日本酒は体にいい? 成分・カロリー・「太る」・焼酎との比較を、公的データと論文で確かめる

PR この記事には、楽天市場のアフィリエイト広告のリンク(「楽天市場で見る」)を含みます。書いている内容は、広告の有無と関係なく、国の資料・食品成分表・論文をもとにしています。お酒は20歳になってから。
「日本酒はアミノ酸が多いから体にいい」「日本酒は糖質が多くて太る」「どうせ飲むなら焼酎のほうがいい」。日本酒と健康については、いろいろな説があります。
この記事では、次の4つを、国の資料と食品成分表、論文で確かめます。
- 日本酒には何が入っているのか
- 「体に良い」と言われる成分は、どこまで確かめられているのか。体に悪いものは何か
- 日本酒で太るのか
- 焼酎とどちらがいいのか
日本酒の造り方・精米歩合・酵母は日本酒の造り方の記事、歴史や神道とのつながり・海外での人気は日本酒の歴史と文化の記事で書いています。
結論
- 日本酒の中身の大半は水とアルコールです。うま味のもとのアミノ酸(グルタミン酸)が、ワインやビールよりけた違いに多いのが特徴です。ビタミン・ミネラルはほとんど入っていません
- 「体に良い」と言われる成分の研究は、ほとんどが試験管と動物の実験です。人で日本酒を飲んで確かめた健康効果は、見つからないか、ごく小規模でした
- 一方、アルコールそのものは国際がん研究機関(IARC)が「人に対して発がん性がある」に分類しています。日本酒1合(180ml)の純アルコールは約22gで、女性の「生活習慣病のリスクを高める量」(1日20g)を1合で超えます
- 日本酒1合のエネルギーは約185〜195kcalで、ビール中瓶とほぼ同じです。日本酒だから特に太る、ということはありません。太るかどうかは量とつまみで決まります
- 焼酎は糖質とプリン体がほぼゼロです。ただ、体への害の大部分はアルコールから来るので、純アルコールの量をそろえれば大きな差はありません
この記事で紹介しているもの
記事の中で、論点に合わせて次のものを紹介しています(楽天市場のリンクです)。
| こんな人に | 紹介しているもの | 場所 |
|---|---|---|
| 飲んだ量を「何合」ではなく正確に知りたい | 一合枡(国産ひのき)、HARIO のガラスの1合徳利 | 量を知る道具 |
| 日本酒は好きだけれど、アルコールを減らしたい | 度数の低い日本酒(一ノ蔵 すず音 5度、白瀧 Jozen 8〜9度)、ノンアルコールの日本酒テイスト飲料 | アルコールを減らしたいとき |
日本酒には何が入っている?
中身のほとんどは水とアルコール
日本酒 100g の中身を、文部科学省の食品成分表(八訂 増補2023年)で見てみます。
| 種類 | エネルギー | アルコール | 炭水化物 | うち実際の糖 |
|---|---|---|---|---|
| 普通酒 | 107kcal | 12.3g | 4.9g | 2.5g |
| 純米酒 | 102kcal | 12.3g | 3.6g | 2.3g |
| 本醸造酒 | 106kcal | 12.3g | 4.5g | 2.6g |
| 吟醸酒 | 103kcal | 12.5g | 3.6g | 2.4g |
| 純米吟醸酒 | 102kcal | 12.0g | 4.1g | 2.5g |
- 「炭水化物」は、ほかの成分を引き算して出した値です。実際に測った糖は 100g あたり 2.3〜2.6g でした
- 国税庁が市販の清酒 331 点を測った調査(2025年2月公表)では、アルコール分の平均は 15.0〜15.5%、ぶどう糖は 100ml あたり 1.4〜2.1g でした
- ビタミン・ミネラルはほとんど入っていません。ビタミンB6 が少しある程度で、ビタミンC・葉酸・ナイアシンはゼロです
日本酒らしさをつくる成分
| 成分 | 何をしているか | 量の目安 |
|---|---|---|
| アミノ酸(特にグルタミン酸) | うま味・コク | 清酒は 1L に約150〜390mg。ワインは約85mg以下、ビールはほぼゼロ(酒類総合研究所の資料) |
| 有機酸(乳酸・コハク酸・リンゴ酸) | 酸味・キレ | 酸度 1.2〜1.5。ワインよりずっと穏やか |
| 香りの成分(カプロン酸エチル・酢酸イソアミル) | リンゴやバナナのような吟醸香 | 酵母の種類で大きく変わる(日本酒の造り方の記事) |
| α-エチルグルコシド(α-EG) | ほのかな甘みと苦み | 一般的な日本酒で約0.5%。アルコールとぶどう糖の次に多いとされる |
| ペプチド | 味の厚み | 米のたんぱく質が分解されたもの |
| プリン体 | 尿酸のもと | 100ml に 1.2〜1.5mg。ビール(3.3〜8.4mg)より少ない |
「日本酒には700種類以上の成分」は出典が見つかりません よく見かける数字ですが、論文や公的機関の資料には見当たりませんでした。「数百種類の成分を含む」くらいに受け取っておくのが無難です。

「体に良い」と言われる成分は、どこまで確かめられている?
