アルミ鍋・アルミホイルからアルミは溶け出す? 作り方・使われる理由・体にたまったときの影響と、代わりの鍋の選び方

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雪平鍋、やかん、アルミホイル、お弁当のホイルカップ、缶ジュース。台所にはアルミニウム(アルミ)の製品がたくさんあります。
一方で、「アルミ鍋で煮るとアルミが溶け出す」「ホイル焼きは体に悪い」「アルミでアルツハイマー病になる」という話もよく聞きます。
この記事では、
- アルミ製品はどうやって作られるのか
- なぜ鍋ややかんにアルミが使われるのか
- アルミ鍋・雪平鍋を使い続けると、アルミは溶け出すのか
- アルミホイルからは溶け出すのか
- 体に入ったアルミはどうなり、たまるとどんな影響があるのか
- 水道水・缶・食品添加物(ミョウバン)・胃薬など、ほかの入り口
- アルミを控えたい人は、鍋や容器に何を使えばよいか
を、国や国際機関の資料と論文で確かめます。
結論
- アルミは、ボーキサイトという鉱石からアルミナを取り出し、それを電気分解して作ります。日本では電気代の高騰で製錬業が撤退し、2014年に最後の電解工場が止まりました。いまは新しいアルミをすべて輸入しています
- 鍋に使われるのは、熱をよく伝え(鉄の約3倍)、軽い(鉄の約3分の1)からです。表面には薄い酸化皮膜ができてさびを防ぎますが、酸・アルカリ・塩分には弱いため、国の表示ルールでアルミ鍋には「酸性・アルカリ性のものの使用は避ける」「鍋の中に料理を保存しない」と書くことになっています
- アルミ鍋からは、アルミが溶け出します。量は中身と時間で大きく変わり、国の研究所などのまとめでは、30分煮たときの平均は水で 0.08µg/g、味噌汁で 1.0µg/g、酢で 8.0µg/g、こんにゃくの煮汁(アルカリ性)で 11.7µg/g でした。アルマイト加工の鍋は、加工なしの鍋より大幅に少なくなります
- アルミホイルからも、酸・塩分・アルカリ・熱で溶け出します。ぽん酢や梅干しの漬け汁では水道水の約100倍でした。一方で、市販のアルミ箔鍋入り食品を表示どおりに煮た試験では、ごくわずかでした
- ふだんの調理器具から入るアルミは、食事全体よりかなり少ないと推計されています(家庭の加熱調理をすべてアルミ鍋で行うと仮定しても、成人で1日 0.57mg)。日本の食事でいちばん大きな入り口は、膨張剤などに使われるミョウバン(食品添加物)でした。2018年に菓子・パンへの使用量に上限ができ、加工食品から子どもがとる量は3割以下(1日1.80mg→0.50mg)に下がっています
- 口から入ったアルミのうち、吸収されるのは約0.1%です。大部分は尿から出ていきますが、一部は骨などに長く残ります
- 健康への影響がはっきり確かめられているのは、腎臓の働きが落ちた人、とくに透析を受けている人です(脳症・骨の病気・貧血)。アルツハイマー病は、国際機関・日本の食品安全委員会とも「食事からのアルミとの因果関係を示す十分な根拠はない」としています
- アルミを控えたい人向けの公的な助言は、「酸っぱいもの・塩気の多いものを、加工のないアルミ容器やホイルで調理・保存しない」(ドイツ連邦リスク評価研究所)が中心です。代わりの素材(鉄・ホーロー・ステンレス・ガラス)にも、それぞれ溶け出すものや注意点があります
この記事で紹介しているもの
| 紹介しているもの | どんなときに | 記事の中の場所 |
|---|---|---|
| アルマイト加工の雪平鍋(谷口金属工業) | アルミの軽さ・熱の伝わりは残しつつ、加工のある鍋にしたいとき | アルミ鍋・雪平鍋からアルミは溶け出す? |
| ステンレスの雪平鍋(ヨシカワ・21Cr) | アルミ以外の雪平鍋にしたいとき(ニッケルを主に加えていない鋼種) | ステンレス |
| 野田琺瑯のミルクパン・保存容器 | 酸っぱいもの・塩気の多いものを煮る・保存するとき | ホーロー(琺瑯) |
| ツヴィリング公式(ストウブの鋳物ホーロー鍋など) | 煮込み用の重い鍋を探すとき | ホーロー(琺瑯) |
| リバーライト 極 JAPAN(鉄のフライパン) | 炒める・焼く用にアルミ以外のフライパンを探すとき | 鉄 |
| HARIO NETSHOP(耐熱ガラスの器具) | 中身が見える耐熱ガラスの鍋・保存容器を探すとき | 耐熱ガラス |
| クックパー クッキングシート | 酸っぱいもの・塩気の多いものを焼くとき、ホイルの代わりに | アルミホイルからアルミは溶け出す? |
| ラムフォードのベーキングパウダー(アルミニウム不使用) | 家でお菓子を作るとき | 食品添加物のミョウバン |
台所にあるアルミ製品
食べもの・飲みものに触れるアルミ製品には、次のようなものがあります。
| 製品 | 表面の加工 | この記事の場所 |
|---|---|---|
| 雪平鍋・片手鍋・両手鍋・寸胴鍋 | なし(生地)/アルマイト/フッ素樹脂加工 | アルミ鍋・雪平鍋 |
| やかん・ケトル | なし/アルマイト | 同上 |
| アルミホイル・ホイルカップ・アルミ箔の使い捨て鍋やトレー | ふつうはなし(シリコーン加工のホイルもある) | アルミホイル |
| 飲料のアルミ缶 | 内側を樹脂でコーティング | アルミ缶 |
| 弁当箱・キャンプ用の鍋 | アルマイトが多い | アルミ鍋・雪平鍋 |
| (製品ではないが)食品添加物のミョウバン・アルミニウムレーキ | ― | 食品添加物のミョウバン |
アルミ製品はどうやって作られる?
