農薬データベース解説確認日 2026.10.01

農薬を使わずに作物は育つ? 減収率の調査と有機農業の広がり

農薬を使わない区画の収量は、作物によって2割減から全滅まで

結論

育てることはできますが、作物によっては大きく減ります。農薬を使わない区画で育てた調査(1991・92年)では、収量が水稲で28%、キャベツで63%減り、りんごは97%、ももは100%減りました。

実際に、農薬を使わない(または有機JAS で決められた農薬だけを使う)有機農業は、日本の耕地の0.9%(2024年度末、3.98万ha)で行われています。国は2050年に25%まで広げる目標を立てています。

農薬を使わないと、どれくらい減るか

社団法人 日本植物防疫協会が、全国の試験地で、ふつうに農薬を使った区画と使わない区画を比べた調査です。

農薬を使わないで栽培した場合の、収量と出荷金額の減少率(1991・1992年の調査) 日本植物防疫協会の調査(九州農政局の資料から)。収量の減少率:もも 100%、りんご 97%、キャベツ 63%、きゅうり 61%、トマト 39%、小麦 36%、ばれいしょ 31%、大豆 30%、水稲 28%、とうもろこし 28%、だいこん 24%、なす 21%。りんごは97%、ももは100%減った。 収量の減少率 出荷金額の減少率 0% 25% 50% 75% 100% もも(1か所) 100% 100% りんご(6か所) 97% 99% キャベツ(10か所) 63% 64% きゅうり(5か所) 61% 60% トマト(6か所) 39% 40% 小麦(4か所) 36% 66% ばれいしょ(2か所) 31% 42% 大豆(8か所) 30% 34% 水稲(10か所) 28% 34% とうもろこし(1か所) 28% 28% だいこん(5か所) 24% 37% なす(1か所) 21% 22% 出典:(社)日本植物防疫協会 1991・1992年調査(九州農政局 講演資料 p.6 から)
図:農薬を使わないで栽培した場合の、収量と出荷金額の減少率(1991・1992年の調査、かっこ内は調査か所数)

出荷金額の減少率が、収量の減少率より大きい作物もあります(小麦は収量36%減に対し、出荷金額は66%減)。

2008年の取りまとめ(病害虫による減収率)

作物平均最大最小
水稲24%100%0%
大豆30%49%7%
りんご97%100%90%
キャベツ67%100%10%
だいこん39%100%4%
きゅうり61%88%11%

雑草を取らなかった場合の減収率(同)

作物平均最大
小麦13%41%
大豆12%30%
とうもろこし17%54%
キャベツ18%69%
たまねぎ31%57%
にんじん37%88%

2008年の取りまとめは、1991・92年の調査に2004〜06年の試験を加えたもの(農林水産省の IPM セミナー資料から)。水稲の平均は、1991・92年の調査では28%、2008年の取りまとめでは24%と、資料で違います。年や場所によって、被害は0%から100%まで大きくばらつきます。原典の報告書(日本植物防疫協会 1993年)は公開されておらず、数字は国の機関の資料に引用されたものです。

有機農業の広がり

日本の有機農業の取組面積(万ha) 有機農業の取組面積の推移。H26年度末 2.16万ha(耕地の0.5%)、H27年度末 2.21万ha(耕地の0.5%)、H28年度末 2.31万ha(耕地の0.5%)、H29年度末 2.35万ha(耕地の0.5%)、H30年度末 2.37万ha(耕地の0.5%)、R1年度末 2.38万ha(耕地の0.5%)、R2年度末 2.52万ha(耕地の0.6%)、R3年度末 2.66万ha(耕地の0.6%)、R4年度末 3.01万ha(耕地の0.7%)、R5年度末 3.45万ha(耕地の0.8%)、R6年度末 3.98万ha(耕地の0.9%)。うち濃い色は有機JASの面積。目標は2030年に6.3万ha、2050年に100万ha(耕地の25%)。 有機JAS 有機JAS以外(国の推計) 0 1 2 3 4 2.16 H26 2.21 H27 2.31 H28 2.35 H29 2.37 H30 2.38 R1 2.52 R2 2.66 R3 3.01 R4 3.45 R5 3.98 R6 年度末。出典:農林水産省「日本の有機農業の取組面積について」(令和8年6月)
図:日本の有機農業の取組面積(万ha、年度末)
3.98万ha有機農業の面積(2024年度末)
0.9%耕地に占める割合
+84%10年間の増え方(2014年度末 2.16万ha から)
100万ha2050年の目標(耕地の25%)

国の「みどりの食料システム戦略」(2021年)は、2050年までに、有機農業を耕地の25%(100万ha)に広げ、化学農薬の使用量(リスク換算)を50%減らす目標を立てています。2030年の中間目標は、有機6.3万ha、化学農薬10%減です。

化学農薬使用量(リスク換算)の実績と目標 2019年の23,330を基準に、2021年 21,230、2023年 19,839、2024年 18,682、2050年 11,665。目標は2030年に10%減、2050年に50%減(11,665)。 0 10,000 20,000 23,330 2019 21,230 2021 19,839 2023 18,682 2024 11,665 2050 20,997 2030目標 11,665 2050目標 2030年目標は基準年の10%減の計算値。出典:農林水産省 みどりの食料システム戦略 KPI
図:化学農薬使用量(リスク換算)。ADI の小さい(毒性の強い)成分ほど重く数える国の指標

有機農業でも、有機JAS で決められた農薬(銅剤・硫黄・BT 剤など)は、病害虫が急に広がるおそれがあり、ほかの方法で防げないときに限って使えます → 無農薬とは?

有機・特別栽培の野菜を試すなら

有機農業は耕地の1%に満たないため、近所の店で見つけにくいこともあります。有機JAS・特別栽培の野菜をまとめて扱う宅配があります。

出典

最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。

このページは、法令・公的機関の資料・査読論文に書かれている事実を並べたもので、特定の農薬や栽培方法の良し悪しを判定するものではありません。

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