先に結論を書くと、日本酒の「健康によい成分」の研究は、ほとんどが試験管や動物の実験です。研究の多くは酒造会社の研究所によるもので、人で確かめたものは、ないか、ごく小規模です。
| よく言われる話 | 研究の段階 | 実際にわかっていること |
|---|---|---|
| ペプチドが血圧を下げる | 試験管・ラット | 清酒と酒粕から、血圧を上げる酵素(ACE)のはたらきを邪魔するペプチドが9種類見つかった。高血圧のラットに飲ませると血圧が下がった(月桂冠研究所、1994年)。人で日本酒を飲んで血圧が下がった試験は見つからなかった |
| α-EG で肌がきれいになる | マウス・細胞/人はごく小規模 | マウスで紫外線による肌のダメージを抑えた(大関ほか)。人の試験は学会発表だけで、飲んだのは α-EG を増やした特別なお酒。各群 5〜11 人で、比べる群があったかも分からない |
| 酒粕が便通やコレステロールによい | マウス/人は8人・比べる群なし | 酒粕には消化されにくいたんぱく質(レジスタントプロテイン)が含まれる。これは「酒粕を食べる」話で、日本酒を飲む話ではない |
| 杜氏の手は白くてきれい | 出典が見つからない | 麹菌がつくるコウジ酸(美白成分)の研究のきっかけとして語られる話。記録した一次資料は見つからなかった。それに、手に触れる話であって飲む話ではない |
反対に、厚生労働省のガイドラインは、高血圧は少しでも飲めばリスクが上がるとしています。ペプチドの話は「ラットや試験管ではこういう作用があった」までで、「日本酒を飲むと血圧が下がる」とは言えません。
体に悪いものは、はっきりしている
| 成分 | 評価 |
|---|---|
| エタノール(アルコール)とアセトアルデヒド | 国際がん研究機関(IARC)がグループ1(人に対して発がん性がある)に分類。口・のど・食道・肝臓・大腸・乳房のがんとの関係が認められている |
| カルバミン酸エチル | IARC のグループ2A(おそらく発がん性がある)。清酒の平均は 1L あたり 0.10mg(国税庁 令和5年度調査、48点)。日本に基準値はなく、カナダの清酒の上限(200ppb)の半分ほど。酵母の改良や、火入れ後の低温管理で減らす取り組みが進んでいる |
| 糖質 | 1合で約4〜5g。ビール中瓶(炭水化物 約15g)より少ないが、焼酎・ウイスキーはゼロ |
どのくらい飲むとリスクが上がるか
厚生労働省の「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)では、次のようになっています。
- 生活習慣病のリスクを高める量は、1日あたりの純アルコールで男性 40g 以上、女性 20g 以上
- 日本酒1合(180ml・15%)の純アルコールは約22g。つまり女性は1合でこの線を超えます
- 一度に 60g(日本酒 約3合)以上飲むのは避けるべき、とされています
- 高血圧と男性の食道がんは、少しでも飲めばリスクが上がるとされています
- 日本人の4割程度は、お酒で顔が赤くなる体質です。飲み慣れて平気になった人でも、口や食道のがんのリスクが非常に高くなります
純アルコール量の計算式 飲んだ量(ml) × 度数(%) ÷ 100 × 0.8 = 純アルコール(g) 日本酒1合:180 × 15 ÷ 100 × 0.8 = 21.6g。国税庁の実測の平均(15.3%)なら 22.0g
お酒の種類とがんの関係は、お酒の種類とがんの記事で詳しく調べています。
痛風が気になる人へ
日本酒はプリン体が少ないお酒です。ただし、アルコールそのものが体の中で尿酸を増やします。日本人男性 3,310 人を6年追った研究では、ビールでも日本酒でも、飲む量が増えるほど尿酸値の高い人が増えました(Nakamura ら、2012年)。「プリン体が少ないから、たくさん飲んでも大丈夫」とは言えません。
日本酒で太る?
