農薬データベース解説確認日 2026.10.01

「無農薬」とは? 表示できない理由と、有機JAS・特別栽培のちがい

野菜に「無農薬」と書けない理由と、代わりの表示の読み方

結論

「無農薬」は、2003年(平成15年)のガイドライン改正から、野菜や果物に表示しないことになっています。

理由は、消費者が「残留農薬がゼロ」と受け取って誤解が起きていたためです。いまは「農薬:栽培期間中不使用」(特別栽培)か、有機JAS マークで見分けます。

「無農薬」とは書けないことを説明した図。表示しない言葉は、無農薬栽培農産物・減農薬栽培農産物・無化学肥料栽培農産物・減化学肥料栽培農産物。代わりの表示は、有機JAS マーク(原則として化学的に合成された農薬・肥料を使わない。使える農薬は銅剤・硫黄・BT 剤など決められたものだけ)、特別栽培農産物の「農薬:栽培期間中不使用」(その作物を育てている間、農薬を使っていない)、特別栽培農産物の「節減対象農薬:当地比 ○割減」(その地域でふつうに使われる回数の5割以下)。書けなくなった理由は、「無農薬」を土に残った農薬や周りから飛んできた農薬も含めて残留農薬がゼロと受け取る人が多かったため。「無農薬」を「有機」よりよいと思っている消費者が6割以上(2002年 総務省の調査)。
図:「無農薬」と書けない理由と、代わりの表示

なぜ「無農薬」と書けなくなったのか

農林水産省の「特別栽培農産物に係る表示ガイドライン」は、表示しないものとして「無農薬栽培農産物」「無化学肥料栽培農産物」「減農薬栽培農産物」「減化学肥料栽培農産物」などを挙げています。

  • 生産者にとって「無農薬」は「その作物を育てるときに農薬を使っていない」という意味でした。しかし消費者は、土に残った農薬や周りの畑から飛んできた農薬も含めて、残留農薬を一切含まないと受け取っていました(ガイドライン Q&A Q6)。
  • 「無農薬」を「有機」より優良だと誤認している消費者が6割以上いた(2002年 総務省「食品表示に関するアンケート調査」、同 Q6)。
  • 「減農薬」は、何と比べて、どれだけ、何を(使った回数か、残った量か)減らしたのかが分からなかった(同 Q6)。

2003年5月26日の改正で、それまでの「無農薬栽培農産物」「減農薬栽培農産物」などの区分を「特別栽培農産物」に一本化し、2004年3月31日までを新しい表示の普及・定着の期間としました。

加工食品でも、「無農薬栽培トマト使用」は適当でなく、「栽培期間中農薬不使用のトマト使用」などと書くのが適当とされています(Q&A Q50)。

代わりの表示の読み方

売り場の表示農薬についての意味
有機JAS マーク原則として、化学的に合成された農薬・肥料を使わない。畑も、多年生の作物は最初の収穫の3年以上前、それ以外は種まき・植え付けの2年以上前から、使ってはいけない資材を使っていないこと。病害虫が急に広がるおそれがあり、ほかの方法で防げないときに限り、決められた農薬(下の表)は使える
農薬:栽培期間中不使用特別栽培農産物のうち、その作物を育てている間、農薬を使っていないもの
節減対象農薬:栽培期間中不使用有機JAS で使える農薬などは使ったが、それ以外の農薬(節減対象農薬)は使っていないもの
節減対象農薬:当地比 ○割減その地域でふつうに使われる回数(慣行レベル)と比べて、節減対象農薬を5割以上減らしたもの。使った農薬の名前・用途・回数も表示される → 減農薬のしくみ

「栽培期間中」なので、その前の土や、周りから飛んでくる農薬までは含みません。「農薬が残っていない」という意味ではないことは、「無農薬」と同じです。

有機JAS でも使える農薬がある

有機JAS の規格(JAS 1605:2024)の附属書B 表B.1 には、有機栽培でも使える農薬が決められています。たとえば、除虫菊乳剤・なたね油乳剤・マシン油乳剤・硫黄剤・炭酸水素ナトリウム(重曹)・銅水和剤・天敵等生物農薬(BT 剤など微生物そのものを使うもの)・スピノサド・ミルベメクチン・カスガマイシン・食酢などです。

このデータベースの成分のうち、FAMIC の登録有効成分一覧で「有機JAS で使える」とされているもの:

表B.1 は製剤の種類ごとに条件があります(たとえば除虫菊乳剤は、効きを強めるピペロニルブトキサイドを含まないものに限る)。成分が同じでも、すべての製剤が使えるわけではありません。

農薬を使っていない野菜を選ぶには

店頭では「有機JAS マーク」と「農薬:栽培期間中不使用」が目印です。野菜の宅配サービスには、農薬を使わない・減らした野菜を中心に扱い、生産の基準を公開しているところがあります。

各社の栽培基準のくわしい比較は 食材宅配の比較・オイシックスの定期便と野菜の基準 にまとめています。

出典

最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。

このページは、法令・公的機関の資料・査読論文に書かれている事実を並べたもので、特定の農薬や栽培方法の良し悪しを判定するものではありません。

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