農薬データベース解説確認日 2026.10.01

作物によって使う農薬は変わる? 25作物で使える成分の数

農薬は作物ごとに登録され、使える種類も回数も違う

結論

変わります。日本の農薬は「どの作物に・どう使うか」を決めて登録され、登録のない作物には使えません。使う量・薄める倍率・収穫の何日前まで・何回までも、作物ごとに決まっています。

使える有効成分の数も作物で大きく違い、主要25作物では トマト(171成分)から みかん(69成分)まで幅があります。

農薬は「作物ごと」に登録される

農薬を使う人が守る基準(農林水産省・環境省の省令)は、食べる作物に使うとき、次のことを決めています。

  1. 登録されている作物(適用作物)以外に使わない
  2. 決められた量の上限を超えない
  3. 決められた倍率より濃く薄めない
  4. 決められた時期(「収穫○日前まで」など)以外に使わない
  5. 種まき(多年生の作物は前の収穫)から収穫までに、決められた回数を超えない。回数は有効成分ごとに数える

同じ農薬でも作物によって使い方が違うのは、病害虫・形・食べる部分・重さに対する表面積・収穫のしかたが違い、同じ使い方でも残る濃度が変わるためです。たとえば、ししとうは軽くて重さに対する表面積が大きいので、残留濃度が上がりやすいとされています(農林水産省)。

25作物で使える有効成分の数

FAMIC(農林水産消費安全技術センター)の登録データ(2026年9月)から、作物ごとに、その作物名で登録がある有効成分を数えました。

主要25作物で使える農薬の有効成分の数(用途別) 作物ごとに、その作物名で農薬登録がある有効成分の数を、殺虫剤・殺菌剤・除草剤・その他に分けた横棒グラフ。多い順に トマト 171、きゅうり 166、りんご 166、稲 164、なし 161、いちご 158、キャベツ 154、なす 154、ぶどう 151、もも 138、茶 138、レタス 135、ばれいしょ 130、はくさい 128、ねぎ 127、ピーマン 124、たまねぎ 121、大豆 113、かき 113、ブロッコリー 104、だいこん 102、にんじん 86、ほうれんそう 84、小麦 75、みかん 69。野菜類などの作物群の登録は含まない。 var(--add) var(--accent) var(--mark) var(--ink-3) 0 50 100 150 トマト トマト 殺虫剤 74 トマト 殺菌剤 77 トマト 除草剤 12 トマト その他 8 171 きゅうり きゅうり 殺虫剤 80 きゅうり 殺菌剤 77 きゅうり 除草剤 9 166 りんご りんご 殺虫剤 79 りんご 殺菌剤 63 りんご 除草剤 12 りんご その他 12 166 稲 稲 殺虫剤 35 稲 殺菌剤 55 稲 除草剤 69 稲 その他 5 164 なし なし 殺虫剤 74 なし 殺菌剤 65 なし 除草剤 10 なし その他 12 161 いちご いちご 殺虫剤 84 いちご 殺菌剤 58 いちご 除草剤 11 いちご その他 5 158 キャベツ キャベツ 殺虫剤 71 キャベツ 殺菌剤 57 キャベツ 除草剤 22 キャベツ その他 4 154 なす なす 殺虫剤 83 なす 殺菌剤 60 なす 除草剤 9 なす その他 2 154 ぶどう ぶどう 殺虫剤 62 ぶどう 殺菌剤 69 ぶどう 除草剤 10 ぶどう その他 10 151 もも もも 殺虫剤 64 もも 殺菌剤 59 もも 除草剤 8 もも その他 7 138 茶 茶 殺虫剤 87 茶 殺菌剤 37 茶 除草剤 10 茶 その他 4 138 レタス レタス 殺虫剤 63 レタス 殺菌剤 57 レタス 除草剤 14 レタス その他 1 135 ばれいしょ ばれいしょ 殺虫剤 46 ばれいしょ 殺菌剤 54 ばれいしょ 除草剤 26 ばれいしょ その他 4 130 はくさい はくさい 殺虫剤 63 はくさい 殺菌剤 52 はくさい 除草剤 12 はくさい その他 1 128 ねぎ ねぎ 殺虫剤 58 ねぎ 殺菌剤 52 ねぎ 除草剤 16 ねぎ その他 1 127 ピーマン ピーマン 殺虫剤 65 ピーマン 殺菌剤 51 ピーマン 除草剤 8 124 たまねぎ たまねぎ 殺虫剤 36 たまねぎ 殺菌剤 57 たまねぎ 除草剤 26 たまねぎ その他 2 121 大豆 大豆 殺虫剤 46 大豆 殺菌剤 38 大豆 除草剤 28 大豆 その他 1 113 かき かき 殺虫剤 56 かき 殺菌剤 45 かき 除草剤 5 かき その他 7 113 ブロッコリー ブロッコリー 殺虫剤 55 ブロッコリー 殺菌剤 36 ブロッコリー 除草剤 12 ブロッコリー その他 1 104 だいこん だいこん 殺虫剤 62 だいこん 殺菌剤 26 だいこん 除草剤 13 だいこん その他 1 102 にんじん にんじん 殺虫剤 35 にんじん 殺菌剤 31 にんじん 除草剤 20 86 ほうれんそう ほうれんそう 殺虫剤 44 ほうれんそう 殺菌剤 28 ほうれんそう 除草剤 12 84 小麦 小麦 殺虫剤 14 小麦 殺菌剤 35 小麦 除草剤 22 小麦 その他 4 75 みかん みかん 殺虫剤 27 みかん 殺菌剤 27 みかん 除草剤 3 みかん その他 12 69
図:主要25作物で使える農薬の有効成分の数(その作物名で直接の登録があるもの)
作物成分の数殺虫殺菌除草作物群の登録も含めると
トマト171747712208
きゅうり16680779212
りんご166796312180
稲164355569164
なし161746510176
いちご158845811200
キャベツ154715722203
なす15483609198
ぶどう151626910169
もも13864598167
茶138873710138
レタス135635714187
ばれいしょ130465426179
はくさい128635212181
ねぎ127585216183
ピーマン12465518181
たまねぎ121365726181
大豆113463828178
かき11356455133
ブロッコリー104553612170
だいこん102622613159
にんじん86353120146
ほうれんそう84442812142
小麦7514352295
みかん6927273175