ボーキサイトからアルミナ、そして電気分解
アルミニウムは地殻に多い元素ですが、酸素と強く結びついているため、金属のまま見つかることはありません。日本アルミニウム協会(業界団体)の説明では、次の2段階で作ります。
- バイヤー法(1887年):赤褐色の鉱石ボーキサイトを砕き、か性ソーダなどと混ぜて加圧・加熱すると、アルミナ分が溶け出します。不純物を除いて水酸化アルミニウムを取り出し、約1000℃で焼くと、白いアルミナ(酸化アルミニウム)になります
- ホール・エルー法(1886年):アルミナを、溶かした氷晶石などに混ぜ、約1000℃で電気分解します。溶けたアルミニウムが炉の底にたまります
目安として、ボーキサイト約4トンからアルミナ約2トン、アルミニウム1トンができます(日本アルミニウム協会)。
電気分解には大量の電気を使います。国際アルミニウム協会(業界団体)の統計では、アルミニウム1トンあたり世界平均で約1万3,900kWh(2025年)です。
日本はすべて輸入。リサイクルは盛ん
日本の製錬は1977年に約120万トンでピークでしたが、2度のオイルショックで電気代が上がり、撤退が続きました。最後まで残った日本軽金属・蒲原製造所(静岡市)の電解も2014年3月31日に終了しています(同社の発表)。いま、新しく作られたアルミ(新地金)は100%輸入です。
一方、使い終わったアルミを溶かして作る再生地金のエネルギーは、新地金の約3%です(日本アルミニウム協会の調査)。飲料用アルミ缶のリサイクル率は2025年度で94.7%、そのうち国内で再びアルミ缶になった割合(CAN to CAN)は73.3%でした(アルミ缶リサイクル協会。リサイクル率には海外へ輸出された使用済み缶も含まれます)。
アルミホイル:最後は2枚重ねて延ばす
アルミホイルは、厚い板をロールで何度も圧延して薄くします。最後の工程では2枚を重ねて圧延し、あとで1枚ずつに分けます。
ロールに触れた面は光り、アルミどうしが触れていた面は細かい凹凸で光りません。福井県消費生活センターは「光沢面と非光沢面の違いは製造工程によって生じるもので、区別不要」としています(くっつきにくい加工をした製品は表示に従います)。家庭用のホイルの厚さは約11〜12µm(0.011〜0.012mm)です。
鍋・やかん:板を絞る、型に流す、たたく
鍋ややかんは、板をプレスで絞る(深絞り)、回しながらへらで押しつける(へら絞り)、溶かしたアルミを型に流す(鋳物)、たたいて形を作る(打ち出し)などの方法で作ります。雪平鍋の表面の細かいへこみ(槌目)は、打ち出しの跡です。
アルマイト:表面の皮膜をわざと厚くしたもの
アルマイトは、アルミを硫酸やしゅう酸の液に入れ、プラス極にして電気を流し、表面の酸化皮膜を人工的に厚く育てたものです。最後に熱湯や蒸気で皮膜の細かい孔をふさぎます(封孔処理)。
日本の理化学研究所で生まれた技術で、1923年に特許が出願され、1929年に蒸気で孔をふさぐ方法が特許になりました(理化学研究所)。メッキのように別の金属を付けたものではなく、アルミ自身の表面を酸化させたものです。
アルミが自然にまとう酸化皮膜は4〜11nm(ナノメートル)ととても薄いことが、ドイツの研究で測られています。家庭用品の表示で「アルマイト」と書けるのは、日本産業規格(JIS)で決まった厚さ以上の皮膜があるものだけです(消費者庁)。
なぜ調理器具にアルミが使われるのか
| 素材 | 熱の伝わりやすさ(熱伝導率 W/(m·K)) | 重さ(比重) |
|---|---|---|
| 銅 | 398 | 8.9 |
| アルミニウム | 237 | 2.7 |
| 鉄 | 80.3 | 7.8 |
| ステンレス鋼 | 16 | (鉄とほぼ同じ) |
| ガラス(ホーローの表面と同じガラス質) | 1.03 | ― |
熱伝導率は日本機械学会『伝熱工学資料 第5版』、比重は日本アルミニウム協会による。純金属の値で、合金の鍋はこれより低くなります。
アルミが鍋・やかんに使われる理由は、主に次の3つです。
- 熱をよく伝える:鉄の約3倍、ステンレスの十数倍。湯が早く沸き、鍋全体が温まりやすい
- 軽い:鉄やステンレスの約3分の1。片手で持つ雪平鍋ややかんに向く
- 材料が安い:2026年8月の国際価格(地金)で、アルミは1トン3,251ドル、銅は14,326ドル(世界銀行)。鍋の値段の比較ではありませんが、銅の4分の1以下です
酸化皮膜には限界がある
アルミの表面にできる酸化皮膜は、ふだんの環境ではさびを防ぎます。ただし酸・アルカリ・塩分には弱く、そこから溶け出します。
このため、家庭用品品質表示法(消費者庁)では次の表示が決められています。
- アルミ鍋:「酸性又はアルカリ性のものの使用は避ける旨」「鍋の中に料理を保存しない旨」
- アルミホイル:「酸分及び塩分によって変色や浸食が生じることがある旨」「直火によって溶解が生じることがある旨」
一方で、食品衛生法の器具の規格には、アルミが溶け出す量の基準はありません。ガラス・陶磁器・ホーローには鉛・カドミウムの溶出の基準がありますが、アルミ製の鍋やホイルについての個別の基準はない、というのが現在のルールです。
雪平鍋(ゆきひら鍋)とは
「ゆきひら」は、もともと取っ手・注ぎ口・ふたの付いた陶器の土鍋で、おかゆを炊く道具でした。江戸時代の天明年間(1781〜89年)の末ごろから作られ、それまでの鉄の小鍋に代わって広まったとされます(『世界大百科事典』)。
名前の由来は、平安時代の在原行平が須磨で海女に塩を焼かせた故事にちなむという説が有名ですが、湯気の具合を「湯気平(ゆげひら)」と言ったという説もあります。いまは、アルミや銅をたたいて作る、注ぎ口付きの片手鍋も同じ名前で呼ばれます(『日本大百科全書』)。
アルミの雪平鍋のメーカー(北陸アルミニウム)の取扱説明書には、次のように書かれています。
- 酢などの酸性のもの、アク抜き用の重曹などのアルカリ性のものでの使用は、なるべく避ける。使ったらすぐに洗う
- 料理を入れたまま保存せず、ほかの容器に移す
- 内側の黒ずみや白いブツブツは「人体には無害」だが、白いブツブツは腐食のはじまり
- 使い始めや手入れに、米のとぎ汁(取扱説明書では米ぬか)を入れて10〜15分煮立てると、表面に膜ができて黒ずみや腐食が起きにくくなる
アルミ鍋・雪平鍋からアルミは溶け出す?
