自分の地域の水道水の PFAS はどう調べる? 国の表の読み方と「TDI の何%か」の計算
国の全国調査の表は「事業者ごとの年度の最大値(PFOS+PFOA の合算)」です。検査地点・nd・「年度内実施」・全量受水の読み方、市の水道局の独自公表の探し方、2026年4月からの検査、そして自分の地域の値が耐容一日摂取量の何%に当たるかの計算の考え方をまとめます。
結論
国の表(2025年12月25日公表)で、水道事業者ごとに、令和2年度から令和7年度(2025年8月末まで)の年度の最大値が分かります。値は PFOS と PFOA の合算です。ウラヨミの都道府県ページは、この表を事業者ごとに並べています。
「全量受水」の事業者は、自前の水源を持たず、用水供給事業者(企業団など)から水を買っています。受水先の値もいっしょに見るのが読み方のこつです。
自分の値が耐容一日摂取量(TDI)の何%かは、濃度 × 飲む量 ÷ 体重 ÷ 20 × 100 で出せます。1日 2 L・体重 50 kg なら濃度 × 0.2%です。基準ちょうどの 50 ng/L で TDI の 10%になります。
自分の量に置きかえる
- 水からとる量
- — ng/kg/日
- 日本の耐容一日摂取量(PFOS・PFOA 各 20 ng/kg 体重/日)に対して
- —
- EFSA の耐容週間摂取量(4物質合計 4.4 ng/kg 体重/週=1日あたり約 0.63)に対して
- —
- 食品37品目からとる量(農水省の調査の推計 PFOS 0.13+PFOA 0.09=0.22 ng/kg 体重/日。37品目は食べる量で全体の約5割)との比
- —
合算の値をそのまま1つの物質として計算しています(実際は PFOS と PFOA に分かれるので、日本の TDI に対する割合はこれより小さくなります)。EFSA の値は PFOA・PFNA・PFHxS・PFOS の4物質の合計に対するもので、水道の値には PFNA・PFHxS は入っていません。物差しによって同じ量の読み方が変わることを示すための計算で、健康への影響を判定するものではありません。
国の全国調査の表を読む
国交省・環境省は、全国の水道事業者の値を2回公表しています。2024年11月29日(令和2年度〜令和6年9月末)と、2025年12月25日のフォローアップ調査(令和7年度は 2025年8月末まで)です。表は Excel で公開されています。
| 表の見方 | 意味 |
|---|---|
| 年度の最大値 | その事業者が、その年度に測った中でいちばん高かった値。浄水場が複数ある事業者でも1つの値にまとめている。国の表の注にも「給水区域内でも水源や浄水場の系統によって異なる」とある。自分の家の蛇口の値とは限らない |
| 合算 | PFOS と PFOA を足した値。内訳は表に無い |
| 検査地点 | 原則は給水栓(蛇口)。給水栓で測っていない事業者は、浄水場の出口の水か原水(浄水場で処理する前の水)の値。2024年の表には「給水栓水のみ」「原水のみ」などの列があるが、2025年の表には無い |
| nd | 検出下限値未満か定量下限値未満。「測ったが、測れる下限より低かった」という意味 |
| 年度内実施 | 値ではなく「その年度のうちに検査する予定」という注記(190件) |
| 空欄 | その年度の報告が無い |
- 原水の値は、蛇口の水の値ではありません。原水で 50 を超えても、浄水場で下がって給水されている例があります。ウラヨミは原水の値に「原水」と添えています。
- 2025年12月の表では、水道事業・用水供給事業 3,550 のうち 3,201 事業に検査の実績があります。検査した事業の大半は nd です(令和6年度9月末までは 1,745 事業のうち 1,413)。
- 2024年と2025年の表で、同じ年度の値が違う行が 714 あります。多くは、あとから報告が足された分です。ウラヨミは2025年の表を正としています。
- 2024年11月時点で、50 ng/L 以下の水が確かめられた給水人口は 98.2% でした(未確認 1.5%、専用水道 0.3%)。
「全量受水」なら、受水先をたどる
水道事業者には、自前の水源(川・ダム・井戸)を持つところと、用水供給事業者(府県の企業団など)から水を全部買う「全量受水」のところがあります。全量受水の事業者は、水源と浄水場が受水先にあります。
- 例:堺市は全量を大阪広域水道企業団から受水しています(淀川が水源)。国の表の堺市の値は令和6年度 12、令和7年度 10 ng/L です。受水先の企業団の村野・庭窪・三島浄水場の出口は、令和8年5月に 10〜13 ng/L でした。
- 全量受水の事業者は、2024年の調査で「全量受水だから」と検査しなかったところもありました(105事業)。その場合は、受水先の値が手がかりになります。
- 1つの市に、市の上水道・簡易水道・企業団からの一部受水が混ざることもあります。ウラヨミの都道府県ページでは、分かった範囲で受水先を添えています。
市や水道局の独自公表を探す
国の表は年度に1つの値だけです。浄水場ごと・蛇口ごと・季節ごとの値は、水道局や企業団が自分で出していることがあります。
| 公表している機関 | 何を出しているか | 最近の値(ng/L) |
|---|---|---|
| 堺市上下水道局 | 市内の給水栓12地点。令和7年度から年4回 | 令和8年度(5〜8月)7〜10 |
| 大阪広域水道企業団 | 3浄水場の入口(原水)と出口、受水市町村への分岐 | 令和8年5月の出口 10〜13 |
| 大阪市水道局 | 3浄水場の原水・浄水。PFOS と PFOA を別々に(令和5年度の研究調査) | 浄水 PFOA 5〜11、PFOS 1未満〜3 |
| 東京都水道局 | 給水栓131か所(多摩84・区部47)と浄水施設、四半期ごと | 令和7年度の多摩の給水栓の最大 14 |
