水道水の PFAS データベース解説確認日 2026.10.04
水道水で PFAS の高い値が出た地域で何があった? 吉備中央町・多摩・沖縄などの年表
令和2年度から令和7年8月末までに、水道事業で暫定目標値の 50 ng/L を超えたのは19事業です。最大は岡山県吉備中央町の 1,400 ng/L。どこで何が分かり、どう対策したかを、国交省の対応事例集と自治体の公表で年表にします。
結論
国の表で、令和2年度〜令和7年8月末に 50 ng/L を超えた水道事業は19事業です。2025年12月時点で、18事業は対策済みで最新の値は 50 以下、1事業は応急対応中(事業者名は公表されていません)。
最大は岡山県吉備中央町の円城浄水場の系統で 1,400 ng/L(2022年10月)。2023年10月に分かり、約1か月の飲用制限のあと、活性炭の入れ替えや水源の変更で、令和6・7年度は nd になりました。
対策は、濃度の高い井戸や水源を止める・ほかの水に切り替える・活性炭を入れるの3つが中心です。原因は、多くの資料で特定されていません。
全国で何件あったか
- 50 ng/L を超えた事業数(国の図、年度ごと):令和2年度 11 → 3年度 5 → 4年度 4 → 5年度 3 → 6年度(9月末まで)0。令和7年8月末までの累計は19事業です。
- 令和6〜7年度に新しく超えたのは、栃木県下野市(66・63)、京都府木津川市(61、浄水場出口)、宮崎県小林市(61)、熊本県の不知火東部地区簡易水道(95)、兵庫県の田井簡易水道組合(69)です。
- このうち木津川市・小林市・不知火東部地区・田井簡易水道組合と、京都府の福知山市・精華町、兵庫県の西脇市は、その後の対応を今回は公的資料で確かめられていません。値は都道府県ページの表で見られます。
- 2026年4月の水質基準化のあとに超えた事例の公表は、調べた範囲では見つかりませんでした(無かったとは言い切れません)。
年表:高い値が出た地域
2020年4月〜2026年3月の 50 ng/L は暫定目標値(検査・遵守の義務なし)です。原水(浄水場で処理する前の水)の値は、蛇口の水の値ではありません。
| 時期 | 地域・施設 | 値(ng/L) | その後 |
|---|---|---|---|
| 2015年度 | 沖縄県企業局 北谷浄水場 | 浄水の年度最大 120 | 暫定目標値ができる前。令和2年度 32、3年度 35、4年度以降 5〜13 |
| 2020年6月 | 兵庫県宝塚市 小浜浄水場 | 原水 55・給水栓 54 | 2井戸の取水量を半分に → 2024年8月から取水停止 |
| 2020年7月 | 東京都水道局 小川浄水所(小平市) | 原水 280・浄水 68・給水栓 64 | 濃度の高い井戸を停止。対応後は給水栓 9 |
| 2020年8月 | 長野市 川合新田水源 | 給水栓 58 | 6本中2本の井戸を停止。市独自の管理基準 25 ng/L 未満(2021年3月) |
| 2020年10月 | 大阪広域水道企業団 四條畷水道事業 田原浄水場 | 給水栓 73 | 2020年11月5日に休止し、用水供給の水に切替。原水が下がらず令和4年度末に廃止 |
| 2020年11月 | 岐阜県各務原市 三井水源地 | 原水 99 | 国の表の年度最大は 99 → 550 → 130 → 65 → 23 → 20(検査地点は給水栓・浄水場出口・原水が混ざる)。2023年10月に粒状活性炭を入れ、浄水は 50 以下に |
| 2020年11月 | 岡山県吉備中央町 円城浄水場 | 800 | 対応が始まったのは2023年10月(下の節) |
| 2020年度 | 三重県桑名市 多度中部送水場 | 給水栓 290 | 2022年10月に送水場を停止し、別の配水場から配水。令和5年度以降 nd |
| 2020年度〜 | 兵庫県明石市 明石川浄水場・鳥羽浄水場 | 原水(明石川の河川水を含む)で超過、浄水は超過なし | 2020年度から地下水・受水の割合を増やし、活性炭を強化。2025年度から阪神水道企業団の水に切り替え、2028年度中に明石川からの取水をやめる計画(2024年11月の事例集) |
| 2021年3月 | 愛知県 北名古屋水道企業団 豊山配水場系 | 原水 175・浄水 150 | 井戸を停止し、用水供給からの受水を増やした |
| 2021年12月 | 沖縄県企業局 北谷浄水場 | 原水 75 | 濃度の低い水源やダム水を増やし、PFOS の吸着に適した粒状活性炭を使用。取水堰の工事(2024年3月) |
| 2022年10月 | 岡山県吉備中央町 | 1,400 | 全国の最大値 |
| 2023年10月 | 岡山県吉備中央町 | 緊急検査 1,100〜1,200 | 10月17日に公表、飲用制限(11月22日に解除) |