カロリーは「ビール中瓶とだいたい同じ」
日本酒1合のエネルギーのうち、約8割(約150kcal)はアルコールから来ています。糖質から来るのは残りのわずかです。
「アルコールはエンプティカロリーだから太らない」は本当?
これは誤解です。
- 「エンプティ(空っぽ)」は「ビタミンなどの栄養を伴わない」という意味で、カロリーがゼロという意味ではありません。アルコールは 1g あたり約7kcal あります
- 体はアルコールを優先して処理します。その間、脂肪を燃やすのが後回しになります。健康な男性8人を調べた研究では、アルコールを加えた日は1日の脂肪の燃焼量が 31〜36% 減りました(Suter ら、1992年)
- 飲むと食欲が増え、つまみが進みがちです
研究ではどうなっている?
- 31本の研究をまとめたレビュー(Sayon-Orea ら、2011年)では、少しの飲酒と体重増加の関係ははっきりしない一方、たくさん飲む人は体重が増えやすいという結果でした
- 日本酒だけに絞った体重の研究は見つかりませんでした
日本酒だから特に太る、ということはありません。太るかどうかを決めるのは飲む量と、一緒に食べるものです。
日本酒と焼酎、どっちがいい?
| 比べるところ | 日本酒 | 本格焼酎 |
|---|---|---|
| 糖質 | 1合で約4〜5g | ゼロ(蒸留で糖が残らない) |
| プリン体 | 少ない(100ml に 1.2〜1.5mg) | ほぼゼロ |
| エネルギー(純アルコール 20g あたり) | 約175kcal | 約140kcal |
| がん・血圧・肝臓へのリスク | 純アルコールの量で決まる | 同じ |
| 尿酸 | 飲めば上がる | 飲めば上がる |
| 味の特徴 | うま味(アミノ酸)・香り | すっきり。割り方で自由に変わる |
いちばん大事なのは、体への害の大部分はアルコールそのものから来るということです。純アルコールの量をそろえれば、どちらを選んでも大きな差はありません。
- 糖質やプリン体を気にするなら、焼酎のほうが有利です
- ただし焼酎は度数が高いので、濃く割ると純アルコールが一気に増えます。焼酎1合(180ml・25%)は純アルコール 36g で、日本酒1合の1.6倍です
「焼酎は血栓を溶かす」は言いすぎ 1988年の研究で、飲んで1時間後に、血栓を溶かすはたらきが焼酎で約2.1倍、日本酒でも約1.7倍、ビールで約1.5倍に上がったと報告されました(Sumi ら)。ただし一時的な血液の数値の変化で、血栓症や心筋梗塞が減ったという結果ではありません。日本酒でも上がっているので、焼酎だけの特長でもありません。
「醸造酒(日本酒・ワイン)は副成分が多いので二日酔いしやすい」とも言われます。95人の試験では、副成分の多いバーボンのほうがウォッカより二日酔いの自覚症状が重くなりました(Rohsenow ら、2010年)。ただ、日本酒と焼酎を直接比べた研究は見つかりませんでした。二日酔いのいちばんの原因は、飲んだアルコールの量です。
飲むならできること
| やること | 理由 |
|---|---|
| 「何合」ではなく「何グラム」で考える | 日本酒1合で約22g。男性は1日40g、女性は20gを超えないことが国の目安 |
| 量を決めて、器で計る | 徳利やグラスは大きさがまちまちで、飲んだ量が分かりにくい |
| 和らぎ水(チェイサー)を一緒に飲む | 国のガイドラインは、アルコールの入っていない飲みものを混ぜることを勧めている |
| 一度にたくさん飲まない | 1回に60g(約3合)以上は「一時多量飲酒」で、避けるべきとされている |
| 1週間に飲まない日をつくる | 1週間の量を減らせる |
| 顔が赤くなる人は少なめに | 食道がん・口の中のがんのリスクが特に高い |
量を知る道具
家で飲む日本酒は、グラスや徳利の大きさがまちまちで、何合飲んだか分かりにくいものです。1合(180ml)がはっきり分かる器を使えば、純アルコールの量(1合で約22g)を数えやすくなります。
アルコールを減らしたいとき
日本酒の味は好きでも、アルコールを減らしたいときは、度数の低い日本酒を選ぶ方法があります。純アルコールは「量 × 度数」で決まるので、同じ量なら度数が低いほど少なくなります。
アルコールをまったく入れたくない日は、ノンアルコールの「日本酒テイスト飲料」もあります。ただし、日本酒からアルコールを抜いたものではありません。月桂冠「スペシャルフリー」の原材料は柚子抽出物・調味料(アミノ酸、無機塩)・酸味料・香料・甘味料(ステビア)・香辛料で、米や米こうじは使われていません。
ご注意 お酒は20歳になってから。20歳未満の飲酒は法律で禁止されています。ここで紹介した商品は、健康によいことを示すものではありません。価格・送料は変わることがあります(送料は地域やクール便で変わります)。
まとめ
- 日本酒の中身の大半は水とアルコール。うま味のアミノ酸はワインやビールよりけた違いに多いものの、ビタミン・ミネラルはほとんどありません
