マイクロプラスチック データベース解説確認日 2026.10.01

マイクロプラスチックの規制は? 日本・EU・米国の制度と、容器の表示

EU の意図的な添加の禁止、カリフォルニアの飲料水の検査、日本の制度と容器の表示

結論

規制は主に「製品にわざと加えるマイクロプラスチック」(洗顔料のビーズなど)と環境への流出が対象です。食品や飲み水に含まれる量に基準値を設けた国は見当たりません。

EU は2023年から、意図的に加えたマイクロプラスチックを製品ごとに段階的に禁止しています。日本は法律で事業者に使用を抑える努力義務を課し、食品・水道の基準はありません。

EU:意図的に加えたマイクロプラスチックの禁止(2023/2055)

5mm 以下の固体のポリマー粒子(繊維は15mm 以下)を、製品に0.01%以上意図的に加えることを禁止。天然のままのポリマー・分解するもの・水に溶けるものは除外です。製品ごとに段階的に適用されます。

適用日対象
2023年10月17日グリッター(ラメ)・角質除去などのマイクロビーズを含む製品の販売禁止(施行と同時)
2027年10月17日洗い流す化粧品
2028年10月17日洗剤・ワックス・つや出し・芳香剤、肥料(EU 肥料規則の範囲外)、農業・園芸製品
2029年10月17日香料のカプセル、洗い流さない化粧品、医療機器
2031年10月17日農薬・殺生物剤、人工芝の充填材
2035年10月17日リップ・ネイル・メイクアップ製品(2031年から表示が必要)
  • 飲み水の測定方法(2024/1441):0.02mm〜5mm を、1,000L 以上ろ過して FTIR かラマンで確かめる。対象は10種類(ポリエチレン・ポリプロピレン・PET・ポリスチレン・PVC・ナイロン・ポリウレタン・アクリル・フッ素樹脂・ポリカーボネート)。
  • プラスチックペレットの流出防止(2025/2365):年5t 以上を扱う事業者が対象。主に2027年12月から。
  • 健康リスクの評価:EFSA が欧州議会の依頼で始め、2027年末に完了予定。

米国

  • マイクロビーズ禁止法(2015年12月成立):洗い流す化粧品・歯みがき粉のマイクロビーズを、2017年7月から製造禁止、2018年7月から販売禁止。
  • カリフォルニア州:飲み水のマイクロプラスチックを「3つの次元が1nm より大きく5,000μm より小さい固体のポリマー」と定義(2020年)。数値の指針を出すには証拠が足りないとしたうえで、原水の検査(第1期、2023〜2025年秋)、浄水を0.005mm まで測る検査(第2期、2026〜2028年秋の計画)。州の機関に健康影響の調査を義務づける法律(2024年)。
  • 連邦 EPA:2026年4月の第6次汚染物質候補リスト案で、マイクロプラスチックをグループとして初めて掲載。一方、2026年7月の全国の監視(UCMR 6)案では、検証された分析法がないとして対象にしませんでした。

そのほかの国・国際

  • フランス:2025年1月から新しい洗濯機に繊維くずのフィルターを義務づける法律がありますが、細かいルールを決める政令が出ておらず(2026年8月時点)、実際には始まっていません。
  • プラスチック条約:国連の政府間交渉は、2025年8月のジュネーブの会合(INC-5.2)で合意に至らず休会。2026年2月に新しい議長(チリ)を選び、次の会合の日程は未定です。

日本

制度中身
海岸漂着物処理推進法の改正(2018年6月施行)通常の使い方のあと水に流される製品を作る事業者に、マイクロプラスチックの使用を抑える努力義務
日本化粧品工業連合会の自主的な取り組み(2016年3月)会員約1,100社に、洗い流しのスクラブ製品のマイクロビーズの使用中止を要請。環境省の2020年の調査(51社110製品)では、スクラブ用のマイクロビーズは確認されなかった
プラスチック資源循環促進法(2022年4月施行)使い捨てのスプーン・ストローなど特定の12品目の削減や、プラスチックのリサイクルの制度。マイクロプラスチックを直接規制するものではない
器具・容器包装のポジティブリスト制度(2020年6月施行、経過措置は2025年5月31日で終了)食品に触れる合成樹脂に使ってよい物質をリストで決める制度。2025年6月から新しいリスト(840件)。マイクロプラスチックの規制ではない
水道の水質基準水質基準52項目・水質管理目標設定項目26項目に、マイクロプラスチックはない
食品マイクロプラスチックの基準値はない。食品安全委員会は評価を「実施していない」とし、2025年2月にも自ら評価の候補から見送った(データ不十分)

容器の表示の読み方

  • 「プラ」マーク:プラスチック製の容器包装に表示が義務(2001年4月から)。材質は区別しません。
  • 三角に「1」の PET マーク:飲料・酒類・特定の調味料用のペットボトルだけ。卵パックなど、ほかの PET 容器は「プラ」マークです。
  • 材質の表示(PE・PP など):法律の義務ではなく、推奨です。米国式の樹脂識別コード(三角に1〜7)は樹脂の種類を示すもので、「プラ」マークの代わりにはなりません。
  • 耐熱温度:台所用のプラスチック製品には、家庭用品品質表示法で原料の樹脂と耐熱温度の表示が義務です。耐熱温度は樹脂ごとに決まった値ではなく、製品ごとの試験(50℃から10℃きざみで温め、異常が出た温度から10℃引く)の結果です。電子レンジで使えるかは製品の表示を確かめます。

樹脂の種類ごとの用途と規格は → プラスチックの種類

出典

最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。研究や制度は変わることがあります。

このページは、公的機関の資料・法令・査読論文に書かれている事実を並べたものです。マイクロプラスチックの測り方は研究ごとに違い、数字をそのまま比べられないことがあります。WHO・FAO・EFSA などの公的機関は、今のところ特定の食品を控えるような個人向けの食事制限は勧めていません。

ほかの解説

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