データベース確認日 2026.09.28

マイクロプラスチックと食品

5mm より小さなプラスチックの粒をマイクロプラスチック、1μm(0.001mm)より小さなものをナノプラスチックと呼びます。食品や飲み水からも見つかっています。

健康への影響:いまわかっていること

公的機関の見解

  • WHO(2019・2022年):食品や水からとったマイクロプラスチックが健康を害するという明確な証拠は、今のところない。ただし、測り方がそろっておらず、データも足りないため、研究が必要。
  • EFSA(2016年):魚介類を通じて、プラスチックに含まれる化学物質をとる量は、全体から見ればわずかと試算。
  • FAO:食品から見つかる例は増えているが、健康への影響には大きな不確実性がある。
  • 米 FDA:食品や飲み水のマイクロプラスチックが健康リスクになるという科学的証拠は、今のところない。

注目された研究(NEJM 2024年)

  • 首の血管(頸動脈)のプラークを手術で取った257人を約3年追跡。58%のプラークからポリエチレンが見つかった。
  • プラスチックが見つかった人は、心筋梗塞・脳卒中・死亡が4.5倍多かった。
  • ただし観察研究のため、プラスチックが原因とまでは言えない。生活習慣や大気汚染など、ほかの要因を除ききれていない。

とりやすい食品

食塩(とくに海塩)

  • 海水から作る海塩でもっとも多く、次に湖塩、地下の岩塩でもっとも少ない傾向(Kim ら 2018年、21か国39銘柄)。
  • アジア産の海塩で特に多く、周辺の海の汚れを反映していると分析されている。

二枚貝(カキ・ムール貝・あさりなど)

  • 内臓ごと丸ごと食べるため、海のマイクロプラスチックの主な摂取源の一つとされる(EFSA)。

ペットボトルの水

  • 市販のペットボトル水1Lあたり平均約24万個の粒子が見つかり、その約9割がナノプラスチックだった(PNAS 2024年)。

ティーバッグ

  • 「1個から116億個の粒子」という2019年の研究について、ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)は測り方に問題があると指摘。実際の粒子は2〜3桁少なく、健康被害のおそれはないと評価している。

塩の選び方

国際調査で「検出されなかった」塩

2018年の国際調査(21か国39銘柄)で、マイクロプラスチックが見つからなかったのは3銘柄だけでした。

  • 台湾の精製海塩
  • 中国の岩塩
  • フランスの天日干しの海塩(未精製)

日本の塩は、検出された側に入っていました。

ゲランドの塩は?

  • 「検出されなかったフランスの塩=ゲランドの塩」と紹介されることがありますが、元の論文は銘柄名を公表していません。
  • 天日塩は、塩田の環境や作り方によって結果が変わりうるため、1つの調査結果だけで「どの産地なら安心」とは言い切れません。
  • ゲランドの塩の生産者が、自ら検査結果を公表していることは、今回の調査では確認できませんでした。

メーカーが検査結果を公表している例

  • 株式会社青い海の「真塩」「海水塩」(生活クラブの取扱品):外部機関の検査で、検出下限1ppm で不検出と公表(2019年)。1〜3μm の細かいフィルターで何度もろ過して作っている。

メーカー自身による公表で、検査方法の詳細は示されていません。

選ぶときの目安

  • 岩塩は、海塩よりマイクロプラスチックが少ない傾向がある。
  • 海塩を選ぶなら、検査結果を公表しているものを選ぶ。
WHO・FAO・EFSA などの公的機関は、今のところ「魚介類や塩を控えるべき」といった個人向けの食事制限は勧めていません。魚介類の栄養をとるメリットを損なわないよう、バランスのよい食事が前提とされています。ここでは、気になる人が選ぶための判断材料を紹介しています。

出典

  • WHO『Microplastics in drinking-water』(2019)、『Dietary and inhalation exposure to nano- and microplastic particles and potential implications for human health』(2022)
  • EFSA『Presence of microplastics and nanoplastics in food, with particular focus on seafood』(2016)
  • FAO『Microplastics in food commodities』、米 FDA『Microplastics and Nanoplastics in Foods』
  • Marfella R ほか『Microplastics and Nanoplastics in Atheromas and Cardiovascular Events』N Engl J Med 2024
  • Qian N ほか(ペットボトル水のナノプラスチック)PNAS 2024
  • Kim JS ほか(世界の食塩のマイクロプラスチック)Environ Sci Technol 2018
  • ドイツ連邦リスク評価研究所(BfR)ティーバッグに関する評価
  • 生活クラブ生協連合会「消費材『真塩』『海水塩』のマイクロプラスチック残留検査結果」(2019)

最終確認日 2026.09.28(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。