- 「体に良い成分」の研究は、ほぼ試験管と動物の段階です。人で日本酒を飲んで確かめた健康効果は見つかりませんでした
- アルコールそのものは発がん物質です。日本酒1合で純アルコール約22g。女性は1合で国の目安(20g)を超えます
- 1合のエネルギーはビール中瓶とほぼ同じ。太るかどうかは量とつまみで決まります
- 焼酎と比べても、大事なのは種類より量です。楽しむなら「何合」ではなく「何グラム」を意識しましょう
参考にした資料
- 厚生労働省「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」(2024年2月)https://www.mhlw.go.jp/content/12200000/001211974.pdf
- 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」食品成分データベース(清酒 普通酒)https://fooddb.mext.go.jp/details/details.pl?ITEM_NO=16_16001_7
- 国税庁「全国市販酒類調査結果(令和5年度調査分)」(2025年2月)https://www.nta.go.jp/taxes/sake/shiori-gaikyo/seibun/2024/pdf/001.pdf
- 国税庁「清酒のカルバミン酸エチルを減らすための方法について」https://www.nta.go.jp/taxes/sake/anzen/pdf/01_2_2.pdf
- 酒類総合研究所 後藤奈美「日本酒のおいしさ」(国税庁の有識者会議 資料、2019年)https://www.nta.go.jp/about/council/sake3/191101/shiryo/pdf/05.pdf
- 京都市産業技術研究所 研究報告(アルコール飲料のプリン体、2023年度)https://tc-kyoto.or.jp/app/uploads/2024/01/outcome2022_08.pdf
- Health Canada「Ethyl carbamate」https://www.canada.ca/en/health-canada/services/food-nutrition/food-safety/chemical-contaminants/food-processing-induced-chemicals/ethyl-carbamate.html
- Saito Y ら(1994)Biosci Biotechnol Biochem(清酒と酒粕の ACE 阻害ペプチド). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/7765503/
- Hirotsune M ら(2005)J Agric Food Chem(清酒の成分と紫外線による皮膚のバリア、マウス). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/15713003/
- Izu H ら(2019)Biosci Biotechnol Biochem(酒粕のレジスタントプロテイン). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/30582422/
- Tokumaru O ら(2025)PLoS One(酒粕と便秘、8人・比べる群なし). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/40460378/
- Nakamura K ら(2012)Nutr Metab Cardiovasc Dis(日本人男性の飲酒と高尿酸血症). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21421297/
- Suter PM ら(1992)N Engl J Med(アルコールと脂肪の燃焼). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/1545851/
- Sayon-Orea C ら(2011)Nutr Rev(飲酒と体重のシステマティックレビュー). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/21790610/
- Sumi H ら(1988)Alcohol Alcohol(飲酒後の線溶活性). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/3128990/
- Rohsenow DJ ら(2010)Alcohol Clin Exp Res(副成分と二日酔い). https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/20028364/