツ 178 291 163%
にんじん 394 685 174%
たまねぎ 296 536 181%
ピーマン 959 1,793 187%

出典:農林水産省「平成28年 生鮮野菜価格動向調査」(有機と標準品が同じ店で並んで売られていた店舗の年平均)。この種類の公的な調査は平成28年(2016年)が最新で、いまの値段の差は確かめられていません。

  • 9品目を1kgずつ買うと、標準品は4,574円、有機は7,449円で、約1.63倍(差は2,875円)(ウラヨミで計算)
  • 有機を買っている人に「ふつうの品より何割高くても買うか」を聞くと、「少しでも高ければ買わない」30.0%、「1割高まで」28.3%、「2割高まで」15.5%。3割以上高くても買うと答えた人は合わせて14.1%でした(2025年、1,856人)
  • 有機を買う世帯の1か月の購入額は、「5,000円未満」が46.9%で最も多く、「2万円以上」は2.8%でした(2025年、1,882世帯)

実際の値段の差は4〜9割高なのに、有機を買う人の約6割(58.3%)は「少しでも高ければ買わない」か「1割高まで」と答えています。全部を替えるより、上の「替える順番」で品目を絞ると、増える費用を抑えやすくなります。値段が高い理由(収量・手間・認証)は オーガニックとは(基準と歴史)の記事 と 世界のオーガニック事情の記事 で取り上げています。

生の有機野菜は、旬や店によって手に入らないことがあります。有機JASマークの付いた冷凍野菜は、通販でまとめて買えます。値段は商品ごとに違うので、1kgあたりで比べます。

自分で育てるという選択肢

自分で育てれば、肥料や農薬に何を使うかを自分で決められます。

  • 自分で食べる分には、有機JASの認証は要りません
  • ただし、自分で育てた野菜を「有機」「オーガニック」と表示して売ることはできません。表示できるのは、有機JASの認証を受けた生産者だけです
  • 国内で感染した回虫症は1990〜2015年に225例が報告されていて、厚生労働科学研究の報告書は、下肥(人の糞尿)を使った家庭菜園の野菜が目立つと推測しています
  • 米国の調査では、熟成が12か月未満の堆肥を使う農場で、野菜の大腸菌が多く見つかっていました(堆肥と大腸菌)

この記事で紹介したもの(まとめ)

記事の中で紹介したものを、もう一度まとめました。理由や原材料は、それぞれの節に書いています。

紹介したもの 購入先
オーガニック オートミール 800g(有機JAS) 楽天市場で見る(こめたつ 自然の蔵) PR
味千汐路 有機まるごとベビーフード「鮭と野菜の混ぜごはん」100g(12か月頃から) 楽天市場で見る(味千汐路 楽天市場店) PR
Oisix おためしセット おためしセットを見る(Oisix 公式) PR
らでぃっしゅぼーや ふぞろい食材おためしセット おためしセットを見る(らでぃっしゅぼーや公式) PR
坂ノ途中 旬のお野菜セット(京都) 坂ノ途中:お野菜・定期宅配 PR
コープ自然派 宅配の資料請求 取り扱い青果の60%以上がオーガニック!生協の宅配コープ自然派 PR
食べチョク(農家から直接買える産直通販) 食べチョクで生産者の野菜を見る PR
有機JAS 国産 冷凍温野菜サラダ 200g×6袋(カリフラワー・ブロッコリー・にんじん) 楽天市場で見る(楽天ファーム) PR

