農薬データベース解説確認日 2026.10.01
残留農薬は洗う・むく・ゆでると落ちる? 実測の結果
流水で洗う、皮をむく、ゆでる。どれくらい減るかの実測
結論
減りますが、洗うだけでは限りがあります。市販品で実測した秋田県の調査では、洗って減ったのは最大で約5割で、8〜9割以上は減りませんでした。
ほうれんそうはゆでると7〜8割減りました。一方、根や葉から吸われて作物の中に入る農薬(浸透移行性。ネオニコチノイド系など)は、洗っても減りませんでした。りんごは重曹で洗っても減りませんでした。
秋田県の実測(市販品)
| 食品 | やり方 | 結果(残った割合など) |
|---|---|---|
| ほうれんそう | 流水で30秒洗う | シアゾファミドは68.7%が残った(5秒では100%)。根から吸われて中に入るイミダクロプリド、土に使うテフルトリンは、洗っても減らなかった |
| ほうれんそう | ゆでる | シアゾファミド31.3%・イミダクロプリド22.8%が残った(7〜8割減)。炒めると約3割減 |
| ミニトマト | 流水で洗う/湯むき | 洗うとボスカリドが約2〜3割、シアゾファミドが約4〜5割減った。アセタミプリドは大半が実の内部にあり、湯むきでも果肉では有意に減らなかった |
| いちご | 流水で洗う | アゾキシストロビンは69.6%(5秒)・60.9%(30秒)が残った。ジャムにすると45.7〜54.9% |
| りんご | 流水で洗う/重曹で洗う | どちらも有意に減らなかった(表面のロウ状の物質などに取り込まれていると考察)。ジャム・焼く・乾燥させると4農薬とも減った |
| 玄米 | 米をとぐ/精米 | とぐと84.4〜91.7%が残った(約1割減)。精米でフサライドは37.5%、フェリムゾンは63.3%。ジノテフランはほとんど変わらなかった |
秋田県健康環境センター年報 第18号(2022)。加熱で減ったのは、主に熱で分解したのではなく、蒸発(揮散)によると推察されています。ヘタなど食べない部分に多く残る傾向もありました。
研究のまとめ(メタ分析)では
- ゆでる・湯通し(ブランチング)・缶詰・揚げる・搾る・皮をむく・洗うといった処理で、残留は平均して減り、処理後と処理前の比は0.10〜0.82でした(Keikotlhaile ら 2010年)。ただし、焼く・ゆでる・缶詰・搾汁では、研究によって増える場合もありました。
- 洗う・水につけるのは「ある程度」の減少にとどまることが多く、皮をむく・湯通しの方が効果が大きい。どう変わるかは、農薬の性質(水に溶けやすいか、油に溶けやすいか)と処理の種類で決まる(Chung 2018年)。
家庭でできること
- 流水でていねいに洗う:秋田県の調査では、ほうれんそうのシアゾファミドは、5秒では減らず、30秒で約3割減りました。
- 外葉・皮・ヘタを取る:農薬は表面や食べない部分に多く残る傾向があります。かんきつの防かび剤も皮に集まります(→ ポストハーベスト農薬)。
- 葉物はゆでる:ほうれんそうでは、洗うよりゆでる方が大きく減りました。
- 洗っても減らない農薬があると知っておく:作物の中に入る農薬は、洗っても皮をむいても減りにくい。気になるときは、使う農薬を減らした栽培(有機JAS・特別栽培)を選ぶ方法があります。
国の検査で基準値を超えた割合は、国産の農産物で0.001%でした(厚労省 令和6年度)→ 基準値の決まり方
出典
- 秋田県健康環境センター年報 第18号(2022)「農産物中の残留農薬の部位別分布及び調理操作による変化について」p.39–42
- Keikotlhaile BM, et al. Food Chem Toxicol 2010;48(1):1-6(PMID 19879312)
- Chung SW. J Sci Food Agric 2018;98(8):2857-2870(PMID 29222908)
- 厚生労働省『令和6年度 食品中の残留農薬等検査結果』
- 厚生労働科学研究 令和3年度 分担研究報告書(国立医薬品食品衛生研究所、加工係数)
最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。
このページは、法令・公的機関の資料・査読論文に書かれている事実を並べたもので、特定の農薬や栽培方法の良し悪しを判定するものではありません。