溶け出します。量を大きく左右するのは「何を入れるか(酸・アルカリ・塩分)」「温度」「時間」です。
国立医薬品食品衛生研究所などの研究者が、厚生労働省の研究でアルミ鍋(アルマイト・厚板)を調べた結果をまとめています(河村ら 2016。水や酢酸の試験は鍋13個)。30分煮たときの溶出量の平均は次のとおりです。
- 水は 0.08µg/g、味噌汁・ほうれん草の煮汁は 1.0µg/g でした
- 酢(pH 3.1)は 8.0µg/g、こんにゃくの煮汁(pH 10.4、アルカリ性)は 11.7µg/g と多くなりました
- 1%の食塩水だけでは、ほとんど溶け出しませんでした。塩分が問題になるのは、酸と一緒のときです(次の節)
アルマイト加工の鍋は少ない。ただし酸と塩が重なると増える
鳥取大学などの研究(松島ら 1990)は、表面加工のない厚板のアルミ鍋とアルマイト鍋で、10分沸騰させたときの溶出を比べました(どちらも、事前に酸につけて表面の皮膜を落としてから試験しています)。
| 中身(10分沸騰) | 加工なしの厚板アルミ鍋 | アルマイト鍋 |
|---|---|---|
| 蒸留水 | 0.82µg/mL | 0.009µg/mL |
| 蒸留水+食塩2% | 4.37 | 0.024 |
| 0.4%酢酸(酢の物くらい) | 77.9 | 3.80 |
| 0.4%酢酸+食塩2% | 75.8 | 6.64 |
| 4%酢酸+食塩2% | 69.9 | 17.5 |
出典:松島ら「アルミニウム製調理器具からのアルミニウムの溶出に対する食塩,酢酸およびクエン酸の影響」日本衛生学雑誌 45:964-970(1990)Table 3・4。
同じグループの1988年の研究では、4%酢酸を10分煮たとき、アルマイト鍋の溶出は厚板アルミ鍋の1.42%でした。著者は「アルマイト加工は溶け出しを防ぐのに効果があるが、酸と食塩があると加熱で明らかに増える」とまとめています。
新しい鍋と使い込んだ鍋
研究によって結果が分かれます。
- 最初の数回が多い:アルミのエスプレッソメーカー(モカポット)では、1回目のコーヒーのアルミ濃度が 0.564mg/L、3回目は 0.133mg/L でした。ただし食器洗い機で洗った後は 0.795mg/L に増えました(ドイツ・ヘッセン州の研究所、Stahl ら 2017)
- 回数で大きく変わらない:100円のアルミ雪平鍋を25回使った試験では、25回までは使用回数による有意な差がありませんでした。酸っぱい料理(すし酢)では20回目以降にやや増え、アルカリ性・中性の料理では使ううちに減る傾向でした(滋賀短期大学 中平ら 2013)
- 使う前に水を煮る:フランスの研究では、使う前に鍋で水を煮ておくと、酸性の液への溶け出しが最大で約60分の1に減りました(Karbouj ら 2009)。メーカーが勧める「米のとぎ汁で煮る」も、表面に膜を作るための手入れです
- 韓国の食品医薬品安全処は「新しく買ったアルミ鍋は水を入れて煮てから使う」「長く使って変色したアルミ鍋は交換が望ましい」としています(国立医薬品食品衛生研究所の海外情報の翻訳による)
海外の評価:加工のないアルミ容器で、酸っぱいものを保温・保存しない
ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は、表面加工のないアルミ製の配膳トレーに酸っぱい食品(トマト、りんごのピューレ、ザワークラウトの汁)を入れて2時間保温した試験で、欧州評議会の目安(食品1kgあたり5mg。法的な基準ではない)の2〜6倍が溶け出したと報告しました(2017年)。
BfR は、アルミの鍋について「コーティングされていれば使ってよい。そうでなければ、りんごのピューレ・トマトピューレ・ルバーブ・塩漬けニシンのような、酸や塩分の多い食品は、なるべく調理したり長く保存したりしない」としています。
食事全体と比べると
国立医薬品食品衛生研究所などの推計では、家庭の加熱調理をすべてアルミ鍋で行うと仮定しても、器具から入るアルミは1人1日 0.277〜0.570mg(国際的な許容量の3〜6%)でした。著者は「ステンレス鍋や電子レンジでの調理もあるので、実際はさらに少ない」と書いています。
日本の食事全体からの量(成人で1日約2.5mg、後の節)と比べると、その一部です。
アルミの鍋をこれからも使うなら、加工のある鍋を選び、酸っぱいもの・塩気の多いものは調理が終わったらほかの容器に移す、というのが、公的機関と取扱説明書に共通する使い方です。
アルミホイルからアルミは溶け出す?