| 2025年2月 | 栃木県下野市 石橋第2配水場 | 国の表 66(令和6年度)・63(令和7年度) | 隣の宇都宮市の井戸で指針値の超過が分かり(2024年11〜12月)、県と市が下野市内の地下水調査を進めるなか、市が石橋第2配水場の水道水を検査して暫定目標値を超えたことが判明。市が臨時給水所を設置 |
| 2025年12月25日 | 国のフォローアップ調査 | 19事業 | 18事業は対策済み、1事業は応急対応中 |
吉備中央町:いちばん高かった事例
- 円城浄水場の給水区域は522世帯・約1,000人で、取水は河平ダムです。国の表の年度最大は800(2020年度)→ 1,200 → 1,400 → 1,100(2023年度)→ nd(2024・2025年度)でした。
- 日本水道協会の「令和4年度水道統計」への回答から保健所が気づき、2023年10月13日に町へ連絡、町は10月17日に公表しました。国の表では2020年度の値も 800 ですが、対応が始まったのは2023年10月の連絡のあとでした。
- 町は給水車とペットボトルで水を配り、2023年11月22日に飲用制限を解除しました。水源の変更、沈殿池・ろ過池・配水池の洗浄、活性炭の入れ替えをし、農業用ダムの水と広域水道企業団からの受水で供給しています。町の資料では、広域水道企業団からの全量受水の施設工事を2026年3月までに進める計画でした。
- 町の公表時点で、原因は「不明」です。町は希望者の家の蛇口の水の検査も受け付け、県提供の調査結果を2026年8月28日の分まで掲載しています。
- 町の住民の血液検査の数字は報道で伝えられていますが、町の原典の資料で確かめられていないので、ここには書きません。
東京・多摩と沖縄:大きな事業者で起きたこと
- 東京都水道局は、多摩の井戸の一部で高い値が出て、濃度の高い井戸を止めました。府中武蔵台浄水所は2020年12月に原水 420・給水栓 41 で、2021年1月から停止しています。令和7年度は、多摩の給水栓84地点のうち81地点が全四半期で 5 未満、最大は瑞穂町の 14 でした。
- 国の表の東京都水道局の値は、令和2年度 64 → 令和7年度 11 です。都全体で1つの値なので、自分の地域の値は都の給水栓ごとの公表で見るのが確実です。
- 沖縄県企業局の北谷浄水場は、北谷町・沖縄市・宜野湾市・浦添市・那覇市などに水を送っています。水源の比謝川は令和7年度でも最大 143 ですが、浄水の年度最大は令和4年度以降 5〜13 です。企業局は水源ごとの値を週〜月1回公表しています。
自衛隊基地・病院などの専用水道
- 社宅・病院・学校・基地などの自家用の水道(専用水道)では、検査した 4,353 のうち 59 で 50 を超えました(令和2年度〜令和7年8月末)。都道府県別では東京都の22が最多です。
- 国が設置した専用水道では、航空自衛隊芦屋基地(福岡県)の 1,500 ng/L が最も高く、濃度の高い井戸を止めて浄水器で応急的に対応し、上水道へ切り替える予定とされています。新田原基地(宮崎県)560、府中基地(東京都)245 などは原水の値です。
- 専用水道の値は、その施設の中で使う水の値で、周りの地域の水道の値ではありません。
対策の型と、2026年4月から
国交省は、これまでの事例をもとに「水道事業者等による PFOS 及び PFOA 対応マニュアル」を作りました。
| 段階 | 主な対策 | 例 |
|---|---|---|
| 応急 | 水源の切替・混合、活性炭の交換、粉末活性炭、飲用制限と応急給水 | 吉備中央町・四條畷・下野市 |
| 中期 | 新しい井戸、受水の施設、粒状活性炭やイオン交換の施設 | 各務原市・北名古屋・桑名市 |
| 長期 | 水源の廃止・別の事業者の水への切替 | 四條畷(田原浄水場の廃止)・明石市 |
出典
- 国交省「水道事業者等によるこれまでの PFOS 及び PFOA 対応事例について」(2024年11月29日)
- 環境省 フォローアップ調査の結果(2025年12月25日)
- 環境省 調査結果(最終とりまとめ、専用水道を含む、2024年12月24日)
- 吉備中央町「円城浄水場有機フッ素化合物等の検出について」
- 栃木県「下野市下古山地内の地下水における PFOS 及び PFOA の暫定指針値超過(第2報)」
- 沖縄県企業局 PFOS 等の検出状況
- 東京都水道局 多摩地区の PFOS・PFOA 等の測定結果(令和7年度)
- 国交省「水道事業者等による PFOS 及び PFOA 対応マニュアル」
最終確認日 2026.10.04(公的機関の資料・論文の原典で確認し、Gemini Notebook に集めて照合)。事業者ごとの値は国の表のとおりで、ウラヨミが並べ替え・集計しました。
このページは、国・自治体などの公的機関が公表した測定値と、基準・評価・論文に書かれている事実を並べたものです。水道水の良し悪しや健康への影響を判定するものではありません。最新の値と対応は、お住まいの地域の水道事業者に確かめてください。