まとめ

気になること 分かったこと
有機は栄養価が高い? 研究で割れている。ポリフェノール類が多いという論文(有機推進の財団の資金を含む)と、差がないという論文がある。たんぱく質は有機が15%少ないという結果も
有機なら残留農薬はゼロ? ゼロではない。EU の検査で有機の約2割に何か見つかる(主に有機で使える銅)。ただ、どのデータでも有機がいちばん低い
日本のふつうの野菜の農薬は? 国産の検査で基準値超えは0.001%。食事からとる量は、いちばん多いものでも ADI の約210分の1(2024年度)
有機に替えると体の農薬は減る? 尿の農薬は数日で25〜95%減る(小さな試験)。グリホサートは減り方が小さかった。病気が減るかは未確認
有機でがんは減る? 観察研究で結果が割れる。「25%減」は絶対差0.6ポイントで、同じ研究チームの2026年の解析では、置き換え100gあたり2%低いという小さな差
妊娠中・子どもは? 関連を示した観察研究はあるが、人数が少ないなど限界が大きい。健康の差を確かめた試験はない
グリホサート・ネオニコは? どちらも有機JASでは使えない。日本の国産で最も見つかるのはネオニコ系(基準値超えは0)
ダーティ・ダズンは? 米国の団体が米国のデータで作ったリスト。批判もあり、日本版は公的データでは作れない
どこから替える? 皮ごと食べる果物・葉もの、毎日たくさん食べるもの、妊娠中・子どもの食事、という考え方。野菜・果物を減らす理由にはならない
費用は? 有機の野菜は1.4〜1.9倍(2016年)。3割以上高くても買う人は14.1%

参考にした資料

栄養価・成分

  • Dangour AD, et al. Nutritional quality of organic foods: a systematic review. Am J Clin Nutr 2009;90:680-5(PMID 19640946)
  • Dangour AD, et al. Nutrition-related health effects of organic foods: a systematic review. Am J Clin Nutr 2010;92:203-10(PMID 20463045)
  • Smith-Spangler C, et al. Are organic foods safer or healthier than conventional alternatives? A systematic review. Ann Intern Med 2012;157:348-66(PMID 22944875)
  • Barański M, et al. Higher antioxidant and lower cadmium concentrations and lower incidence of pesticide residues in organically grown crops. Br J Nutr 2014;112:794-811(PMID 24968103)/Mulet JM. Br J Nutr 2014;112:1745(PMID 25263540)
  • Średnicka-Tober D, et al. Br J Nutr 2016;115:1043-60(乳、PMID 26878105)・994-1011(肉、PMID 26878675)
  • Nuñez de González MT, et al. 硝酸塩・亜硝酸塩の小売調査 2015(PMID 25850811)/Bernhoft A, et al. ノルウェーの穀物のカビ毒 2012(PMID 22494553)
  • Pew Research Center「Americans’ views about and consumption of organic foods」(2016年12月)

残留農薬

  • EFSA「The 2024 European Union report on pesticide residues in food」EFSA Journal 2026(PMC13140735)/同 2023年分(PMC12076349)
  • 米国農務省「Pesticide Data Program Annual Summary, Calendar Year 2024」
  • Baker BP, et al. Food Addit Contam 2002;19:427-46(PMID 12028642)
  • 東京都健康安全研究センター年報 54号・55号・57号・59号(平成14・15・17・19年度の国産農産物の残留農薬調査)
  • 消費者庁(令和5年度までは厚生労働省)「食品中の残留農薬等の一日摂取量調査」令和2〜6年度
  • 厚生労働省・消費者庁「令和6年度 食品中の残留農薬等検査結果」、同 令和6年度の検査結果(ウラヨミ 農薬データベースで集計)
  • 農林水産省「農産物中の残留農薬の実態調査」(令和4〜7年度)
  • 農林水産省「有機農産物の日本農林規格」(JAS 1605:2024)、FAMIC 農薬登録情報、食品安全委員会 農薬評価書

体の中の農薬(尿)

  • Curl CL, et al. Environ Health Perspect 2003(PMID 12611667)/Lu C, et al. Environ Health Perspect 2006(PMID 16451864)
  • Oates L, et al. Environ Res 2014;132:105-11(PMID 24769399)
  • Bradman A, et al. Environ Health Perspect 2015;123:1086-93(PMID 25861095)
  • Hyland C, et al. Environ Res 2019;171:568-75(PMID 30765100)
  • Rempelos L, et al. Am J Clin Nutr 2022;115:364-77(PMID 34718382)
  • González N, et al. Food Res Int 2023(PMID 37803657)
  • Hyland C, et al. Environ Health Perspect 2023;131:77005(PMID 37493357)
  • Vigar V, et al. Nutrients 2019;12:7(PMID 31861431)/Mie A, et al. Environ Health 2017;16:111(PMID 29073935)/EU 議会 STOA「Human health implications of organic food and organic agriculture」(2016年、PE 581.922)