溶け出します。鍋と同じく、酸・塩分・アルカリと熱で増えます。
国立衛生試験所(いまの国立医薬品食品衛生研究所)の研究(武田ら 1998)では、ホイルの小片を食品の液体部分に95℃で30分つけて、溶け出したアルミを測りました。
- 水道水は 0.12µg/cm² でしたが、ぽん酢は 12.00、梅干しの漬け汁は 10.80〜12.00、しらたきの煮汁(アルカリ性)は 87.80〜107.4µg/cm² でした
- 夏の弁当を想定した40℃4時間でも、梅干しの漬け汁は 9.46〜10.67µg/cm² と多いままでした
- 一方、穀物酢は 0.19 と少なく、著者は食品に含まれるたんぱく質やアミノ酸が溶け出しを大きく抑えたと考えています(4%酢酸にペプトンを加えると、溶出は0.3%に減りました)
- 4%酢酸に食塩を5%加えると、溶け出しは約5倍に増えました
焼き料理では
- 市販のアルミ箔鍋入り食品(鍋焼きうどんなど11種)を表示どおり5分煮た試験では、食品1gあたり0.2µg未満でした。冷凍グラタンのアルミ箔トレーをトースターで15分焼いても 0.03µg/g 以下でした(武田ら 1999)
- 同じ研究で、アルミ箔トレーに鮭の切り身とレモンをのせて焼くと 3.14µg/g、さらにホイルでふたをすると 11.0µg/g に増えました
- トルコの研究では、肉をホイルで包んで焼くとアルミ濃度が 76〜378%増え、温度が高いほど増えました(Turhan 2006)。チェコの研究では、マリネした魚をホイルで包んで220℃で40分焼くと、鮭で 41.86mg/kg、サバで 49.34mg/kg でした(Dordevic ら 2019)
「ホイルで1食調理すると1週間分」という研究
「アルミホイルで調理すると、1食で大量のアルミをとる」という話のもとによく挙げられるのが、アラブ首長国連邦の研究(Bassioni ら 2012)です。最大で「1人 537mg」という数字が出てきます。
ただし、この数字はホイルの小片をクエン酸・食塩・スパイス入りの液に沈めて2時間煮立て、ホイルの重さの減り方から計算し、それを大きなホイル1枚分に引き延ばしたものです。調理した食べものの中のアルミを測った値ではありません。論文は、国際的な許容量を「1日あたり」と書いていますが、実際は「1週間あたり」の値です。この論文を名指しで検証した公的機関の文書は見つかりませんでした。
ホイルに穴があくことも
福岡市保健環境研究所は、「弁当の漬物を入れたホイルカップに穴があいた」という相談を受けて試験しました。紅しょうがを入れたホイルカップは4時間で液が漏れ、24時間で穴が大きくなりました。
フィンランドとカナダの食品当局は、金属の器に入った料理をアルミホイルでおおうと、電池のような働きでホイルが腐食し、穴があいてアルミが食品に溶け出すことがあると注意しています。
BfR の勧め
ドイツの BfR は、酸っぱいもの・塩気の多いもの(切ったりんご、トマト、ルバーブ、塩漬けニシン、マリネした肉、チーズなど。ドイツ語の原文による)をアルミホイルで包まないよう勧めています。アルミの皿で肉を焼くときは、塩やスパイスは焼き終わってからふるとよい、としています。
ホイルの代わりによく使われるのが、紙にシリコーン樹脂を加工したクッキングシートです。アルミを含まないので、酸や塩分で溶け出すことはありません。ただし耐熱温度に上限があり、直火やグリルには使えません。
酸っぱいもの・塩気の多いものの保存は、ガラスやホーローの容器に移すのが、メーカーの取扱説明書でも勧められている方法です(ホーロー(琺瑯))。
食品添加物・水道水・缶・胃薬:ほかの入り口
食品添加物のミョウバン
日本の食事からとるアルミでいちばん大きいのは、鍋やホイルではなく、食品添加物でした。
代表はミョウバン(硫酸アルミニウムカリウム・硫酸アルミニウムアンモニウム)です。厚生労働省によると、次のように使われます。
| 使い方 | 主な食品 |
|---|---|
| 膨張剤(ベーキングパウダーなど)の酸の成分 | 一部の菓子パン(メロンパンなど)、スポンジケーキ、ドーナツ、蒸しパン、小麦まんじゅう |
| 色止め | なすの漬物、しその実漬 |
| 形くずれを防ぐ | たこ、いか、くらげ、うに |
| 煮くずれを防ぐ | 芋・豆・ごぼう・れんこん・栗などの煮物 |
ほかに、着色料のアルミニウムレーキ(タール色素をアルミと結びつけて水に溶けにくくしたもの。着色料の記事 参照)にもアルミが含まれます。
裏面での見分け方:色止めや形くずれ防止に使うときは「ミョウバン」「焼ミョウバン」「硫酸アルミニウムカリウム」などと書かれます。ところが膨張剤として使うときは「膨脹剤」「ベーキングパウダー」とまとめて書けばよく、アルミを含むかどうかは裏面から分かりません。厚生労働省は「膨脹剤にはアルミニウムを含まない場合もある」としています。なお、厚生労働省によると、大部分のパンはパン酵母(イースト)でふくらませていて、膨張剤は使っていません。
子どもの摂取量が上限を超えていた → 2018年に規制
厚生労働省の2011〜12年度の調査では、平均的な摂取量はどの年齢も国際的な許容量(PTWI)を下回りました。ただし、1〜6歳でアルミの多い食品をよく食べる上位5%は、許容量を超えていました(101%)。主な原因は、菓子とパンに使われる膨張剤のミョウバンでした。
