農薬データベース解説確認日 2026.10.01
日本は農薬を多く使う国? 使用量の推移と国際比較
耕地1haあたりの使用量の国際比較と、日本の出荷量の推移
結論
耕地1haあたりの使用量で比べると、日本は10.06kg(2024年、FAO の推計)で、ヨーロッパやアメリカの2〜4倍です。ただし韓国(13.03kg)より少なく、日本の値は 1990年の15.22kg から減ってきています。
国の資料は、日本を含むアジアモンスーン地域は「欧米とは気象条件や生産構造が異なる」としています。面積あたりの量だけで単純に比べられない点に注意が必要です。
耕地1haあたりの使用量(国際比較)
- FAOSTAT の値は、各国が報告した有効成分の使用量(日本は2024年 約4.3万t)を耕地面積で割った FAO の推計です。
- 日本の値は 1990年 15.22kg/ha → 2024年 10.06kg/ha。
- EU27 は FAOSTAT に集計値がなく、27か国の値から計算したもの(2.90kg/ha)です。
- 比べるときの注意:業界団体(クロップライフジャパン)は、多く使う果樹などの作物の割合や、高温多湿の気候のため、面積あたりの量だけで単純に比べられないと説明しています。国の資料は「気象条件や生産構造が異なる」と述べるにとどまっています。
日本の出荷量は減っている
- 製剤の出荷量は、2024農薬年度で 205,148 t・kl。2017年度の出荷量は、1989年度(平成元年)の44%まで減っていました(厚生労働科学研究)。
- 原体(有効成分)の約24%は輸入です(農林水産省「農薬をめぐる情勢」)。
- 出荷量(製剤、約20.5万t)と FAOSTAT(有効成分、約4.3万t)は、数えているものが違うので桁が違います。
日本と EU で使える成分の違い
このデータベースの成分で比べると、日本で登録があり、EU で承認されていない成分が 76 あります。EU は2018年に、ネオニコチノイド系の3成分(クロチアニジン・イミダクロプリド・チアメトキサム)の屋外での使用を禁止しました。
- ジノテフラン
- クロチアニジン
- イミダクロプリド
- チアメトキサム
- チアクロプリド
- ニテンピラム
- フェニトロチオン(MEP)
- ダイアジノン
- アセフェート
- プロチオホス
- ジメトエート
- イソキサチオン
- メソミル
- ベンフラカルブ
- カルボスルファン
- ペルメトリン
- フェンバレレート
- ビフェントリン
- フルベンジアミド
- スピネトラム
- フルフェノクスロン
- テフルベンズロン
- ルフェヌロン
- メトキシフェノジド
- スピロジクロフェン
- クロルフェナピル
- フィプロニル
- エチプロール
- ピメトロジン
- インドキサカルブ
- カルタップ
- トルフェンピラド
- ピリダリル
- アフィドピロペン
- プロピコナゾール
- ミクロブタニル
- トリフルミゾール
- ヘキサコナゾール
- イミベンコナゾール
- ペンチオピラド
- カルベンダジム・チオファネートメチル
- ベノミル
- プロシミドン
- イプロジオン
- マンゼブ
- TPN(クロロタロニル)
- チウラム
- イミノクタジン
- トリシクラゾール
- プロベナゾール
- イソプロチオラン
- ペンシクロン
- チアジニル
- バリダマイシン
- カスガマイシン
- ジメトモルフ
- ポリオキシン
- グルホシネート
- イマゾスルフロン
- ビスピリバックナトリウム塩
- パラコート
- ジクワット
- トリフルラリン
- プレチラクロール
- ブタクロール
- S-メトラクロール
- リニュロン
- DCMU(ジウロン)
- アトラジン
- DCPA(プロパニル)
- オキサジアゾン
- アシュラム
- クロルピクリン
- メチルイソチオシアネート
- 臭化メチル
- プロクロラズ
逆に、EU で承認されていて、日本では登録がない(または失効した)成分:
EU で承認されない理由には、ミツバチ・地下水など環境への影響も含まれます。承認されていないことは、その農薬を含む食品がすぐに健康を害するという意味ではありません。日本も2018年の農薬取締法改正で、登録済みの農薬を定期的に見直す「再評価」の制度を始めています。
出典
- FAOSTAT "Pesticides Use"(Use per area of cropland、2024年。一括ダウンロード、2026年10月1日取得)
- 農林水産省「農薬をめぐる情勢」(令和8年1月)
- 厚生労働科学研究 平成30年度 分担研究報告書(水道水質の評価及び管理に関する総合研究)p.37
- 第27回農業資材審議会農薬分科会 資料7-1(令和3年6月28日)
- 農林水産省「みどりの食料システム戦略」(令和3年5月)
- クロップライフジャパン Q&A(業界団体)
- European Commission "Neonicotinoids"
- EU Pesticides Database(2026年10月1日取得)
最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。
このページは、法令・公的機関の資料・査読論文に書かれている事実を並べたもので、特定の農薬や栽培方法の良し悪しを判定するものではありません。