がん・妊娠・子ども

  • Baudry J, et al. JAMA Intern Med 2018;178:1597-1606(PMID 30422212)/訂正 JAMA Intern Med 2018;178:1732(PMID 30508044)
  • Bradbury KE, et al. Br J Cancer 2014;110:2321-6(PMID 24675385)
  • Theodoridis X, et al. Life 2025;15:160(PMID 40003569)
  • Berlivet J, et al. Am J Clin Nutr 2026(PMID 41862000)
  • Torjusen H, et al. BMJ Open 2014(PMID 25208850)/Brantsæter AL, et al. Environ Health Perspect 2016(PMID 26307850)
  • Kesse-Guyot E, et al. Br J Nutr 2017(PMID 28166859)・Int J Behav Nutr Phys Act 2020(PMID 33167995)
  • Pernin-Schneider S, et al. Allergy 2025(PMID 39749568)
  • Chiu YH, et al. JAMA Intern Med 2018;178:17-26(PMID 29084307)/Kazemi 2025 Am J Clin Nutr(PMID 41338693)
  • Bouchard MF, et al. Environ Health Perspect 2011(PMID 21507776)

グリホサート・ネオニコチノイド・ダーティ・ダズン

  • IARC「Q&A on Glyphosate」、欧州委員会「Renewal of approval: glyphosate」、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 農薬・動物用医薬品部会報告(グリホサート、2017年)
  • Kimura-Kuroda J, et al. PLoS One 2012(PMID 22393406)
  • EWG「Shopper’s Guide to Pesticides in Produce」2026年版・方法(Wayback Machine で確認)
  • Winter CK, Katz JM. J Toxicol 2011:589674(PMID 21776262)
  • Temkin AM, et al. Int J Hyg Environ Health 2025;270:114654(PMID 40998639)
  • 農林水産省「有機農産物等の格付実績」(令和6年度)

安全の逆側

  • Robert Koch-Institut「Abschließende Darstellung und Bewertung der epidemiologischen Erkenntnisse im EHEC O104:H4 Ausbruch」(2011年)、EFSA の O104 の種子の調査(2011年)
  • Buchholz U, et al. N Engl J Med 2011;365:1763-70(PMID 22029753)/Frank C, et al. N Engl J Med 2011(PMID 21696328)
  • Mukherjee A, et al. J Food Prot 2004;67:894-900(PMID 15151224)
  • Young I, et al. Epidemiol Infect 2009(PMID 19379542)/Golden CE, Mishra A. J Food Prot 2020(PMID 32294168)
  • 厚生労働科学研究費補助金 報告書(土壌媒介寄生虫症、平成25年度・27年度)

歴史・制度・消費者

  • 農林水産省「5分で分かる!有機農産物って、なに?」、米国 Federal Register 65 FR 80548(2000年12月21日、National Organic Program 最終規則)、Codex「CAC/GL 32-1999」
  • 環境白書 昭和47年版、農林水産省「販売禁止農薬」一覧、Soil Association「Our history」
  • 農林水産省「有機農業及び有機食品に関する意識・意向調査」(令和7年度)、同「有機食品等の消費状況に関する意向調査」(令和元年度)
  • 日本政策金融公庫「消費者動向調査(令和3年7月)」
  • ドイツ連邦食糧農業省「Öko-Barometer 2024」
  • 農林水産省「平成28年 生鮮野菜価格動向調査」、同「有機農業をめぐる事情」(令和元年8月・令和8年4月)
  • Google 検索候補(2026年10月3日にウラヨミが取得・分類)、Wikimedia の閲覧数 API

関連する読みもの・データベース

この記事は、公的機関の資料と研究をもとに表示のルールや評価を整理したもので、特定の食品や添加物の安全性・危険性を判定するものではありません。制度や海外の規制は変わることがあります(確認日 2026.10.03)。