当時はケーキドーナツ 258mg/kg、天ぷら粉 222mg/kg、蒸しまんじゅう 172mg/kg、菓子パン 156mg/kg など、アルミの多い製品がありました(食品安全委員会の評価書に引用)。
国は2013年に業界へ削減を依頼し、2018年11月に、菓子・生菓子・パンへのミョウバンの使用量を「アルミニウムとして1kgにつき0.1g以下」に制限しました(それまでは「みそに使ってはならない」だけで、量の上限はありませんでした)。
2020〜21年度の再調査では、加工食品から子どもがとる量は1日1.80mgから0.50mgへ下がり、よく食べる子(上位1%)でも許容量の28%でした。
ただし、上限の対象外の食品には今も多いものがあり、はるさめ(乾燥)273mg/kg、なすの塩漬け 51mg/kg でした。
EU は2014年から、ミョウバンなどの硫酸アルミニウム類を「砂糖漬けのさくらんぼ」など、ごく一部の食品だけに認めるよう改めています(欧州委員会規則 380/2012)。
家でお菓子を作るなら、アルミを含まないベーキングパウダーもあります。
水道水
日本の水道水の基準はアルミニウム 0.2mg/L 以下、さらに目標値として 0.1mg/L 以下が決められています。これは健康への影響から決めた値ではなく、水が白く濁ったり色がついたりするのを防ぐための値です(2003年の厚生科学審議会の検討)。
浄水場では、濁りを沈めるためにポリ塩化アルミニウム(PAC)や硫酸アルミニウムを使います。世界保健機関(WHO)は、水が 0.1mg/L なら、水道水から入るアルミは食事全体の約4%と試算しています。
アルミ缶
飲料のアルミ缶は、内側を樹脂でコーティングして焼き付けてあります(アルミ缶リサイクル協会の製造工程)。ドイツの BfR は「アルミは酸や塩で溶けるため、飲料缶の内側はコーティングして、アルミが食品に移るのを防いでいる」と説明しています。
食品安全委員会の評価書は、アルミ缶の飲料は常温で保管してもアルミが増えないことから、缶からの溶け出しはないと推定しています。
胃薬(制酸剤)
胃酸を中和する薬には、水酸化アルミニウムなどアルミを含むものがあります。欧州食品安全機関(EFSA)によると、制酸剤1回分には104〜208mgのアルミが含まれることがあり、食事の何週間分にもあたります。
ただし水酸化アルミニウムは吸収されにくく、吸収率は0.01%以下です(米国毒性物質疾病登録局 ATSDR)。ただしクエン酸(オレンジジュースなど)と一緒だと吸収が増えます。腎臓の働きが落ちている人の注意は次の節で説明します。
体に入ったアルミはどうなる?
- 吸収されるのは、食べものから約0.1%、飲み水から約0.3%です(EFSA)。ほとんどは便として出ていきます
- クエン酸や乳酸などの酸と一緒だと吸収が増え、リン酸やケイ素、ポリフェノールと一緒だと減ります
- 吸収されたアルミの大部分は、腎臓から尿へ出ていきます
- 一部は体に残り、特に骨にたまります。脳にも入り、胎盤を通って胎児にも届きます
- 健康な人の体内のアルミの総量は約30〜50mgで、その約半分が骨にあります(ATSDR)
- 体に残った分は、とてもゆっくり減ります。1人を10年追跡した研究では、全身から半分に減るまでの時間は約50年と推定されました(Priest 2004。1人のデータです)
- 腎臓の働きが落ちていると、尿から出せずに体にたまりやすくなります
どれくらいまでなら:機関ごとの許容量
| 機関(年) | 1週間にとってもよい量(体重1kgあたり) | 根拠 |
|---|---|---|
| FAO/WHO 合同食品添加物専門家会議 JECFA(2011) | 2mg(暫定耐容週間摂取量 PTWI) | ラットにクエン酸アルミを飲ませた試験で、子の腎臓への影響・握力の低下が出なかった量(体重1kgあたり1日30mg)の100分の1 |
| 日本の食品安全委員会(2017) | 2.1mg(耐容週間摂取量 TWI) | 同じ試験の、子の体重・腎臓への影響が出なかった量の100分の1 |
| 欧州食品安全機関 EFSA(2008) | 1mg(TWI) | マウス・ラット・イヌの試験の、神経発達・精巣などへの影響をもとに |
| 米国毒性物質疾病登録局 ATSDR(2008) | 1日あたり1mg(MRL) | マウスの神経発達・握力の試験 |
体重50kgの人なら、JECFA の値で1週間に100mg、EFSA の値で50mgです。アルミは体にたまるので、1日ではなく1週間単位で決められています。
日本ではどれくらいとっているか
厚生労働省の2011〜12年度の調査では、食事全体から成人で1日2.53mg(1週間で約17.7mg、許容量の15.1%)、1〜6歳で1日1.97mg(43.1%)でした。2018年の規制のあと、加工食品からの量は成人で1日2.16mgから1.08mgに下がっています。
食品安全委員会は、器具(すべてアルミで調理すると仮定)や水道水(基準の上限の水を飲むと仮定)まで含めた日本人全体の合計を、1週間に体重1kgあたり0.69mg(子ども1.2mg)と推計しました。
体にたまるとどんな影響がある?
