農薬を使わずに作物は育つ? 減収率の調査と有機農業の広がり
農薬を使わない区画の収量は、作物によって2割減から全滅まで
結論
育てることはできますが、作物によっては大きく減ります。農薬を使わない区画で育てた調査(1991・92年)では、収量が水稲で28%、キャベツで63%減り、りんごは97%、ももは100%減りました。
実際に、農薬を使わない(または有機JAS で決められた農薬だけを使う)有機農業は、日本の耕地の0.9%(2024年度末、3.98万ha)で行われています。国は2050年に25%まで広げる目標を立てています。
農薬を使わないと、どれくらい減るか
社団法人 日本植物防疫協会が、全国の試験地で、ふつうに農薬を使った区画と使わない区画を比べた調査です。
出荷金額の減少率が、収量の減少率より大きい作物もあります(小麦は収量36%減に対し、出荷金額は66%減)。
2008年の取りまとめ(病害虫による減収率)
| 作物 | 平均 | 最大 | 最小 |
|---|---|---|---|
| 水稲 | 24% | 100% | 0% |
| 大豆 | 30% | 49% | 7% |
| りんご | 97% | 100% | 90% |
| キャベツ | 67% | 100% | 10% |
| だいこん | 39% | 100% | 4% |
| きゅうり | 61% | 88% | 11% |
雑草を取らなかった場合の減収率(同)
| 作物 | 平均 | 最大 |
|---|---|---|
| 小麦 | 13% | 41% |
| 大豆 | 12% | 30% |
| とうもろこし | 17% | 54% |
| キャベツ | 18% | 69% |
| たまねぎ | 31% | 57% |
| にんじん | 37% | 88% |
2008年の取りまとめは、1991・92年の調査に2004〜06年の試験を加えたもの(農林水産省の IPM セミナー資料から)。水稲の平均は、1991・92年の調査では28%、2008年の取りまとめでは24%と、資料で違います。年や場所によって、被害は0%から100%まで大きくばらつきます。原典の報告書(日本植物防疫協会 1993年)は公開されておらず、数字は国の機関の資料に引用されたものです。
有機農業の広がり
国の「みどりの食料システム戦略」(2021年)は、2050年までに、有機農業を耕地の25%(100万ha)に広げ、化学農薬の使用量(リスク換算)を50%減らす目標を立てています。2030年の中間目標は、有機6.3万ha、化学農薬10%減です。
有機農業でも、有機JAS で決められた農薬(銅剤・硫黄・BT 剤など)は、病害虫が急に広がるおそれがあり、ほかの方法で防げないときに限って使えます → 無農薬とは?
有機・特別栽培の野菜を試すなら
有機農業は耕地の1%に満たないため、近所の店で見つけにくいこともあります。有機JAS・特別栽培の野菜をまとめて扱う宅配があります。
出典
- 九州農政局 講演資料 p.6「農薬を使用しないで栽培した場合の収量と出荷金額の減少率」(日本植物防疫協会 1991・1992年調査。長崎県 食の安全・安心リスクコミュニケーション資料)
- 農林水産省 令和7年度 IPM セミナー資料 p.3(日本植物防疫協会「病害虫と雑草による農作物の損失」平成20年6月から)
- 農林水産省「日本の有機農業の取組面積について」(令和8年6月)
- 農林水産省「みどりの食料システム戦略」(令和3年5月)・KPI 実績値一覧
- 農林水産省「みどりの食料システム戦略における化学農薬使用量(リスク換算)について」
- 日本農林規格「有機農産物」JAS 1605:2024
最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。