| 沖縄県企業局 | 北谷浄水場などの水源・入口・出口。週〜月1回 | 令和8年度(4〜8月)北谷の出口 最大 6 |
- 探し方:「市町村名+水道+PFOS」や「水道局名+水質検査結果」で、水道局のページを見ます。都道府県が、県内の事業者のページへのリンクをまとめていることもあります(栃木県など)。
- 同じ年度でも、国の表と市の公表で値が違うことがあります。堺市の令和7年度は、国の表が 10、市の 2025年8月5日の検査が最大 12 でした。締め日や地点の違いが考えられますが、理由は確かめられていません。
- 自治体のページにある海外の基準の表は、古い値のことがあります。海外の値は基準の解説を見てください。
2026年4月からの検査と公表
2026年4月1日から PFOS・PFOA は水質基準になり、水道事業者に検査の義務がかかりました。
- 検査はおおむね3か月に1回以上が原則です。上水道でも、原水の水質が大きく変わるおそれが少なく(過去3年に水源や浄水方法を変えていない)、過去3年の結果がすべて基準の5分の1(10 ng/L)以下なら年1回、10分の1(5 ng/L)以下なら3年に1回まで減らせます。
- 簡易水道と専用水道は、過去の結果から検出のおそれが少なければ半年に1回や年1回にでき、上と同じ条件で過去3年がすべて 5 ng/L 以下なら3年に1回にできます。過去1年に 10 ng/L を超えたら3か月に1回に戻ります。
- 用水供給から全量受水する事業者は、受水先の結果が 10 ng/L 以下で、送る途中で濃度が上がらないと確かめられれば、自分の検査を省略できます。省略しても受水先の結果は確認し、10 を超えたら自分で3か月に1回測ります。
- 採水は原則として給水栓です。送配水で濃度が上がらないことが明らかなら、浄水場の出口などでもかまいません。
- 基準項目になったので、各事業者の水質検査の結果に PFOS・PFOA が並ぶようになる見込みです。ただし、2026年4月の基準化のあとの事業者ごとの値は、2026年10月3日時点で国からはまだ出ていません。それまでは、事業者のページが最新の手がかりです。
自分の地域の値は、TDI の何%か
基準の 50 ng/L は、1日 2 L・体重 50 kg の人が飲み続けたとき、水からの分が耐容一日摂取量(TDI)の 10%になるように決めた値です。同じ式で、自分の地域の値も換算できます。ページの計算機は、この式を使っています。
水からの摂取(ng/kg 体重/日)= 濃度(ng/L)× 1日に飲む量(L)÷ 体重(kg)
これを TDI の 20 で割って100をかけると、TDI の何%かが出ます。
| 水道水の PFOS+PFOA | 2 L・50 kg の摂取 | TDI 20 に対して | 食品37品目(0.22)の何倍 | 1 L・50 kg のとき |
|---|---|---|---|---|
| 1 ng/L | 0.04 | 0.2% | 0.2倍 | 0.1% |
| 5 ng/L | 0.2 | 1.0% | 0.9倍 | 0.5% |
| 10 ng/L | 0.4 | 2.0% | 1.8倍 | 1.0% |
| 20 ng/L | 0.8 | 4.0% | 3.6倍 | 2.0% |
| 50 ng/L(基準) | 2.0 | 10% | 9.1倍 | 5.0% |
| 100 ng/L | 4.0 | 20% | 18倍 | 10% |
- 食品との比較は、農水省の国産37品目の調査(2024〜2025年度)の PFOS 0.13+PFOA 0.09=0.22 ng/kg 体重/日です。37品目は食品全体の消費量の約5割で、品目ごとの中央値からの計算です。水が 5 ng/L なら、水と食事がほぼ同じくらい、50 ng/L なら水が食事の約9倍になります(ウラヨミの計算)。
- TDI% は、PFOS+PFOA の合算を1物質の TDI(20)と比べた、安全側の値です。PFOS・PFOA には、それぞれ別に TDI 20 があります。
- 2 L は基準の計算上の前提です。料理やお茶も含めて日本人が実際に飲む水道水の量を測った公的な統計は、今回の調査では確かめられていません。
- 物差しを変えると「余裕」は大きく変わります。EFSA の4物質の耐容週間摂取量(1日あたり約 0.63 ng/kg)で見ると、5 ng/L で約32%、50 ng/L で約320%です(EFSA は4物質の合計、水の値は2物質だけ)。
- 年度の最大値を使えば、ふだんの値より高めに出ます。TDI は一生とり続ける前提の量なので、1回の値だけで判断するものではありません。
井戸水・専用水道の場合
出典
- 環境省 報道発表「水道における PFOS 及び PFOA に関する調査の結果(フォローアップ)」(2025年12月25日)
- 同 調査結果一覧(Excel)
- 環境省「水道における PFOS 及び PFOA に関する調査の結果について」(2024年11月29日)
- 環境省 PFOS・PFOA の水質基準化に伴う留意事項通知(環水大管発第2506305号、2025年6月30日)
- 同 施行通知(環水大管発第2506301号、2025年6月30日)
- 水道法施行規則 第15条(定期の水質検査の回数)
- 堺市上下水道局 PFOS 及び PFOA の検査結果
- 大阪広域水道企業団 PFOS・PFOA の検査結果
- 農林水産省 PFAS に関する Q&A(国産37品目の摂取量)
- 環境省「水質基準に関する省令改正の概要について」
最終確認日 2026.10.04(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。事業者ごとの値は国の表のとおりで、ウラヨミが並べ替え・集計しました。