はっきりしていること:腎臓病・透析
アルミの害がはっきり確かめられたのは、腎臓が悪く、透析を受けている人です。
1970〜80年代、アルミの多い水で作った透析液や、リンを下げるためのアルミ入りの薬によって、脳の病気(透析脳症)、骨の病気(アルミニウム骨症)、貧血が起きました。英国の研究では、透析用の水を逆浸透膜で処理するようにした患者には、脳症が起きませんでした(Davison ら 1982)。
日本透析医学会の透析用水の基準は、アルミニウム 0.01mg/L(水道水の基準の20分の1)です。また、アルミを含む胃薬(スクラルファート、乾燥水酸化アルミニウムゲルなど)の多くは、添付文書で「透析療法を受けている患者には投与しないこと」とされています。
食品安全委員会は、透析脳症について「口から以外の経路でアルミを大量にとったことによるもの」と整理しています。
腎臓の病気の人向けの国際的な指針(KDIGO 2017)が避けるよう求めているのは、アルミを含む薬の長期使用と、透析液のアルミ汚染です。鍋や食器についての勧告はありません。台湾では、腎不全の患者42人が台所用品をアルミからステンレスに替えた小さな試験で、3か月後に血中のアルミが対照群より下がったという報告があります(Lin ら 1997)。腎臓の病気がある人は、食事や台所用品について主治医に相談するとよいでしょう。
アルツハイマー病:因果関係の十分な根拠はない
「アルミでアルツハイマー病になる」という説は、1960〜70年代に広まりました。
- フランスで高齢者1,925人を15年追跡した研究(PAQUID)では、飲み水から1日0.1mg以上アルミをとる人で、アルツハイマー病のリスクが2.8倍でした。ただし、いちばん多くとる群は13人と少なく、食べものからのアルミは考えていません
- 研究をまとめた分析(メタアナリシス)でも、関連ありとするもの(オッズ比1.71、Wang ら 2016)と、職業での接触では関連なしとするもの(1.00、Virk ら 2015)に分かれています
そのうえで、JECFA・EFSA・日本の食品安全委員会・厚生労働省は、いずれも「食事からのアルミとアルツハイマー病の因果関係を示す十分な根拠はない」としています。厚生労働省は「一時期、アルツハイマー病とアルミニウムの関係があるといった情報もありましたが、現在は、この因果関係を証明する根拠はないとされています」と書いています。
なお、アルミ業界の団体が資金の一部を出した総説(Willhite ら 2014)も「関連の一貫した証拠はない」と結論していますが、利益相反があるため、この記事では根拠に使っていません。
赤ちゃん:粉ミルクと、早産児の点滴
- 粉ミルクにもアルミが含まれます。英国の30製品の測定では1Lあたり約0.1〜0.43mg、大豆ベースは約0.66〜0.76mgでした(Chuchu ら 2013)。EFSA の試算では、生後3か月の赤ちゃんの平均は、牛乳ベースの粉ミルクで最大 0.6、大豆ベースで 0.75mg/kg体重/週(EFSA の許容量は1mg)、よく飲む場合は 0.9〜1.1mg でした。母乳の赤ちゃんは 0.07mg 未満です。日本の粉ミルクの公的なデータは見つかりませんでした
- 注意が必要なのは、腎臓が未熟な早産児に、点滴で直接アルミが入る場合です。英国の試験で発達や骨への影響が見られ、米国食品医薬品局(FDA)は点滴用の栄養液を1Lあたり25µg以下に制限しています
制汗剤と乳がん
「制汗剤のアルミで乳がんになる」という説に対し、米国立がん研究所は「科学的な根拠はない」、EU の消費者安全科学委員会も「疫学研究はこの仮説を支持しない」としています。

アルミを控えたい人は、何を使えばいい?
腎臓の病気がある人、赤ちゃんの食事を作る人など、アルミを控えたい人に向けて、調理器具について具体的に助言している公的機関は、調べた範囲ではドイツの BfR だけでした。内容は次の3つです。
- 酸っぱいもの・塩気の多いものに、アルミホイルや表面加工のないアルミ容器を使わない(調理・保温・保存)
- グリルでは、ステンレスなど再利用できる皿を優先する(セラミックもある)
- 食品・製品・ブランドを偏らせない
腎臓病の指針(KDIGO)や乳児についての BfR の助言は、薬・透析液・粉ミルクについてのもので、鍋や食器には触れていません。
アルミの代わりになる素材にも、それぞれ溶け出すものや注意点があります。どれかが「安全」というより、料理と使い方で選ぶものです。
| 素材 | よいところ | その素材の注意点 | 向く使い方 |
|---|---|---|---|
| 鉄(フライパン・中華鍋・南部鉄器) | 高温に強い。鉄が食べものに移る | 鉄そのものが溶け出す(酸っぱい料理・長時間ほど多い)。さびやすい。鉄を控えるよう言われている人は主治医に相談 | 炒める・焼く・揚げる |
| ホーロー(琺瑯) | 表面がガラス質。「鍋の中に料理を保存しない」の表示がいらない唯一の鍋(表示ルール) | うわぐすりの鉛・カドミウムに国の基準あり。欠けるとさびる。空焚き・衝撃に弱い | 煮込み、酸っぱい料理、作り置きの保存 |
| ステンレス(18-8) | さびにくい。BfR がグリル皿の代わりに挙げた素材 | ニッケル・クロムが溶け出す(新品・酸っぱい料理・長時間で多い) | ふだんの煮る・ゆでる |
| ステンレス(18-0・21Cr など) | ニッケルを主成分として加えていない。磁石がつき IH 向き | 家庭の調理での溶け出しの研究は少ない | ニッケルが気になる人の選択肢 |
| 耐熱ガラス | 中身が見える。電子レンジ・オーブン用がある | 急な温度差で割れる。直火用は弱火で | 保存、電子レンジ、オーブン |
| 陶磁器・土鍋 | 保温しやすい | うわぐすりの鉛・カドミウム(輸入の陶磁器の食器で違反例が多い) | 鍋物・炊飯(加熱調理用のもの) |
| フッ素樹脂加工(下地はアルミが多い) | くっつきにくい | 空焚き・過熱で分解ガス(BfR:空のまま3分以上加熱しない)。はがれると下地が出る | 弱〜中火の焼き物 |

鉄
鉄のフライパンや鍋で調理すると、鉄が食べものに移ります。米国の研究では、20種類の食品のうち約9割で、鉄の鍋のほうが鉄が有意に多くなりました。酸っぱいもの・水分の多いもの・長く煮るものほど多くなります(Brittin ら 1986)。日本の食品成分表でも、ほしひじき(乾)100gの鉄は、ステンレス釜で作ると6.2mg、鉄釜で作ると58.0mgと大きく違います(製造に使う釜の違いです)。