「作物群の登録も含めると」は、「野菜類」「果樹類」「かんきつ」などのまとまりで登録された成分も足した数。みかんは「かんきつ」としての登録が中心なので、こちらの数の方が実態に近い。いちごを「野菜類」に含めたのは、登録データの表記(「野菜類(いちご…を除く)」)からの推定です。数が多いことは、それだけ多く使われているという意味ではありません(実際に使う回数は 慣行レベル を参照)。

作物で違うポイント

  • 稲は除草剤が多い:稲で使える成分の4割強が除草剤です。水田の雑草対策の除草剤が多く登録されています。
  • 野菜・果物は殺虫剤と殺菌剤が中心:トマト・きゅうり・りんごなどでは、殺虫剤と殺菌剤がほぼ同じくらい登録され、除草剤は1割未満です。茶は殺虫剤が6割を超えます(138成分中87)。
  • 果樹は植物成長調整剤も:りんご・なし・みかんでは、実のつき方や熟し方を調整する植物成長調整剤が10成分ずつ登録されています。
  • 小さな作物は「作物群」で登録できる:生産量が少ない作物は、登録に必要な残留試験をそろえにくく、使える農薬が少なくなりがちです。そこで、似た作物をまとめた「作物群」(たとえば「核果類」)で登録し、群に入る作物(あんずなど)にも使えるしくみがあります。

多くの作物に登録がある成分の例(主要25作物のうち20作物以上で直接の登録):

家庭菜園でも同じ

家庭菜園で使う農薬も、ラベルに「農林水産省登録第○号」がある登録農薬を、育てている作物に登録があるか確かめて使います。同じ成分でも、粉剤と液剤で登録された作物が違うことがあります(静岡県「家庭菜園などで農薬を使用する人へ」)。

出典

最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。

このページは、法令・公的機関の資料・査読論文に書かれている事実を並べたもので、特定の農薬や栽培方法の良し悪しを判定するものではありません。

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