作物によって使う農薬は変わる? 25作物で使える成分の数
農薬は作物ごとに登録され、使える種類も回数も違う
結論
変わります。日本の農薬は「どの作物に・どう使うか」を決めて登録され、登録のない作物には使えません。使う量・薄める倍率・収穫の何日前まで・何回までも、作物ごとに決まっています。
使える有効成分の数も作物で大きく違い、主要25作物では トマト(171成分)から みかん(69成分)まで幅があります。
農薬は「作物ごと」に登録される
農薬を使う人が守る基準(農林水産省・環境省の省令)は、食べる作物に使うとき、次のことを決めています。
- 登録されている作物(適用作物)以外に使わない
- 決められた量の上限を超えない
- 決められた倍率より濃く薄めない
- 決められた時期(「収穫○日前まで」など)以外に使わない
- 種まき(多年生の作物は前の収穫)から収穫までに、決められた回数を超えない。回数は有効成分ごとに数える
同じ農薬でも作物によって使い方が違うのは、病害虫・形・食べる部分・重さに対する表面積・収穫のしかたが違い、同じ使い方でも残る濃度が変わるためです。たとえば、ししとうは軽くて重さに対する表面積が大きいので、残留濃度が上がりやすいとされています(農林水産省)。
25作物で使える有効成分の数
FAMIC(農林水産消費安全技術センター)の登録データ(2026年9月)から、作物ごとに、その作物名で登録がある有効成分を数えました。
| 作物 | 成分の数 | 殺虫 | 殺菌 | 除草 | 作物群の登録も含めると |
|---|---|---|---|---|---|
| トマト | 171 | 74 | 77 | 12 | 208 |
| きゅうり | 166 | 80 | 77 | 9 | 212 |
| りんご | 166 | 79 | 63 | 12 | 180 |
| 稲 | 164 | 35 | 55 | 69 | 164 |
| なし | 161 | 74 | 65 | 10 | 176 |
| いちご | 158 | 84 | 58 | 11 | 200 |
| キャベツ | 154 | 71 | 57 | 22 | 203 |
| なす | 154 | 83 | 60 | 9 | 198 |
| ぶどう | 151 | 62 | 69 | 10 | 169 |
| もも | 138 | 64 | 59 | 8 | 167 |
| 茶 | 138 | 87 | 37 | 10 | 138 |
| レタス | 135 | 63 | 57 | 14 | 187 |
| ばれいしょ | 130 | 46 | 54 | 26 | 179 |
| はくさい | 128 | 63 | 52 | 12 | 181 |
| ねぎ | 127 | 58 | 52 | 16 | 183 |
| ピーマン | 124 | 65 | 51 | 8 | 181 |
| たまねぎ | 121 | 36 | 57 | 26 | 181 |
| 大豆 | 113 | 46 | 38 | 28 | 178 |
| かき | 113 | 56 | 45 | 5 | 133 |
| ブロッコリー | 104 | 55 | 36 | 12 | 170 |
| だいこん | 102 | 62 | 26 | 13 | 159 |
| にんじん | 86 | 35 | 31 | 20 | 146 |
| ほうれんそう | 84 | 44 | 28 | 12 | 142 |
| 小麦 | 75 | 14 | 35 | 22 | 95 |
| みかん | 69 | 27 | 27 | 3 | 175 |
「作物群の登録も含めると」は、「野菜類」「果樹類」「かんきつ」などのまとまりで登録された成分も足した数。みかんは「かんきつ」としての登録が中心なので、こちらの数の方が実態に近い。いちごを「野菜類」に含めたのは、登録データの表記(「野菜類(いちご…を除く)」)からの推定です。数が多いことは、それだけ多く使われているという意味ではありません(実際に使う回数は 慣行レベル を参照)。
作物で違うポイント
- 稲は除草剤が多い:稲で使える成分の4割強が除草剤です。水田の雑草対策の除草剤が多く登録されています。
- 野菜・果物は殺虫剤と殺菌剤が中心:トマト・きゅうり・りんごなどでは、殺虫剤と殺菌剤がほぼ同じくらい登録され、除草剤は1割未満です。茶は殺虫剤が6割を超えます(138成分中87)。
- 果樹は植物成長調整剤も:りんご・なし・みかんでは、実のつき方や熟し方を調整する植物成長調整剤が10成分ずつ登録されています。
- 小さな作物は「作物群」で登録できる:生産量が少ない作物は、登録に必要な残留試験をそろえにくく、使える農薬が少なくなりがちです。そこで、似た作物をまとめた「作物群」(たとえば「核果類」)で登録し、群に入る作物(あんずなど)にも使えるしくみがあります。
多くの作物に登録がある成分の例(主要25作物のうち20作物以上で直接の登録):
家庭菜園でも同じ
家庭菜園で使う農薬も、ラベルに「農林水産省登録第○号」がある登録農薬を、育てている作物に登録があるか確かめて使います。同じ成分でも、粉剤と液剤で登録された作物が違うことがあります(静岡県「家庭菜園などで農薬を使用する人へ」)。
出典
- FAMIC 農薬登録情報ダウンロード(2026年9月9日・10日登録反映分)・登録農薬の概要(2026年9月30日現在)
- 農林水産省「作物分類」
- 農林水産省「農薬を使用することができる作物群」
- 農林水産省「作物群での登録とは(農家の皆様へ)」
- 農薬を使用する者が遵守すべき基準を定める省令(平成15年 農林水産省・環境省令第5号、制定時の条文)
- 農林水産省 リーフレット「その使い方、合ってる? 農薬ラベルを確認!!」(令和2年5月)
- 静岡県「農薬安全使用のポイント(一般の方向け)家庭菜園などで農薬を使用する人へ」
最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。制度や数字は変わることがあります。