「日本人の食事摂取基準(2025年版)」は、鉄の耐容上限量を設けていませんが、「推奨量を大きく超える鉄の摂取は、貧血の治療等を目的とした場合を除き、控えるべき」としています。鉄の量を控えるよう言われている人(ヘモクロマトーシスなど)は、主治医に相談してください。
南部鉄器のメーカー(岩鋳)は、油をなじませてから使い、洗ったら火にかけて水分を飛ばす、塩分の多いみそ汁を頻繁に作ると内側の塗膜がはがれることがある、と説明しています。酸っぱい料理を長く煮たり、入れたまま保存したりするのには向きません。
ホーロー(琺瑯)
ホーローは、鉄などの金属にガラス質のうわぐすりを焼き付けたものです。メーカー(野田琺瑯)は「酸、塩分に強い」と説明しています。家庭用品品質表示法でも、「鍋の中に料理を保存しない」という注意を書かなくてよいのは、鉄製のホーロー鍋だけです。
注意点は、うわぐすりに含まれうる鉛とカドミウムです。食品衛生法で溶け出す量の基準があり、加熱調理用(容量3L未満)は鉛 0.4µg/mL、カドミウム 0.07µg/mL 以下と決められています。欠けて下の鉄が出ると、そこからさびます(メーカーは「有害物質が発生することはない」と説明しています)。空焚き・強い衝撃・金属たわしは避けます。
煮込み用の重い鍋なら、鉄の鋳物にホーローをかけた鍋(ストウブなど)もあります。
ステンレス
ステンレスは、さびにくく丈夫で、BfR もグリル皿の代わりに名前を挙げている素材です。
一方で、ニッケルとクロムが溶け出します。米国オレゴン州立大学の研究では、トマトソースを6時間煮ると、ニッケルが最大26倍、クロムが最大7倍に増えました。新品のほうが多く、調理を繰り返すと減り、6回目以降は落ち着きました(Kamerud ら 2013。家庭の調理より長い2〜20時間の条件です)。
ステンレスには、ニッケルを含む 18-8(SUS304 など) と、ニッケルを主成分として加えていない 18-0(SUS430)や21Cr(SUS443J1 など) があります(ステンレス協会)。家庭用品品質表示法で、ステンレスの鍋にはクロム・ニッケルの割合を書くことになっているので、ラベルで見分けられます。
耐熱ガラス
耐熱ガラスは中身が見え、電子レンジ・オーブン・直火(直火用のもの)で使い分けられます。家庭用品品質表示法で「直火用」「オーブン用」「電子レンジ用」などの使用区分を書くことになっているので、表示どおりに使います。ガラスにも鉛・カドミウムの溶け出しの基準があります(加熱調理用は鉛 0.5µg/mL、カドミウム 0.05µg/mL 以下)。
土鍋・銅鍋・フッ素樹脂加工のフライパン
- 土鍋・陶磁器:うわぐすりの鉛・カドミウムに国の基準があります。厚生労働省の輸入食品の違反事例(2024〜26年度)では、土鍋の違反は見当たりませんでしたが、輸入の陶磁器の食器(装飾用の皿など)で鉛の違反が多く見つかっています。食べものには「加熱調理用」「食器用」として売られているものを使います
- 銅鍋:食品衛生法で、食べものに触れる面は原則としてスズ・銀などのめっきが必要です。被覆のない銅は、酸っぱいものに触れると銅が多く溶け出します
- フッ素樹脂加工:下地がアルミのことが多い製品です。BfR は、空のまま3分以上加熱しないよう勧めています。原料の製造に使われていた PFOA は、日本でも2021年に製造・輸入が原則禁止になりました。ただし「PFOA フリー」は「PFAS(有機フッ素化合物)フリー」と同じ意味ではありません
アルミ製品を使うときの工夫(公的機関と取扱説明書から)
| 場面 | すること | 根拠 |
|---|---|---|
| アルミ鍋で酸っぱいもの・塩気の多いものを作った | 調理が終わったら、ほかの容器に移す | 家庭用品品質表示法の表示、メーカーの取扱説明書、BfR |
| アルミ鍋を新しく買った | 水や米のとぎ汁を煮てから使う | メーカーの取扱説明書、韓国食品医薬品安全処 |
| アルミ鍋の手入れ | 金属たわし・磨き粉を使わない。食器洗い機は取扱説明書を確認(アルミのモカポットは食器洗い機の後に溶け出しが増えた) | 家庭用品品質表示法、Stahl ら 2017 |
| ホイルで包む | 切ったりんご・トマト・マリネした肉・チーズなど酸っぱいもの・塩気の多いものは包まない。焼くときの塩・スパイスは焼いた後に | BfR |
| 弁当 | 梅干し・紅しょうがなどはホイルカップに入れない(穴があいた例) | 福岡市保健環境研究所 |
| 金属の器の料理にふたをする | アルミホイルではなくラップやふたを使う | フィンランド・カナダの食品当局 |
| 古くなった鍋 | 変色・穴・深い傷のある鍋は替える | カナダ保健省、韓国食品医薬品安全処 |
まとめ
| 調べたこと | 分かったこと |
|---|---|
| アルミの作り方 | ボーキサイト→アルミナ(バイヤー法)→電気分解(ホール・エルー法)。日本は2014年に製錬が終わり、新地金は全量輸入。再生地金のエネルギーは新地金の約3% |
| なぜ鍋に使われるか | 熱をよく伝え(鉄の約3倍)、軽く(鉄の約3分の1)、材料が安い。酸化皮膜は酸・アルカリ・塩分に弱い |
| アルミ鍋・雪平鍋から溶け出すか | 溶け出す。水・味噌汁は少なく、酢・アルカリ性の煮汁で多い。アルマイト加工で大幅に減るが、酸と食塩が重なると増える |
| アルミホイルから溶け出すか | 溶け出す。ぽん酢・梅干しの漬け汁・アルカリ性の煮汁で多い。食品のたんぱく質などで抑えられ、市販のアルミ箔鍋入り食品はごくわずか |
| 食事全体の中では | 器具からは成人で1日最大0.57mg(すべてアルミ鍋と仮定)。いちばん大きいのは膨張剤などのミョウバンで、2018年の規制で、加工食品から子どもがとる量は1日1.80mg→0.50mgに |
| 体に入ると | 吸収は約0.1%。大部分は尿から出るが、一部は骨などに長く残る |
| たまったときの影響 | はっきりしているのは透析患者の脳症・骨の病気・貧血。アルツハイマー病は因果関係の十分な根拠なし |
| 控えたい人は | 酸っぱいもの・塩気の多いものに、ホイル・加工のないアルミ容器を使わない(BfR)。代わりの素材にもそれぞれ注意点がある |
この記事で紹介したもの:
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|---|---|---|
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関連する記事:お酢の記事(酢の種類と酢酸の量)、トマトケチャップの記事、着色料の記事(アルミニウムレーキ)、食塩摂取量の記事
