マイクロプラスチック データベース解説確認日 2026.10.01
マイクロプラスチックの少ない塩は? 海塩・岩塩・ゲランドの塩の調査
国際調査で「検出されなかった」塩の正体と、数えた粒の大きさで変わる結果
結論
重さで比べると海塩が多く、岩塩・湖塩が少ない傾向があります。ただし個数で数えると岩塩のほうが多かった研究もあり、順位は測り方で入れ替わります。
「マイクロプラスチックが含まれていない塩」と言い切れる研究は見つかりませんでした。「検出されなかった」は、その調査が数えた大きさの範囲では見つからなかったという意味です。
主な調査
| 調査 | 対象 | 数えた範囲・測り方 | 結果 |
|---|---|---|---|
| Karami ら(2017年) | 8か国17銘柄(日本を含む) | 0.149mm より大きい粒 | 見つからなかったのはフランスの海塩1銘柄だけ。フランス産6銘柄のうち、残り5銘柄からは見つかった |
| Kim ら(2018年) | 21か国39銘柄 | — | 見つからなかったのは3銘柄(台湾の精製海塩・中国の岩塩・フランスの天日干しの海塩)。海塩で多く、岩塩で少ない傾向。日本の塩は検出された側 |
| Fischer ら(2019年) | 大西洋・地中海の塩17検体 | 重さで測定 | フルール・ド・セル 1kgあたり138〜1993μg、ふつうの海塩 14〜60μg |
| Ercoşkun(2022年) | トルコ、未精製の塩18種類 | —(要旨で確認) | 「Guérande」の名前の2種類から、ナイロン(ポリアミド)の仲間の成分 |
| Thiele ら(2023年) | 欧州13銘柄 | 0.005mm まで | 全銘柄から1kgあたり74〜1155個 |
| Özçifçi ら(2023年) | トルコの36検体 | FTIR(個数) | 1kgあたり 岩塩44個、湖塩38個、海塩28個(個数では岩塩が多い) |
| Kwon ら(2025年) | 海塩・岩塩・湖塩 | Py-GC/MS(重さ) | 1kgあたり 海塩584.5μg、岩塩34.2μg、湖塩6.2μg(重さでは海塩が多い)。岩塩では包装由来とみられるポリスチレン |
食塩の150件の報告値を集めた研究(Lee ら 2021年)では、1kgあたり0〜39,800個とばらつき、同定の方法で10〜600倍違いました(目視>FTIR>ラマン)。
国際調査で「検出されなかった」塩
- 2018年の国際調査(21か国39銘柄)で見つからなかったのは、台湾の精製海塩・中国の岩塩・フランスの天日干しの海塩の3銘柄だけでした。日本の塩は検出された側です。
- 2017年の調査(8か国17銘柄)でも、見つからなかったのはフランスの海塩1銘柄だけ。ただしこの調査のフランス産は6銘柄あり、残りの5銘柄からは見つかっています。
ゲランドの塩は?
- 「検出されなかったフランスの塩=ゲランドの塩」と紹介されることがありますが、2018年・2017年のどちらの論文も銘柄名を公表していません(2017年の論文は「フランスのF銘柄・ガラス容器入り」とだけ記載)。
- 「Guérande」の名前で分析された2種類の塩(Guérande Flake・Guérande Celtic)から、ナイロン(ポリアミド)の仲間の成分が見つかった研究があります(トルコ、2022年。要旨で確認、量は要旨に記載なし)。
- 生産者が自ら検査結果を公表していることは確認できませんでした。「ゲランドの塩にはマイクロプラスチックが含まれていない」と書いた論文も見つかりませんでした。
フルール・ド・セル(水面ですくう塩)
- 塩田の水面にできる結晶をすくい取る塩で、ゲランドなどフランスの塩田でも作られています。
- 大西洋・地中海の塩17検体を重さで測った研究では、フルール・ド・セルが1kgあたり138〜1993μg、ふつうの海塩が14〜60μg と、フルール・ド・セルのほうがかなり多く見つかりました(ドイツ、2019年)。採り方の違いによると分析されています。
「検出されなかった」の意味
- 2017年の調査は、0.149mm より大きい粒だけを数えています。
- 0.005mm まで数えた欧州の調査(13銘柄、2023年)では、全銘柄から見つかりました。0.1mm 以上だけを数えていたら、見つかった粒の25%未満しか拾えなかったとしています。同じ調査では、昔ながらの天日の作り方の塩のほうが、工業的な作り方の多くの塩より少ない傾向でした。
- 0.001mm より小さいナノプラスチックは、瀬戸内海を含む6産地の海塩から見つかった研究があります(Ruan ら 2024年)。

メーカーが検査結果を公表している例
- 株式会社青い海の「真塩」「海水塩」(生活クラブの取扱品):外部機関の検査で、検出下限1ppm で不検出と公表(2019年)。1〜3μm の細かいフィルターで何度もろ過して作っている。メーカー自身による公表で、検査方法の詳細は示されていません。
選ぶときの目安
- 重さで測った研究では、岩塩・湖塩は海塩より少ない傾向がある。
- 海塩を選ぶなら、検査結果を公表しているものを選ぶ方法がある。
- 「マイクロプラスチックが含まれていない」とうたう情報は、どの調査の、どの大きさまで数えた結果かを確かめる。
このサイトで裏面を読んだ塩
- セル マラン ド ゲランド ゲランドの塩(顆粒)(アクアメール)
- 雪塩(パウダータイプ)(宮古島の雪塩)
- 沖縄の海水塩 青い海(青い海)
原材料名・製法の表示を読んだページで、マイクロプラスチックの検査結果ではありません。塩の表示のルールは原材料じてんの「食塩・海水」、とりすぎの話は塩分のとりすぎの記事にまとめています。
出典
- Karami A ほか. Sci Rep 2017;7:46173
- Kim JS ほか. Environ Sci Technol 2018
- Fischer M ほか. J Anal Appl Pyrolysis 2019(Fleur de Sel、要旨で確認)
- Ercoşkun H. Food Addit Contam Part B 2022(要旨で確認)
- Thiele CJ ほか. Ecotoxicol Environ Saf 2023
- Özçifçi ほか. Food Chem Toxicol 2023;175:113698
- Kwon ほか. Food Chem 2025;467:142193
- Lee HJ ほか. J Hazard Mater 2021;402:123743
- Ruan X ほか. Environ Sci Technol 2024;58:9091
- 生活クラブ生協連合会「消費材『真塩』『海水塩』のマイクロプラスチック残留検査結果」(2019)
最終確認日 2026.10.01(Gemini Notebook に一次資料を集めて照合)。研究や制度は変わることがあります。
このページは、公的機関の資料・法令・査読論文に書かれている事実を並べたものです。マイクロプラスチックの測り方は研究ごとに違い、数字をそのまま比べられないことがあります。WHO・FAO・EFSA などの公的機関は、今のところ特定の食品を控えるような個人向けの食事制限は勧めていません。