参考にした資料
国内の公的機関・法令
- 厚生労働省「アルミニウムに関する情報」、「平成23〜24年度マーケットバスケット方式によるアルミニウムの摂取量調査の結果について」(2013)、「令和2~3年度マーケットバスケット方式によるアルミニウムの摂取量調査の結果について」、食安基発0701第1号・第2号(2013)、生食発1130第2号(2018、告示第407号)
- 食品安全委員会 添加物評価書「硫酸アルミニウムアンモニウム、硫酸アルミニウムカリウム」(2017)、『食品安全』第55号(2018)、ファクトシート「フッ素樹脂」(2012)
- 消費者庁 家庭用品品質表示法「鍋」「食事用、食卓用又は台所用のアルミニウムはく」「ほうけい酸ガラス又はガラスセラミックス製器具」、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度
- 食品、添加物等の規格基準(昭和34年厚生省告示第370号)第3 器具及び容器包装
- 環境省 水質基準項目と基準値、「水質基準の見直しにおける検討概要」(2003)
- 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
- 文部科学省 日本食品標準成分表(八訂)増補2023年
- 福井県消費生活センター 試買テスト「アルミホイル」(令和3年度)、福岡市保健環境研究所 メサージュ No.17(2002)
- 国立医薬品食品衛生研究所「食品の容器・包装に関する消費者向け情報」
- 理化学研究所「『アルマイト』を生んだ陽極酸化皮膜研究」
- 日本透析医学会「2016年版 透析液水質基準」
- アルサルミン細粒・マルファ懸濁用配合顆粒 添付文書
海外の公的機関
- JECFA 第74回報告(WHO Technical Report Series 966、2011)
- EFSA “Safety of aluminium from dietary intake” EFSA Journal (2008) 754
- BfR Stellungnahme Nr. 007/2017(無加工のアルミ配膳トレー)、Nr. 045/2019(アルミ摂取の低減)、FAQ「Aluminium in Lebensmitteln und verbrauchernahen Produkten」
- ATSDR Toxicological Profile for Aluminum(2008)
- WHO “Aluminium in Drinking-water”(2003)
- Health Canada “The safe use of cookware and bakeware”
- Commission Regulation (EU) No 380/2012
- 米国立がん研究所 “Antiperspirants/Deodorants and Breast Cancer”、EU 消費者安全科学委員会 SCCS/1613/19(2020)
- KDIGO 2017 CKD-MBD Guideline Update
- 21 CFR 201.323(FDA)
論文
- 河村葉子ほか「我が国におけるアルミニウム製器具・容器包装由来のアルミニウム摂取量の推定」日本食品化学学会誌 23:1-8(2016)
- 武田由比子ほか 食品衛生学雑誌 39:178-183、39:266-271(1998)、40:172-177(1999)
- 松島文子ほか 日本衛生学雑誌 43:969-978(1988)、45:964-970(1990)
- 中平真由巳ほか「使用回数による鍋からのアルミニウムの溶出」滋賀短期大学研究紀要 38(2013)
- Stahl T, et al. Environ Sci Eur 2017(Part II・III)
- Sander S, et al. PLoS ONE 2018;13:e0200778
- Karbouj R, et al. Food Chem Toxicol 2009
- Turhan S. Meat Sci 2006;74:644-647
- Dordevic D, et al. Food Sci Nutr 2019;7:3349-3360
- Bassioni G, et al. Int J Electrochem Sci 2012;7:4498-4509
- Rondeau V, et al. Am J Epidemiol 2009;169:489-496
- Wang Z, et al. Neurosci Lett 2016;610:200-206、Virk SA, Eslick GD. J Occup Environ Med 2015;57:893-896
- Davison AM, et al. Lancet 1982;2:785-787
- Priest ND. J Environ Monit 2004
- Chuchu N, et al. BMC Pediatr 2013;13:162、Bishop NJ, et al. N Engl J Med 1997;336:1557-1561
- Lin JL, et al. Am J Kidney Dis 1997;30:653-658
- Brittin HC, Nossaman CE. J Am Diet Assoc 1986;86:897-901
- Kamerud KL, et al. J Agric Food Chem 2013;61:9495-9501
- Willhite CC, et al. Crit Rev Toxicol 2014(International Aluminium Institute などが資金の一部を提供。本文では根拠に使っていない)
業界団体・メーカー(「業界団体の説明」「メーカーの説明」として引用)
- 日本アルミニウム協会『アルミニウムとは』、アルミ箔 よくある質問、LCI 報告書
- 国際アルミニウム協会 一次アルミ製錬エネルギー原単位(2025)
- アルミ缶リサイクル協会「2025年度 飲料用アルミ缶のリサイクル率」、「アルミ缶の出来るまで」
- 日本軽金属「アルミニウム電解事業の終了について」(2014)
- 北陸アルミニウム 取扱説明書・よくある質問、遠藤商事 FAQ、野田琺瑯「琺瑯のこと」「お手入れ・よくある質問」、岩鋳 よくある質問、ステンレス協会「ステンレスの概説」
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